着替えが遅い子の気持ちと、つまずきやすい場面
こんにちは!おやまどの鈴木です。
朝の支度や、お風呂のあと、体育の前後。毎日のように必要になる着替えですが、「うちの子は着替えが遅くて、毎朝バタバタしてしまう」「声をかけても、パジャマのまま遊んでいる」と悩む保護者の方は少なくありません。季節の変わり目で服の枚数がふえる秋は、とくに着替えに時間がかかりやすいと感じるかもしれません。
この記事では、着替えが遅い子どもの気持ちや背景、ご家庭でできる関わり方を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じているときの、ひと息つくきっかけになればうれしいです。
着替えが遅い子の中には、「やる気がない」のではなく、手順の途中で気持ちがそれてしまったり、服の感触が気になってなかなか袖を通せなかったりする子もいます。周りの子と比べられて、気持ちが小さくなってしまうこともあります。
まずは、いつから着替えに時間がかかるようになったのか、どの場面で手が止まるのかを、日々のやりとりの中でさりげなく見てみてください。原因を決めつけず、お子さんの様子をていねいに集めることが、関わり方のヒントになります。
朝は、ほかにも支度や準備が重なる時間帯です。保護者の方も、出かける時間が気になって、つい「早く!」と言いたくなるものです。その気持ちはとても自然なものですが、着替えが遅いことの背景には、その子なりの理由があるかもしれないと考えると、見方が少し変わるかもしれません。
眠気や気持ちの切りかえに、時間がかかる

着替えが遅い理由のひとつに、朝の眠気や、気持ちの切りかえの難しさがあります。目が覚めてからすぐに体が動き出す子もいれば、ゆっくり目覚めて、しばらくぼんやりする子もいます。体のリズムには個人差があると言われています。
また、遊びの途中や、好きな番組を見ている途中に「着替えなさい」と言われても、気持ちがすぐに切りかわらない子もいます。切りかえに時間がかかるのは、集中して楽しんでいる証拠ともいえます。
よくある例として、パジャマを脱いだところで動きが止まる、服を手に持ったまま別のことを始めてしまう、「あと少し」と言ったまま動かない、といった場面があります。これらは、さぼっているのではなく、次の行動にうつる準備に時間がかかっているサインということもあります。

ほのママ:毎朝「早く着替えて!」って言ってるのに、全然動かないのよね…。わたし、てっきりやる気がないんだと思ってた。

それは違うわん!動きが止まっている間に、頭の中でいろいろ考えているのかもしれないわん。まずは様子を見てあげるわん。
切りかえをやさしくするためには、いきなり「着替えなさい」と言うよりも、少し前に予告しておく方法があります。「あと5分でお着替えだよ」「この番組が終わったら着替えようね」と伝えておくと、心の準備ができる子もいます。
また、起きてすぐに着替えを始めるのではなく、朝ごはんを食べてから着替える、顔を洗ってから着替える、といった順番に変えると、体が目覚めてから動きやすくなる子もいます。家庭ごとの朝の流れに合わせて、無理のない順番を探してみてください。
「早く」という声かけで、かえって手が止まる

着替えが遅いと、つい「早く!」「急いで!」と言いたくなります。ただ、急かされるほど、かえって動けなくなる子もいます。焦る気持ちが強くなると、手順を思い出せなくなったり、緊張して体がこわばったりすることがあるためです。
「早く」は、何を、どのくらい急げばいいのかがあいまいな言葉でもあります。「今、何をすればいいのか」が分からなくなって、固まってしまう子もいます。大人には分かりやすい言葉でも、子どもには伝わりにくいことがあります。
たとえば、「早く着替えて」と言われて、とりあえずズボンを手に取るものの、上着と間違えてしまい、また最初からやり直す、といった場面があります。何度もやり直すうちに、さらに時間がかかり、気持ちも落ち込んでしまうことがあります。
急かしたくなるときは、「早く」の代わりに、具体的な行動を一つだけ伝える方法があります。「まずは上着を着ようか」「ズボンをはいたら教えてね」など、次にすることがはっきり分かる声かけは、動きやすさにつながります。
時間に余裕をもつことも大切です。いつもより10分早く起こす、前の日に服を準備しておくなど、保護者の方の気持ちにもゆとりが生まれる工夫を取り入れてみてください。
時間に余裕があると、お子さんが途中で手を止めてしまっても、保護者の方が穏やかに待ちやすくなります。待ってもらえた経験は、「自分のペースでやっていいんだ」という安心感につながり、結果として動き出しやすくなる子もいます。
着替えが遅い背景をひもとく
着替えが遅い背景には、いくつかの要素が重なっていることがあります。ここでは、保護者の方がよく気にされる2つの切り口から見ていきます。
ボタンやファスナーなど、手先の動きが負担になる

着替えには、ボタンを留める、ファスナーを上げる、スナップを合わせる、など、手先を細かく動かす場面がたくさんあります。手先の動かし方には、一人ひとり得意・不得意があると言われています。細かい作業に時間がかかる子にとって、着替えは負担の大きい時間です。
ボタンは、穴を見つけて、ボタンをつまんで、斜めに通して、引き出す、という手順が必要です。見ながらやっても難しいのに、服を着たままだと、手元が見えにくく、さらに大変になります。
よくある例として、ボタンを留めるのに途中であきらめてしまう、ファスナーの先を合わせられない、かぶりの服で頭が出てこなくて固まってしまう、といった場面があります。これらは、できないのではなく、やりにくい場面があるのだと考えてみてください。

ほのママ:ボタンって、そんなに難しい動きだったの?大人は何も考えずにやってるから、気づかなかったわ…。

気づけたのは大きな一歩わん!「できない」ではなく「やりにくい」と分かると、手伝い方も変わってくるわん。
ご家庭では、ボタンやファスナーが少ない服、かぶりやすい服、ゴムのズボンなど、着やすい服を選ぶのもひとつの方法です。園や学校の服装に決まりがある場合は、家で過ごす時間に着やすい服を選ぶだけでも、負担がやわらぐことがあります。
練習したいときは、遊びの中でボタンはめを取り入れる方法もあります。ぬいぐるみの服やおもちゃのボタンで遊ぶと、「練習」と感じにくく、楽しみながら慣れていけます。
ファスナーも同じです。最初は保護者の方が先を合わせて、最後に上げるところだけお子さんにまかせる、という分担から始める方法があります。「ここまでは自分でできた」という部分が少しずつふえていくと、自信にもつながります。
服の感触や肌ざわりが気になる

着替えが遅いとき、実は服の感触や肌ざわりが気になっている子もいます。タグのちくちく、縫い目のごろごろ、首まわりのきつさ、靴下の足先の縫い目など、大人は気にならないことでも、強く感じる子がいると言われています。
感覚の感じ方には個人差があります。「ちょっと我慢すればいいのに」と思ってしまうかもしれませんが、その子の感じ方を受け止めるところから始めてみてください。感覚が気になって、毎朝の着替えがつらいと感じている子もいます。
たとえば、特定の服しか着たがらない、新しい服をいやがる、靴下をはくのに何度もやり直す、首まわりを引っぱって気にする、といった様子が見られることがあります。無理に慣れさせようとすると、着替えそのものが嫌いになってしまうこともあります。
「これなら大丈夫」という服が見つかると、着替えの時間がぐっとスムーズになることもあります。お子さんの意見を聞きながら、着心地のよい服を少しずつふやしていってみてください。
学校の先生に相談できる場合は、「服の感触が気になることがあります」と、具体的に伝えておくのも一つの方法です。体操服の着替えで配慮をしてもらえることもあります。

手先を使う動きが気になるときは、靴ひもが結べない子の記事でも取り上げています。苦手の理由を一緒に整理するヒントになるかもしれません。
着替えが遅い子への、家庭での関わり方
着替えが遅い子には、「早くさせる」ことよりも、「安心して取り組める環境をつくる」ことが大切だと言われています。ご家庭で取り入れやすい工夫を見ていきましょう。
手順を見える形にして、置き場所を整える

着替えは手順が多いため、頭の中で順番を覚えておくのが負担になる子もいます。そこで、着替えの手順を絵や写真で見える形にして、壁に貼っておく方法があります。「パジャマをぬぐ、下着を着る、シャツを着る、ズボンをはく」など、順番が目で見て分かると安心です。
服の置き場所も、整えておくと動きやすくなります。着る順番に服を重ねておく、前の日の夜に翌日の服を出しておく、お子さんの手が届く高さにフックを設ける、といった工夫があります。「どれを着ればいいか」迷う時間が減ります。
服を選ぶ時間が長くなる子には、あらかじめ2着だけ出しておき、その中から選んでもらう方法もあります。選択肢を絞ることで、迷いが減り、決めやすくなる子もいます。

ほのママ:前の日に服を出しておけば、朝の「どれにする?」がなくなるのね。これならわたしにもできそう、えへへ。

そのとおりわん!朝の負担を前の日に減らしておくことが、いちばんの近道わん。親子で楽しみながら試すわん。
手順表は、できたらシールをはる、チェックを入れるなど、お子さんが達成感を味わえる形にするのもおすすめです。大切なのは、見張られている感じにならないよう、本人と一緒につくることです。
慣れてきたら、少しずつ手順を減らしたり、お子さんに考えてもらったりしながら、自分で進める力を育てていけるとよいですね。
手順表を貼る場所は、着替える場所の近くがおすすめです。目に入りやすい高さに貼ると、保護者の方が声をかけなくても、自分で見て確かめられるようになります。お子さんが気に入った絵やイラストを使うと、見るのが楽しみになる子もいます。
できたところをほめて、気持ちに余裕をつくる

着替えに時間がかかる子にとって、いちばん力になるのは、結果ではなく「やってみたこと」を見てもらえることです。「自分でズボンをはけたね」「ボタンが2つ留まったね」と、取り組んだ過程に目を向けて声をかけてみてください。
「早くできたね」だけでは、うまくいかなかったときに、本人が「早くできないとだめなんだ」と受け取ってしまうこともあります。「ここまで自分でやれたね」「袖に腕が通ったね」と、具体的に伝えると、ほめ言葉が届きやすくなります。
また、時計やタイマーを使うのも、ひとつの方法です。ただし、競争のようにすると焦ってしまう子もいるため、「この曲が終わるまでに着替えよう」など、楽しくできる形に工夫してみてください。
朝の支度全体がバタバタするときは、着替え以外の部分も見直してみてください。持ち物の準備を前の日に済ませる、朝ごはんの時間を決めておく、など、全体の流れを整えると、着替えにも余裕が生まれます。
今日はうまくいかなかったという日があってもかまいません。完璧を目指さず、「昨日より少しできた」を数えていくことが、続けるコツです。

朝の支度全体が気になるときは、こちらの記事も参考になります。朝の流れを整えるヒントを、別の視点から見てみてください。
まとめ:着替えが遅い子と、あせらず向き合う
着替えが遅い気持ちは、その子なりの理由から生まれます

着替えが遅い背景には、「眠気や切りかえの難しさ」「急かされることによる緊張」「手先の動きの負担」「服の感触の気になり方」など、さまざまな理由があると言われています。どれも、その子なりに一生懸命取り組んでいるからこそ生まれる状態です。
着替えは毎日のことだからこそ、保護者の方の負担も大きくなりがちです。「どうして毎日こうなんだろう」と、ため息が出る日もあるかもしれません。ただ、「着替えが遅い」ことが、お子さんの価値を決めるものではありません。
保護者の方も、「このまま遅いままだったらどうしよう」と不安になることがあるかもしれません。そんなときは、ひとりで抱え込まず、先生や、同じ年ごろのお子さんをもつ保護者の方と話してみてください。「うちもそうだよ」と聞くだけで、気持ちが軽くなることもあります。
着替えは、成長とともに手先の動きや段取りに慣れ、少しずつスムーズになっていく子も多い活動です。今の姿だけで、これからのことが決まるわけではありません。
今日からできる、小さな一歩

今日からできる一歩として、まずは「早くできたか」ではなく「自分で一つできたこと」に目を向けて、言葉にして伝えることから始めてみてはいかがでしょうか。「袖に腕が通ったね」の一言だけで、お子さんの表情が変わることがあります。
園や学校での様子が気になるときは、連絡帳や個人面談で、先生に「着替えの時間はどんな様子ですか」と聞いてみる方法もあります。家での様子と学校での様子を共有すると、お互いに関わり方のヒントを得やすくなります。
ひと息つくためのチェックポイント
・着替えが遅い理由は、一人ひとりちがうと受け止める
・「早く」の代わりに、次にすることを一つだけ伝える
・手順を見える形にして、前の日に服を準備しておく
・できたところを見つけて、言葉にして伝える

ほのママ:着替えが遅くても、ちゃんと理由があるのね。うちの子の止まっている時間も、ゆっくり見守ってみるわ。

その調子わん!大丈夫、一緒に考えるわん。お子さんのペースで、少しずつ朝の時間が楽になっていくわん。
お子さんの「好き」や「得意」は、着替えの外にもたくさんあるはずです。着替えに時間がかかっても、お絵かき、お手伝い、おしゃべりなど、お子さんが得意な場面を、ぜひたくさん見つけてあげてください。
アイキャッチ画像:Photo by Rachel Claire on Pexels



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