待つのが苦手な子の気持ちと、そう感じる理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
レジの列に並んでいるだけで、「まだ?」「いつ終わるの?」と何度も聞いてくる。順番を待てずに、走りだしてしまう。そんなふうに、待つのが苦手な子の様子に、ひやひやした経験はありませんか。
秋は、お店や待合室、行事など、順番を待つ場面が増える季節です。まわりの目も気になって、つい「ちょっと待ちなさい!」と強い口調になってしまうこともありますよね。
この記事では、待つのが苦手な子が感じていることや、困りやすい場面、家庭でできる工夫をやさしく整理します。「うちの子だけかな」と感じている方の、気持ちが少し軽くなればうれしいです。
待つのが苦手な子が感じている、「いつまで」がわからない不安

大人は、「5分待てば順番が来る」と、時間の長さを見通して待っています。けれども子どもにとって、時間は目に見えないものです。「あとどのくらい?」がわからないまま待つのは、とても心細いことだと言われています。
とくに小さな子は、時計を読むことや、5分・10分といった長さの感覚を、まだ身につけている途中です。「ちょっと待ってね」と言われても、その「ちょっと」がどのくらいかは、想像できません。
同じ1分でも、楽しいことをしているときは短く、何もしないで待つときは長く感じられます。大人でも、電車が遅れてホームで待つときは、時間が長く感じますよね。
ですから、待てずに「まだ?」とくり返すのは、わがままというより、終わりが見えなくて不安になっているサインと考えられます。
たとえば、よくある例として、「ごはんまであと少しだよ」と言われても、おなかがすいている子には、その「少し」がとても長く感じられます。大人が思っている長さと、子どもが感じている長さには、大きなずれがあることを、頭の片すみに置いておくと、声のかけ方が変わってきます。
「どうして待てないの!」と責める前に、「いつまで待つのかわからなくて、ドキドキするよね」と気持ちを言葉にしてあげると、子どもは少し安心しやすくなります。

「ちょっと待ってね」って言うと、うちの子すぐ「まだ?」って聞くの。わたし、てっきり聞き分けが悪いのかと…。

ほのママ、子どもには「ちょっと」の長さがわからないんだわん。「まだ?」は、「あとどのくらい?」って教えてほしい気持ちなんだわん。
待つのが苦手な子が戸惑う、楽しみな気持ちと「じっとする」ことの難しさ

待つことが苦手な理由には、気持ちの高ぶりも関係しています。楽しみなことがあると、その気持ちが先に走って、体がじっとしていられなくなるのです。
たとえば、遊園地の順番待ちや、おやつの前などです。「早くしたい!」という思いが強いほど、待つ時間はつらくなりやすいようです。
また、体を動かすのが好きな子は、じっとしているだけで、エネルギーがあまってしまいます。座って待つ、並んで待つといった「動かない時間」は、それだけで負担になることがあります。
まわりの刺激が多い場所も、待つのを難しくします。人の話し声やアナウンス、目に入る商品などに注意がそれて、「いま何を待っているのか」を忘れてしまうこともあるようです。
こうした理由が重なるほど、待つ時間は子どもにとって大きな挑戦になります。待てないことを「性格の問題」と決めつけず、いまその子が苦戦している理由を、一緒に探してみましょう。
「待つ」という行動は、実は、気持ちをおさえる、見通しを持つ、ほかのことで気をまぎらわせる、といった、いくつもの力を同時に使っています。大人にとっては自然にできることでも、子どもにとっては、練習中の高度な課題です。待てた回数が少なくても、挑戦していること自体が、成長の途中にある証です。
待つのが苦手な子の心に残る、「待たされた体験」と大人の言葉

「待つ」ことに苦手意識がある子は、これまでの経験が影響している場合もあります。たとえば、長く待ったのに、結局おあずけになってしまった、という場面です。
「あとでね」と言われたのに、そのあとが来なかった経験が重なると、子どもは「待っても、いいことがない」と感じてしまうことがあります。そうなると、次に「待ってね」と言われたときに、信じられずに食い下がってしまうのです。
反対に、「待ったら、ちゃんといいことがあった」という経験が積み重なると、少しずつ待つ力が育っていくと言われています。
大人の言葉も大きく影響します。「いつもすぐ騒ぐ子ね」と、まわりに言われてしまうと、子どもは自分を責めてしまうかもしれません。そばにいる大人が、「ここまで待てたね」と認めてあげることが、何よりの支えになります。
待つ力は、成長とともに育っていくものです。今できなくても、「ずっとできない」わけではありません。
たとえば、きょうだいが先におやつをもらったとき、自分の番を待てずに泣いてしまう場面もあります。「順番だからね」と言うだけでは、納得しにくいこともあります。そんなときは、「次はあなたの番だよ。ちゃんと用意してあるからね」と、自分の番が確実に来ることを、具体的に伝えてあげましょう。
待つのが苦手な気持ちは、「時間の見通しのなさ」「楽しみな気持ち」「過去の経験」「大人の言葉」が重なって、強くなることがあると言われています。理由は一つとは限りません。
待つのが苦手な子が、とくに困りやすい場面
待つのが苦手な子と過ごす、スーパーのレジや外食の順番待ち

いちばん多いのが、スーパーのレジや、レストランの順番待ちです。小さな子にとっては、「なにもすることがなく、長い時間立っている」状態になりやすい場面です。
レジの前には、お菓子や小さなおもちゃがあって、気を引かれやすいのも悩みどころです。「買って」「ほしい」が重なって、待つこともおあずけも、一度に求められる状況になります。
外食では、料理が出てくるまでの時間が長く感じられます。席に座っていても、おなかがすいていると、気持ちに余裕がなくなってしまいます。
こうした場面では、待つ時間をあらかじめ短くする工夫が役立ちます。混んでいる時間をさけて出かける、お店で先に注文できるものを選ぶなど、環境を整えると、親子ともに気持ちが楽になります。
レジに並ぶときは、カートのいちばん上に、お手伝いできるものを持たせてあげるのも一つの方法です。たとえば、「ねぎを、レジの人に渡す係」をお願いすると、待つ時間にも役割ができます。役割があると、自分も参加している気持ちになれて、待つ時間が少し短く感じられるようです。
まわりの目が気になって、つい叱ってしまう日もあるかもしれません。それでも、あなたの努力はちゃんと伝わっています。うまくいかなかった日も、「今日は難しい場所だったね」と受け流して大丈夫です。
待つのが苦手な子が緊張する、待合室や行事の順番待ち

歯医者や役所の待合室も、待つのが苦手な子には大変な場所です。静かにしなければならない雰囲気があって、動きたい気持ちを我慢する時間が続きます。
保育園や学校の行事でも、順番を待つ場面は多くあります。運動会の入場前や、発表会の出番を待つ時間は、緊張も重なって、とても長く感じる子もいるようです。
こういった場面では、「いつ自分の番か」がわかりやすいと、安心できます。たとえば、「3人終わったら出番だよ」と、具体的な数で教えてあげるのも一つの方法です。
待ち時間が長くなりそうなときは、事前に小さな本やシール帳などを持っていくと、気持ちをそらせます。ただし、スマートフォンに頼りすぎると、待つ練習の機会が減ることもあるため、使い方は家庭に合わせて考えてみてください。
先生や、まわりの大人に「待つのが少し苦手なんです」と伝えておくのも、一つの工夫です。伝えておくだけで、当日の声かけを工夫してもらえることがあります。
順番を待つ間に、「いまは○番目だね」「あと2人だよ」と、残りの人数をこまめに伝えるのも効果的です。進み具合が見えると、終わりに近づいている実感がわきます。そのまま、「あと少しだね、がんばっているね」と声をかけてあげると、励みになります。
待つのが苦手な子に、家庭でできる工夫
待つのが苦手な子が安心できる、砂時計やタイマーで時間を「見える」ようにする

まず試しやすいのが、時間を目で見えるようにする工夫です。砂時計やキッチンタイマー、時間の経過を色で表すタイマーなどが、よく使われています。
砂時計は、砂がさらさら落ちる様子を見ながら、「あとどのくらいか」を感じとれます。見ているだけで、待つ時間がただの空白ではなくなります。
使うときは、はじめは短い時間から始めるのがポイントです。たとえば1分から始めて、「1分待てたね」と声をかけます。慣れてきたら、2分、3分と少しずつのばします。
外出先では、時計を持ち歩けないので、「長い針がここまで進んだら」と、言葉で目安を伝えてもかまいません。「歌を3回うたったら」「数を30数えたら」というように、子どもが想像しやすい形に置きかえる方法もあります。
スマートフォンのタイマー機能を使う方法もあります。画面を見せながら、減っていく数字や、色が変わっていく様子を一緒に見ると、終わりが近づくことが実感できます。「ピピッと鳴ったら、おしまい」とあらかじめ約束しておくと、アラームが鳴った瞬間に気持ちを切りかえやすくなる子もいます。
時間を見えるようにする工夫
・砂時計やタイマーを使う
・「5分」より「歌3回分」など、身近な長さで伝える
・待つ前に、何分ぐらいかを先に伝える
・終わったら、「待てたね」と具体的にほめる
待つのが苦手な子と楽しむ、待ち時間にできる「ミニあそび」

待ち時間を「なにもしない時間」にしないのも、大切な工夫です。手や頭を使う遊びがあると、時間はあっという間に感じられることがあります。
たとえば、しりとりやなぞなぞ、「赤いものを探そうゲーム」などです。道具がいらず、どこでもできるので、順番待ちにぴったりです。
小さな絵本やシール帳、お絵かき帳を、カバンに入れておくのもおすすめです。待合室やお店で出すと、「待つ時間のとっておき」になります。いつも見られるおもちゃより、待つときだけのお楽しみにすると、特別感が出ます。
体を動かしたい子には、その場でできる動きも役立ちます。「ゆっくり足ぶみ」「手のひらを合わせてぎゅっ」など、小さな動きなら、周りに迷惑をかけにくいのでおすすめです。
ただし、遊びで気をそらすだけが目的ではありません。「待つのは大変だったけど、楽しく過ごせた」という経験を重ねることが、ゆっくり待つ力につながっていきます。
もし、待っている途中で泣きそうになったら、「つらくなったよね」と受けとめて、いったん場所を変えるのも立派な選択です。外の空気を吸うだけで、気持ちが切りかわることもあります。「最後まで待たせること」より、「待つ時間を、嫌な記憶にしないこと」を大切にしてあげてください。

待ち時間にしりとりをしたら、あっという間に順番が来たの!わたし、てっきり待たせるのが悪いのかと思ってた。

いい工夫だわん、ほのママ!待つ時間をゼロにするのは難しいけれど、楽しく過ごせば、待つ気持ちが少しずつ育つんだわん。
待つのが苦手な子の「待てた!」を増やす、小さな練習とごほうび

家庭では、待つ練習を遊びの中に取り入れると、無理なく続けられます。たとえば、「おやつを出す前に、手をふいて30秒待つ」といった、短い待ち時間から試します。
順番が大切なボードゲームやカードゲームも、待つ練習になります。「次はあなたの番だよ」と伝えるうちに、自分の番が来る見通しが持てるようになります。
待てたときは、その場ですぐに、具体的にほめることが大切です。「30秒、ちゃんと待てたね」「おとなりを見ながら待てたね」と、何がよかったのかを言葉にして伝えます。
ごほうびは、物にこだわらなくても大丈夫です。「一緒にもう1冊読もう」「ぎゅっとハグ」など、親との時間が、いちばんうれしいごほうびになる子もいます。
練習は、子どもの調子がよいときに行うのがおすすめです。眠いときや、おなかがすいているとき、疲れているときは、どんな子でも待つのが難しくなります。今日は難しそうだなと感じたら、練習はお休みして、ゆっくり過ごしてかまいません。
まとめ:待つのが苦手な子と、ゆっくり進んでいくために
待つのが苦手な子の理由と工夫を、あらためて整理する

ここまで、待つのが苦手な子の気持ちや、困りやすい場面、家庭でできる工夫をお伝えしてきました。もう一度、大事な点をまとめます。
この記事のポイント
・待つのが苦手なのは、わがままではなく、「いつまで」が見えない不安の表れでもある
・楽しみな気持ち、じっとする難しさ、まわりの刺激なども重なる
・タイマーや身近な目安で、時間を「見える」ようにする
・待ち時間のミニあそびと、「待てた」の具体的なほめ言葉が支えになる
待つ力が育つスピードは、子どもによって違います。ほかの子と比べず、「昨日より10秒長く待てたね」という小さな変化を見つけてあげてください。
列に並ぶ場面での困りごとは、並ぶのが苦手な子の記事でも、くわしく紹介しています。

動かず過ごす時間の難しさについては、じっと座るのが苦手な子の記事もあわせてご覧ください。

一人で抱え込まず、待つのが苦手な子と一緒に進んでいく

待つのが苦手な子を見ていると、「このまま集団生活で困らないかな」と、心配になる日もあるかもしれません。でも、待ちきれないほど「やりたい」「知りたい」という気持ちがあるのは、その子の素敵な力でもあります。
いまは苦手でも、経験を重ねるうちに、少しずつ待てる場面が増えていくお子さんもたくさんいます。大切なのは、待てるかどうかより、待つ時間が親子にとって安心できるものになることです。
おうちの方も、心配なときは、一人で抱え込まなくて大丈夫です。同じ悩みを持つ保護者の方は、たくさんいます。今日は30秒待てた、ミニあそびで楽しく過ごせた。そんな小さな一歩を、ぜひ大切にしてあげてください。

今度のお買い物は、しりとりの準備をして行ってみるね!ゆっくりでいいんだよね。

その調子わん!ほのママも、お子さんも、本当によくがんばってるわん。ボクはいつでも応援してるわん!
アイキャッチ画像:Photo by Towfiqu barbhuiya on Pexels



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