靴ひもが結べない子。理由と練習のコツを解説

靴ひもが結べない子。理由と練習のコツを解説 保育園・幼稚園
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【この記事の信ぴょう性】

当ページの記事は、児童発達支援の現場経験を持つ鈴木日奈子(小学校教諭免許保有)が監修しています。

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靴ひもが結べないと感じる子どもの気持ち

こんにちは!おやまどの鈴木です。

まわりの子が当たり前のようにやっている靴ひも結びが、うちの子だけなかなかできない。そう感じて、どう教えたらいいのか分からず悩んでいる保護者の方もいるのではないでしょうか。園や学校で「自分で結べるように」と言われると、なおさら焦ってしまいますよね。

靴ひもが結べないことには、いくつかの理由が重なっていることがあります。この記事では、靴ひもが結べない子がどんな気持ちでいるのか、そして家庭でできる練習の工夫について、順番にご紹介していきます。

靴ひも結びは、指先を細かく動かす「微細運動」と、いくつもの手順を順番どおりに覚える「段取りの記憶」を同時に必要とする、実は難しい動作です。年長〜小学校低学年ごろにかけて少しずつできるようになる子が多いと言われていますが、時期には個人差があります。

「結べない」ことにいらだったり、自信をなくしたりする

ピンク色の床に置かれた、白い靴ひもの黒いスニーカー2足の写真
Photo by alleksana on Pexels

靴ひもが結べない子は、何度も挑戦しては上手くいかず、そのたびに小さながっかりを積み重ねていることがあります。本人はふざけているわけでも、練習をさぼっているわけでもなく、一生懸命やってもうまくいかないだけということも少なくありません。

手が思うように動かず、途中で結び目がほどけてしまうと、「なんでできないんだろう」という気持ちが積み重なってしまうこともあります。イライラした様子を見せたり、途中で靴を投げ出してしまったりする姿は、決してわがままなのではなく、うまくいかないもどかしさの表れであることも多いようです。

よくある例として、園から帰ってきてすぐに練習をさせようとすると、疲れているタイミングと重なって、余計にうまくいかないということもあります。うまくいかない経験が続くと、「どうせできない」と挑戦する前からあきらめてしまう子もいます。そうなる前に、うまくいかない気持ちにまず寄り添い、「今日はここまでできたね」と、できた部分に目を向けてあげることが、次への意欲につながります。

ほのママ
ほのママ

うちの子、靴ひもがなかなか結べなくて、そのたびにイライラして靴を投げちゃうんです…。

ここわん
ここわん

それはサボってるんじゃなくて、うまくいかなくて悔しいだけなんだわん。まずはその気持ちを分かってあげるだけでも、ずいぶん違うわんよ。

まわりの子と比べて落ち込んでしまうことも

海の見えるベンチに一人で座り、後ろ姿でこちらを向いていない子どもの写真
Photo by Beyza Yıldız on Pexels

園や学校で、まわりの友達がすいすいと靴ひもを結んでいるのを見て、「自分だけできない」と感じてしまう子もいます。子ども自身がそれを言葉にしなくても、表情や態度から落ち込んでいる様子が伝わってくることもあるでしょう。

できる・できないを友達と比べてしまうのは、子どもにとって自然な反応です。ただ、比べる気持ちが強くなりすぎると、「自分はダメなんだ」という思い込みにつながってしまうこともあります。できないことよりも、今どこまでできているかに目を向けることが、子どもの気持ちを支える一歩になります。

「みんなはできるのに、自分だけ」という気持ちは、頭ごなしに否定するよりも、「気になっちゃうよね」と一度受け止めてあげるほうが、子どもの心が落ち着きやすいと言われています。そのうえで、「去年よりも輪っかを作るのが上手になったね」など、その子自身の中での成長を具体的に伝えると、比べる気持ちが少しずつ和らいでいくこともあります。友達と同じ速さでできるようになることよりも、その子なりのペースで前に進んでいることを、まず認めてあげたいところです。

家庭では結べているのに、園や学校では緊張して結べなくなる、という子もいます。場所によって様子が変わるのは珍しいことではなく、まわりの目が気になる場所ほど、手先の力が発揮しにくくなることもあるようです。園や学校の先生と、家庭での様子を共有しておくと、園でも無理をさせすぎない配慮をしてもらいやすくなります。

靴ひもが結べない理由とは

靴ひもが結べない理由は、一つとは限りません。ここでは、よく見られる2つの理由をご紹介します。理由が分かると、どう関わればいいかも見えやすくなります。

手先の微細運動の発達が関係していることがある

木製のひも通しのおもちゃで遊ぶ子どもの手元の写真
Photo by kaboompics.com on Pexels

靴ひも結びには、指先を細かくコントロールする「微細運動」の力が必要です。この力の育ち方には個人差があり、同じ年齢でも得意・不得意に差が出やすいと言われています。ボタンをとめる、はさみを使う、お箸を持つといった動作も、同じ微細運動の力を使う動きです。

指先の力の入れ方や、両手を別々に動かす協調運動も、靴ひも結びには欠かせません。片手でひもを押さえながら、もう片方の手で輪を作る、という動きは、大人にとっては当たり前でも、子どもにとっては両手を別の役割で同時に動かす、高度な作業です。この協調の力は、積み木やパズル、粘土遊びなど、日常のさまざまな遊びの中で少しずつ育っていくと言われています。

手先が不器用なことについては、こちらの記事でもくわしく取り上げています。あわせて参考にしてみてください。

手先が不器用な子と発達障害は関係あるの?原因と今日からできる対処法
手先が不器用な子と発達障害の関係を解説。DCD・ADHD・ASD・LDなど特性別の原因から、道具の工夫・遊び・粗大運動・スモールステップまで今日からできる対処法を徹底紹介。

微細運動が苦手だと、靴ひも以外にも困りごとが増えてしまうのでしょうか?

そうとは限りません。微細運動の育ち方は一人ひとり異なり、得意な動きと苦手な動きがあるのは自然なことです。靴ひもだけがうまくいかず、他の細かい作業は問題なくできる子もいます。苦手さの出方は、その子によってさまざまです。

結ぶ手順が複雑で、覚えにくいことも

大人が子どもの白いスニーカーの靴ひもを結んであげている手元の写真
Photo by KATRIN BOLOVTSOVA on Pexels

靴ひも結びは、輪を作る、もう片方のひもを巻きつける、輪の中に通す、といった複数の工程を、決まった順番どおりに進める動作です。一つひとつの動きは単純でも、順番を覚えて続けて行うのは、子どもにとって思っている以上に難しいことがあります。

大人が「見せて教える」だけでは、途中の細かい手の動きが速すぎて、子どもがついていけないこともあります。よくある例として、最初の輪までは作れるのに、そこから先で毎回止まってしまうというケースもあります。どの工程でつまずいているのかを見てあげることが、次の練習方法を考える手がかりになります。

また、言葉での説明だけでは、動きをイメージしにくい子もいます。「ちょうちょ結び」「うさぎの耳」といった言い回しも、子どもによってはかえって混乱のもとになることがあります。目で見て、手を添えて一緒に動かしてみるなど、その子に合った教え方を探っていくことが、遠回りのようでいちばんの近道になることもあります。

大人が向かい合って結んで見せると、子どもから見た動きが左右反対になってしまい、余計に分かりにくくなることもあります。子どもの後ろや横に並んで、同じ向きで一緒に手を動かしてみると、目で見た動きと自分の手の動きが一致しやすくなります。鏡の前で一緒に練習するのも、動きを確認しやすい方法の一つです。

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靴ひもが結べないときの練習のしかた

理由が見えてきたら、次は練習の工夫です。ここでは、家庭で取り入れやすい2つの方法をご紹介します。どちらも、今日からできる小さな工夫です。

ひも結びの工程を分けて練習する

部屋の中で白いスニーカーを履いて立つ子どもを上から写した写真
Photo by cottonbro studio on Pexels

最初から最後まで一気に教えようとせず、工程を小さく分けて、一つずつできるようになったら次に進む方法があります。「最初の輪を作る」だけを何日か練習し、それができるようになってから「輪にもう片方を巻きつける」を練習する、というように段階を分けると、子どもも達成感を積み重ねやすくなります。

工程を分けるときの目安

・1つ目の輪を作る練習
・輪にもう片方のひもを巻きつける練習
・輪の中にひもを通して引く練習

一度にすべてができなくても構いません。できた工程を「ここまでできたね」と一緒に確認しながら進めると、子ども自身も次に何を練習すればいいのか分かりやすくなります。

練習の回数は、1日1回、数分だけでも十分です。短い時間でも毎日続けるほうが、たまに長時間練習するよりも身につきやすいと言われています。うまくいかない日があっても、「今日はここまでにしよう」と区切りをつけて、翌日また少しずつ取り組む形にすると、子どもも大人も無理なく続けられます。

練習に付き合う大人自身も、つい「まだできないの」と口に出しそうになることがあるかもしれません。そんなときは、いったん一呼吸おいて、「昨日よりここが上手だったよ」と、できている部分に目を向け直してみてください。大人の余裕のなさは、思っている以上に子どもに伝わりやすいものです。教える側の気持ちが穏やかであるほど、子どもも安心して挑戦しやすくなります。

見て・触って覚えられる練習グッズを使う

木製のボードに輪ゴムをかけて遊ぶ子どもの手元の写真
Photo by Ivan S on Pexels

実際の靴で練習すると、足の角度や靴の重さも加わって、動きが難しくなりがちです。まずは、大きめのひも通しボードや、輪ゴムを使ったボードなど、手先を使う遊びの延長として練習グッズを取り入れると、力の入れ方やひもの動かし方に慣れやすくなります。

はさみの一回切りの練習と同じように、遊びの中で少しずつ手先の動きに慣れていくことが、靴ひも結びの土台にもつながります。関連する記事もあわせてご覧ください。

大きめのひもや、色の違う2本のひもを使うと、どちらの手がどちらのひもを動かしているのかが分かりやすくなり、動きをイメージしやすくなることもあります。100円ショップや手芸店で手に入る太めのひもと厚紙で、家庭でも簡単に練習ボードを手作りできます。子どもと一緒に道具を作るところから始めるのも、楽しく取り組むきっかけになります。

練習用の絵本や、ひも結びの手順を歌にした動画なども市販・公開されています。文字や口頭での説明が苦手でも、リズムや歌で手順を覚えるのが得意な子もいます。いろいろな方法を試しながら、その子が一番のみこみやすい形を探ってみると、練習そのものへの抵抗感も減っていきやすくなります。

子どもがはさみの一回切りを覚える練習方法は?上達する教え方7選
はさみの一回切りがうまくできない子の理由を特性別に解説。グレーゾーン・発達障害の子に効果的な教え方7選と、家でできる指先トレーニングも紹介します。
ほのママ
ほのママ

いきなり靴で練習させてたけど、遊びのグッズから始めてもいいんですね。

ここわん
ここわん

そのとおりだわん!遊びながら慣れていくほうが、本人もプレッシャーを感じにくいわんよ。

靴ひもが結べない子への家庭でのサポート

練習と合わせて、日常の中でできるサポートもあります。ここでは、無理なく続けられる2つの工夫をご紹介します。

朝の忙しい時間は無理に練習しない

玄関の靴棚に並んだスニーカーに、朝日が差し込んでいる写真
Photo by Ngeow Shen Sin on Pexels

登園・登校前の忙しい朝は、時間に追われて、つい「早く結んで」と急かしてしまいがちな時間帯です。焦っているときほど、子どもの手も余計にうまく動かなくなってしまうこともあります。

時間に追われながらの練習は、うまくいかない経験だけが積み重なりやすく、靴ひも自体への苦手意識を強めてしまう原因にもなりかねません。練習する時間と、出かける準備をする時間は、できるだけ分けて考えるのがおすすめです。朝はスムーズに出かけることを優先し、練習は気持ちに余裕のある別の時間にまわすだけでも、親子のやり取りがぐっと穏やかになります。

前の晩に、翌日履く靴をあらかじめ玄関にそろえておくだけでも、朝のバタバタは減らせます。時間に余裕があるときに「今日はここだけ練習してみようか」と声をかけると、子どもも身構えずに取り組みやすくなります。練習する曜日や時間をあらかじめ決めておくのも、日常の中に無理なく組み込むコツの一つです。

練習は、休日の朝や、お風呂上がりなど時間に余裕のあるタイミングに取り入れるのがおすすめです。朝は大人が結んであげて、練習は別の時間に分けるだけでも、親子どちらの負担も軽くなります。

忙しい朝に「なんでまだ結べないの」と繰り返し伝えるのは避けたいところです。急かされる経験が重なると、靴ひも自体への苦手意識が強くなってしまうことがあります。

マジックテープなど代わりの選択肢も取り入れる

玄関で大人がマジックテープのピンクの靴を子どもに履かせている写真
Photo by Kamaji Ogino on Pexels

靴ひもにこだわらず、普段はマジックテープ(面ファスナー)タイプの靴を選ぶという方法もあります。マジックテープの靴なら、自分で履いて留める動作を通して、自立して身支度をする経験を積むことができます。

「靴ひもが結べるようにならなければ」と焦らなくても大丈夫です。日常の靴はマジックテープにして、靴ひも結びはゆっくり練習する時間に取り組む、というように分けて考えると、気持ちに余裕が生まれやすくなります。伸びるゴムひもタイプの靴ひもも市販されているので、選択肢の一つとして知っておくと安心です。

最近は、見た目はひも靴でも、実際はマジックテープで留める仕組みになっているデザインの子ども靴も増えています。「ひも靴っぽい見た目にしたい」という子どもの気持ちにも応えられるので、園や学校の指定がある場合は、そうした靴を探してみるのも一つの方法です。道具の力を借りることは、決して「できない」ことをごまかすことではなく、子どもが自分でできる経験を積むための、前向きな工夫だと言えます。

ほのママ
ほのママ

マジックテープの靴に変えるだけでも、朝がだいぶラクになりそうです!

ここわん
ここわん

結べる・結べないだけにとらわれなくていいんだわん。自分で身支度できることのほうが、実はずっと大事なんだわんよ。

まとめ:靴ひもが結べない子と、あせらず向き合う

ここまで、靴ひもが結べない子の気持ちや理由、家庭でできる練習の工夫についてご紹介してきました。最後に、大切なポイントを振り返っておきましょう。

靴ひもが結べないのは、よくあること

緑の芝生の公園を後ろ姿で走る子どもの写真
Photo by Anastasia Shuraeva on Pexels

靴ひもが結べないことは、決して珍しいことではありません。微細運動の育ち方や、手順を覚える難しさなど、その背景には子どもなりの理由があります。できないことを責めるより、どこまでできているかに目を向けることが、向き合いの第一歩になります。まわりの子と比べて焦らなくても、その子のペースで少しずつ進んでいけば大丈夫です。

できるようになる時期は、その子によって本当にさまざまです。年長さんのうちに結べるようになる子もいれば、小学校に入ってから少しずつ身につけていく子もいます。「いつまでにできるようにならなければ」と期限を決めて焦る必要はありません。今できることと、まだ練習中のことを分けて考えられると、保護者自身の気持ちも楽になりやすいでしょう。

できないことが続くと、保護者のほうも「自分の教え方が悪いのだろうか」と、責任を感じてしまうことがあります。でも、靴ひも結びが難しく感じる子は珍しくありません。うまくいかない日があっても、それは教え方の問題ではなく、その動作そのものが子どもにとって難しいだけ、ということも多いのです。保護者自身を責めなくて大丈夫です。

今日からできる小さな一歩

落ち葉が散る公園の道を後ろ姿で歩くレインコート姿の子どもの写真
Photo by Atlantic Ambience on Pexels

工程を分けて練習したり、練習グッズを取り入れたり、時にはマジックテープの靴に頼ったりと、方法はいくつもあります。すべてを一度に試そうとしなくても大丈夫です。一人で抱え込まなくて大丈夫ですし、できることから少しずつ取り入れてみてください。今できることを大事にしながら、その子のペースで進めていただければと思います。

できないことに目を向けすぎず、「昨日より少しできるようになった」という小さな変化を、親子で一緒に喜べると、練習そのものが少しずつ楽しいものに変わっていきます。今日からすべてを変える必要はありません。まずは一つ、無理のない工夫から試してみてください。靴ひも結びの練習が、子どもにとって前向きな挑戦の時間になりますように。

いつか結べるようになったときには、ぜひその瞬間を一緒に喜んであげてください。長い間練習してきたからこそ、できたときの達成感は、子ども自身の自信にもつながっていきます。そのときまで、あせらず、その子のペースにじっくり付き合っていただければと思います。

靴ひもが結べない背景には、微細運動の育ち方や、手順を覚える難しさなど、子どもなりの理由があります。気持ちを受け止め、工程を分けて練習しながら、その子とご家庭のペースで進めていきましょう。

アイキャッチ画像:Photo by Kamaji Ogino on Pexels

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