注射を嫌がる子の気持ちと、そう感じる理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
秋になると、予防接種のお知らせが届く時期ですよね。いざ当日が近づくと、注射を嫌がる子が「いやだ」「行かない」と泣き出して、困ってしまうことがあります。
朝から表情が固くなる。玄関で動かなくなる。診察室の前で抱っこから降りない。そんな姿を見ると、ママやパパも胸がぎゅっとなりますよね。
この記事では、注射を嫌がる子の気持ちや、つまずきやすい場面、家庭でできる工夫を、やさしく整理します。「うちの子だけかも」と感じている方の、気持ちが少し軽くなればうれしいです。
注射を嫌がる子が感じている、針への怖さと痛みの想像

注射を嫌がる子の多くは、針そのものへの怖さを抱えていると言われています。針は細くて小さくても、子どもにとっては「ちくっとする、いたいもの」というイメージが強いものです。
大人でも、注射の前は少し緊張しますよね。子どもは、まだ経験が少ないぶん、想像がふくらみやすいところがあります。
たとえば、前に注射をしたときの痛みを覚えていて、「またあれがくる」と身構えてしまうことがあります。逆に、一度も経験がなくても、友だちや兄弟の泣き声を聞いて、怖い気持ちが先に育つこともあります。
ここで大切なのは、「痛くないよ」と言い切らないことです。痛みの感じ方は一人ひとり違うので、「ちくっとするけれど、すぐ終わるよ」のように、気持ちに寄りそった言い方のほうが、子どもは安心しやすいと言われています。
また、子どもは「注射=痛いこと」と、頭の中で結びつけやすいという面もあります。針の先が見えると、体がきゅっと固くなって、よけいに痛く感じることもあると言われています。
だからこそ、針が見えないように別の方向を向く、手を握る、好きな歌を口ずさむなど、意識を少しだけ別のところに向ける工夫が役立つことがあります。
怖がるのは、わがままではありません。体を守ろうとする、自然な反応の一つです。

うちの子、針を見ただけで固まっちゃうの。わたし、気合いが足りないのかな…。

ほのママのせいじゃないわん。針の怖さは、子どもにとってとても大きいものなんだわん。まずは「怖いんだね」と受けとめてあげるのが第一歩わん。
注射を嫌がる子が戸惑う、いつもと違う場所と知らない人

「痛いのがいや」という気持ちは、体験の積み重ねでも変わってきます。一度やさしくしてもらえた記憶があると、次の回の怖さが少しやわらぐこともあります。
そのためにも、今日の1回が、できるだけ安心できる体験になるように、大人がそばで支えてあげましょう。
注射を嫌がる理由は、針だけではありません。接種会場は、子どもにとって「いつもと違う場所」です。
においも、音も、白い服の人も、家や園とはぜんぜん違います。感覚が敏感な子ほど、場の空気そのものに緊張しやすいことがあります。
そこへ「知らない大人に、腕をさわられる」という出来事が重なると、不安がいっぺんに高まってしまいます。
たとえば、診察室に入る前から、お腹が痛いと言い出す子もいます。靴をはくのをいやがる子や、急に抱っこを求める子もいます。
こうした様子は、気持ちが言葉になりきらないときに、行動やからだの感覚として出てくることがあるからです。「注射が怖い」と上手に伝えられない年齢ほど、そうなりやすいと言われています。
「注射がいや」と言葉にしているときも、本当は「全部がこわい」「ここにいたくない」という気持ちが混ざっているかもしれません。子どもの「いや」の中身を、ゆっくりほどいてみる気持ちで見てあげましょう。
注射を嫌がる子にとって大きい、「いつ・何が起こるか」がわからない不安

見通しの伝え方には、いくつか工夫があります。
子どもは、見通しが立たないことに、大人よりも強い不安を感じやすいと言われています。
「今日はお出かけするよ」とだけ聞いて出かけて、着いてから「注射をするよ」と知らされると、心の準備ができません。不意打ちのように感じてしまい、「だまされた」という気持ちが残ることもあります。
反対に、いつ、どこで、何をして、どうなったら終わるのか。そこまで見通せていると、怖さがやわらぐ子もいます。
注射を嫌がる子には、「ちくっとするのは1回」「終わったらおうちに帰る」のように、ゴールまでの流れを伝えておくと、安心の材料になります。カレンダーに印をつけて、日にちを一緒に確かめるのも一つの方法です。
事前の説明は、長くなくて大丈夫です。短い言葉で、順番に伝えてあげましょう。
たとえば、「まず先生にごあいさつするよ。次に腕を出すよ。ちくっとしたら、終わりだよ」のような流れです。絵に描いて見せると、小さな子でも見通しをもちやすくなります。
検診の場面については、こちらの記事でも取り上げています。

注射を嫌がる子が、とくに困りやすい場面
注射を嫌がる子と迎える、予防接種の日の朝の支度

たとえば、前の日の夜に持ちものを一緒にそろえておくと、朝のバタバタが減ります。お子さんが「これを持っていく」と自分で選べると、少しだけ気持ちに余裕が生まれることもあります。
注射の日の朝は、ふだんと同じようでいて、少しぴりぴりした空気になりがちです。
子どもは、大人の緊張を敏感に感じとります。「今日は注射だから、ちゃんとしなきゃ」と大人が焦ると、その気持ちが伝わって、かえって注射を嫌がる気持ちが強くなることもあります。
たとえば、朝ごはんをいつも通りにして、着替えも急がせず、いつもの朝の流れをなるべく崩さないことが、一つの工夫です。
出かける前に「だいじょうぶ?」と何度も聞くのも、実は不安をふくらませやすいと言われています。聞くのは1回にして、あとは別の話をするくらいのほうが、気がまぎれることもあります。
また、朝の時間に余裕があると、「早く早く」と急かさずにすみます。急かされると、子どもは「何か悪いことが起こるのかな」と感じてしまうことがあるからです。
チェックポイント
・朝ごはんや着替えは、ふだん通りの順番で進める
・出かける時間に余裕をもち、急かさない
・不安そうな様子が出ても、「だめ」と止めずに受けとめる
・持ちものを一緒に確認して、安心できるものを一つ入れる
注射を嫌がる子の、待合室で高まる緊張

実は、いちばん緊張が高まりやすいのは、注射の瞬間ではなく、順番を待っているあいだかもしれません。
待合室では、ほかの子の泣き声が聞こえてきたり、自分の名前が呼ばれるのをじっと待ったりします。「もうすぐだ」と思う時間が長いほど、気持ちはぎゅっと固くなります。
このとき、「泣かないの」「がまんしなさい」と声をかけてしまうと、子どもは気持ちを出せなくなってしまいます。
待っているあいだは、手をつないだり、ひざに座らせたり、小さな声でお話をしたりして、そばにいることを伝えてあげましょう。好きな歌を小さくうたってあげるのも、気持ちがほぐれやすい方法です。
順番を待つ時間が長くなりそうなときは、お気に入りの絵本や小さなおもちゃを持っていくのも一つの方法です。手を動かしたり、物語に集中したりすると、不安から少し気がそれます。
ただし、スマートフォンの動画などで気をそらそうとする場合は、子どもが「ごまかされた」と感じないように、あとで気持ちを一緒に振り返ってあげると安心につながります。

待合室で、うちの子の手がじっとり汗ばんでたの。こんなに緊張してたんだ…。

体が正直に教えてくれているわん。「がんばれ」より、「そばにいるよ」のほうが、安心しやすいんだわん。
注射を嫌がる子に、家庭でできる工夫
注射を嫌がる子に、前日までにできる気持ちの準備

ごっこ遊びのときは、ママやパパが患者さん役になってみるのも楽しいです。子どもが「ちくっとするよ、がんばってね」と声をかけてくれると、立場が変わって、気持ちが落ち着く子もいます。
家庭でできる準備の一つが、遊びの中で「注射ごっこ」をしてみることです。
ぬいぐるみにおもちゃの聴診器をあてたり、腕に絆創膏をはったりして、「ちくっとして、終わったら、えらいね」という流れを、安心できる形で体験します。
子どもが先生役になって、ぬいぐるみに注射をする遊びも、気持ちを整理する助けになることがあります。
絵本を読むのも、よい方法です。注射やお医者さんが出てくる絵本は、子どもが自分の気持ちを重ねやすく、「怖いのは自分だけじゃない」と感じるきっかけになります。
ただし、無理にやらせる必要はありません。嫌がる様子があれば、その日はやめて大丈夫です。「やってみたいな」と思えるタイミングを待ちましょう。
たとえば、よくある例として、「次の日は注射だよ」と前の日の夜に伝える方法があります。早すぎると不安が長引くことがあり、直前すぎると心の準備ができません。
お子さんの性格に合わせて、前日の夕方ごろなど、ちょうどよい時間帯を探してみましょう。
歯医者さんなど、「怖い場所」への向き合い方は、こちらでも取り上げています。

注射を嫌がる子の、当日の過ごし方と終わったあとのねぎらい

当日は、気持ちの逃げ場をつくっておくと安心しやすくなります。
好きなぬいぐるみやタオルを持っていく、抱っこの姿勢を事前に決めておく、「怖かったら、ぎゅっとしていいよ」と伝えておく。そんなささやかな準備で、子どもの心の支えになります。
終わった直後は、「がんばったね」より先に、「こわかったね。よく来られたね」と、気持ちに寄りそってあげましょう。泣いてしまっても、それは当たり前の反応です。
終わったあとのねぎらいも大切です。帰り道に好きな公園へ寄る、おうちで好きな遊びをする、シールをはって「がんばった記念」にする。小さな楽しみが、「注射は怖かったけれど、あとでいいことがあった」という記憶につながります。
ごほうびが毎回大きなものである必要はありません。「大好きな人がそばにいてくれた」という安心感そのものが、次の回の力になってくれます。
なお、接種会場でのやり方や、どんな準備ができるかは、場所によって違いがあります。気になることがあれば、予約のときや当日に、「うちの子は注射が苦手なんです」と一言添えるだけでも、まわりの人が声かけを工夫してくれることがあります。
注射を嫌がる子には、見通しを伝える・そばにいる・終わったあとにねぎらうの3つを意識するだけでも、気持ちの負担が少し軽くなることがあります。

そっか。泣いても、がんばれなくても、いいんだね。それを聞いて、ちょっと安心したよ。

そうわん。怖い気持ちをちゃんと出せるのは、子どもにとって大事なことなんだわん。大丈夫、一緒に考えるわん!
まとめ:注射を嫌がる子と、無理なく向き合うために
注射を嫌がる子の理由と工夫を、あらためて整理する

また、どの工夫も、うまくいかなかった日があっても大丈夫です。子どもの調子も、その日の天気や疲れで変わります。「今日はこれが合わなかったんだな」と、次の工夫のヒントにしていけば十分です。
ここまで、注射を嫌がる子の気持ちと、家庭での工夫を見てきました。
注射を嫌がる理由は、針への怖さ、いつもと違う場所への緊張、見通しが立たない不安など、いくつも重なっていると言われています。
工夫のポイントは、次の3つです。
| 場面 | 気持ちの背景 | 家庭でできる工夫 |
|---|---|---|
| 前日まで | 何が起こるかわからない不安 | 流れを伝える・ごっこ遊びや絵本で気持ちを整理する |
| 当日の朝・待合室 | 緊張・まわりの刺激 | いつもの朝を保つ・そばにいて声をかける |
| 終わったあと | 怖かった気持ちの余韻 | 気持ちを受けとめて、ねぎらう |
また、注射を嫌がる姿が、毎回同じとは限りません。年齢が上がると、言葉で気持ちを話せるようになったり、「これをしたら大丈夫」という自分なりの方法が見つかったりします。
いまのつらい時間は、ずっと続くものではないかもしれません。小さな変化を見つけて、「前よりも少し落ち着いていたね」と、一緒に喜べるとよいですね。
お子さんの「いや」には、たいてい理由があります。大人が気持ちを受けとめるだけで、子どもの心は少しずつほどけていきます。
「怖い」「いやだ」という気持ちへの寄りそい方は、こちらの記事でも紹介しています。

一人で抱え込まず、注射を嫌がる子と一緒に進んでいく

予防接種の時期は、スケジュールのやりくりもあって、ママやパパの気持ちにも余裕がなくなりがちです。
「ちゃんと連れて行かなきゃ」「泣かせてしまった」と、自分を責めてしまう方もいるかもしれません。でも、注射を嫌がるのは、子どもが成長して「自分の気持ち」をちゃんと持てている証拠とも言えます。
一人で抱え込まなくて大丈夫です。気持ちを聞いてくれる人や、同じ悩みを話せる人がそばにいるだけでも、心は軽くなります。
そして、ママやパパ自身の気持ちも大切にしてあげてください。お子さんが泣いてしまった日は、「今日もよくがんばったな」と自分をねぎらう時間をつくってみましょう。
大人が少しほっとできると、その空気はお子さんにも伝わります。家族みんなが安心できる形を、少しずつ見つけていければ十分です。
今日できる小さな一歩は、「こわいんだね」と一言、お子さんに伝えてあげることです。それだけで、お子さんは「わかってもらえた」と感じて、少し安心できるかもしれません。
お子さんのペースで、ゆっくり進んでいきましょう。

次の予防接種のとき、まずは「こわいね」って言うところから始めてみるね!

その調子わん!ほのママもお子さんも、よくがんばってるわん。ボクはいつでも応援してるわん!
アイキャッチ画像:Photo by Towfiqu barbhuiya on Pexels



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