電車を怖がる子。理由と家庭での工夫を解説

電車を怖がる子。理由と家庭での工夫を解説 幼児
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【この記事の信ぴょう性】

当ページの記事は、児童発達支援の現場経験を持つ鈴木日奈子(小学校教諭免許保有)が監修しています。

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電車を怖がる子の気持ちと、そう感じる理由

こんにちは!おやまどの鈴木です。

駅のホームで「電車が来るよ」と声をかけたとたん、電車を怖がる子が、足をとめて動けなくなる。耳をふさいで泣き出す。そんな場面に、どうしたらいいのかと戸惑っている方も多いのではないでしょうか。電車好きのお子さんが多いなかで、「うちの子はなぜ…」と感じてしまうこともありますよね。

この記事では、電車を怖がる子の気持ちと、そう感じやすい理由、家庭でできる工夫を、順番にまとめました。「わがまま」と決めつけず、子どもの感じ方に目を向けるヒントとして、読んでいただければうれしいです。

電車を怖がる子は、ふだんの遊びや生活では、ほかの子と変わらず元気に過ごしていることも多いものです。だからこそ、「どうして電車だけ?」と、ふしぎに感じる保護者の方もいます。でも、怖さには、ちゃんと理由があることがほとんどです。お子さんの「怖い」を、いっしょにほどいていきましょう。

電車を怖がる子が、走行音やブレーキ音におびえるとき

電車を怖がる子が不安になる、電車がとまる駅のホーム
Photo by Nico Kusuma Jaya on Pexels

電車には、子どもにとって、びっくりする音がたくさんあります。ホームに入ってくるときの警笛、ブレーキの「キーッ」という高い音、ドアが開くときのチャイム、そして車内アナウンス。トンネルに入ると、音がこもって、急に大きく聞こえることもあります。

音の感じ方には、個人差があります。同じ音でも、大人にはなんでもないのに、子どもにとっては耳が痛いほど大きく聞こえている、ということもあると言われています。音を人より強く感じやすい特徴は「聴覚過敏」と呼ばれます。「聴覚過敏」とは、特定の音を、ほかの人よりも強く、いやなものとして感じやすい状態のことです。

また、「いつ鳴るかわからない音」は、予測できないぶん、ふいうちのようにこたえます。ホームで待っているあいだ、「いつ来るんだろう」とドキドキしていて、音が鳴った瞬間に身構えてしまう、という子もいます。

また、電車の音は、駅の中で反響します。屋根のあるホームや、地下の駅では、音がまわりの壁にはね返って、さらに大きく感じられることがあります。「あの駅だけ苦手」「地下鉄は平気だけど、地上の電車はだめ」など、場所によって反応がちがう子もいます。

音への反応は、成長とともに変わることもあります。いまは耳をふさいでしまう子も、半年後には、音の予告があれば平気になっていた、ということもあります。いまの反応を、「ずっと続くもの」と思いすぎなくて大丈夫です。

ほのママ
ほのママ

電車の音って、わたしは全然気にならないんだけど…うちの子には、そんなに大きく聞こえてるのかしら?

ここわん
ここわん

同じ音でも、聞こえ方は人によってちがうと言われているわん。怖がる様子は、音への「ほんとうの反応」かもしれないわん。

電車を怖がる子が、ホームのすき間や風、近さに不安を感じるとき

電車を怖がる子が、ホームから見つめる、近づいてくる電車
Photo by 素材王国 Footage Kingdom on Pexels

電車は、大きくて、速くて、近くを通ります。子どもの目線の高さから見る電車は、大人が見るよりもずっと迫力があります。とくに、ホームに入ってくる電車がつくる風や、電車とホームのすき間は、気になりやすいポイントです。

「落ちたらどうしよう」「吸いこまれそう」というイメージを、言葉にできないまま、からだで感じ取っている子もいるかもしれません。たとえば、足元の黄色い線の先を、じっと見つめて動かなくなる、といったようすです。

危ないと感じる気持ちは、からだを守るための大切な力でもあります。「怖がりすぎ」と受け取らずに、危険を感じ取る力が働いていると見ると、声のかけ方も変わってきます。

たとえば、「大丈夫、危なくないよ」と伝えたい気持ちはわかります。でも、お子さんにとっては、いま見えている景色が「危ない」のです。まずは、「ちょっと怖いね」と気持ちを受けとめてから、「ママ(パパ)が手をつないでいるよ」と、安心できる材料を伝えるほうが、気持ちは落ち着きやすくなります。

ホームでは、手をつないだまま、線路から少し離れて立つ。ベビーカーがあれば、ロックをかけて、線路と反対向きに置く。そんな工夫も、お子さんの安心につながります。

電車を怖がる子が、混雑やにおい、ゆれに疲れてしまうとき

電車を怖がる子が不安になる、人の多いホームのようす
Photo by G N on Pexels

電車の中は、人がぎゅっと集まる場所です。知らない人との距離が近い、人のにおいがまざる、急にゆれる、立っている足元が不安定。これらが重なると、大人でも疲れますよね。子どもは、なおさらです。

車内の「暑い」「寒い」という温度の変化や、冷暖房の風、まぶしい窓の光も、からだに負担になることがあります。「電車そのもの」が怖いというより、電車の中の、いくつもの刺激が重なってしんどいという場合もあります。

さらに、「どこで降りるのかわからない」「いつ着くのかわからない」という、見通しの立たなさが、不安のもとになる子もいます。電車は、いったん乗ると、自分の意思ではとめられません。逃げ場のない感じも、怖さにつながりやすいと言われています。

「電車が怖い」と一言でいっても、その中身は、お子さんによってさまざまです。同じ音でも、「うるさい」から怖い子もいれば、「なんの音かわからない」から怖い子もいます。理由がちがえば、効果のある工夫もちがってきます。

怖い理由は、ひとつとはかぎりません。音なのか、ホームなのか、混雑なのか。お子さんのようすを、少し観察してみるだけでも、手がかりが見えてきます。

ここがポイント
電車を怖がる理由は、音・ホームの近さ・混雑など、お子さんによってちがいます。「どこで一番固まるか」を見ておくと、対応のヒントになります。

電車を怖がる子が、特に困りやすい場面

怖がる気持ちは、日常の中で、はっきりした「困りごと」になってあらわれることがあります。ここでは、とくに保護者の方が悩みやすい2つの場面を見ていきます。どちらも、「こうしなければ」と考えすぎず、お子さんと家族にとって負担の少ない道を探していきましょう。

電車を怖がる子が、駅のホームで立ちすくんでしまうとき

電車を怖がる子が通る、駅の改札のようす
Photo by Tien Nguyen on Pexels

いちばん困るのは、駅のホームで、固まってしまう場面です。電車が近づくと、座りこむ、耳をふさぐ、保護者にしがみつく、ホームの奥へ逃げようとする。そんなとき、まわりの目も気になって、保護者はあせってしまいますよね。

このとき大切なのは、安全を第一にすることです。ホームでは、黄色い線の内側で、お子さんの手をしっかりつなぎましょう。無理に引っぱったり、「早く乗るよ」と急かしたりすると、かえって怖さが強くなることもあります。

そして、お子さんが落ち着かないときは、思いきって、ホームの端から離れた場所で待つのもひとつの方法です。電車を1本見送っても、問題ありません。「乗らなきゃ」という気持ちを手放すだけで、親子ともに少し楽になります。

たとえば、ホームのベンチに座って、電車が来て、出ていくのを、ただ眺める。お子さんが落ち着いてきたら、「次の電車は、見えるかな」と、そっと声をかけてみる。こうした「乗らない時間」が、電車に対する安心の貯金になっていきます。

「次は乗れるかな」と期待しすぎないことも、ポイントです。保護者の気持ちが前のめりになると、お子さんも、それを敏感に感じ取ります。「今日は見るだけ」と決めてしまうほうが、おたがいに気がラクになります。

ほのママ
ほのママ

ホームで固まったとき、周りの人の目が気になって、つい「早く!」って言っちゃうのよ…。

ここわん
ここわん

その気持ちも自然わん。でも、急かすと怖さが強まることもあるわん。ゆっくり待つのも、大事なサポートわん。

朝の電車で、電車を怖がる子と時間が足りなくなるとき

電車を怖がる子と乗る、朝のすいた車内
Photo by Sienna L on Pexels

通勤や通園・通学の時間帯の電車は、混んでいます。電車を怖がる子にとっては、そのぶん、負担も大きくなります。乗れない日が続くと、遅刻や欠席につながってしまい、保護者も気持ちが沈みますよね。

そんなとき、ふだんより早めに家を出る、あるいはずらして乗ることで、混雑を避けられる場合があります。たとえば、通勤ラッシュのピークを少し外す、すいている車両の位置を調べておく、といった工夫です。

「毎日この電車に乗らなければいけない」という状況でも、ほかの方法があるかもしれません。バスや徒歩、家族の送迎、時間差など、ご家庭の状況に合わせて、「電車以外の選択肢」を持っておくと、気持ちにゆとりが生まれます。

たとえば、よくある例として、「乗る車両を、いつも同じ先頭に近い場所にそろえる」「座れる席を探しておく」「ドアの近くの、壁側の位置に立つ」といった工夫があります。決まった場所や手順があると、見通しが立ちやすくなり、安心できる子もいます。

また、幼稚園や学校に通っている場合は、先生に「朝の電車でしんどい日がある」と、先に伝えておくと安心です。遅刻や欠席が続いたときに、事情を知ってもらえているだけで、気持ちの重さがちがってきます。

大きな音が苦手な子の理由と対応は、こちらの記事でくわしく取り上げています。

大きな音が苦手な子。理由と家庭での工夫を解説
大きな音が苦手な子の気持ちや理由を、家庭と行事の場面に分けてやさしく整理しました。予告の伝え方やイヤーマフの使い方など、すぐ試せる工夫を知りたい、未就学児から小学生の保護者の方へ。安心できる声かけの例や、園への伝え方なども紹介しています。

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電車を怖がる子と一緒にできる、家庭での工夫

電車を怖がる子が、おもちゃや絵本で電車に親しむ

電車を怖がる子と遊ぶ、木のおもちゃの電車
Photo by Irina Kraskova on Pexels

いきなり本物の電車に慣れさせようとすると、ハードルが高くなります。まずは、安心できる家の中で、「電車ってこんなもの」と、少しずつなじんでいく方法があります。

たとえば、木のレールや、おもちゃの電車で遊ぶ。電車の絵本を、いっしょにめくる。ここでは、「電車って、ちょっと楽しいかも」と思える体験をねらいます。電車が走る音を、動画で小さな音から聞いてみる、という方法を取り入れている方もいます。

電車の絵本では、「ガタンゴトン」「プシュー」など、音をあらわす言葉が出てくるものがよく見られます。音の名前を知ると、「あの音は、ドアが開く音なんだ」と、正体がわかって安心できることもあります。おもちゃの電車で、「ブレーキの音だよ」「ドアが開くよ」と、お子さんに合わせて遊びの中で説明してあげるのも、ひとつの方法です。

お子さんが電車に興味を示さなくても、がっかりしなくて大丈夫です。電車が苦手なお子さんには、バスや船、飛行機など、ほかの乗り物のほうが、気持ちがなじみやすいこともあります。乗り物全般への「慣れ」は、少しずつ育っていくものです。

大切なのは、お子さんのペースで、いやがったらやめることです。「今日は電車の絵本を見ない」でも、問題ありません。無理に見せないことも、安心につながります。

電車を怖がる子が、少しずつ慣れていくための練習と声かけ

電車を怖がる子が、家で少しずつ慣れていくための電車のおもちゃ
Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels

家の中で慣れてきたら、次は、本物の電車に少しずつ近づいてみます。ポイントは、ステップを小さく刻むことです。たとえば、次のような段階があります。

段階例
①駅の外から、電車が走るところを眺める(踏切や、線路の近くの公園など)
②駅の改札の外まで行って、帰る
③ホームに入って、電車を見るだけで帰る
④1駅だけ、すいている時間帯に乗る

次のステップに進むかどうかは、お子さんの様子を見ながら決めましょう。「今日はここまで」と決めて、できたことを認める声かけが効果的です。「ホームまで行けたね」「見ているだけで、すごいね」と、小さな一歩を言葉にして伝えると、お子さんの自信につながります。

音がつらいようなら、イヤーマフ(耳をおおって音をやわらげる道具)を使う、という方法もあります。お子さんが気に入るものを、いっしょに選んでみてください。

練習のあとは、ごほうびよりも、気持ちを分かち合うことを大切にしてみてください。「ドキドキしたね」「でも、ホームで見られたね」と、お子さんの気持ちを言葉にして返すと、「わかってもらえた」という安心が積み重なっていきます。

おすすめの声かけ
「大きい音がするかもね。耳をふさいでいいよ」「ママ(パパ)と手をつないでいるよ」と、先に伝えておくと、見通しが立ちやすくなります。

避けたい声かけ
「男の子なのに怖がって」「ほら、みんな乗ってるでしょ」など、ほかの子と比べる言葉は、お子さんの不安を強めることがあります。

ほのママ
ほのママ

小さいステップに分けるの、いいわね!いきなり乗らなくてもいいって思ったら、気持ちがラクになったわ。

ここわん
ここわん

「ホームまで行けたね」でじゅうぶん立派わん。焦らず、一歩ずつ、一緒に考えるわん!

エスカレーターを怖がる子の理由と工夫も、あわせて読むと参考になります。

エスカレーターを怖がる子。理由と家庭での工夫を解説
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まとめ:電車を怖がる子と、ゆっくり進んでいく

ここまで、電車を怖がる子の気持ちと、場面ごとの困りごと、家庭でできる工夫を見てきました。最後に、これまでの内容をふりかえりながら、お子さんとの向き合い方を整理してみます。

電車を怖がる子の気持ちを、まるごと受けとめるという考え方

電車を怖がる子の手を、そっと握る親のようす
Photo by Tatiana Syrikova on Pexels

電車を怖がる子は、音や近さ、人の多さなど、まわりの刺激を、細かく感じ取っているのかもしれません。それは、「弱さ」ではなく、感じ方の個性のひとつだと考えることもできます。

「電車に乗れない」という困りごとは、成長とともに変わっていくことがあります。去年はだめだったのに、今年は少しだけ見られるようになった、ということもあります。逆に、ある時期に急に怖がるようになることも、あります。

今できていないことを数えるより、安心できたこと、見られた瞬間に目を向けてみましょう。「今日はホームまで行けた」「イヤーマフをつけられた」。そんな小さな変化が、お子さんの歩みです。

保護者の気持ちが疲れてしまう日もあります。「電車に乗れないと、お出かけが制限される」と、さみしく感じる日もあるかもしれません。そんなときは、電車以外の方法で楽しめるお出かけを、あえて選ぶのもよい選択です。電車に乗らなくても、親子で笑って過ごせる時間は、ちゃんとあります。

一人で抱え込まず、電車を怖がる子と一緒に進んでいく

電車を怖がる子と、おうちで電車の絵本を開くひととき
Photo by Marta Wave on Pexels

「電車に乗れない自分の子」を、ひとりで抱え込む必要はありません。祖父母や園の先生、同じ悩みをもつ保護者など、話せる人がまわりにいると、気持ちがほぐれます。

通園や通学で電車を使う場合は、園や学校の先生に事情を話しておくのも、ひとつの方法です。「朝の電車がしんどい日がある」と伝えるだけでも、理解してもらえる場面が増えます。

たとえば、「大きな音が苦手なようなので、駅で耳をふさぐことがある」「朝の電車が混んでいると、動けなくなってしまう日がある」と、見ていて気づいたことを、そのまま伝えてみてください。先生が園や学校での様子と照らし合わせることで、新しい気づきが生まれることもあります。

そして、お子さんが成長するにつれて、怖さの感じ方も、いつも同じとは限らず、少しずつ変わっていきます。いま、うまくいかない日があっても、それは「この先ずっと」ではありません。ゆっくり、お子さんのペースで、進んでいきましょう。

この記事のまとめ
・電車を怖がる理由は、音、ホームの近さ、混雑など、お子さんによってちがう
・ホームでは安全を第一に。固まったときは、急かさず、ホームの端から離れて待つ
・おもちゃや絵本から、家の中で少しずつなじむ
・駅の外から見る→ホームを見る→1駅だけ乗る、と小さなステップで進む
・小さな一歩を言葉にして認める

ほのママ
ほのママ

電車を怖がる子のこと、ちょっと肩の力が抜けたわ。ゆっくりでいいのね、えへへ…。

ここわん
ここわん

その調子わん!うちの子だけじゃないんだと思えれば、大丈夫わん。

おうちでの関わり方のヒントは、こちらの記事でも紹介しています。

掃除機を怖がる子。理由と家庭での工夫を解説
掃除機を怖がる子に悩む保護者の方へ。掃除機を怖がる理由を音や振動、見通しの面から整理し、予告のしかたや慣れていく遊び、安心できる居場所づくりなど、家庭でできる工夫を、やさしく詳しく解説します。お子さんの気持ちに寄りそうヒントもお伝えします。

アイキャッチ画像:Photo by 素材王国 Footage Kingdom on Pexels

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