プールを嫌がる子の気持ちと、つまずきやすい理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
プールを嫌がる子が感じている、水・音・においの不安

プールの前になると「お腹が痛い」と言ったり、更衣室で固まってしまったり、水に入る直前に泣いてしまったり。プールを嫌がる子を前に、どう声をかけたらいいのか迷う保護者の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、プールを嫌がる子がつまずきやすい理由と、家庭でできる工夫を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じたときのヒントになればうれしいです。
プールを嫌がる子が感じやすいことを、いくつか見てみましょう。
ひとつ目は、水に顔がつくこわさです。水が目や鼻に入る感覚は、思っている以上に不安なものです。息ができなくなるように感じる子もいます。
ふたつ目は、足がつかない不安です。地面から足が離れる感覚が苦手で、身体がふわふわするのをこわがる子もいます。
みっつ目は、音と反響です。プールのある建物は、声や水しぶきの音がよく響きます。笛の音やホイッスルが、大きな音として耳に刺さるように感じる子もいます。
よっつ目は、においや肌の感じ方です。塩素のにおいが気になったり、濡れた水着が肌にはりつく感触がいやだったりすることもあります。
これらは「わがまま」ではなく、感じ方や、慣れていない経験からくる自然な反応であることが多いです。まずは、お子さんがどんなふうに感じているのかを知ることから始めてみましょう。

プールの日になると、うちの子、朝からそわそわして…。わたし、てっきりやる気がないのかと思っちゃってたの。

それは違うわん。やる気がないのではなく、こわい気持ちでいっぱいなのかもしれないわん。まずは理由を知ると、少し楽になるわん。
プールを嫌がる子に多い、水の感覚の「ちがい」とは

同じ水でも、子どもによって感じ方は大きくちがうと言われています。この「感覚のちがい」を知っておくと、お子さんの反応が理解しやすくなります。
たとえば、触覚(さわった感じ)が敏感な子は、水の冷たさや水着の感触を強く感じることがあります。逆に、水の中でも平気な子は、同じ冷たさをそれほど気にしません。
また、平衡感覚(からだのバランスを感じる力)が関係することもあります。水の中ではからだがふわっと浮くので、バランスのとり方が陸の上と変わります。この変化がこわい子もいます。
さらに、視覚(見え方)も影響します。水面がきらきら光ると、まぶしくて目を開けにくい子もいます。ゴーグルを嫌がるのも、顔に当たる感触や視界のゆがみが苦手だからかもしれません。
水の中では、音の聞こえ方も変わります。耳に水が入ると、まわりの声がこもって聞こえます。先生の指示が聞き取りにくくなって、不安が高まる子もいます。こうした細かな変化は、大人からは見えにくいものです。
「感覚のちがい」は、よい悪いではなく、その子の持ち味のようなものです。どれが当てはまるかを決めつける必要はありません。「こんなところが苦手なのかも」と、ゆるやかに考えてみてくださいね。
専門用語が出てきて難しく感じたかもしれませんが、むずかしく考えなくても大丈夫です。「水の中は、いつもとちがうことがたくさんある」と思っておくだけで、声のかけ方が変わってきます。
過去の経験や環境が、プールを嫌がる子の気持ちに影響することも

感覚だけでなく、これまでの経験がプールを嫌がる気持ちにつながることもあります。
たとえば、水を飲んでしまってむせた経験や、急に顔を水につけられておどろいた経験があると、「プール=こわい場所」というイメージが残りやすくなります。
よくある例として、レッスンでほかの子が次々とできるようになる中、自分だけ水に入れずに焦ってしまい、「また今日も入れなかった」と気持ちが重くなっていくこともあります。
環境の影響もあります。更衣室がこんでいたり、シャワーが冷たかったり、人が多くてざわざわしていたりすると、水に入る前に疲れてしまう子もいます。
また、体調や睡眠不足、お腹がすいているときなど、その日のコンディションによって、つらさが変わることもあります。同じプールでも、日によって反応がちがうのは、不思議なことではありません。
お子さんの話を聞くときは、「どうして入りたくないの?」と問い詰めるより、「プールのどんなところがいやかな?」と選べる形で聞くほうが、答えやすいことがあります。「水が冷たい」「音が大きい」「顔がぬれる」など、いくつか例を出してあげるのも、ひとつの方法です。
プールを嫌がる子が、とくに困りやすい場面
プールを嫌がる子が、更衣室や着替えで固まってしまうとき

プールの前に、更衣室で動けなくなってしまう子は少なくありません。水に入る前の段階で、すでにたくさんの「いつもとちがう」が重なっているからです。
たとえば、次のようなことが重なることがあります。
更衣室で困りやすいこと
・いつもとちがう場所で、においや音が気になる
・水着をつけるのに手間取り、まわりの目が気になる
・友だちの着替えが早くて、焦ってしまう
・ぬれた床や冷たい空気がいやで気持ちが沈む
こうした場面では、着替えを事前に家で練習しておくと、安心につながることがあります。水着をはじめに着てみて、お気に入りの上着を重ねて、プールのバッグを準備する。そんな「ごっこ遊び」のようなやり方もあります。
また、水着や帽子を 「かっこいい」「かわいい」と感じられるものにすると、少し気分が変わる子もいます。お子さんと一緒に選ぶのも、ひとつの方法です。
更衣室がこむ時間帯をさけて、少し早めに着くようにするだけで、気持ちに余裕が生まれることもあります。人が少ない静かな時間なら、ロッカーの場所や床の感触を確かめながら、ゆっくり準備ができます。

着替えの段階から、そんなにたいへんだったなんて。わたし、水に入ってからが勝負だと思ってたの。

水に入る前から、がんばっている子もいるわん。そこを認めてあげるのが大事わん。
シャワーや顔をぬらすことを、プールを嫌がる子が怖がるとき

プールの授業やレッスンの前に、シャワーを浴びる場面があります。これが苦手で、プールそのものより手前でつまずく子もいます。
冷たい水が一気に降ってくると、びっくりして身体がかたくなることがあります。顔に水がかかるのがこわい子にとっては、なおさらです。
家でできる練習としては、お風呂のシャワーでの慣れがあります。いきなり頭から浴びるのではなく、足元、お腹、背中と、少しずつ水をかける場所を広げていく方法があります。
顔をぬらすことが苦手な子には、手でふれるところから始めるのも方法のひとつです。洗面器の水を手ですくって顔に近づけたり、ぬれタオルを顔にそっと当てたりしながら、少しずつ慣らしていく方法もあります。
最初のうちは、「できなくても大丈夫」くらいの気持ちで取り組むのがコツです。保護者の方があせると、お子さんにも緊張が伝わりやすいからです。
お風呂でシャワーに慣れてきたら、水温を少しずつ下げてみる方法もあります。プールのシャワーは冷たいことが多いので、ぬるめから始めて、「ちょっと冷たいけど大丈夫」という経験を重ねていくイメージです。
顔を水につける・もぐることをプールを嫌がる子が拒むとき

プールの練習で、多くの子がつまずくのが 「顔を水につける」「もぐる」 という場面です。ここで泣いてしまったり、動かなくなったりするのは、とてもよくあることです。
水に顔をつけるのは、息を止める、目を閉じる、水の感触を受け入れる、と、いくつもの動きを同時にこなす必要があります。大人でも難しく感じる人がいます。
「ほら、もぐってごらん」「みんなやってるよ」と急かすと、水への恐怖が強くなることがあります。無理に顔をつけさせると、かえって苦手意識が深まることもあります。
「顔をつけなくても、プールに入れたらOK」「水の中を歩けたらOK」と、ゴールをうんと小さくして、できたことを一緒に喜ぶのがおすすめです。
水に顔をつける練習をするときは、お子さんが自分で「やってみる」と決められる場面を大切にしてみてください。保護者の方が手を添えて、「いち、にの、さん」で一緒につけてみる方法もあれば、鼻の下までで止めて、「今日はここまで」と区切る方法もあります。ほんの少しでも自分で選べると、気持ちが前向きになりやすいと言われています。
学校のプールの授業が気になる方は、先生に事前に伝えておくのも方法のひとつです。
お風呂や水に関する悩みは、こちらの記事でも取り上げています。

プールを嫌がる子に、家庭でできる工夫
家でプールを嫌がる子の「水への慣れ」を少しずつ育てる

プールを嫌がる子に、家でできる工夫として、お風呂の時間を水に慣れる場にする方法があります。特別な道具はいりません。
たとえば、次のような流れで進める方法があります。
まずは、湯船のなかで遊ぶ時間を楽しくします。おもちゃを浮かべたり、泡であそんだり、「お風呂=楽しい」という気持ちを積み重ねていきます。
つぎに、手や足で水をバシャバシャする遊びです。顔に水がかからない範囲で、水の動きを感じる経験を増やしていきます。
そのあと、洗面器の水に口をつけてブクブクしてみたり、鼻の下まで水につかってみたりと、少しずつステップを上げていきます。

お風呂なら、わたしも毎日一緒に入ってるから、できそう!ふふふ。

そうわん!毎日の小さな積み重ねが、いちばん効くわん。あせらず楽しんでいくわん!
ほかの子と比べず、昨日のお子さんと比べて、ほんの少しできたことを見つけるようにすると、保護者の方の気持ちも軽くなります。
たとえば、「昨日より湯船に長くいられた」「今日は洗面器の水に手をつけられた」といった小さな変化も、大切な前進です。カレンダーにシールを貼って、できた日を目に見える形にするのも、お子さんの励みになることがあります。
見通しと「選べる」安心で、プールを嫌がる子を支える

プールを嫌がる子にとって、見通しがわかることは大きな安心につながります。「何をするのか」「どれくらいで終わるのか」がわからないと、不安が大きくなりやすいからです。
プールの日の朝は、次のような声かけが助けになることがあります。
プール前の声かけの例
・「今日は、着替えて、シャワーして、水に入るよ」と順番を伝える
・「ここまでできたら、今日はおしまいにしようね」とゴールを決める
・「入れそうなときは入ろう。むずかしかったら見学でもいいよ」と選べるようにする
・「終わったら、好きなおやつを食べようね」と楽しみを用意する
ここでのポイントは、「選べる」ことで、気持ちに余裕が生まれることです。「やらなきゃいけない」ではなく「やってみようかな」と思えると、一歩が出やすくなります。
絵や写真で一日の流れを見せるのもおすすめです。言葉だけだと不安が残りやすい子には、目で見てわかる手がかりが役に立つことがあります。
学校のプールの授業については、担任の先生に事前に状況を伝えておくと、見学や段階的な参加など、その子に合った参加のしかたを一緒に考えてもらえることもあります。
伝えるときは、「こわがっています」だけでなく、「顔に水がかかるのが苦手で、シャワーの前に固まることがあります」のように、具体的な場面を添えると、先生も対応を考えやすくなります。連絡帳に書くのも、落ち着いて伝えられる方法です。
感覚が敏感な子の理解については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

好きなことを入口にして、プールを嫌がる子の気持ちをほぐす

最後に、好きなことを入口にする方法です。プールそのものは苦手でも、「好きなこと」とつなげると、気持ちが動くことがあります。
たとえば、好きなキャラクターの水着やゴーグルを選ぶ、プールの後に楽しみな予定を入れる、お気に入りの絵本で水あそびのお話を読む。こんなふうに、プールのまわりに「楽しい」を増やしていくのも方法のひとつです。
見学から始めるのも、大切なステップです。プールサイドで水の様子を眺めるだけでも、「ここは安全な場所なんだ」と感じるきっかけになります。
見学のあいだに、ほかの子が楽しそうに水に入っている様子を見るのも、いい刺激になることがあります。「楽しそうだな」「やってみたいかな」という気持ちが自然に出てくるまで、ゆっくり待ってあげられるといいですね。
見学は「逃げ」ではなく、慣れるための大切な練習時間です。見ているだけでも、音やにおい、水の動きを少しずつ受け入れています。
水に入れた日には、結果よりも 「がんばろうとした気持ち」 を言葉にして伝えてあげてください。「入れたね」よりも「プールまで来られたね」と声をかけることで、お子さんは自分の一歩を認めてもらえた気持ちになります。
プールに通う日が続くと、保護者の方も疲れてしまいます。「今日はお休みしてもいいかな」と思う日があっても、大丈夫です。お休みして気持ちを整えることも、前に進むための大切な時間です。
あわせて、保護者の方ご自身も、一人で抱え込みすぎないことが大切です。園や学校の先生、同じ悩みを持つ保護者の方と話すだけで、気持ちが軽くなることもあります。

「入れなくても、今日はプールまで来られたね」って、言ってみるね。

そう言われたら、きっとお子さんもうれしいわん。大丈夫、一緒に考えるわん!
「周りの子はもう泳げるのに」と焦る気持ちが出てきたら、水への気持ちは、泳ぐ力とは別のものだと思い出してみてください。気持ちが落ち着いてくれば、泳ぐ力は後からついてくることも多いです。
まとめ:プールを嫌がる子と、ゆっくり進めるために
ここまで、プールを嫌がる子の気持ちや、家庭でできる工夫についてお伝えしてきました。最後に、大切なポイントをまとめます。
プールを嫌がる子の気持ちと工夫を、あらためて整理する

この記事のポイント
プールを嫌がる理由は、水の感覚、音やにおい、過去の経験など、子どもによってさまざまです。見通しと「選べる」安心を用意し、お風呂や遊びを使って、お子さんのペースで少しずつ水に慣れていきましょう。
今日の「ここまでできたね」という小さな発見を、ぜひ一緒に喜んであげてくださいね。
水への気持ちは、一直線には進みません。昨日はできたのに、今日はできない、ということもよくあります。そんな日があっても、「また明日、少しずつね」と声をかけてもらえると、お子さんは安心して次の一歩を踏み出せます。
一人で抱え込まず、プールを嫌がる子と一緒に進んでいく

祖父母や習い事の先生など、周りの人に事情を伝えておくのも、気持ちが楽になる方法です。「水がちょっと苦手なので、ゆっくり進めたいんです」と一言伝えておくだけで、配慮してもらえることがあります。
保護者の方も、毎回プールの日をむかえるたびに、ドキドキしているかもしれません。そんなときは、「今日も一日がんばったね」と、自分自身にも声をかけてあげてください。
水への不安は、ゆっくり、その子のペースで少しずつ軽くなっていきます。あせらず、安心できるところから始めていきましょう。
アイキャッチ画像:Photo by Aditya Oberai on Pexels



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