顔を洗うのを嫌がる子の気持ちと、そう感じる理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
朝の支度で、洗面所に連れていこうとすると、体をかたくして動かなくなる。濡れたタオルを顔に近づけただけで、ぷいっと横を向いてしまう。そんなふうに、顔を洗うのを嫌がる子を前にして、毎朝どうしたものかと悩んでいませんか。
歯みがきやお風呂は大丈夫でも、「顔を洗う」ことだけは苦手、という子は少なくありません。急がなければいけない朝ほど、「早くして」とつい声が大きくなってしまい、あとから自己嫌悪になる日もあるかもしれません。
この記事では、顔を洗うのを嫌がる子が感じていることや、嫌がりやすい場面、家庭でできる工夫を、やさしく整理していきます。毎日の洗顔が、少しでも穏やかな時間に近づくヒントになればうれしいです。
顔を洗うのを嫌がる子が、顔に水がかかる感覚に感じる強い不快感

顔は、体の中でも特に敏感な場所だと言われています。目、鼻、口が集まっていて、ふれられる感覚にも、水の感覚にも、とても敏感に反応します。
顔を洗うとき、水は顔の上をつたって流れ、ときには目や鼻、口の近くにも入ってきます。大人は慣れているので何とも思いませんが、子どもにとっては「ふだんは感じない刺激」がたくさん重なる時間です。
たとえば、冷たい水が顔にあたった瞬間、ひやっとして息が止まってしまう子もいます。水の冷たさ、水の流れる感覚、肌にはりつく水滴。どの感覚が苦手かは、子どもによって違います。
また、顔に水がかかると、一瞬、息がしにくく感じる子もいます。呼吸がうまくできないかもしれない、という感覚は、とても不安なものです。水を怖がっているというより、息をふさがれる感じが苦手なのかもしれません。
水が苦手なわけではなく、顔の感覚が敏感なだけ、というケースもあります。お風呂で全身にお湯をかけるのは平気でも、顔にかけるのは嫌、という子もいます。
こうした感覚の違いは、成長とともに少しずつ変わっていくことも多いと言われています。まずは、「顔は敏感な場所なんだな」と受けとめてみましょう。
顔を洗うのを嫌がる子が、目に水や泡が入る怖さをずっと覚えているとき

顔を洗うことを嫌がる大きな理由のひとつが、目に水や泡が入った経験だと言われています。一度でもしみた経験があると、「またあの痛みがくるかも」と、体が先にかまえてしまいます。
洗顔料や石けんの泡が目に入ると、しみて痛みを感じます。子どもはまだ、目をぎゅっと閉じたり、顔を傾けたりして自分で守るのが上手ではありません。大人が思う以上に、強い怖さとして記憶に残ることもあります。
その記憶は、洗面所に立っただけでよみがえることがあります。蛇口の音を聞いただけで、「また痛くなる」と思って、後ずさりしてしまう子もいます。
よくある例として、顔を洗う前から目をぎゅっと閉じて、顔をそむけたまま動かなくなる、という場面があります。親からは「ただのわがまま」に見えても、子どもにとっては自分を守るための必死の行動かもしれません。
シャンプーの泡や水が顔にかかるのを嫌がる子についても、同じようなことが言われています。こちらの記事で、くわしく取り上げています。

しみた経験がなくても、「目に水が入ったらどうなるんだろう」という想像だけで、怖くなる子もいます。子どもは想像する力が豊かなので、まだ起きていないことにも、大きな不安を感じることがあります。
怖がっている様子を見たら、「目に入らないように、ちゃんと守るからね」と伝えてあげてください。見通しと安心のひと言があるだけで、体の力が少しぬける子もいます。
目に水が入る怖さがあるときは、「目に入らないようにする工夫」を一緒に考えることが、安心への第一歩になります。具体的な工夫は、のちほど紹介します。
顔を洗うのを嫌がる子が、タオルでふかれる感触やにおいにとまどうとき

洗ったあとの「ふく」ことが苦手、という子もいます。顔に水がついたまま、タオルでごしごしふかれると、肌にこすれる感覚が苦手に感じられることがあります。
タオルの素材や厚みも、感じ方に関わります。ごわごわしたタオルが痛い、ふわふわすぎて顔にはりつくのが気持ち悪い、など、好みは子どもによってさまざまです。
また、洗剤や柔軟剤のにおい、タオルが湿っているときのにおいが、気になる子もいます。においに敏感な子にとっては、顔にタオルを当てられること自体が、強い刺激になることもあります。
たとえば、乾ききっていない少し湿ったタオルが、肌にぺたりとはりついた瞬間、「やだ!」と顔をそむける、という場面を想像してみてください。大人が気づかないくらいの小さな違いでも、子どもにとってはとても大きな違いです。

うちの子、顔を洗うのをいやがるのは、ただの面倒くさがりだと思ってたの。わたし、てっきり、朝は眠いだけかと…。

それは違うわん!眠いだけじゃなくて、水や泡、タオルの感触が苦手なのかもしれないんだわん。「何がいやなのか」を一緒に探してみるのが大切なんだわん。
顔を洗うのを嫌がる子が、特に困りやすい場面
顔を洗うのを嫌がる子が、朝の忙しい時間に固まってしまうとき

朝は、時間が限られています。保育園や学校に間に合うよう、親も気持ちがあせりがちな時間帯です。そこへ、顔を洗うのを嫌がる子がいると、親子ともに大変な朝になってしまいますよね。
朝は、寝起きでまだ気持ちが切り替わっていない時間でもあります。寝ぼけた状態で、とつぜん冷たい水を顔にかけられるのは、大人でもびっくりします。子どもなら、なおさら強い刺激に感じられるでしょう。
また、「早く!」「遅れるよ!」と急かされることで、気持ちの余裕がなくなって、かえって嫌がる気持ちが強まることもあります。親の焦りは、子どもにもそのまま伝わりやすいものです。
そんなときは、朝の流れを少し見直してみる方法があります。たとえば、顔を洗う時間を前もって短めに確保して、「おしまい」の時間を決めておくと、気持ちにゆとりが生まれます。
朝の洗顔をらくにする小さな工夫
・起きてすぐではなく、少し目が覚めてから洗面所へ行く
・ぬるめの水やお湯を使って、冷たさを和らげる
・「いち、に、さん」と数えて、終わりの見通しを伝える
・洗い終わったら、すぐにふけるよう、タオルを手の届くところに置く
完璧にやろうとしなくても大丈夫です。忙しい朝は、「今日は濡れタオルで軽くふくだけ」という日があってもいいのです。毎日できなくても、子どもを責める必要はありません。
お風呂を嫌がる子の気持ちについては、こちらの記事でも取り上げています。顔を洗うのが苦手な子と、重なる部分があるかもしれません。

顔を洗うのを嫌がる子が、外出先や園で洗顔の場面にとまどうとき

家では何とかできても、外出先や園では、いつもと違う環境にとまどう子もいます。水道の蛇口の高さ、水の勢い、手を洗う洗面台の形。慣れない場所での洗顔は、家よりもハードルが高くなることがあります。
たとえば、園で顔を洗う場面があるときに、「やりたくない」と固まってしまう子もいます。まわりの友達が次々に洗っていく中で、自分だけできないと感じて、気持ちが沈んでしまうこともあるかもしれません。
旅行先や、親戚の家など、いつもと違う洗面所では、水の出方も温度も違います。ふだんの手順がそのまま使えないと、子どもの不安は大きくなりやすくなります。
そんなときは、事前に「どんな場所か」「どんな流れか」を伝えておくと、気持ちの準備ができます。写真を見せたり、「洗うのは1回だけだよ」と伝えたりするだけでも、安心できる子もいます。
園の先生には、「うちの子は、顔に水がかかるのが苦手なようで」と、さりげなく伝えておく方法もあります。分かってくれる人が増えると、場面ごとの対応もやさしくなりやすくなります。
お出かけの前には、「今日は顔を洗う場所が、いつもと違うかもしれないよ」と、ひと言伝えておくだけでも違います。知らない場所で、とつぜん始まるよりも、予告があるほうが、気持ちの準備がしやすくなるからです。
洗面所が使いにくいときは、濡れタオルやおしぼりで軽くふく方法に切りかえても大丈夫です。その日に洗顔をしなくても、次の日にまたふだんの方法で続ければ、十分です。
手洗いを嫌がる子についても、水の感覚や場面への戸惑いなど、共通する部分があると言われています。こちらの記事も参考にしてみてください。

顔を洗うのを嫌がる子と一緒にできる、家庭での工夫
顔を洗うのを嫌がる子の気持ちを受けとめて、水に慣れていく工夫

顔を洗うのを嫌がる子には、まず「いやなんだね」と気持ちを受けとめることが、安心の入り口になります。「ちゃんと洗わなきゃ」と言うよりも、「顔に水がかかるの、ドキドキするよね」と、いまの気持ちに寄りそってあげるのです。
そのうえで、顔ではなく、手や腕から水に慣れる遊びを取り入れてみます。たとえば、洗面器に水をためて、おもちゃをしずめたり、手ですくったりする遊びです。水に楽しくふれる経験が増えると、水に対する気持ちがやわらぐことがあります。
次の段階として、ぬらしたタオルで顔をそっとふく練習があります。顔に水が「流れる」のではなく、やさしくふれるところから始めると、抵抗感が少なくなる子もいます。
水の温度も、大切なポイントです。冷たい水は、刺激が強くなりがちです。人肌くらいの、ほんのりあたたかいお湯を使うと、びっくりしにくくなると言われています。
顔を洗うときは、「目をとじてね」と声をかけるより、「いっしょに、ぎゅっとしよう」と、親も一緒に目をとじてみるのもおすすめです。一緒にやることで、安心して取り組める子もいます。
もし、お風呂やシャワーの時間のほうが、水に落ち着いて向き合える子であれば、お風呂の中で顔を洗う練習をするのも、ひとつの方法です。湯気で肌があたたまっていると、水がかかっても、びっくりしにくいことがあります。

お風呂の中で、顔にお湯がちょっとかかっても、笑ってたの!えへへ…うちの子、ちょっとだけ平気になったのかも。

それはいい変化だわん!安心できる場所だと、水の感覚にも少しずつ慣れていくことがあるんだわん。大丈夫、一緒に考えるわん!
顔を洗うのを嫌がる子が、目に水が入らないように守れる道具と手順

目に水や泡が入る不安があるときは、道具を使って、目を守る方法があります。たとえば、水泳用のゴーグルをつけて顔を洗う方法です。目に水が入らないと分かっていれば、安心して顔に水をかけられる子もいます。
ゴーグルなどの道具を、遊びの感覚で取り入れてみるのもいいですね。お気に入りのキャラクターのゴーグルなら、「つけたい」と思える子もいます。お風呂で「潜水ごっこ」をして、道具に慣れておくのもひとつの方法です。
洗顔料や石けんは、できるだけ泡立ちがやさしく、目にしみにくいものを選んでみる方法もあります。小さな子には、水かぬるま湯だけで洗って、洗顔料を毎日は使わない、という選び方もあります。
洗い流すときは、顔の正面から水をかけず、手で水をすくって、ほっぺたや額に、やさしくのせるようにします。顔の上から流れ落ちる水が怖い子には、このやり方のほうが、安心できることがあります。
ふくときは、タオルを押しあてるようにして、水分を吸いとります。ごしごしこすらずに、ぽんぽんと軽くおさえるだけで十分です。タオルの素材は、柔らかくて、においの気にならないものを選んでみてください。
また、毎日完璧にやろうとしなくても大丈夫です。顔がよごれていなければ、濡れタオルで軽くふくだけの日があってもいいでしょう。無理のない回数とやり方を、親子で見つけていけば十分です。
まとめ:顔を洗うのを嫌がる子と、ゆっくり進んでいく
顔を洗うのを嫌がる子の気持ちを、まるごと受けとめるという考え方

顔を洗うのを嫌がる気持ちは、顔の敏感さ、目に水や泡が入る怖さ、タオルの感触、朝の忙しさなど、いくつかの理由が重なって生まれます。嫌がることには、その子なりの理由があると言われています。
無理に洗おうとするより、「いやなんだね」と気持ちを受けとめるほうが、結果的に、子どもは安心しやすくなります。親が焦らず、子どものペースに合わせていくことが、いちばんの近道になることもあります。
毎日の洗顔は、続けていくものだからこそ、親子ともに無理のない形を見つけたいものです。水の温度、タオルの素材、時間帯など、ひとつずつ見直していくと、「これなら大丈夫」というポイントが見つかるかもしれません。

いやがるのは、わがままじゃないんだね。わたしも、「何がいやなの?」って、まず聞いてみようかな。

そうだわん。理由が分かると、子どもも「分かってもらえた」と感じるんだわん。ゆっくりでいいんだわん。
「どうしてうちの子だけ」と悩む日があっても、顔を洗うのを嫌がる子は、たくさんいます。ほかの子と比べず、今日のその子の様子を見て、できたことを一つずつ見つけてあげてください。
たとえば、「洗面所まで自分で来られた」「ぬれタオルを自分で持てた」「顔にちょっと水がついても泣かなかった」など、小さな変化も立派な成長です。気づいたら、ぜひ声に出して伝えてあげましょう。
一人で抱え込まず、顔を洗うのを嫌がる子と一緒に進んでいく

顔を洗うのを嫌がる子を見守るあなたも、毎日、本当によくがんばっています。朝のあわただしい時間に、嫌がる子とやりとりをするのは、思っている以上にエネルギーを使うことです。
「ちゃんとしつけなければ」と、自分を責める日があるかもしれません。でも、顔を洗うのを嫌がることは、育て方の問題ではなく、感じ方の個性のひとつと考えることもできます。
ご家族で、「どんなときに嫌がるのか」「どうすると少し楽なのか」を共有しておくと、親だけが抱え込まずにすみます。パパやおじいちゃん、おばあちゃんにも、やさしく伝えておくと、場面ごとの対応がそろいやすくなります。
園や学校に通うようになると、自分で顔を洗う場面も増えていきます。そのときに、「ちょっとだけ、手伝ってもらう」という選択肢があることも、子どもにとっては大きな安心になります。
ゆっくり、その子のペースで。毎朝の洗面所が、いつか親子の穏やかなひとときに変わっていくことを、願っています。
アイキャッチ画像:Photo by Jaycee300s on Pexels



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