エスカレーターを怖がる子。理由と家庭での工夫を解説

エスカレーターを怖がる子。理由と家庭での工夫を解説 保育園・幼稚園
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【この記事の信ぴょう性】

当ページの記事は、児童発達支援の現場経験を持つ鈴木日奈子(小学校教諭免許保有)が監修しています。

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エスカレーターを怖がる子の気持ちと、そう感じる理由

こんにちは!おやまどの鈴木です。

ショッピングモールの入り口で、エスカレーターの前でぴたっと止まってしまう。手をぎゅっとにぎって、「だっこ」「あっちがいい」と言う。そんなふうに、エスカレーターを怖がる子の様子に戸惑った経験はありませんか。

秋は、お出かけが増える季節です。週末のおでかけや、買い物、電車での移動など、エスカレーターに乗る場面は思った以上にたくさんあります。「みんな普通に乗っているのに、どうしてうちの子だけ…」と、気持ちが焦ってしまうこともありますよね。

この記事では、エスカレーターを怖がる子が感じていることや、困りやすい場面、家庭でできる工夫をやさしく整理します。「うちの子だけかな」と感じている方の、気持ちが少し軽くなればうれしいです。

エスカレーターを怖がる子が感じている、動く床と乗るタイミングの難しさ

ショッピングモールで人が乗っているエスカレーター
Photo by mingche lee on Pexels

エスカレーターは、大人にとっては「乗れば運んでくれる便利な乗り物」です。けれども、子どもの目から見ると、足もとの床が勝手に動いている、ふしぎで少し不安な場所に見えることがあります。

まず、乗る瞬間が難しいのです。流れてくる段に、タイミングを合わせて足を出さなければなりません。一瞬でも遅れると、体がぐらっとゆれます。この「いつ足を出せばいいかわからない」という感覚が、不安につながりやすいと言われています。

降りるときも同じです。段がぺたんと平らになって、床の下へ消えていく場所は、小さな子にはとても不思議に映ります。「自分も吸いこまれるかも」と感じる子もいるようです。

さらに、体が小さいと、手すりが遠くて持ちにくいことも関係します。つかまる場所が見つからないと、それだけで不安は大きくなります。大人にとっては当たり前の乗り方が、子どもには一つずつ覚えなければならない動作の連続だ、と考えてあげると、怖がる気持ちにも納得しやすくなります。

また、体のバランスをとるのが苦手な子や、動くものを目で追うのに時間がかかる子は、足もとが流れる感覚に強く緊張することもあります。こうした感じ方には個人差があり、怖がる理由は、その子によってまったく違います。

ですから、「どうして怖いの?」と理由を問いつめるより、「動くから、ドキドキするよね」と気持ちを受けとめるほうが、子どもは安心しやすくなります。

ほのママ
ほのママ

エスカレーターの前で、うちの子、固まっちゃうの。ただ乗るだけなのに、どうしてなんだろう…。

ここわん
ここわん

ほのママ、子どもにとっては「ただ乗るだけ」じゃないんだわん。足を出すタイミングを合わせるのは、実はむずかしいことなんだわん。

エスカレーターを怖がる子が戸惑う、すき間・段差・音の刺激

ショッピングモールで交差するエスカレーターの白黒写真
Photo by PabloKlik on Pexels

エスカレーターには、見た目や音にも、子どもを緊張させる要素がたくさんあります。

たとえば、段と段のあいだの細かいすき間や、ギザギザした溝です。大人は気にしませんが、目に入るものに敏感な子は、「あの溝に靴が入ったらどうしよう」と想像してしまうことがあるようです。

降り口の、床のすき間にもご注意ください。段がすーっと消えていく場所は、子どもにとってとても大きな「穴」に見える場合があります。

音も大切なポイントです。ゴーッという機械の音や、ベルトが動くこすれる音、まわりの人の足音やざわめきが重なると、大きな音が苦手な子には負担になります。

エスカレーターを怖がる理由は、「動く床」「タイミング」「すき間」「音」が重なって生まれていることがあります。どれか一つとは限りません。

また、まわりの景色が動くことも関係します。吹き抜けのモールでは、エスカレーターに乗ると、下の階がどんどん遠ざかって見えます。高いところが苦手な子にとっては、これも怖さを大きくする原因になりえます。

こうして見ていくと、怖がるのは決して大げさではなく、子どもなりにまわりをよく感じとっている結果とも言えます。

エスカレーターの前で立ちどまる姿は、まわりから見ると「ためらっているだけ」に映るかもしれません。でも、その子の中では、見る、聞く、足もとを感じる、といった情報が一度に押し寄せています。少し立ちどまる時間は、気持ちを整えるために必要な時間と考えてみましょう。

エスカレーターを怖がる子の心に残る、「ヒヤッとした体験」と大人の反応

地下鉄の駅で、長いエスカレーターに乗る人
Photo by Tobi &Chris on Pexels

以前、乗っているときにぐらっとしたり、くつがひっかかったりしたことが、強く記憶に残っている場合もあります。たとえば、急いでいたときに、親の手をつかみそこねてよろけた、というような場面です。

子どもは、一度「怖い」と感じた場面を、細かいところまで覚えていることがあります。次にエスカレーターを見たとき、そのときの感覚がよみがえって、足が動かなくなってしまうのです。

このとき大きいのが、そばにいる大人の反応です。「早く乗って!」「ほら、大丈夫だから!」と急かされると、気持ちをわかってもらえなかったと感じやすくなります。反対に、「びっくりしたね。ゆっくりいこうね」と受けとめてもらえると、気持ちが落ち着きやすいものです。

「前は乗れたのに、最近になって急に嫌がるようになった」という場合もあります。成長とともに「落ちたらどうなるか」を想像する力がついてきたからこそ、怖さを感じるようになったと言われることもあります。

それは、心が育っているサインとも考えられます。「前はできたのに」と責めず、いまの気持ちに寄りそうことが、いちばんの近道です。

エスカレーターを怖がる気持ちは、「動く床」「すき間や音」「ヒヤッとした体験」「大人の急かす言葉」が重なって強くなると言われています。理由は一つとは限りません。

エスカレーターを怖がる子が、とくに困りやすい場面

エスカレーターを怖がる子と歩く、ショッピングモールや駅での移動

上から見た、複数のエスカレーターが並ぶ大きなショッピングモール
Photo by 27 Percentss on Pexels

ショッピングモールは、上の階へ行く手段の多くがエスカレーターです。エレベーターの場所がわかりにくいと、子どもが怖がっているのに、乗らざるをえない状況になることもあります。

駅も同じです。ホームへの移動で、エスカレーターが一本しかない場所もあります。後ろから人が来ているときは、「早く進まなきゃ」とあせってしまいますよね。

そんなとき、まわりの目が気になってつらいという保護者の方も多いようです。後ろの人に迷惑をかけているのではと思うと、子どもを急かしたくなります。でも、そのあせりは子どもにも伝わって、さらに緊張が高まりやすくなります。

おでかけ先では、あらかじめエレベーターの場所を調べておくと、気持ちに余裕が生まれます。館内の案内図は、入り口やホームページでも見られることが多いです。

時間に余裕をもって出かけ、「乗れなくても、エレベーターで行けるから大丈夫」と思える準備をしておくだけで、親も子も楽になれます。

お店に着いてから迷うより、家を出る前に「今日はどの順番で回ろうか」と親子で話しておくのもおすすめです。行き先の階がわかっていれば、移動の途中で立ちどまる場面も減らせます。子どもに「どっちで行く?」と選んでもらうと、自分で決めたという気持ちが生まれて、少し前向きになれる子もいるようです。

ほのママ
ほのママ

後ろに人が並ぶと、つい「早く、早く」って言っちゃうの…。わたし、てっきり慣れさせないとダメなんだと思ってた。

ここわん
ここわん

ほのママ、あせる気持ちはよくわかるわん。でも、親が落ち着いているほうが、子どもは安心できるんだわん。道を変えてもいいんだわん。

エスカレーターを怖がる子と、ベビーカーや荷物があるときのお出かけ

荷物を持って動く歩道に乗る旅行者
Photo by Negative Space on Pexels

下の子がいる家庭では、ベビーカーを押しながら、上の子の手を引く場面もありますよね。荷物が多いと、手がふさがってしまい、ふだんより不安定になります。

ベビーカーでのエスカレーター利用は、危険がともなうため、エレベーターの利用がすすめられている施設が多いと言われています。もともとエレベーターを使うなら、怖がる子にも都合がよい場面です。

荷物があるときは、リュックにまとめて、両手をあけておくことも大切です。上の子を抱えたり、手をつないだりするには、親の両手に余裕が必要だからです。

もし、いつもと違う場所に行くときは、出発前に「今日はエレベーターで行こうね」と伝えておくと、見通しが立って安心しやすくなります。あらかじめ予定を知っておくと落ち着ける子は、たくさんいます。

エスカレーターを避けることは、「逃げ」ではありません。いまは、安全で安心できる方法を選んでいる時期、と考えてあげましょう。

保育園や幼稚園、学校の行事で、みんなでエスカレーターに乗る場面が出てくることもあります。そんなときは、事前に先生へ「少し時間がかかるかもしれません」と伝えておくと、当日の対応を一緒に考えてもらえることがあります。伝えておくだけでも、親の気持ちがぐっと軽くなります。

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エスカレーターを怖がる子に、家庭でできる工夫

エスカレーターを怖がる子が安心できる、エレベーターや階段の選び方

エレベーターの中で、ボタンを押す手もと
Photo by Erik Mclean on Pexels

まず、いちばんすぐにできる工夫は、「乗らなくてもいい選択肢」を用意しておくことです。エレベーターや階段が使えるなら、無理にエスカレーターに乗らなくても大丈夫です。

エレベーターなら、ボタンを子どもに押してもらうのも一つの方法です。「階数のボタンを押す係」を任せると、乗り物に自分から関わる楽しさが生まれて、気持ちが前向きになることもあります。

階段を選ぶときは、「1段ずつ、いーち、にー」と声に出して数えると、リズムが生まれます。数えながら上ると、気持ちがそれて楽しく進めることもあるようです。

ただし、「怖がっているからいつもエレベーター」と決めつけなくても大丈夫です。その日の気分や体調によって、乗れる日と乗れない日があります。今日はどうしたい?と、子どもの気持ちを聞いてあげてください。

疲れているときや、眠いとき、人が多くて落ち着かないときは、いつもは乗れる子でも怖がることがあります。調子に波があるのは、ごく自然なことです。「今日は乗れなかった」と落ちこまず、「また今度ね」と軽く受け流せる余裕を持てると、親子とも気が楽になります。

おでかけ前のチェックポイント

・エレベーターや階段の場所を、先に調べておく
・時間に余裕を持って出発する
・「今日はエレベーターで行くよ」と事前に伝える
・両手があくよう、荷物をまとめておく

エスカレーターを怖がる子が少しずつ慣れる、遠くから見る・声に出す練習

上から見下ろした、いくつものエスカレーターが交差する建物
Photo by Jan van der Wolf on Pexels

慣れていく練習は、「乗る」より前の段階から始めると、気持ちの負担が小さくなります。

たとえば、はじめは遠くから見るだけです。「動いているね」「人が運ばれているね」と、実況するように声をかけます。ただ見るだけでも、動き方がわかると安心できることがあります。

慣れてきたら、乗り口の近くで、エスカレーターの動きを一緒に観察してみましょう。「段が出てくる」「消えていく」と声に出すと、見通しが持ちやすくなります。

乗るときは、まず親が子どもをだっこして乗る方法もあります。降りたあとに「できたね」と伝え、次は手をつないで乗る、と段階を踏みます。子どもが「もう1回やってみる」と言うまで、待ってあげてください。

慣れるスピードは、子どもによってまったく違います。数日で落ち着く子もいれば、数か月かかる子もいます。「昨日より少し近づけたね」という小さな変化を、一緒に見つけてあげましょう。

「ほら、大丈夫でしょ」と言って、無理に手を引いて乗せるのは、避けたい対応です。怖さがかえって強く残ることがあります。

エスカレーターを怖がる子と決める、手つなぎと「合言葉」

母親が娘の手をにぎって歩く後ろ姿
Photo by Narmin Aliyeva on Pexels

乗るときの約束を、あらかじめ決めておくのも有効です。たとえば、「足を出すのは、せーのの合図で」という合言葉です。

「せーの」で一緒に足を出すと、タイミングがわかりやすくなります。子どもの足もとだけを見ずに、「前を見てみよう」「手すりを持とうね」と、次にやることを短く伝えると、気持ちが落ち着きやすいようです。

手すりを持つ位置は、子どもの背の高さに合わせます。手が届かないときは、親の手や服をしっかりつかむ形でも大丈夫です。黄色い線の内側に立つなど、安全の約束も、一つずつ伝えましょう。

降りるときは、「もうすぐ終わりだよ」「大きくジャンプして降りよう」と声をかけると、見通しが立ちます。降りたあとは、すぐに止まらず、少し進んでから立ち止まることも、一緒に確認しておくと安心です。

うまく乗れた日には、「手すりを持てたね」「せーのが上手だったね」と、できたところを具体的に伝えましょう。ほめられた経験は、次に挑戦するときの小さな自信になります。結果だけでなく、ためらいながらも挑戦したその気持ちを認めてあげることが、何よりのごほうびです。

ほのママ
ほのママ

合言葉を決めたら、乗れるようになるかなあ。うちの子、「せーの」って言うのは好きなの!

ここわん
ここわん

いい方法だわん、ほのママ!子どもが好きな合図を使うと、楽しい気持ちがまじって、怖さが薄れることもあるんだわん。

まとめ:エスカレーターを怖がる子と、ゆっくり進んでいくために

エスカレーターを怖がる子の理由と工夫を、あらためて整理する

落ち葉の積もった秋の公園の小道
Photo by Rafal Olbromski on Pexels

ここまで、エスカレーターを怖がる子の気持ちや、困りやすい場面、家庭でできる工夫をお伝えしてきました。もう一度、大事な点をまとめます。

この記事のポイント

・エスカレーターを怖がるのは、わがままではなく、自然な反応の一つ
・怖さの理由は、動く床・すき間・音・高さなど、いくつも重なっていることがある
・エレベーターや階段を選んでもよい。「乗らない」も大切な選択肢
・遠くから見る、合言葉を決めるなど、小さな段階を踏んで進める

慣れるまでのスピードは、子どもによって違います。ほかの子と比べず、「前より、見ていられたね」という小さな変化を見つけてあげてください。

また、きょうだいやお友だちが上手に乗る姿を見て、「自分もやってみたい」と思う子もいます。ただ、比べられると傷つく子もいるため、「あの子は乗れるのに」といった言い方は避けたいところです。その子自身の歩みを、そのまま認める姿勢を大切にしましょう。

おでかけ先での緊張については、人混みが苦手な子の記事でも、似た考え方を紹介しています。

人混みが苦手な子。理由と家庭での工夫を解説
人混みが苦手な子に悩む保護者の方へ。音や人との距離、においなど考えられる理由と、お出かけ前の準備、その場で落ち着くための工夫まで、家庭で取り入れやすい方法をやさしい言葉で整理しました。毎日の暮らしで、お子さんに合う一歩を見つけましょう。

音が気になって緊張する子については、大きな音が苦手な子の記事もあわせてご覧ください。

大きな音が苦手な子。理由と家庭での工夫を解説
大きな音が苦手な子の気持ちや理由を、家庭と行事の場面に分けてやさしく整理しました。予告の伝え方やイヤーマフの使い方など、すぐ試せる工夫を知りたい、未就学児から小学生の保護者の方へ。安心できる声かけの例や、園への伝え方なども紹介しています。

一人で抱え込まず、エスカレーターを怖がる子と一緒に進んでいく

冬服の母親と子どもが並んで歩く後ろ姿
Photo by Tatiana Syrikova on Pexels

エスカレーターを怖がる子を見ていると、「このまま一生乗れないのかな」と心配になる日もあるかもしれません。でも、怖いと感じる気持ちは、子どもが周りをよく感じとれている証でもあります。

もし、お子さんが「やってみたい」と自分から言い出したら、それは大きな変化です。そのときは、親が横で見守りながら、子どものペースでそっと挑戦する時間をつくってみてください。

エスカレーターに乗れるようになることだけが、ゴールではありません。「怖いけど、エレベーターなら大丈夫」「手をつなげば、乗れる日がある」。それだけでも、立派な成長です。

おうちの方も、心配なときは、一人で抱え込まなくて大丈夫です。同じ悩みを持つ保護者の方は、たくさんいます。今日はエレベーターで行けた、見ているだけでもできた。そんな小さな一歩を、ぜひ大切にしてあげてください。

ほのママ
ほのママ

今度のお休みは、エレベーターの場所を調べてから出かけてみるね!ゆっくりでいいんだよね。

ここわん
ここわん

その調子わん!ほのママも、お子さんも、本当によくがんばってるわん。ボクはいつでも応援してるわん!

アイキャッチ画像:Photo by Ivan Marenco on Pexels

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