「こちらの言ってることはわかってる。でも、全然しゃべらない…」
「『おやつ食べよう』って言ったら走ってくる。理解はしてるのに言葉が出ない」
「指示は通るし、指差しもする。なのになぜ喋ろうとしないの?」
「理解しているのに喋らない」という状態は、親御さんにとってとりわけ不思議で、もどかしく感じることがあります。「わかってるなら話せるはずなのに、なぜ?」と。

実は、「理解している」と「喋れる」は、脳の中では別の機能が担っています。だから、理解が育っていても発語がついてこない、ということは十分起こりえます。そして、その背景にはいくつかの異なる理由があります。
この記事では、「2歳で理解しているのに喋らない」理由を整理し、発達障害・グレーゾーンとの関係、今日から家でできる言葉を引き出す関わり方まで丁寧に解説します。「なぜ喋らないのか」がわかると、焦りが少し和らぎます。
「理解している」のに「喋らない」のはなぜ?脳の仕組みから考える

こんにちは!親子の相談窓口、おやまどの鈴木です。
「わかってるなら話せるはず」と思いやすいですよね。でも実は、言葉を「理解する」機能と「話す(表出する)」機能は、脳の中で異なる領域が担っています。
言葉の発達は大まかに次の順番で進んでいくとされています。
つまり、「理解しているのに喋らない」は、脳のインプット側は育っているが、アウトプット側がまだ追いついていない状態といえます。これ自体は発達の一形態であり、「理解がある」ことはとてもポジティブなサインです。

「わかってるなら話してくれればいいのに」ってずっと思ってたけど、理解することと話すことって別なのね!

そうだわん!「理解している」ってことは、言葉の土台がちゃんと育ってる証拠だわん。あとは「出口」が開くのを待つイメージだわん!
「言葉の蓄積期間」という考え方。喋らない時期は何もしていないわけではない

発達支援の現場では、「喋らない時期は言葉を脳にストックしている期間」とよく言われます。子どもの脳は「見たもの・触ったものの名前」を少しずつ蓄えていき、ある時期から一気にあふれ出すように話し始めることがあります。
これを「語彙爆発(言葉の爆発期)」と呼ぶことがあります。2〜3歳にかけて突然言葉が増えるケースは珍しくなく、「理解がある・指差しがある・発声がある」という子は、この爆発期が来やすいとされています。
「理解している」かどうかを正確に確認する方法

「理解している」と感じていても、実は特定の場面(食事・お風呂など日課)のルーティンで動いているだけで、言葉の意味を理解しているわけではない場合もあります。改めて確認してみましょう。
これらが複数できていれば、言葉の理解はしっかり育っています。「やっぱり理解はある」と確認できると、焦りが少し落ち着くことも多いです。
理解しているのに喋らない背景。発達特性が関係しているケースとそうでないケース

「理解があるのに喋らない」の背景には、大きく分けて3つのケースが考えられます。どのケースに近いかを整理することで、関わり方が変わってきます。
ケース①「表出性言語障害」。理解はあるのに発語だけが遅れるタイプ

言葉の理解は年齢相応に育っているのに、発語だけが遅れているタイプを「表出性言語障害(発達性言語障害のうちの一種)」と呼ぶことがあります。
このタイプは、就学前(5〜6歳ごろ)までに約90%が標準的な発達に追いつくとされています。ただし「待つだけでいい」ということではなく、言葉を引き出す関わりを日常に取り入れることが大切です。
ケース②「性格・気質」。内向的でおっとりした子に多い「話さない」タイプ

内向的・おっとりした性格の子どもは、「話せない」のではなく「話す必要性をあまり感じていない」「発信することへの欲求が低め」という場合があります。
このタイプは理解力が十分あり、問いかけにも反応します。ただ、自分から積極的に言葉を発することが少ないという傾向があります。
このタイプは「話さない=言葉が育っていない」ではないことが多いとされています。ただし、発語の機会が少ない状態が続くと言葉のアウトプット経験が積み上がりにくいため、「話す必要感・楽しさ」を日常でさりげなく作っていくことが大切です。

うちの子、おとなしくてあんまり自分から話しかけてこないの。理解はしてるのに、なんで言葉が出てこないんだろうって思ってた。

おっとりタイプの子は「話せない」んじゃなくて「話さなくてもいい」と感じてることがあるわん!「話すと楽しいことが起きる」体験を積み重ねることが大切だわん!
ケース③「発達特性が関係している」。ASD傾向で理解はあるが発語のパターンが独特なケース

ASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある場合、「理解しているのに喋らない」あるいは「喋り方が独特」というパターンが見られることがあります。
ASDの場合の発語の特徴として、次のようなことが見られることがあります。
ASD傾向がある子の場合、言葉の遅れだけでなく、このような「コミュニケーションの使い方」の独特さが一緒に見られることが多いとされています。ただし、2歳時点では発達の個人差が非常に大きく、専門家でも診断が難しい時期です。「気になることが重なっている」ときに相談することが大切です。
「理解はある・喋らない」子の発語を引き出す関わり方。5つの実践

「理解はあるのに喋らない」タイプの子に対して、「なんで話さないの!」と急かしたり、言葉を無理に出させようとするのは逆効果になることがあります。
大切なのは、「話すことが楽しい・話すと嬉しいことが起きる」という経験を日常の中で積み重ねていくことです。
①「0.5秒の間」を作る。子どもが声を出す「空白」を意識的に作る

「理解している・喋らない」タイプの子に共通して効果的なのが、「少しの間を作る」ことです。
親が先読みしてすべて叶えてしまうと、子どもが言葉を使う必要が生まれません。子どもが何かを求めたとき、すぐに動くのではなく0.5〜1秒だけ待って、子どもの反応を引き出す。これだけで、声・身振り・視線など何らかの「伝えようとする行動」が生まれることがあります。
②「声に出してくれたら必ず応える」を徹底する。発声への即時フィードバック

「あー」「うー」でも、「ん!」でも——子どもが声を出したら、必ずすぐに明るく反応してあげることが大切です。
「声を出したら嬉しいことが起きる(ママが反応してくれる)」という体験が積み重なると、「声を出すことが楽しい」→「もっと声を出そう」→「言葉を使ってみよう」という流れが育ちやすくなります。
③「2択の問いかけ」を使う。「何?」より「〇〇?それとも△△?」
「何が飲みたい?」という開かれた質問は、まだ言葉が少ない2歳の子どもには答えにくいことがあります。「ジュース?それとも牛乳?」のように選択肢を2つ出す問いかけのほうが、片方の言葉をまねして言いやすくなります。
2択の問いかけは、「理解はある・発語が少ない」タイプに特に有効とされています。どちらかを指差したり、片方の言葉をまねして言えたりしたら、「そう!ジュースね、どうぞ!」としっかり返してあげましょう。
④「口の動きを見せる・真似させる」遊び。発音の筋肉を楽しく使う
「理解はあるが発語が少ない」タイプの子の中には、言葉として声に出すための口・舌・唇の動かし方がまだ育っていないケースがあります。楽しい遊びの中で「口を動かす経験」を増やすと、発語への準備が育ちやすくなります。
⑤「先読みしすぎない」環境を作る。”言葉が必要な場面”を日常の中に散りばめる
何も言わなくても欲しいものが手に入る環境では、言葉を使う動機が育ちにくくなります。意識的に「言葉(または声・身振り)を使うと欲しいものが手に入る」という場面を作ることが大切です。
まとめ。「理解している」は大きな強み。焦らず「出口」を育てていこう

最後に、一番大切なことをお伝えします。
「言葉は理解しているのに喋らない」のは、言葉の土台が育っていないのではなく、「出口がまだ開いていない」状態であることが多いです。「理解している」という事実は、言葉の発達においてとても大きな強みです。
焦って急かすのではなく、「声を出すと嬉しいことが起きる」体験を日々少しずつ積み重ねていきましょう。それが、言葉の「出口」を開かせる一番の近道です。

「理解してる」って強みなんだわ!おやつを渡す前に1秒待ってみる、今日からやってみる!「出口」を開けるお手伝いをしてあげるわ!

ほのママ、すごいわん!「1秒待つ」たったそれだけで、子どもの言葉のスイッチが入ることがあるわん。焦らず、でも関わりを続けていこうわん!



コメント