粘土が苦手な子。理由と家庭での工夫を解説

粘土が苦手な子。理由と家庭での工夫を解説 保育園・幼稚園
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【この記事の信ぴょう性】

当ページの記事は、児童発達支援の現場経験を持つ鈴木日奈子(小学校教諭免許保有)が監修しています。

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粘土が苦手な子の気持ちと、つまずきやすい理由

こんにちは!おやまどの鈴木です。

粘土が苦手な子が感じている、手にくっつく感触へのいやな気持ち

白い台の上に置かれた、粘土でつくった虹
Photo by Cup of Couple on Pexels

図工の時間や、おうちでの遊びの時間に、粘土を出した途端、粘土が苦手な子が手を引っこめてしまう。「さわりたくない」「よごれるのはいや」と言って、遠くから見ているだけになってしまう。そんな様子に、心配している方もいるのではないでしょうか。

この記事では、粘土が苦手な子がつまずきやすい理由と、家庭でできる工夫を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じたときの、ヒントになればうれしいです。

粘土の感触は、大人にとっては「楽しいもの」でも、子どもにとっては「はじめての強い刺激」になることがあります。年齢が上がるにつれて平気になる子もいますし、ずっと苦手なまま、別の素材で楽しむ子もいます。苦手なものがあっても、その子の個性のひとつだと受け止めてあげましょう。

粘土は、ひんやりしていたり、ねちゃっとしていたり、手にくっついたりと、独特の感触があります。ふだんあまりさわらない感触なので、初めてさわるときは、驚いてしまう子もいます。

たとえば、よくある例として、粘土が指のあいだに入り込んだり、手のひらにべったりついたりするのが、がまんできないという場面があります。大人は気にならなくても、子どもによっては、その「べたべた」が強く感じられることがあります。

感触への感じ方には、個人差があります。さらさらした砂は大丈夫でも、ねっとりした粘土は苦手、という子もいれば、その反対の子もいます。どちらが良い悪いではなく、感じ方の違いだと考えると、親の気持ちも少し楽になります。

粘土が苦手なのは、「やる気がない」「ものぐさ」だからではありません。手の感触や、よごれることへの気持ちなど、いくつかの理由が重なっていると言われています。

ほのママ
ほのママ

わたし、てっきり「めんどうくさいから、やりたくないだけ」だと思ってたの…。

ここわん
ここわん

それは違うわん! 手にくっつく感じが、がまんできない子もいるんだわん。まずは理由を探してあげるわん。

粘土が苦手な子が戸惑う、思い通りの形にならないもどかしさ

カラフルな粘土で作品をつくる手元を上から写した写真
Photo by Mikhail Nilov on Pexels

粘土が苦手な理由には、感触のほかに、思い通りの形にならないもどかしさもあります。丸める、のばす、くっつける。簡単そうに見えて、手の力加減や、指先の使い方が必要な作業です。

力を入れすぎるとつぶれてしまい、弱すぎると形がくずれます。ちょうどよい強さがつかめないと、何度やっても、頭の中に思い描いた形に近づきません。そのたびに、「うまくいかない」という気持ちが積み重なります。

完成品をほめられるより、「ここ、おもしろい形だね」と、途中のようすに声をかけられると、うれしく感じる子もいます。形のうまい下手ではなく、手を動かしたことに目を向けてあげると、粘土への気持ちが少しずつ変わっていきます。

また、完成品のイメージがはっきりしている子ほど、「頭の中ではこうなのに」というズレに、がっかりしやすくなります。まわりの子の作品と見比べて、自分だけうまくできないと感じると、粘土の時間そのものが、苦手になってしまうこともあります。

粘土は、紙に描くのと違って、立体で形を考えなければなりません。前から見た形、横から見た形、上から見た形を、頭の中で同時に思い浮かべる必要があるので、実はむずかしい活動です。うまくいかないのは、とても自然なことでもあります。

手の力の入れ方に慣れていない小さな子では、粘土のかたさに負けて、ちぎることも丸めることもできない、という場面もあります。そのまま「できない」と感じてしまう前に、粘土のかたさや量を見直してみることも、ひとつの方法です。

粘土の時間では、完成品の出来よりも、さわって遊ぶことを大切にすると、気持ちの負担が軽くなると言われています。

粘土が苦手な子が抱えやすい、にぎり方・手の力加減のむずかしさ

粘土で虹をつくる手元の写真
Photo by Cup of Couple on Pexels

粘土を使うときは、指先、手のひら、手首など、手全体を使います。力を入れて押す、指でつまむ、手のひらでころがす。いろいろな動きが次々に出てくるので、手の使い方がまだ慣れていない子には、ハードルが高く感じられることがあります。

たとえば、粘土を細長くのばそうとしても、指先でつぶしてしまったり、反対に、強くにぎりすぎて形が変わってしまったりします。力加減が難しいと、思ったように作業が進まず、いやになってしまうこともあります。

手の力加減は、遊びの中でも育っていきます。たとえば、ねんどでなくても、砂場でお団子を作る、おにぎりを握る、パンの生地をこねるなど、手を使う遊びは身近にたくさんあります。粘土にこだわらなくてもよいと考えると、選択肢が広がります。

手先を使うことに苦手意識がある子は、ハサミや鉛筆、お箸など、ほかの場面でも似た様子が見られることがあります。もし思い当たる場面があれば、粘土だけでなく、手を使う活動全体の中で考えてみると、気持ちが整理しやすくなります。

ただし、手先の動かし方も、成長とともに少しずつ変わっていきます。いまはうまくできなくても、遊びの中で自然に慣れていく子もたくさんいます。焦らず、その子のペースで進めていくことが大切です。

「ほら、こうやるんだよ」と、横から手を出して直してしまうと、「自分では上手にできない」という気持ちが強まることがあります。まずは、見守ることから始めてみましょう。

ほのママ
ほのママ

つい横から「こうやるのよ」って言っちゃってたかも…。

ここわん
ここわん

気づけたなら大丈夫わん。まずは一緒に楽しむくらいの気持ちで、そばにいてあげるだけでも十分なんだわん。

粘土が苦手な子が、とくに困りやすい場面

粘土が苦手な子が戸惑う、図工の時間と作品をつくる場面

絵の具や紙がならぶ、図工室のようなテーブル
Photo by Sedanur Kunuk on Pexels

粘土が苦手な子が、いちばん困りやすいのは、学校や園の図工の時間です。みんなが一斉に粘土を使い始めるので、「さわりたくない」と言い出しにくく、がまんして取り組む場面も少なくありません。

作品を仕上げる時間が決まっていると、「間に合わないかも」というあせりも加わります。まわりの子がどんどん形を作っていく中で、自分だけ手が止まってしまうと、さらに緊張が高まります。

図工の時間は、先生が全体に説明する時間が長く、見通しが持ちにくいこともあります。前の日に、「あしたは粘土で何か作るみたいだよ」と伝えておくだけで、心の準備ができる子もいます。気持ちの準備ができると、当日の取りかかりも変わってきます。

また、「何を作ればいいかわからない」ことも、手が止まる原因になります。自由に作っていいと言われても、アイデアが浮かばず、粘土を前にかたまってしまう子もいます。

そんなときは、作るものを一緒に決めておくと動き出しやすくなります。たとえば、「ヘビを作ろう」「だんごを3つ作ろう」など、簡単な形をひとつ決めるだけで、ぐっと取り組みやすくなります。

先生に事前に伝えておくのも、ひとつの方法です。「粘土は少し苦手で、最初はさわるだけでもいい」と共有しておけば、本人が安心して参加できることもあります。

図工の時間は、「完成させること」より「さわってみること」を最初の目標にすると、気持ちが軽くなります。

図工が苦手な子の悩みについては、こちらの記事でも取り上げています。

図工が苦手な子。理由と家庭での関わり方を解説
図工が苦手でお悩みの保護者の方へ。思い通りに描けない気持ちや、手先・感触のつらさなど、図工が苦手になる理由と、家庭でできる声かけや遊びの工夫を、やさしい言葉でまとめました。親子で気持ちが軽くなるヒントに。ぜひ一度、読んでみてくださいね。

粘土が苦手な子がつまずきやすい、手のよごれとあとかたづけ

色とりどりの紙や葉を使った、手づくりの工作
Photo by RDNE Stock project on Pexels

粘土が苦手な子の中には、「手がよごれること」そのものが、つらい子もいます。粘土が手にくっついたまま、何もできなくなり、固まってしまうこともあります。

よごれたときに、すぐに手を洗いたくなる気持ちも自然です。ところが、活動の途中で手を洗いに行きにくい状況だと、「早く終わらせたい」気持ちばかりが強くなり、作品に集中できなくなります。

手を洗う習慣も、日ごろから整えておくと安心です。粘土のあと、石けんで洗う流れを、楽しい歌と一緒に決めておくなど、「終わりの見通し」を作っておくと、よごれることへの不安が小さくなる子もいます。

あとかたづけも、案外むずかしいポイントです。机についた粘土をとる、道具をまとめる、手を洗う。これらの工程が多いと、「粘土=めんどうなもの」という印象が強まってしまうことがあります。

たとえば、ぬれタオルやウェットティッシュを、すぐ手の届くところに置いておくだけで、安心して取り組める子もいます。よごれても、すぐにふけるという見通しがあると、気持ちがだいぶ変わります。

また、粘土の下に大きめの紙やシートを敷いておくと、机がよごれにくく、あとかたづけも楽になります。小さな準備が、粘土への気持ちを大きく変えてくれることもあります。

ほのママ
ほのママ

よごれるのがいやって、わがままなのかなって思っちゃってた…。

ここわん
ここわん

わがままじゃないわん! 準備を整えるだけで、気持ちが楽になることもあるんだわん。

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粘土が苦手な子に、家庭でできる工夫

粘土が苦手な子と、さわる前の準備と遊び方を見直してみる

水彩絵の具と筆がならんだ、図工の道具
Photo by Pavel Danilyuk on Pexels

粘土が苦手な子には、いきなり本格的に作らせるより、さわるハードルを下げる工夫が合うことが多いです。まずは、遊びの中で、粘土との距離を少しずつ縮めてみましょう。

たとえば、最初は、ビニール手袋をはめてさわってみる、という方法があります。直接手にくっつかないので、感触が苦手な子でも、安心して試しやすくなります。慣れてきたら、指先だけ、手のひらだけ、と範囲を広げていきます。

粘土の色や、においが気になる子もいます。においの少ない粘土を選んだり、好きな色から使い始めたりするだけで、受け入れやすくなることがあります。親が先に「この色、すてきだね」と声をかけると、興味を持つきっかけにもなります。

粘土の種類を変えるのも、ひとつの方法です。紙粘土、油粘土、小麦粉粘土、軽量粘土など、種類によって感触が大きく違います。さらっとした軽い粘土のほうが、くっつきにくくて、気持ちよくさわれる子もいます。

また、お菓子づくりの感覚で、小麦粉やホットケーキミックスの生地をこねてみるのも、おすすめです。食べ物なので、安心感があり、「こねる」「丸める」という動きにも自然に慣れていけます。

道具を使うのも、一案です。型抜きやへら、ローラーなどを使えば、手で直接さわらなくても、形が作れます。道具を介して遊ぶところから始めると、抵抗が小さくなる子もいます。

粘土の種類や、道具の使い方を変えるだけでも、「粘土は苦手」という気持ちが、少しずつやわらぐことがあります。

「こねてごらん」と急に手を取って、強引にさわらせるのは、いやな記憶につながることがあります。本人のペースを大切にしましょう。

粘土が苦手な子が安心しやすい、小さな成功を積み重ねる進め方

木のテーブルの上で絵の具や道具を使う、図工の活動
Photo by Helena Lopes on Pexels

粘土に慣れていくには、小さな「できた」を積み重ねることが近道になります。いきなり大きな作品を作ろうとせず、まずは簡単な形からスタートしましょう。

たとえば、だんごを作る、ヘビのように細長くのばす、ぺたんと平らにつぶす。どれも、短い時間でできて、失敗しにくい形です。できたら、「できたね」「じょうずにまるまったね」と、短い言葉で認めてあげると、本人の自信につながります。

遊び終わったら、作ったものを写真に撮って残しておくのも、おすすめです。粘土は形が残りにくいので、「こんなの作ったね」と見返せると、達成感が長く続きます。がんばったあとが目に見えることは、次への意欲につながります。

作ったものを、ほかの遊びにつなげるのも、おすすめです。だんごを「おもち」に見立てて、おままごとに使う。ヘビをテーブルの上で散歩させる。粘土そのものより、遊びの楽しさに気持ちが向くことで、自然に触れる時間が増えていきます。

親が一緒に作る姿を見せるのも、ひとつの方法です。「これ、おいしそうなパンになったよ」と、楽しそうに作っていると、「やってみようかな」という気持ちが生まれることがあります。

うまくいかなかった日は、「今日はここまでにしようね」と、さらりと終わりにして大丈夫です。無理に続けると、粘土の時間が「いやな時間」になってしまいます。あえて引くことも、大切な工夫です。

粘土の遊びは、「短く・楽しく・できたら認める」の3つが目安です。続けるうちに、少しずつ感触にも慣れていくと言われています。

ほのママ
ほのママ

最初は、だんごを作るだけでいいのね。それなら、うちでもできそう!

ここわん
ここわん

その調子わん! 小さな「できた」を、一緒に喜んであげるんだわん。

まとめ:粘土が苦手な子と、無理なく向き合うために

粘土が苦手な子の理由と工夫を、あらためて整理する

台の上で粘土のうつわを形づくる手元
Photo by RIAN ANDRIANI on Pexels

ここまで、粘土が苦手な子の理由と、家庭でできる工夫をお伝えしてきました。あらためて、ポイントを整理してみます。

粘土が苦手な理由には、手にくっつく感触、思い通りの形にならないもどかしさ、手の力加減のむずかしさなど、いくつかの要素があります。どれか一つではなく、重なっていることも多いと言われています。

粘土の苦手は、成長のなかで、いつのまにか変わることもよくあります。今は苦手でも、来年には夢中になっている子もいますし、反対に、ずっと別の遊びが好きな子もいます。どちらの道も、その子らしさのひとつです。

場面としては、図工の時間や、手のよごれ・あとかたづけのときに、とくに困りやすくなります。事前に先生へ伝えておく、ぬれタオルを用意しておくなど、小さな準備で気持ちが楽になることもあります。

家庭では、ビニール手袋や道具を使って感触に慣らす、軽い粘土や小麦粉粘土から始める、簡単な形から「できた」を積み重ねる、といった工夫が取り入れやすいでしょう。

粘土が苦手な子には、感触に合う素材を選ぶ → 簡単な形から試す → できたことを認めるという流れが、取り入れやすいと言われています。

粘土が苦手でも、ほかの活動で力を発揮する子はたくさんいます。粘土だけで、その子の力を決めてしまわず、得意なことや好きなことも一緒に見てあげることが大切です。

手を使う活動が苦手な子の悩みについては、こちらの記事でも取り上げています。

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一人で抱え込まず、粘土が苦手な子と一緒に進んでいく

日の差し込むアトリエの、絵の具と紙の作業机
Photo by Sedanur Kunuk on Pexels

粘土が苦手な様子を見ていると、「このままで大丈夫かな」と不安になることもあるかもしれません。でも、手先の使い方や、感触への慣れ方は、成長とともに変わっていくと言われています。

去年はさわれなかった粘土を、今年は自分から手に取ることもあります。「ずっとこのまま」と決めつけなくて大丈夫です。そのときどきの気持ちに合わせて、柔軟に付き合っていくくらいが、ちょうどよいかもしれません。

粘土が苦手でも、絵を描くのが好き、ブロックが得意、体を動かすのが大好きなど、ほかの場面でいきいきしている姿があるはずです。得意な場面での姿も、思い出しながら見てあげると、心配が少し軽くなるかもしれません。

粘土の時間にうまくいかなかった日があっても、大丈夫です。子どもが粘土を苦手に感じる姿を見て心配になるのは、お子さんのことを、とても大切に思っているからです。

先生やまわりの保護者の方と、「うちではこんな遊び方が合っていました」と情報を分かち合うだけでも、気持ちが軽くなることがあります。一人で抱え込まず、まわりの力も借りながら進めていきましょう。

ほのママ
ほのママ

粘土のことで、こんなに工夫できることがあるなんて、びっくりだったな〜。

ここわん
ここわん

知ることで、気持ちが少し楽になるわん。大丈夫、一緒に考えるわん!

粘土が苦手な子のペースを大切にしながら、ゆっくり、できるところから進めていきましょうね。

アイキャッチ画像:Photo by Ksenia Chernaya on Pexels

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