犬を怖がる子の気持ちと、そう感じる理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
散歩中の犬とすれ違っただけで、ぴたっと足が止まる。親戚の家に行ったら、犬がいる部屋に入れなかった。そんなふうに、犬を怖がる子の様子に戸惑った経験はありませんか。
秋は、お出かけや公園遊びが増える季節です。犬を連れた人と出会う機会も、ぐんと増えますよね。「楽しく歩きたいのに、犬が来るたびに固まってしまう」と、悩んでいる方も多いと思います。
この記事では、犬を怖がる子の気持ちや、困りやすい場面、家庭でできる工夫をやさしく整理します。「うちの子だけかな」と感じている方の、気持ちが少し軽くなればうれしいです。
犬を怖がる子が感じている、大きさ・動き・吠え声への不安

子どもから見ると、犬はとても大きな生き物です。大人にとっては中型犬でも、小さな子の目線では、自分と同じくらいの高さになることもあります。
そのうえ、犬は動きが速く、急にこちらへ走ってくることがあります。しっぽを振りながら近づいてくる姿も、犬が好きな人には「なついているサイン」に見えますが、怖がる子にとっては「ぶつかってくるかも」と感じる動きです。
さらに、「ワン!」という吠え声は、とても大きく響きます。大きな音が苦手な子にとっては、犬そのものより、突然の大きな声にびっくりしている場合もあるようです。
犬を怖がる子の多くは、「大きい」「速い」「うるさい」「どう動くかわからない」という、いくつもの不安が重なっていると言われています。怖がるのは、わがままでも弱虫でもなく、自分を守ろうとする自然な反応の一つです。
ちなみに、犬に慣れているかどうかは、育ってきた環境によっても変わります。きょうだいやお友だちの家に犬がいる子は、自然に慣れていくこともありますが、身近に犬がいなかった子は、「初めて見る大きな生き物」として、強く印象に残ることもあります。
だからこそ、「どうして怖いの?」と理由を問いつめるより、「怖かったね」と受けとめるほうが、子どもは話しやすくなります。理由を言葉にできない子も、たくさんいます。
犬の様子をよく見ていると、耳やしっぽの動きから、気持ちを読みとれることがあります。しっぽがゆっくり揺れているときは落ち着いていて、耳がうしろに倒れているときは緊張していることが多いと言われています。こうした知識を親子で共有すると、「犬も、ドキドキしているんだね」と、怖さが少し和らぐ場合があります。

うちの子、ちっちゃい犬でも固まっちゃうの。犬って、そんなに怖いのかなあ…。

ほのママ、子どもにとっては、小さい犬でも「急に動く生き物」なんだわん。まずは「怖いんだね」と気持ちを受けとめるところから始めるわん。
犬を怖がる子が戸惑う、においや「ペロッ」といった触れ合い

犬は、においで相手を確かめる動物です。鼻をくんくんと近づけてきたり、手をぺろっとなめたりすることがあります。
犬が好きな人にとっては、あいさつのような行動です。けれども、予告なく顔や手に近づいてくることが苦手な子にとっては、体がこわばる出来事になりやすいようです。
また、犬にはふさふさの毛、湿った鼻、とがった爪など、ふだんの生活であまり触れない感触がたくさんあります。感覚が敏感な子ほど、「ふわふわだけど、なんだか落ち着かない」と感じることもあります。
犬が顔に近づくと、子どもには、犬の口や歯がとても近くに見えます。大人なら「じゃれているだけ」と思える場面でも、小さな子には「食べられちゃうかも」という感覚に近いこともあるようです。
においに敏感な子にとっては、犬特有のにおいも気になるポイントです。「くさい」と言ってしまう子もいますが、それは悪気ではなく、体が感じたままの反応です。「においが強いね」と、気持ちに寄りそってあげましょう。
「ほら、かわいいよ」と無理に近づけると、怖さがもっと強く残る場合があります。まずは、子どもが「ここなら大丈夫」と思える距離を、一緒に探してあげたいですね。
犬を怖がる子の心に残る、「びっくりした体験」と大人の反応

たとえば、散歩中の犬に急に吠えられて、びっくりした記憶が残っていることがあります。そのときの怖さが、次に犬を見かけたときによみがえってしまうのです。
子どもは、一度「怖い」と感じた場面を、とても細かく覚えていることがあります。吠え声の高さや、リードがぴんと張った様子など、大人が気づかない部分まで印象に残る場合もあります。
もう一つ大きいのが、そばにいる大人の反応です。「大丈夫、大丈夫!」と笑って流すと、子どもは「わかってもらえなかった」と感じやすくなります。反対に、「びっくりしたね」と気持ちを言葉にしてもらえると、少しほっとできるものです。
「前は平気だったのに、最近になって急に怖がるようになった」という場合もあります。成長とともに、危険を想像する力がついてきたからこそ、怖さを感じるようになったと言われることもあります。
こうした変化は、心が育っているサインとも考えられます。「前はできたのに」と責めず、いまの気持ちに寄りそうことが、いちばんの近道です。
つらかった記憶は、「もう思い出したくない」と感じて、話したがらない子もいます。そんなときは、無理に聞きださなくて大丈夫です。絵を描いたり、人形で再現したりして、子どもが話しやすい形を探してみるのも一つの方法です。
犬を怖がる気持ちは、「大きさ」「動き」「音」「過去のびっくり体験」が重なって生まれると言われています。理由は一つとは限りません。
犬を怖がる子が、とくに困りやすい場面
犬を怖がる子と歩く、散歩道や公園での出会い

いちばん多いのが、外で犬と出会う場面です。細い道、公園の入り口、横断歩道の待ち時間など、逃げ場が少ない場所では、とくに緊張しやすくなります。
たとえば、前から犬が歩いてくると、子どもが急に抱っこを求めたり、道の反対側へ走り出したりすることがあります。大人は慌ててしまいますが、それは子どもなりの「身を守る行動」です。
犬を連れた人が「うちの子はおとなしいですよ」と声をかけてくれることもあります。ありがたい気持ちはあっても、子どもが怖がっているときは、「ごめんなさい、今日は少し離れて歩きますね」と、やわらかく距離をとってかまいません。
外で会う犬は、ふだんは見知らぬ相手です。大人が「今日はこの道を避けようか」と選べる余裕を持っておくと、親子とも気持ちがぐっと楽になります。
お散歩コースを少し変える、犬の多い時間帯を避ける、といった小さな工夫でも、出会う回数はぐんと減らせます。「逃げ」ではなく、「子どものペースを守る選択」と考えて大丈夫です。
どうしても避けられない場面では、ママやパパが犬との間に立つだけでも、子どもは安心します。体で「壁」になってあげると、「守ってもらえている」という感覚が伝わります。

散歩のたびに、犬が来ないかドキドキしちゃって…。私まで緊張しちゃうの。

ほのママ、緊張はうつりやすいんだわん。深呼吸して、「いっしょに離れようね」と声をかけるだけで、子どもは安心しやすいわん。
犬を怖がる子が不安になる、友だちや親戚の家への訪問

もう一つ困りやすいのが、犬を飼っているお友だちの家や、親戚の家に行く場面です。「遊びに行きたいけれど、犬がいるから行けない」と迷う子もいます。
家の中は、外よりも犬との距離が近くなります。ドアを開けたとたんに犬が走ってきたり、足元にまとわりついてきたりすると、子どもは強いストレスを感じることがあります。
そんなときは、事前に、おうちの方へ「うちの子は犬が少し苦手で…」と伝えておくと安心です。犬を別の部屋で待たせてもらったり、リードやゲートで距離をつくってもらったりする方法もあります。
訪問当日は、玄関先で少し様子を見てから、中に入るかを決めても大丈夫です。「入れなかったら帰ろうね」と、あらかじめ「引き返してもいい」と伝えておくと、子どもは気持ちが軽くなります。
お友だちの家で遊ぶ約束をするときも、最初は犬のいない公園や児童館で会うなど、場所を選べる場合があります。子どもの気持ちが落ち着いてから、少しずつ、お友だちの家に挑戦する形でも遅くありません。
「せっかく招いてくれたのに、悪いかな」と感じる必要はありません。お互いが楽しく過ごすための準備として、伝えておくのは大切なことです。
犬を怖がる子に、家庭でできる工夫
犬を怖がる子と進める、遠くから見るところからの慣れ方

犬への怖さを和らげたいとき、いきなり「触ってみよう」とするのは、子どもにとってハードルが高めです。ゆっくり、小さな段階に分けて進める方法があります。
たとえば、次のような順番で、子どもが「平気」と感じた段階で止まってかまいません。
距離を縮めていく段階の例
・① 犬の絵本や写真を見る
・② フェンス越しに、遠くから犬を眺める
・③ 散歩している犬を、少し離れた場所で見る
・④ 飼い主さんと一緒に、犬のそばを通り過ぎる
・⑤ 子どもが望んだときだけ、そっと近づいてみる
各段階で、子どもが落ち着いて過ごせていれば、それだけで十分です。「次に進まなきゃ」と急がなくて大丈夫です。
途中で怖がったときは、一つ前の段階に戻ってもかまいません。行ったり来たりしながら進むことも、ふつうのことだと言われています。
慣れ方の進み具合は、日によっても変わります。体調がすぐれない日や、疲れている日は、いつもより怖がることもあります。そんなときは、その日だけ、一時停止してゆっくり休むのも大切な選択です。
「怖くないでしょ?」と、大人が何度も確認するのも、子どもにとってはプレッシャーになることがあります。「怖いときは教えてね」と、子どもからサインを出せる雰囲気をつくっておくと安心です。
犬を怖がる子が興味をもてる、絵本・ぬいぐるみ・動画の楽しみ方

本物の犬は動いたり吠えたりしますが、絵本やぬいぐるみの犬は、こちらを驚かせません。自分のペースで、じっくり犬を知ることができるのが、大きな良さです。
犬が主人公のやさしい絵本を読んで、「この子は、お散歩が大好きなんだって」「しっぽを振るのは、うれしいときなんだね」と話してみるのも一つです。犬の行動に意味があるとわかると、「何をしてくるかわからない生き物」から、少しずつ遠ざかっていくこともあります。
ぬいぐるみで、「こっちを向いてるね」「お耳がぴくぴくしてるね」と、犬ごっこをするのも効果的だと言われています。ぬいぐるみなら、子どもが主導権を持てるので、安心して遊べます。
動画も、音を小さくして見るなら、一緒に楽しめます。ただし、吠える場面が出てくると子どもが驚くことがあるので、大人が先に見て、穏やかな内容を選んでおくと安心です。
おうちで犬の動きをまねしてみる遊びも、おすすめです。四つんばいで歩いたり、「ワン」と鳴いてみたりすると、子どもは犬の動きを「自分の体で」理解できます。親子で笑いあえる時間にもなります。
図書館や児童館には、犬を題材にした絵本がたくさんあります。いくつか借りてきて、子どもが気に入ったものを繰り返し読むのも、安心感につながります。

なるほど!ぬいぐるみなら、うちの子も触れそうだなあ。やってみるね!

いい考えわん!「触れた」という小さな成功が、次のステップにつながるわん。
犬を怖がる子と、出会ったときの「合言葉」を決めておく

外で犬に出会ったとき、子どもがパニックにならないよう、「合言葉」と「行動」を、あらかじめ決めておく方法があります。
たとえば、「犬だね」と声をかけて、手をつないで道の端によける。「ここで待つよ」と、犬が通り過ぎるのを一緒に見送る。そんな簡単なルールで十分です。
見通しが立つと、子どもは「何が起こるのかわからない」という不安が減ります。「こうすればいい」という行動が一つあるだけで、心にゆとりが生まれるようです。
合言葉は、親子でゲームのように決めてみても楽しいですよ。「犬さんバリア!」と手をつなぐなど、家庭の雰囲気に合わせて、無理なく取り入れてみてください。
合言葉が決まったら、おうちの中で、ぬいぐるみを犬に見立てて練習するのもよい方法です。実際の場面で落ち着いて動けるよう、楽しい遊びの延長で、何度か予行演習をしておくと安心です。
地域によっては、犬と人がふれあうイベントや、犬の散歩ルールを学べる催しが開かれることもあります。ただし、無理に参加する必要はありません。興味がわいたときに、見学だけしてみるくらいの気持ちで十分です。

犬の吠え声に驚いてしまう場合は、大きな音が苦手な子の記事も、あわせて参考にしてみてください。
まとめ:犬を怖がる子と、ゆっくり距離を縮めていくために
犬を怖がる子の理由と工夫を、あらためて整理する

お子さんが落ち着いて犬を見られた日は、「今日は、よく見られたね」と、具体的にほめてあげましょう。結果ではなく、挑戦したプロセスを認めることが、次の一歩への自信につながります。
犬を怖がる気持ちは、いつか薄れていくこともあれば、大きくなってもずっと残ることもあります。どちらも、その子らしさの一つです。「怖いままでも、安全に過ごせる方法がある」と知っておくだけで、親子とも楽になれます。
ここまで、犬を怖がる子の気持ちや、困りやすい場面、家庭でできる工夫をお伝えしてきました。もう一度、大事な点をまとめます。
この記事のポイント
・犬を怖がるのは、わがままではなく、自然な反応の一つ
・怖さの理由は、大きさ・動き・音・においなど、いくつも重なっていることがある
・「触れば平気」と無理に近づけず、遠くから見る段階から進める
・絵本・ぬいぐるみ・合言葉など、子どもが主導権を持てる工夫が役立つ
慣れるまでのスピードは、子どもによって違います。数週間で落ち着く子もいれば、じっくり時間をかける子もいます。ほかの子と比べず、「昨日より少し近づけたね」という小さな変化を見つけてあげてください。

動くものを怖がる気持ちについては、虫を怖がる子の記事でも、似た考え方を紹介しています。
一人で抱え込まず、犬を怖がる子と一緒に進んでいく

犬を怖がる子を見ていると、「このまま犬嫌いになってしまうのかな」と心配になる日もあるかもしれません。でも、怖いと感じる気持ちは、子どもが周りをよく感じとれている証でもあります。
もし、お子さんが「犬を触ってみたい」と自分から言い出したら、それは大きな変化です。そのときは、犬を連れた人にお願いして、子どものペースでそっと近づく時間をつくってみてください。ただし、うれしくて急に手を出すと、犬が驚くこともあります。大人が横で見守りながら、ゆっくり進めましょう。
犬と仲良くなることだけが、ゴールではありません。「怖いけど、お散歩ですれ違うときは落ち着いていられる」。それだけでも、立派な成長です。
おうちの方も、心配なときは、一人で抱え込まなくて大丈夫です。同じ悩みを持つ保護者の方は、たくさんいます。「今日はこの道を避けた」「ぬいぐるみで遊べた」という小さな一歩を、ぜひ大切にしてあげてください。

外出先での緊張が気になるときは、人混みが苦手な子の記事も参考になるかもしれません。

今度の散歩は、犬が少ない時間帯に行ってみるね!ゆっくりでいいんだよね。

その調子わん!ほのママも、お子さんも、本当によくがんばってるわん。ボクはいつでも応援してるわん!
アイキャッチ画像:Photo by Barnabas Davoti on Pexels



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