風船を怖がる子の気持ちと、そう感じる理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
お誕生日会でもらった風船を前に、固まってしまう。ふくらませる音が聞こえた瞬間、耳をふさいで逃げてしまう。そんなふうに、風船を怖がる子の姿に、「どうして楽しそうにしないのかな」と戸惑った経験はありませんか。
お祭りやイベントの季節は、風船を配っている場面によく出会います。まわりの子が大喜びで受けとっているのを見ると、「うちの子だけ怖がっているのかな」と気になってしまう方もいるかもしれません。
この記事では、風船を怖がる子が感じていることや、怖さが強くなりやすい場面、家庭でできる工夫を、やさしく整理していきます。怖がる気持ちを無理に変えようとせず、安心につなげていくヒントをお届けします。
風船を怖がる子が身がまえる、「いつ割れるか分からない」という予想のつかなさ

風船が苦手な子にとって、いちばん大きな不安は「いつ割れるか分からない」ことだと言われています。ふくらんだ風船は、ある瞬間に「パン!」と大きな音を立てて割れることがあります。
大人は「割れるのは、強く押したり、とがったものにふれたりしたとき」と知っています。でも、小さな子にとっては、風船がいつ、なぜ割れるのかが見えません。見通しが立たないものは、それだけで怖さが大きくなりやすいのです。
たとえば、ふくらんだ風船がゆらゆらと近づいてきたとき。「いま、割れるかも」と体をかたくして、じっと風船を見つめてしまう子もいます。目をはなせないのは、危険がせまっていると感じているからかもしれません。
また、風船は軽くて、ふわふわ動きます。自分の思いどおりにならない動き方も、気持ちが落ち着かない理由のひとつだと考えられています。
こうした予想のつかなさへの敏感さは、成長とともに少しずつ変わっていくことが多いと言われています。今は、「用心深い性格なんだな」と受けとめてみてください。
怖がるのは、まわりの様子をしっかり見ているからこそ。感受性が豊かだからこそ感じる怖さだ、と考えることもできます。
風船を怖がる子が、割れる瞬間の大きな音にびっくりしてしまう理由

風船が割れるときの音は、思っているより大きく、しかもとつぜん鳴ります。この「とつぜんの大きな音」が、風船を怖がる大きな理由のひとつだと言われています。
子どもは、大人より音に敏感な場合があります。小さな音でも体がびくっとしたり、耳をふさいだりする子もいます。音の感じ方には個人差があり、同じ音でも、「少しうるさい」と感じる子と、「とても痛い」と感じる子がいるようです。
さらに、風船は割れる直前まで、何の合図もありません。雷のように、遠くから音が近づいてくることもなく、ふくらみ続けていた風船が、いきなり音を立てます。心の準備ができないところが、怖さを強めているのかもしれません。
一度、目の前で風船が割れた経験があると、その記憶が強く残ることもあります。それ以来、風船を見るだけで、「また割れるかも」と思い出して、近づけなくなる子もいます。
大きな音が苦手な子については、こちらの記事でも取り上げています。

音の怖さがあるときは、風船そのものを避けるというより、割れる音を予告することで、安心しやすくなる場合があります。この方法は、のちほどくわしく紹介します。
風船を怖がる子が、ふくらむ様子や手ざわりに感じる、ふしぎな違和感

風船は、ゴムが限界までのびて、ぱんぱんにふくらんでいます。見た目は丸くてかわいくても、ぴんと張りつめた様子が、なんとなく落ち着かない、と感じる子もいるようです。
ふくらませているところを見るのも、怖さにつながることがあります。小さくしぼんでいたものが、みるみる大きくなっていく様子は、子どもにとって予想外の変化です。「どこまで大きくなるの?」「割れちゃうの?」と、ハラハラしてしまうこともあります。
手ざわりが苦手、という子もいます。ゴムが指にきゅっと張りつく感じや、こすれたときの「キュッ、キュッ」という音、ほんのり残るゴムのにおいなど、風船にはいろいろな感覚の刺激が詰まっています。
たとえば、風船に顔を近づけたとき、ゴム独特のにおいが気になって、そっとはなれる子もいます。お誕生日会のにぎやかな雰囲気の中でも、そうした小さな違和感が積み重なって、「もういい」となってしまうことがあります。
どれが苦手なのかは、子どもによってさまざまです。苦手のポイントが分かると、その部分だけを避けたり、やわらげたりする工夫がしやすくなります。

うちの子、風船を渡すと、ぽいっと遠くに置いちゃうの。わたし、てっきり、風船に興味がないだけだと思ってたんだけど…。

それは違うわん!ただ興味がないんじゃなくて、「いつ割れるか分からない」って感じているのかもしれないんだわん。怖いものを遠ざけるのは、自分を守る自然な行動なんだわん。
風船を怖がる子が、特に困りやすい場面
風船を怖がる子が戸惑う、お誕生日会やイベントのにぎやかな空間

お誕生日会や園のお楽しみ会、地域のお祭りなど、風船はにぎやかな場面によく登場します。楽しいはずの場所で、風船を怖がる子がどこか居心地が悪そうにしていると、親としても気をもんでしまいますよね。
にぎやかな場所には、風船のほかにも、たくさんの刺激があります。大きな声、音楽、動き回る子どもたち。そこへ「パン!」と風船の割れる音が加わると、音も動きも多すぎて、気持ちが追いつかなくなることがあります。
また、天井からたくさんの風船がぶら下がっている会場では、「どれかが割れるかも」という不安が、ずっと続くことになります。ひとつ割れる音を聞いた子が、そのあとずっと身をかたくしてしまう、という場面も想像できます。
たとえば、お友達の誕生日会で、会場に入った瞬間に立ち止まってしまうことがあります。風船の飾りが目に入って、「ここは怖い場所かもしれない」と感じているのかもしれません。
そんなとき、無理に前へ進ませようとすると、かえって気持ちが固まってしまうこともあります。入り口で少し様子を見る時間をとると、落ち着いて入れる子もいます。
参加するかどうかは、そのときの子どもの様子を見て決めて大丈夫です。少しだけ参加して早めに帰る、という選び方もあります。
風船を怖がる子が、風船を渡されたとき、遊びに誘われたときの困りごと

イベントの帰りに、風船をプレゼントされることがあります。「ありがとうは?」と促されても、子どもはうつむいて受けとれない。そんなとき、親も周りの目が気になって、あせってしまいますよね。
風船を怖がる子にとって、風船を手に持つことは、とても勇気のいることです。持っている間ずっと、「割れるかも」と心配が続くからです。無理に受けとらなくても、「今日は見るだけにするね」と伝えれば、それでも十分です。
お友達が風船で遊ぶ場面にも、困りごとがあります。風船をぽんぽんと打ち合って遊ぶ場面では、いつ風船が自分の方へ飛んでくるか分かりません。近づいてくるものへの不安が重なって、輪の中に入りづらくなることもあります。
そんな日は、「ちょっと見ていようか」と声をかけて、少しはなれた場所から眺める時間をとってもいいのです。見ているだけでも、遊びに参加していると考えて大丈夫です。
また、風船は子ども同士で割ってしまうこともあります。割れたあとの雰囲気や友達のはしゃぎ声が、子どもには「刺激が大きすぎる」と感じられる場合もあります。
風船が出てくる場面での、ちょっとした工夫
・事前に「風船があるよ」と伝えておく
・受けとらなくてもよい、と先に決めておく
・落ち着ける場所を、あらかじめ確認しておく
・怖くなったら合図を出して休める、と約束する
こうした準備があるだけで、同じ場面でも安心感が変わってきます。「いつでも抜けられる」と思えることが、気持ちのゆとりを生みます。
お化けなど、見た目や音に怖さを感じる子については、こちらの記事でも取り上げています。

風船を怖がる子と一緒にできる、家庭での工夫
風船を怖がる子の気持ちを受けとめて、「割れる前の予告」を伝える工夫

風船を怖がる子には、まず「怖いんだね」と気持ちを言葉にしてあげることが、安心の入り口になります。「怖くないよ」と言うかわりに、「ドキドキするよね」と、いまの気持ちに寄りそう言葉を選んでみてください。
そのうえで、見通しを伝えることが助けになることがあります。たとえば、風船をふくらませる前に、「これから風船をふくらませるよ。音はしないから大丈夫だよ」と伝えます。割れる可能性があるときは、「割れたらパンって音がするよ」と予告しておくと、とつぜん感が減ります。
子どもが自分で耳をふさげるように、手を耳に当てる練習をしておくのも、ひとつの方法です。「大きい音が来そうなときは、こうやって守れるよ」と伝えると、自分で自分を守れるという感覚が育ちます。
また、風船を持つときは、子どもから少しはなれた場所に置くのがおすすめです。ふわふわ近づいてくる動きが苦手なときは、風船のひもを短く結んで、動きを小さくする方法もあります。
親が落ち着いた声で話すことも、大切なポイントです。子どもは、親の表情や声のトーンをよく見ています。親がゆったり構えていると、「大丈夫なんだ」と感じとりやすくなります。
もちろん、親だって、周りの目が気になったり、疲れている日があったりします。うまくいかない日があっても、「今日はここまでで十分」と、自分にもやさしくしてください。
風船を怖がる子が、遊びの中で少しずつ慣れていく、無理のない方法

風船を「怖いもの」から「ちょっと身近なもの」に変えていく方法もあります。大切なのは、遊びとして、楽しめる範囲で進めることです。慣れさせるための訓練ではない、という気持ちで取り組みましょう。
たとえば、ふくらませていない風船を、おもちゃのひとつとして渡してみる方法があります。ゴムの風船は、ふくらませる前なら、のびたり、ちぢんだりする、ただの柔らかい素材です。ひっぱって遊んだり、手にのせたりして、手ざわりに慣れるところから始めます。
次に、親がゆっくり少しだけふくらませて、割れない大きさでやめる方法があります。子どもに「ここまで」と合図を決めてもらうと、自分で調整できる感覚が生まれます。
絵を描く遊びも楽しめます。風船に、にっこり笑った顔を描いてあげるのです。かわいい顔の風船は、子どもにとって「こわい」から「おもしろい」へ、気持ちが動くきっかけになることもあります。
そのほか、紙で風船を折ったり、風船の絵を描いたりして遊ぶ方法もあります。本物の風船にさわらなくても、風船というものにやさしいイメージを持てるようになります。

風船に顔を描いたら、笑って見せてくれたの!えへへ…うちの子、ちょっとだけ風船のこと、好きになったかも。

それはいい工夫だわん!遊びの中で「風船って、こんな顔もあるんだ」と知ると、怖さがうすれることがあるんだわん。大丈夫、一緒に考えるわん!
ただし、いやがるそぶりがあれば、すぐにやめて大丈夫です。子どもが楽しんでいるかどうかを、いちばんの目安にしてください。今日できなくても、また別の日にという気持ちでじゅうぶんです。
風船が出てくる行事が近いときは、そのイベントのしばらく前から、少しずつ風船に触れる遊びを取り入れる方法もあります。ただ、間に合わなくても心配はいりません。行事の日は、無理せず見ているだけでも十分です。
まとめ:風船を怖がる子の気持ちに寄りそって、ゆっくり進む
風船を怖がる子の気持ちを、まるごと受けとめるという考え方

風船を怖がる気持ちは、「いつ割れるか分からない予想のつかなさ」「とつぜんの大きな音」「ふくらむ様子や手ざわりの違和感」「にぎやかな場の刺激」など、いくつかの理由が重なって生まれます。怖がることは、感受性が豊かなことのあらわれとも考えられます。
無理になくそうとするより、「怖いんだね」と気持ちを受けとめるほうが、結果的に安心しやすくなると言われています。親が焦らず、子どものペースに合わせていくことが、いちばんの近道になることもあります。
風船に近づけない時期があっても、それは、その子が自分を守ろうとしている大切な時期です。成長とともに、割れる音や風船の動きに、少しずつ慣れていく子も多いと言われています。

怖がるのは悪いことじゃないんだね。わたしも、風船を見たら、まず「ドキドキするね」って声をかけてみようかな。

そうだわん。気持ちを分かってもらえると、それだけで子どもは安心するんだわん。ゆっくりでいいんだわん。
「どうしてうちの子だけ」と悩む日があっても、風船を怖がる子は、たくさんいます。ほかの子と比べず、今日のその子の様子を見て、できたことを一つずつ見つけてあげてください。
たとえば、「風船が目の前にあっても、泣かずにいられた」「少しはなれた場所から眺められた」など、小さな変化も立派な成長です。気づいたら、ぜひ声に出して伝えてあげましょう。
一人で抱え込まず、風船を怖がる子と一緒に進んでいく

風船を怖がる子を見守るあなたも、毎日、本当によくがんばっています。お誕生日会やお祭りの場面では、周りの目が気になって、つらい気持ちになることもあるでしょう。
そんなときは、「うちの子は、こういうところが苦手なんだ」と、ご家族や園の先生に、さりげなく共有しておく方法もあります。分かってくれる人が一人いるだけで、気持ちがとてもらくになります。
風船は、楽しい場面のシンボルのように言われますが、すべての子にとって楽しいわけではありません。楽しみ方は、子どもによって違っていいのです。風船を持たなくても、笑顔で過ごせる時間は、ちゃんとあります。
今日、風船のことを少し気にかけてあげられたなら、それだけで十分です。あたたかい声かけや、そっと握る手のぬくもりが、子どもにとって大きな安心になります。
ゆっくり、その子のペースで。風船を前にしても、いつか自然に笑顔でいられる日が来るように、願っています。
アイキャッチ画像:Photo by Zülfü Demir📸 on Pexels



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