歯医者を嫌がる子。理由と家庭での関わり方を解説

歯医者を嫌がる子。理由と家庭での関わり方を解説 保育園・幼稚園
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【この記事の信ぴょう性】

当ページの記事は、児童発達支援の現場経験を持つ鈴木日奈子(小学校教諭免許保有)が監修しています。

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歯医者を嫌がる子の気持ちと、つまずきやすい場面

こんにちは!おやまどの鈴木です。

歯医者さんの前まで来ると、急に足が止まってしまう。診察台に座るまでに、何度も泣いてしまう。「歯医者を嫌がる子には、どう声をかければいいのだろう」と、毎回ため息が出てしまう保護者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、歯医者を嫌がる子どもの気持ちや背景、ご家庭でできる準備や関わり方を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じているときの、ひと息つくきっかけになれば嬉しいです。

歯医者は、子どもにとって知らない場所、知らない人、知らない道具が一度にそろう場面です。大人でも少し緊張する場所ですから、嫌がる気持ちが出ても不思議ではありません。

歯医者を嫌がる理由は、子どもによってさまざまです。痛かった記憶が残っている子もいれば、口の中を触られる感覚そのものが苦手な子もいます。何をされるのか分からない不安が、いちばん大きいという子もいます。

まずは「どこで」「どんなときに」嫌がる気持ちが強くなるのかを、さりげなく見てみてください。入口の前なのか、待合室なのか、診察台に座ったときなのか。場面が分かると、準備のしかたが見えてきます。原因を決めつけず、お子さんの様子をていねいに見ていく姿勢が、いちばんの近道です。

口の中を触られる感覚が苦手で、体がこわばる

診察台と器具が並ぶ歯科医院の診療室
Photo by Cedric Fauntleroy on Pexels

歯医者を嫌がる理由のひとつに、口の中を触られる感覚の苦手さがあります。口のまわりは、体の中でも特に敏感な場所だと言われています。そこに、器具や指が入ってくるのですから、強い違和感を覚える子がいても自然なことです。

たとえば、ふだんの歯みがきでも、仕上げみがきを嫌がる子がいます。歯ブラシが奥に入るとえずいてしまう、唇や歯ぐきに触れられるとびくっとする、といった様子が見られることもあります。こうした場面があるお子さんは、歯医者さんでも体がこわばりやすいと考えられます。

また、口を大きく開け続けることは、思った以上に体力を使います。あごが疲れてしまう、唾液がたまって飲み込みにくい、息がしづらい。大人には何でもないことでも、小さな子どもには「がまんが必要なこと」が重なっています。

ここで大切なのは、「ちょっと口を開けるだけなのに」と思わないことです。開けられないのは、わがままではなく、体や感覚が全力で身を守ろうとしている姿だと受けとめてみてください。そう考えるだけで、声のかけ方がやわらかくなります。

家庭でできる小さな練習として、遊びの中で口まわりに触れる機会を増やす方法があります。たとえば、お風呂上がりにタオルで顔をふくときに、頬や唇をやさしくなでる。歯みがきの前に、指で頬をぷにぷにとつついて遊ぶ。こうした「触られても大丈夫だった」経験が少しずつ積み重なると、口の中への抵抗感がやわらぐこともあります。

もちろん、すぐに変化が出るとは限りません。お子さんのペースで、笑いながらできる範囲にとどめるのが続けるコツです。嫌がるそぶりが強いときは、その日はおしまいにして大丈夫です。

ほのママ
ほのママ

口を開けるだけなのに、うちの子、ぎゅっと閉じて動かなくなっちゃうの…。えへへ、わたしのほうが焦っちゃって…

ここわん
ここわん

焦る気持ちはわかるわん。でも、口を閉じるのは、子どもが自分を守っているサインでもあるわん。まずは「怖かったね」って気持ちを受けとめるところから始めるわん。

次に何をされるのか分からない不安が大きい

金属のトレイに並んだ歯科の器具
Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels

もうひとつ、歯医者を嫌がる子に多いのが、「見通しが立たない不安」です。診察台に座ったあと、何が始まって、いつ終わるのかが分からないと、子どもは身構えてしまいます。

歯医者さんでは、見たことのない道具が並んでいます。キーンという音がする機械、ライトの強い光、口の中にたまった水を吸う音。大人は「そういうものだ」と知っていますが、子どもにとっては、どれも初めて出会う未知のものです。

とくに、先のことを想像するのが得意でない子や、いつもと違う流れが苦手な子は、「次は何?」と考えて不安が膨らみやすいと言われています。診察台の上で固まってしまうのは、気持ちが追いつかなくなっているからかもしれません。

また、前回の記憶が強く残る子もいます。たとえば、治療のときに痛みを感じた、押さえられて怖かった、泣いたのに続けられた。こうした経験が一度あると、次回は入口の前から緊張が始まることもあります。

不安を少なくするには、「これから何をするか」を先に、短い言葉で伝えることが助けになります。長い説明はかえって混乱のもとになるので、「椅子に座るよ」「お口をあーんするよ」「先生が歯をかぞえるよ」のように、一つずつ区切って伝えてみてください。

歯医者さんのほうでも、「見せてから使う」「触る前に声をかける」といった工夫をしてくれることがあります。予約のときに、お子さんが不安を感じやすいことを一言伝えておくと、当日の対応がやわらかくなる場合もあります。

歯医者で嫌がる場面のチェックポイント

・入口の前で立ち止まる(場所への不安)
・待合室で落ち着かない(待つことへの不安)
・診察台に座るのを嫌がる(見通しへの不安)
・口を開けるのを嫌がる(感覚への抵抗)
・器具の音や光に反応する(刺激への敏感さ)

歯医者を嫌がる子のために、行く前にできる準備

絵本や写真で、歯医者さんの流れを先に知っておく

カラフルな絵本を見る子どもの手元
Photo by Marta Wave on Pexels

歯医者を嫌がる子には、行く前に流れを知っておく準備がとても役立ちます。いちばん取り入れやすいのが、絵本や写真、動画を使った「予習」です。

歯医者さんが出てくる絵本は、図書館や書店にたくさんあります。読み聞かせの時間に、「歯医者さんでは、こんなことをするんだね」と、一緒に眺めてみてください。怖がらせるのが目的ではないので、お子さんが興味を示したページだけを見るのでも十分です。

ほかにも、ぬいぐるみを患者さん役にして、「歯医者さんごっこ」をする方法があります。保護者の方が先生役になり、「お口をあーんしてくださいね」「かぞえますよ。1本、2本」と声をかけて、ぬいぐるみの口をのぞく。子ども自身が先生役になると、立場が逆になって、道具や流れへの親しみがわくこともあります。

歯医者さんの外観や待合室の写真を、スマートフォンで先に見ておく方法もあります。医院のホームページには、院内の様子や先生の写真が載っていることが多いです。「ここに行くんだよ」と見せておくだけでも、入口でのドキドキが少し軽くなるかもしれません。

こうした準備では、「痛くないよ」「こわくないよ」と言いすぎないことも大切です。痛みがあったときに、「うそだった」と感じてしまうと、信頼が下がってしまうことがあるからです。代わりに、「お口をあーんするよ」「ライトがぴかっと光るよ」のように、事実をそのまま伝える言い方を選んでみてください。

予習のあとは、「行ってみようか」と誘っても、すぐにうなずけない子もいます。その場合は、無理に約束を取りつけず、「また今度、見てみようね」と間をあけるのも一つの方法です。

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予約の時間帯や持ち物で、安心できる環境を整える

壁にかかった丸い時計
Photo by Erik Mclean on Pexels

準備では、予約の時間帯や持ち物の工夫も、思った以上に効果があります。小さな整え方でも、当日の気持ちの余裕が変わってきます。

時間帯は、お子さんが眠くなりにくく、お腹がすきすぎない時間を選ぶのがおすすめです。お昼寝の前後や、給食・食事の直前は、機嫌が崩れやすくなります。可能であれば、ゆったり過ごせる午前中や、休日の落ち着いた時間を選んでみてください。

また、予約の時間に余裕をもって着くことも大切です。ぎりぎりに着いて慌てると、保護者の方の焦りが子どもに伝わってしまいます。早めに着いて、待合室で少し遊んだり、院内の様子を眺めたりする時間があると、気持ちが落ち着いてから診察室に向かえます。

持ち物としては、お気に入りのぬいぐるみやタオルを一緒に持っていく方法があります。診察台の上で手に持っていてもよいか、先に先生へ聞いておくと安心です。握るものがあるだけで、手の置き場がなくて不安になる気持ちが軽くなる子もいます。

予約の電話や受付のときに、「歯医者さんに慣れていなくて、緊張しやすい子です」と伝えておくのも一つの方法です。初回は、見るだけ・座るだけで終わる日にしてもらえるかどうか、相談できる医院もあります。無理に治療へ進まず、まず「ここは怖い場所じゃない」と感じる経験を重ねることを大切にしてみてください。

ただし、医院によって対応はさまざまです。ホームページで小児への対応を紹介していないか、口コミを読んでみるのも参考になります。お子さんの様子に合う場所が見つかるまで、ゆっくり探して大丈夫です。

ほのママ
ほのママ

予約のときに「緊張しやすい子です」って伝えてもいいのかな?なんだか迷惑かもって思っちゃって…

ここわん
ここわん

伝えて大丈夫わん。子どもの様子を先に知っておけば、お医者さんもやさしく関われるわん。むしろ、ありがたい情報わん!

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歯医者を嫌がる子への、当日の声かけと関わり方

待合室での過ごし方と、診察前の声かけ

白い椅子が並ぶ待合室
Photo by Jan van der Wolf on Pexels

当日、いちばん気持ちがゆれやすいのが待合室の時間です。待っているあいだに不安が膨らんでしまう子は、少なくありません。待つ時間を、少しでも安心して過ごせるものにしてあげたいですね。

待合室では、お気に入りの絵本や小さなおもちゃを使って、気持ちをそらす方法があります。しりとりや、指遊びのような、声を出さずにできる遊びも取り入れやすいです。歯医者さんのことばかり話題にするより、ふだんの楽しい話をするほうが、気持ちが落ち着く子もいます。

名前を呼ばれる直前は、保護者の方も緊張しやすいタイミングです。深呼吸をしながら、「ママ(パパ)もここにいるよ」と伝えると、子どもは安心しやすくなります。「がんばってね」より、「一緒にいるよ」のほうが、気持ちを軽くする声かけになることがあります。

診察室に入るときは、先生や衛生士さんにお子さんの名前で声をかけてもらえると、場の空気がやわらぎます。保護者の方からも、「今日は座るところまでできたらいいね」と、小さな目標を伝えておくと、結果にこだわりすぎずに済みます。

もし診察室の前で足が止まってしまったら、少し待ってあげてください。「いやだね」「どきどきするね」と、気持ちを言葉にして受けとめるだけで、動き出せることもあります。無理に引っぱったり、強く叱ったりすると、次回以降の不安がさらに強くなってしまうことがあるためです。

それでも動けないときは、その日はお休みにして、また別の日に仕切り直すことも選択肢のひとつです。「今日は無理だった」と判断することも、子どもを守る大切な関わり方だと考えてみてください。

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診察中の関わり方と、がんばったときの伝え方

白い歯ブラシが並んだ大理石の台
Photo by Tara Winstead on Pexels

診察室に入ってからは、保護者の方がそばにいられる環境かどうかで、安心感が大きく変わります。手をつなぐ、足にそっと触れるなど、体のどこかが保護者の方とつながっていると、落ち着く子もいます。

診察中は、保護者の方も不安になりがちですが、できるだけやさしい表情と、ゆっくりした声を心がけてみてください。子どもは、保護者の方の顔色をよく見ています。笑顔や落ち着いた声が見えるだけで、「大丈夫なんだ」と感じとる子もいます。

先生が声をかけたり、道具を見せたりしてくれているときは、「見せてくれてるね」「あーんできるかな」と、その流れに沿った声をかけます。保護者の方があれこれ指示を出しすぎると、子どもが混乱してしまうので、声をかける人は先生を中心にして、保護者の方は見守り役に回るのも一つの方法です。

そして、診察が終わったら、どんな小さなことでもほめるのがおすすめです。「入口まで来られたね」「椅子に座れたね」「お口、ちょっとだけ開けられたね」。結果ではなく、そこにいたこと、挑戦したことを認めてあげてください。たとえ泣いてしまったとしても、「怖いのによく来たね」と声をかけるだけで、次への気持ちが変わることがあります。

また、ご褒美を用意する場合は、「泣かなかったらあげる」という条件にしないことがポイントです。泣いてしまった日にもらえないと、「やっぱり嫌な場所だ」という気持ちが残るからです。「行けたね」という事実に対して、シールをはる、帰りに好きな公園に寄るなど、ささやかなお楽しみを用意する形がおすすめです。

「泣いたらご褒美なし」「ちゃんとしないと置いていく」といった声かけは、歯医者への怖さをさらに強めてしまうことがあります。

「来られたね」「見ていてえらかったよ」と、できたところを具体的に言葉にして伝えるほうが、次の一歩につながりやすくなります。

まとめ:歯医者を嫌がる子と、ゆっくり慣れていくために

終わったあとのふり返りと、次の予約までの過ごし方

ピンク色の卓上にある目覚まし時計とカレンダー
Photo by Towfiqu barbhuiya on Pexels

歯医者に行ったあとの時間も、子どもの気持ちを整えるうえで大切な時間です。終わったあとの過ごし方で、次回の受けとめ方が変わってきます。

診察が終わったら、家に帰ってから、「今日はどんなことをしたかな」と、一緒にふり返ってみましょう。「ライトがぴかっとしたね」「お口の中をかぞえてもらったね」と、できごとを事実のまま話すことがポイントです。怖かったことを話してくれたときは、否定せずに「そうだったんだね」と受けとめてください。

次の予約までの間に、カレンダーに印をつけて、「あと何日で歯医者さんだね」と見通しを共有しておくのもおすすめです。急に告げるよりも、少し前から知っていたほうが、気持ちの準備ができる子もいます。ただし、あまり早くから伝えると、不安が長引いてしまう子もいるので、お子さんの様子を見ながら調整してみてください。

ふだんの歯みがきの時間を、歯医者さんへの練習の機会にすることもできます。「ここは先生がみてくれたところだね」「きれいにみがけているよ」と声をかけながら、楽しい雰囲気でみがくと、口の中のケアそのものに前向きな気持ちがわいてきます。

また、通う頻度を少し見直すのも一つの方法です。治療が続く間は短い間隔で通うことになりますが、定期的に、短い時間で慣れる日を作るほうが、気持ちが楽になる子もいます。通院のペースについては、医院の先生と相談しながら、お子さんに合う形を探してみてください。

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ほのママ
ほのママ

今日は入口まで行けたよ!ちょっとだけでも、えらいよね。えへへ、わたしもほめられたいな〜

ここわん
ここわん

もちろんえらいわん!ほのママも、毎回付き添っていて、よくがんばっているわん。ごほうびのおやつ、ひと口もらうといいわん!

保護者の気持ちも大切に。一人で抱え込まないために

砂浜を歩く大人と子どもの後ろ姿
Photo by Lucas Pezeta on Pexels

歯医者を嫌がる子と向き合う日々は、保護者の方にとっても、心も体もくたびれるものです。泣いている子を見るのはつらいですし、周りの目が気になって、焦ってしまう日もありますよね。

そんなときは、「今日は座れた」「入口まで行けた」といった小さな一歩に、目を向けてみてください。昨日より少しでも進めたのなら、それは大きな前進です。うまくいかなかった日があっても、それは失敗ではなく、お子さんの気持ちを知るための大切な材料になります。

「周りの子はできているのに」と比べてしまう気持ちが出てくることもあります。でも、歯医者への慣れ方には、とても個人差があります。感覚の敏感さ、これまでの経験、そのときの体調や気分など、さまざまなことが影響しているからです。

ご家庭の中だけで抱え込まず、同じ悩みを持つ保護者の方とお話ししたり、園や学校の先生に相談したりするのも、一つの方法です。「うちもそうだったよ」という一言に、気持ちが軽くなることがあります。一人で抱え込まなくて大丈夫です。

歯医者を嫌がる子との時間は、ゆっくり、少しずつ前に進んでいくものです。焦らず、お子さんのペースで、「ここは怖いだけの場所じゃないんだ」と感じられる経験を積み重ねていきましょう。

この記事のポイント
歯医者を嫌がる理由は、感覚の敏感さ、見通しの立たない不安、これまでの記憶など、子どもによってさまざまです。行く前の予習、時間帯や持ち物の工夫、当日のやさしい声かけ、そして終わったあとのねぎらいを、できる範囲で取り入れてみてください。

今日の小さな一歩を、ぜひご自身もほめてあげてくださいね。

アイキャッチ画像:Photo by Daniel Frank on Pexels

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