耳掃除を嫌がる子の気持ちと、つまずきやすい理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
耳掃除を嫌がる子が感じている、くすぐったさとこわさ

「耳掃除するよ」と声をかけただけで逃げていく。ひざに乗せようとすると、身体をよじって泣いてしまう。耳掃除を嫌がる子を前に、どうしたらいいのか迷う保護者の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、耳掃除を嫌がる子がつまずきやすい理由と、家庭でできる工夫を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じたときのヒントになればうれしいです。
耳掃除を嫌がる子が感じやすいことを、いくつか見てみましょう。
ひとつ目は、くすぐったさです。耳の入り口付近は、ふれられると独特のこそばゆさを感じる場所です。笑ってしまう子もいれば、ぞわっとして身体をひっこめる子もいます。
ふたつ目は、道具が見えないこわさです。耳のまわりは自分では見えません。何が耳に近づいてくるのかわからないと、不安が大きくなりやすいです。
みっつ目は、音の感じ方です。耳の近くで綿棒や耳かきが動くと、「ガサガサ」「ゴソゴソ」という音が大きく聞こえる子もいます。この音が苦手で、耳をふさいでしまう子もいます。
よっつ目は、じっとしている時間です。ひざの上でじっと動かずにいる姿勢が、そもそも苦手な子もいます。
これらは「わがまま」ではなく、感じ方や、慣れていない経験からくる自然な反応であることが多いです。まずは、お子さんがどんなふうに感じているのかを知ることから始めてみましょう。
保護者の方にとっては「ほんの少しの時間」でも、お子さんにとっては、見えない場所に何かが入ってくる緊張の時間です。その気持ちを想像してみるだけでも、声のかけ方が自然にやさしくなっていきます。

耳掃除しようとすると、うちの子、ぱーっと走っていっちゃうの。わたし、てっきり遊びたいだけだと思ってたの。

それは違うかもしれないわん。耳に何かが入ってくるのがこわい気持ちかもしれないわん。まずは気持ちを知ることから始めるわん。
耳掃除を嫌がる子に多い、痛かった経験や感覚のちがい

耳掃除を嫌がる理由として、過去の「いやだった経験」が残っていることもあります。
たとえば、綿棒が思ったより奥に当たって、ツーンとした感じがした。急にぐいっと頭を押さえられて、おどろいた。そんな経験があると、「耳掃除=いやなこと」というイメージができあがりやすくなります。
また、感覚の感じ方のちがいも関係することがあります。同じ触れ方でも、とても敏感に感じる子もいれば、あまり気にならない子もいます。
触覚(さわった感じ)が敏感な子は、耳のまわりにふれられるだけで強く反応することがあります。反対に、音に敏感な子は、耳の近くでする小さな音がつらく感じられることがあります。
きょうだいでも、同じ耳掃除の時間に、まったくちがう反応をすることがあります。「お兄ちゃんは平気だったのに」と比べず、その子自身の感じ方を大切にすることが、安心の第一歩です。
「感覚のちがい」は、よい悪いではなく、その子の持ち味のようなものです。どれが当てはまるかを決めつける必要はありません。「こんなところが苦手なのかも」と、ゆるやかに考えてみてくださいね。
専門用語が出てきて難しく感じたかもしれませんが、むずかしく考えなくても大丈夫です。「耳は、とても敏感な場所」と思っておくだけで、声のかけ方が変わってきます。
耳掃除を嫌がる子の「いつもとちがう」場面への不安

耳掃除を嫌がる子の中には、耳掃除そのものより、その前後の流れが苦手な子もいます。
たとえば、突然「はい、耳掃除ね」と言われると、心の準備ができません。遊んでいる最中にとつぜん呼ばれて、気持ちが切り替えられないこともあります。
また、ひざの上にのせられたり、横向きにされたりする姿勢が、「逃げられない」と感じさせることもあります。
よくある例として、眠くなる時間に耳掃除を始めてしまい、機嫌が悪くなって泣いてしまう、ということもあります。「今日はなんだか機嫌が悪いな」と感じたときは、耳掃除の時間帯を見直してみるのもひとつの方法です。
また、体調や眠気、お腹がすいているときなど、その日のコンディションによって、つらさが変わることもあります。同じ耳掃除でも、日によって反応がちがうのは、不思議なことではありません。
お子さんの話を聞くときは、「どうして逃げるの?」と問い詰めるより、「耳掃除のどんなところがいやかな?」と、選べる形で聞くほうが答えやすいことがあります。「くすぐったい」「音が気になる」「こわい」など、いくつか例を出してあげるのもひとつの方法です。
耳掃除を嫌がる子が、とくに困りやすい場面
耳掃除を嫌がる子が、ひざの上でじっとできないとき

ひざに乗せた途端に身体をよじる、頭を動かしてしまう。こんな場面は、耳掃除を嫌がる子によくある姿です。
じっとしていることが苦手な子にとって、動かずにいる時間はとても長く感じられます。大人にとっての数分が、子どもには何十分にも感じられることもあります。
こうした場面では、時間を短くすることが大切です。「10数えたら終わり」「歌をひとつ歌ったら終わり」など、終わりが見えるルールにすると、安心しやすくなります。
じっとしていられない子への工夫
・テレビや動画を見ながら、気をそらす
・お気に入りのぬいぐるみを抱っこして座る
・「いーち、にーい」と声に出して数える
・終わったら、すぐにごほうびタイムを用意する
また、姿勢をかえるのもひとつの方法です。ひざに寝かせるのが苦手なら、座ったまま向かい合う、保護者の方の背中側からそっとのぞくなど、お子さんが安心できる形を探してみてください。
毎日やる必要はありません。数日あけてもよいと思うと、保護者の方も気持ちに余裕が生まれます。
また、お子さんが自分で道具を持ちたがる場合は、持たせてあげるのもひとつの方法です。自分でふれられる安心感が、「やらされている」という感覚をやわらげることがあります。もちろん、耳の中には入れずに、手に持つだけで十分です。
くすぐったさや音を、耳掃除を嫌がる子が苦手に感じるとき

くすぐったさや音が苦手で、耳掃除を嫌がる子もいます。この場合は、感覚をやわらげる工夫が助けになることがあります。
たとえば、耳掃除の前に、耳のまわりをやさしくなでる時間をつくる方法があります。耳たぶを軽くつまんだり、ふわふわのタオルで耳のまわりをなでたりして、「ふれられる感覚」に慣れていくイメージです。
いきなり耳の入り口に道具を近づけるのではなく、「ふれる」から「近づく」へ、少しずつ段階を踏むのがコツです。
音が苦手な子には、静かな部屋で行うのもひとつの方法です。テレビを消して、やわらかい声で話しかけながら進めると、ガサガサという音が少し気にならなくなることもあります。
逆に、好きな音楽を小さく流して、音への意識をそらす方法がうまくいく子もいます。お子さんに合う方法は、それぞれちがいます。
ほかにも、耳掃除の前に、ぬるめのタオルで耳のまわりをあたためてあげると、緊張がほぐれる子もいます。「あったかいね」「気持ちいいね」と言葉にしてあげると、さらに安心しやすくなります。
耳掃除のタイミングが合わず、耳掃除を嫌がる子が拒むとき

耳掃除を嫌がる子が拒んでしまうのは、タイミングが合っていないからかもしれません。
たとえば、遊びに夢中なとき、眠いとき、お腹がすいているとき。こうした状態では、新しいことを受け入れる余裕が少なくなっています。
お風呂あがりのように、身体がぽかぽかして気持ちが落ち着いているときのほうが、受け入れやすい子もいます。反対に、朝の忙しい時間や、寝る直前は、気持ちが乱れやすいかもしれません。
「ほら、早くして」「じっとしてて」と急かすと、緊張が高まって、さらに嫌がることがあります。無理に押さえつけて行うと、かえって苦手意識が深まることもあります。
「今日は耳掃除の日にしようね」とあらかじめ予告しておくのも大切です。朝のうちに「夜、お風呂のあとにやるよ」と伝えておくだけで、心の準備ができる子もいます。
もし予告しても嫌がる場合は、「やる?それとも明日にする?」と、選べる形で聞いてみてください。「どちらでもいいよ」と言われると、お子さんは気持ちが軽くなって、かえって自分から「やる」と言い出すこともあります。
耳掃除を嫌がる子に、家庭でできる工夫
家で耳掃除を嫌がる子が安心できる「準備」をととのえる

耳掃除を嫌がる子に、家でできる工夫として、見通しを持たせる準備があります。
まず、絵や写真で流れを見せる方法です。「①座る ②耳をなでる ③綿棒でそっと ④おしまい」のように、手順を絵にして見せると、何をするのかがわかって安心できます。
つぎに、道具を見せて、さわらせる方法です。耳掃除の道具を前もって見せて、お子さんに持たせたり、人形の耳にあてるまねをさせたりすると、「こわいもの」から「知っているもの」に変わっていきます。

お人形で練習するのって、いいね!うちにもぬいぐるみがたくさんあるから、できそう!ふふふ。

そうわん!ぬいぐるみの耳をそっとなでてあげる役になると、子どもも安心するわん。
カレンダーに「耳掃除の日」を書いておくのもおすすめです。週に1回、または2週に1回など、ゆるやかなペースを決めておくと、お子さんも見通しが持てます。
できた日にはシールを貼るのもよい方法です。がんばりが目に見える形で残ると、「またやってみようかな」という気持ちにつながります。ただし、できなかった日にシールを減らすようなことは避けて、できた日だけを積み重ねていきましょう。
耳掃除を嫌がる子には「やりすぎない」安全な関わり方を

耳掃除を嫌がる子と向き合うときは、安全面にも気を配りたいところです。
耳の奥のほうは、デリケートな場所です。道具を奥まで入れすぎると、お子さんがこわい思いをするだけでなく、思わぬ負担になることもあります。
一般的には、見える範囲の入り口付近を、やさしくそっと整える程度にしておくのが安心だと言われています。耳の奥は自然に外へ押し出される仕組みがあるともいわれ、ごしごしと強くこする必要はありません。
お子さんが突然動いても大丈夫なように、道具の持ち方にも気をつけてあげてください。保護者の方の手を、お子さんの頭やほほに軽く添えて固定しておくと、急な動きにも対応しやすくなります。
耳掃除をするときのポイント
・入り口付近の見える範囲だけをそっと整える
・お子さんが動いたら、すぐに手を止める
・いやがるときは、その日はお休みにする
・明るい場所で、しっかり見える状態で行う
「今日はやらなくてもいいか」と思える気持ちも、大切です。耳掃除は毎日しなくてはいけないものではありません。お子さんの様子と相談しながら、無理のないペースで進めていきましょう。
爪切りやシャンプーなど、ほかの身だしなみで嫌がる場面があるときは、こちらの記事も参考にしてみてください。

身だしなみの場面で嫌がる姿が続くと、「このままで大丈夫かな」と心配になる方もいらっしゃるでしょう。そんなときは、シャンプーの場面でも工夫を紹介しているので、あわせて見てみてください。

好きなことを入口にして、耳掃除を嫌がる子の気持ちをほぐす

最後に、好きなことを入口にする方法です。耳掃除そのものは苦手でも、「好きなこと」とつなげると、気持ちが動くことがあります。
たとえば、耳掃除のあとにお気に入りの絵本を読む、ちょっとしたおやつを食べる、好きな動画を見る。こんなふうに、耳掃除の前後に「楽しい」を増やしていくのも方法のひとつです。
また、保護者の方のほうが先にやってみせるのも、ひとつの方法です。「ママも耳掃除するね。ほら、ぜんぜんいたくないよ」と見せることで、安心するお子さんもいます。
お子さんが「やってみたい」と言ったときは、保護者の方の耳に、そっと綿棒をあてさせてあげるのもよい経験になります。される側の気持ちがわかると、自分の番のときにも安心しやすくなることがあります。
耳掃除ができた日には、結果よりも 「がんばろうとした気持ち」 を言葉にして伝えてあげてください。「ちゃんとできたね」よりも「じっと座れたね」と声をかけることで、お子さんは自分の一歩を認めてもらえた気持ちになります。

「じっと座れたね」って、言ってあげるのね。わたしもほめるの、がんばるわ!

そうわん!保護者さんが笑顔でいてくれることが、いちばんの安心になるわん。大丈夫、一緒に考えるわん!
保護者の方も、一人で抱え込みすぎないことが大切です。パパやママ、祖父母など、家族みんなで役割を分担して取り組むと、気持ちが軽くなります。
家族で「今日はパパの番」「今日はおばあちゃんの番」と交代にするのも、ひとつの方法です。相手が変わると、案外すんなり受け入れる子もいます。
まとめ:耳掃除を嫌がる子と、ゆっくり進めるために
ここまで、耳掃除を嫌がる子の気持ちや、家庭でできる工夫についてお伝えしてきました。最後に、大切なポイントをまとめます。
耳掃除を嫌がる子の気持ちと工夫を、あらためて整理する

この記事のポイント
耳掃除を嫌がる理由は、くすぐったさ、音、過去の経験など、子どもによってさまざまです。見通しと「選べる」安心を用意し、無理のない範囲で、お子さんのペースで少しずつ慣れていきましょう。
今日の「ここまでできたね」という小さな発見を、ぜひ一緒に喜んであげてくださいね。
耳掃除は、毎日の暮らしの中の小さな出来事かもしれません。けれど、お子さんにとっては、「安心できる人に、自分の身体を任せる」 という大切な経験でもあります。
その経験が、ゆっくり、やさしい形で積み重なっていくと、これから先の歯みがきや散髪など、ほかの場面でも「だいじょうぶ」と思える力につながっていきます。
一人で抱え込まず、耳掃除を嫌がる子と一緒に進んでいく

祖父母や周りの人に事情を伝えておくのも、気持ちが楽になる方法です。「耳掃除がちょっと苦手なので、ゆっくり進めているんです」と一言伝えておくだけで、配慮してもらえることがあります。
保護者の方も、毎回の耳掃除の前に、ドキドキしているかもしれません。そんなときは、「今日も一日がんばったね」と、自分自身にも声をかけてあげてください。
耳掃除への苦手意識は、ゆっくり、その子のペースで少しずつ軽くなっていきます。あせらず、安心できるところから始めていきましょう。
アイキャッチ画像:Photo by Tara Winstead on Pexels



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