掃除機を怖がる子の気持ちと、そう感じる理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
掃除機のスイッチを入れたとたん、泣き出して逃げていく。耳をふさいでソファの陰にかくれてしまう。そんな掃除機を怖がる子の姿に、「うちの子だけ?」「掃除ができなくて困る…」と悩む保護者の方は、少なくありません。
結論から言うと、掃除機を怖がるのは、決して珍しいことではありません。この記事では、掃除機を怖がる子がどんな気持ちでいるのか、考えられる理由、そして家庭でできる工夫を、順番にお伝えします。
掃除機を怖がる子が、突然の大きな音におどろくとき

掃除機の音は、おとなが思っている以上に大きく、そして低くひびきます。スイッチを入れた瞬間に「ゴォー」と音が立ち上がるため、予告なしに大きな音が鳴るように感じるお子さんもいます。
とくに、まだ言葉で気持ちを伝えるのが難しい年齢では、「こわい」を泣くことや逃げることで表します。それは、わがままではなく、「びっくりした」「いやだな」というサインです。
音の感じ方には個人差があります。同じ音でも、平気な子もいれば、体がびくっとするほど強く感じる子もいます。「みんな平気なのに」と比べるより、その子にはそう聞こえていると受けとめるところから始めましょう。
たとえば、よくある例として、こんな場面があります。リビングで遊んでいたお子さんが、掃除機のスイッチが入った瞬間に、手に持っていたおもちゃを放り出して、保護者の足にしがみつく。顔は青ざめ、目には涙がたまっている。このような様子は、「困らせたい」わけではなく、体が先に反応していることを表しています。
小さいお子さんほど、音の意味をまだ理解できていません。「これは掃除の音で、すぐ終わる」という見通しが持てないぶん、怖さを強く感じやすいのです。年齢が上がるにつれて、見通しが持てるようになり、平気になっていく子もいます。

掃除機をかけるたびに泣かれちゃって、もう朝から疲れちゃうの…。

泣くほどびっくりしてるわん。ボクだって、急に大きな音が鳴ったら、耳がぴーんとなっちゃうわん。
掃除機を怖がる子が、何が起こるかわからなくて不安なとき

掃除機が怖い理由は、音だけではありません。何が起こるのかわからないことも、不安につながります。
掃除機は、ふいに動き出して、近づいてきて、床の上のものを吸いこんでいきます。大きなホースがうねる様子や、機械が自分のほうへ向かってくる感じが、お子さんには迫力のある動きに見えることもあります。
また、「吸いこまれるのでは」「自分のおもちゃが持っていかれるのでは」と心配する子もいるかもしれません。想像力が育つ時期だからこそ、怖さがふくらむこともあります。
おとなには当たり前の家電でも、お子さんにとっては、まだ正体のわからない存在です。「怖がる」ことは、慎重に世界を見ている証だと考えることもできます。
また、掃除機の先についているブラシが回る様子や、ノズルが床をなでるように動く姿が、「生き物みたい」に感じられることもあります。ぬいぐるみやおもちゃが動き出すような感覚で、怖がる子もいるかもしれません。
お子さんが何を怖がっているのかを知りたいときは、落ち着いている時間に、「掃除機のどこが、いやだった?」とやさしく聞いてみるのもよいでしょう。言葉が難しい年齢なら、「音? 動くところ?」と選択肢を出してあげると、答えやすくなります。
掃除機を怖がる子が、振動や風、においにとまどうとき

掃除機は、音だけでなく、振動・風・においなど、いくつもの刺激を同時に出します。床に伝わる震えや、排気の風、ほこりのにおいなどが重なると、疲れやすい子や敏感な子には、大きな負担になることがあります。
たとえば、「音は平気だけれど、風が顔にあたるのがいや」という場合や、「においで具合が悪くなりそう」という場合もあります。どの刺激が苦手なのかは、お子さんによって違います。
たとえば、ほこりが舞い上がる様子が気になる子、排気のあたたかい風がいやな子、床がブルブルと震えるのが苦手な子など、同じ「掃除機が怖い」でも、中身はさまざまです。「何がいちばんいやなのか」を探ることが、工夫を考える近道になります。
様子を見ていて、「耳をふさぐ」「顔をそむける」「その場から離れる」などのしぐさが出るなら、それが苦手な刺激を教えてくれるヒントになります。責めたり無理に近づけたりせず、まずは観察してみましょう。
怖がっているお子さんに必要なのは、「怖かったね」と気持ちを受けとめてもらうことです。気持ちをわかってもらえたと感じると、お子さんは少しずつ落ち着きを取り戻していきます。

掃除機を怖がる子が、特に困りやすい場面
掃除機を怖がる子と、毎日の掃除の時間をどうするか

毎日の暮らしで、掃除機は欠かせない道具です。でも、怖がるお子さんがいると、「いつかけよう」と悩みますよね。
よくある例として、お子さんが保育園や幼稚園に行っている間にかける、というご家庭があります。お昼寝の時間は音で起こしてしまうおそれがあるため、避けたほうがよい場合もあります。
お子さんが家にいる時間帯にかけなければならないときは、別の部屋に移動してもらう、好きな動画や絵本の時間にあてる、といった方法もあります。毎日きっちりかけられなくても、かけない日があっても大丈夫と考えると、保護者の気持ちもラクになります。
よくある例として、お子さんが朝ごはんを食べている間に、別の部屋から先に済ませてしまうご家庭もあります。時間帯や順番を少し変えるだけで、お子さんの負担がぐっと減ることがあります。
また、掃除の道具を見直すのも一つの方法です。たとえば、ほうきや、静かに使えるフロアワイパーを組み合わせる、音が気になる時間帯には掃除機を使わない、といった工夫があります。掃除機の音の感じ方は、機種によって違うこともあるため、お子さんの様子を見ながら試してみてください。
お店や公共の場で、掃除機の音に出会ってしまうとき

家の中では工夫できても、外では予想外のことが起こります。ショッピングモールの清掃、保育園や学校の廊下、お出かけ先のホテルなどで、いきなり掃除機の音が聞こえてくることもあります。
そんなときは、お子さんの耳をそっとふさぐ、少し離れた場所に移動する、「あれは掃除の音だよ。もうすぐ終わるよ」と短く声をかける、といった対応が助けになります。
先に「ここで掃除の音がするかもしれないよ」と伝えておけるときは、前もって知らせておくと、心の準備がしやすくなります。ただ、無理に慣れさせようとせず、その場を離れる選択肢を持っておくと安心です。
また、保護者自身が落ち着いた表情でいることも、お子さんの安心につながります。保護者が焦ったり、周りの目を気にして声が強くなったりすると、お子さんにも緊張が伝わりやすいものです。深呼吸をひとつして、「大丈夫」と短く伝えましょう。
たとえば、お出かけ先で「あ、掃除の音がしたね」と、音の正体をそっと教えてあげるのもよい方法です。正体がわかると、「怖いもの」から「知っているもの」に、少しずつ変わっていきます。
耳を守るグッズを、お出かけ用のバッグに入れておくのもおすすめです。必要になったときにすぐ使えると、お子さんも保護者も落ち着いて対応できます。

お出かけ先で急に鳴ると、こっちまでびっくりしちゃう…。

そんなときは「大丈夫、おしまいだよ」って短く伝えるだけで十分わん。長く説明しなくていいわん。
掃除機を怖がる子と一緒にできる、家庭での工夫
ここからは、掃除機を怖がる子と一緒に試せる、小さな工夫をご紹介します。どれも「こうすべき」というものではありません。合いそうなものがあれば、気軽に取り入れてみてください。
掃除機を怖がる子に、スイッチを入れる前に「予告」をする

いちばん取り入れやすいのは、音が鳴る前の予告です。「これから掃除機をかけるよ。3つ数えたらスイッチを入れるね」と言ってから始めます。
予告があるだけで、びっくりする度合いは変わることがあります。お子さんが耳をふさぐ準備をする時間にもなります。タイマーを見せて、「ピピッと鳴ったら始めるよ」と伝える方法もあります。
予告のあとは、お子さんが「うん」とうなずくまで少し待つのも大切です。待つ時間がほんの数秒でも、「自分の気持ちを聞いてもらえた」という感覚が生まれ、安心して過ごしやすくなります。
予告をしても怖がるときは、その日は無理せず、あとにしても大丈夫です。「今日は音を聞くだけにしよう」と、ハードルを下げる方法もあります。
言葉だけでは伝わりにくいお子さんには、絵カードや写真を使う方法もあります。「掃除機」の絵と「おしまい」の絵を並べて見せると、始まりと終わりがイメージしやすくなります。終わりの目安がわかると、「いつまで続くのか」という不安が小さくなります。
掃除機を怖がる子が、少しずつ慣れていく遊びの工夫

怖さをやわらげるために、遊びの中で掃除機にふれる方法もあります。ただし、これはお子さんが「やってみたい」と思えたときだけにしましょう。
たとえば、スイッチを入れない掃除機を、床に置いて眺めてみます。お子さんが興味を示したら、ホースにそっとさわってみる。ぬいぐるみに「掃除機さん、こんにちは」と挨拶させて遊ぶ、という方法もあります。
音が鳴る場合は、遠い部屋で小さくかけるところから始め、お子さんが様子を見に来るのを待ちます。距離を少しずつ縮めるイメージです。
進み具合は、お子さんごとに違います。何週間もかかる子もいれば、あっという間に慣れる子もいます。ゆっくりでかまわないと考えて進めましょう。

ぬいぐるみに「掃除機さん、こんにちは」って言わせたら、うちの子ケラケラ笑いそう!

笑えたら、もう半分は慣れてきてるわん。楽しい気持ちといっしょだと、怖さがやわらぎやすいわん。
絵本で、掃除や家事の場面を一緒に読むのも、イメージをつかむ助けになります。
お手伝いとして、お子さんに小さなほうきやちりとりを持たせて、一緒に掃除ごっこをするのもおすすめです。「掃除は自分もできる楽しいこと」という体験が増えると、掃除機への印象もやわらかくなっていきます。
掃除機を怖がる子が、安心して過ごせる居場所づくり

掃除機をかけているあいだ、お子さんが安心して過ごせる居場所があると助かります。別の部屋でお気に入りのおもちゃで遊ぶ、ソファでクッションにくるまって絵本を読む、などです。
耳を守るために、市販のイヤーマフやヘッドホンを試すご家庭もあります。つけるかどうかは、お子さんが自分で選べるようにすると、安心感につながります。
「お母さんがそばにいる」ことも、大きな安心です。可能なら、掃除機の音がするあいだ、家族のだれかがお子さんのそばにいてあげましょう。
お気に入りのぬいぐるみを抱いてもらう、というのも一つの方法です。手ざわりのよいものにふれていると、気持ちが落ち着きやすいことがあります。
よくある例として、ソファの上にブランケットとお気に入りのぬいぐるみを置いた「安心コーナー」を作っておく方法があります。掃除機をかけるときは、「あそこで待っていてね」と伝えます。お子さんにとって、安全で安心できる場所がひとつあるだけで、心の余裕が生まれます。

まとめ:掃除機を怖がる子と、ゆっくり進んでいく
掃除機を怖がる子の気持ちを、まるごと受けとめるという考え方

掃除機を怖がるのは、音や振動、先の見えなさへの、お子さんなりの反応です。わがままでも、親の育て方のせいでもありません。
成長とともに、怖がらなくなる子もたくさんいます。いまは苦手でも、体の大きさや経験、言葉の発達とともに、感じ方が変わっていくことがあります。
今日できたことが、昨日より少しでもあれば、それで十分です。「音は怖いけれど、見にくることができた」。そんな小さな変化を見つけたら、ほめてあげましょう。
ほめ方は、「えらいね」だけでなく、具体的に伝えるのがおすすめです。「音がしても、お部屋にいられたね」「耳をふさいで、じょうずに待てたね」と、がんばった行動を言葉にしてあげると、お子さんも「自分なりにできた」と感じられます。
一人で抱え込まず、掃除機を怖がる子と一緒に進んでいく

「掃除ができなくて困る」「周りの目が気になる」。そんな気持ちを、一人で抱え込まなくて大丈夫です。家族や、同じ悩みを持つ人と、気持ちを分かち合うだけでも楽になります。
お子さんの「怖い」の気持ちに寄りそいながら、暮らしの中で無理のない工夫を見つけていけたら、それが何よりの一歩です。
もし、掃除機以外にも、さまざまな音や場面で強く困っているように感じたときは、園の先生や、お住まいの地域の子育て相談の窓口に、気軽に話してみるのもひとつの方法です。話すことで、新しい視点や工夫のヒントが見つかることもあります。

お子さんの気持ちを考えたら、無理にかけなくてもいいって思えてきたよ!

そうだわん。ゆっくり一緒に進めばいいわん。応援してるわん。
アイキャッチ画像:Photo by cottonbro studio on Pexels



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