粘土が苦手な子の気持ちと、つまずきやすい理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
粘土が苦手な子が感じている、手にくっつく感触へのいやな気持ち

図工の時間や、おうちでの遊びの時間に、粘土を出した途端、粘土が苦手な子が手を引っこめてしまう。「さわりたくない」「よごれるのはいや」と言って、遠くから見ているだけになってしまう。そんな様子に、心配している方もいるのではないでしょうか。
この記事では、粘土が苦手な子がつまずきやすい理由と、家庭でできる工夫を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じたときの、ヒントになればうれしいです。
粘土の感触は、大人にとっては「楽しいもの」でも、子どもにとっては「はじめての強い刺激」になることがあります。年齢が上がるにつれて平気になる子もいますし、ずっと苦手なまま、別の素材で楽しむ子もいます。苦手なものがあっても、その子の個性のひとつだと受け止めてあげましょう。
粘土は、ひんやりしていたり、ねちゃっとしていたり、手にくっついたりと、独特の感触があります。ふだんあまりさわらない感触なので、初めてさわるときは、驚いてしまう子もいます。
たとえば、よくある例として、粘土が指のあいだに入り込んだり、手のひらにべったりついたりするのが、がまんできないという場面があります。大人は気にならなくても、子どもによっては、その「べたべた」が強く感じられることがあります。
感触への感じ方には、個人差があります。さらさらした砂は大丈夫でも、ねっとりした粘土は苦手、という子もいれば、その反対の子もいます。どちらが良い悪いではなく、感じ方の違いだと考えると、親の気持ちも少し楽になります。

わたし、てっきり「めんどうくさいから、やりたくないだけ」だと思ってたの…。

それは違うわん! 手にくっつく感じが、がまんできない子もいるんだわん。まずは理由を探してあげるわん。
粘土が苦手な子が戸惑う、思い通りの形にならないもどかしさ

粘土が苦手な理由には、感触のほかに、思い通りの形にならないもどかしさもあります。丸める、のばす、くっつける。簡単そうに見えて、手の力加減や、指先の使い方が必要な作業です。
力を入れすぎるとつぶれてしまい、弱すぎると形がくずれます。ちょうどよい強さがつかめないと、何度やっても、頭の中に思い描いた形に近づきません。そのたびに、「うまくいかない」という気持ちが積み重なります。
完成品をほめられるより、「ここ、おもしろい形だね」と、途中のようすに声をかけられると、うれしく感じる子もいます。形のうまい下手ではなく、手を動かしたことに目を向けてあげると、粘土への気持ちが少しずつ変わっていきます。
また、完成品のイメージがはっきりしている子ほど、「頭の中ではこうなのに」というズレに、がっかりしやすくなります。まわりの子の作品と見比べて、自分だけうまくできないと感じると、粘土の時間そのものが、苦手になってしまうこともあります。
粘土は、紙に描くのと違って、立体で形を考えなければなりません。前から見た形、横から見た形、上から見た形を、頭の中で同時に思い浮かべる必要があるので、実はむずかしい活動です。うまくいかないのは、とても自然なことでもあります。
手の力の入れ方に慣れていない小さな子では、粘土のかたさに負けて、ちぎることも丸めることもできない、という場面もあります。そのまま「できない」と感じてしまう前に、粘土のかたさや量を見直してみることも、ひとつの方法です。
粘土が苦手な子が抱えやすい、にぎり方・手の力加減のむずかしさ

粘土を使うときは、指先、手のひら、手首など、手全体を使います。力を入れて押す、指でつまむ、手のひらでころがす。いろいろな動きが次々に出てくるので、手の使い方がまだ慣れていない子には、ハードルが高く感じられることがあります。
たとえば、粘土を細長くのばそうとしても、指先でつぶしてしまったり、反対に、強くにぎりすぎて形が変わってしまったりします。力加減が難しいと、思ったように作業が進まず、いやになってしまうこともあります。
手の力加減は、遊びの中でも育っていきます。たとえば、ねんどでなくても、砂場でお団子を作る、おにぎりを握る、パンの生地をこねるなど、手を使う遊びは身近にたくさんあります。粘土にこだわらなくてもよいと考えると、選択肢が広がります。
手先を使うことに苦手意識がある子は、ハサミや鉛筆、お箸など、ほかの場面でも似た様子が見られることがあります。もし思い当たる場面があれば、粘土だけでなく、手を使う活動全体の中で考えてみると、気持ちが整理しやすくなります。
ただし、手先の動かし方も、成長とともに少しずつ変わっていきます。いまはうまくできなくても、遊びの中で自然に慣れていく子もたくさんいます。焦らず、その子のペースで進めていくことが大切です。

つい横から「こうやるのよ」って言っちゃってたかも…。

気づけたなら大丈夫わん。まずは一緒に楽しむくらいの気持ちで、そばにいてあげるだけでも十分なんだわん。
粘土が苦手な子が、とくに困りやすい場面
粘土が苦手な子が戸惑う、図工の時間と作品をつくる場面

粘土が苦手な子が、いちばん困りやすいのは、学校や園の図工の時間です。みんなが一斉に粘土を使い始めるので、「さわりたくない」と言い出しにくく、がまんして取り組む場面も少なくありません。
作品を仕上げる時間が決まっていると、「間に合わないかも」というあせりも加わります。まわりの子がどんどん形を作っていく中で、自分だけ手が止まってしまうと、さらに緊張が高まります。
図工の時間は、先生が全体に説明する時間が長く、見通しが持ちにくいこともあります。前の日に、「あしたは粘土で何か作るみたいだよ」と伝えておくだけで、心の準備ができる子もいます。気持ちの準備ができると、当日の取りかかりも変わってきます。
また、「何を作ればいいかわからない」ことも、手が止まる原因になります。自由に作っていいと言われても、アイデアが浮かばず、粘土を前にかたまってしまう子もいます。
そんなときは、作るものを一緒に決めておくと動き出しやすくなります。たとえば、「ヘビを作ろう」「だんごを3つ作ろう」など、簡単な形をひとつ決めるだけで、ぐっと取り組みやすくなります。
先生に事前に伝えておくのも、ひとつの方法です。「粘土は少し苦手で、最初はさわるだけでもいい」と共有しておけば、本人が安心して参加できることもあります。
図工が苦手な子の悩みについては、こちらの記事でも取り上げています。

粘土が苦手な子がつまずきやすい、手のよごれとあとかたづけ

粘土が苦手な子の中には、「手がよごれること」そのものが、つらい子もいます。粘土が手にくっついたまま、何もできなくなり、固まってしまうこともあります。
よごれたときに、すぐに手を洗いたくなる気持ちも自然です。ところが、活動の途中で手を洗いに行きにくい状況だと、「早く終わらせたい」気持ちばかりが強くなり、作品に集中できなくなります。
手を洗う習慣も、日ごろから整えておくと安心です。粘土のあと、石けんで洗う流れを、楽しい歌と一緒に決めておくなど、「終わりの見通し」を作っておくと、よごれることへの不安が小さくなる子もいます。
あとかたづけも、案外むずかしいポイントです。机についた粘土をとる、道具をまとめる、手を洗う。これらの工程が多いと、「粘土=めんどうなもの」という印象が強まってしまうことがあります。
たとえば、ぬれタオルやウェットティッシュを、すぐ手の届くところに置いておくだけで、安心して取り組める子もいます。よごれても、すぐにふけるという見通しがあると、気持ちがだいぶ変わります。
また、粘土の下に大きめの紙やシートを敷いておくと、机がよごれにくく、あとかたづけも楽になります。小さな準備が、粘土への気持ちを大きく変えてくれることもあります。

よごれるのがいやって、わがままなのかなって思っちゃってた…。

わがままじゃないわん! 準備を整えるだけで、気持ちが楽になることもあるんだわん。
粘土が苦手な子に、家庭でできる工夫
粘土が苦手な子と、さわる前の準備と遊び方を見直してみる

粘土が苦手な子には、いきなり本格的に作らせるより、さわるハードルを下げる工夫が合うことが多いです。まずは、遊びの中で、粘土との距離を少しずつ縮めてみましょう。
たとえば、最初は、ビニール手袋をはめてさわってみる、という方法があります。直接手にくっつかないので、感触が苦手な子でも、安心して試しやすくなります。慣れてきたら、指先だけ、手のひらだけ、と範囲を広げていきます。
粘土の色や、においが気になる子もいます。においの少ない粘土を選んだり、好きな色から使い始めたりするだけで、受け入れやすくなることがあります。親が先に「この色、すてきだね」と声をかけると、興味を持つきっかけにもなります。
粘土の種類を変えるのも、ひとつの方法です。紙粘土、油粘土、小麦粉粘土、軽量粘土など、種類によって感触が大きく違います。さらっとした軽い粘土のほうが、くっつきにくくて、気持ちよくさわれる子もいます。
また、お菓子づくりの感覚で、小麦粉やホットケーキミックスの生地をこねてみるのも、おすすめです。食べ物なので、安心感があり、「こねる」「丸める」という動きにも自然に慣れていけます。
道具を使うのも、一案です。型抜きやへら、ローラーなどを使えば、手で直接さわらなくても、形が作れます。道具を介して遊ぶところから始めると、抵抗が小さくなる子もいます。
粘土が苦手な子が安心しやすい、小さな成功を積み重ねる進め方

粘土に慣れていくには、小さな「できた」を積み重ねることが近道になります。いきなり大きな作品を作ろうとせず、まずは簡単な形からスタートしましょう。
たとえば、だんごを作る、ヘビのように細長くのばす、ぺたんと平らにつぶす。どれも、短い時間でできて、失敗しにくい形です。できたら、「できたね」「じょうずにまるまったね」と、短い言葉で認めてあげると、本人の自信につながります。
遊び終わったら、作ったものを写真に撮って残しておくのも、おすすめです。粘土は形が残りにくいので、「こんなの作ったね」と見返せると、達成感が長く続きます。がんばったあとが目に見えることは、次への意欲につながります。
作ったものを、ほかの遊びにつなげるのも、おすすめです。だんごを「おもち」に見立てて、おままごとに使う。ヘビをテーブルの上で散歩させる。粘土そのものより、遊びの楽しさに気持ちが向くことで、自然に触れる時間が増えていきます。
親が一緒に作る姿を見せるのも、ひとつの方法です。「これ、おいしそうなパンになったよ」と、楽しそうに作っていると、「やってみようかな」という気持ちが生まれることがあります。
うまくいかなかった日は、「今日はここまでにしようね」と、さらりと終わりにして大丈夫です。無理に続けると、粘土の時間が「いやな時間」になってしまいます。あえて引くことも、大切な工夫です。

最初は、だんごを作るだけでいいのね。それなら、うちでもできそう!

その調子わん! 小さな「できた」を、一緒に喜んであげるんだわん。
まとめ:粘土が苦手な子と、無理なく向き合うために
粘土が苦手な子の理由と工夫を、あらためて整理する

ここまで、粘土が苦手な子の理由と、家庭でできる工夫をお伝えしてきました。あらためて、ポイントを整理してみます。
粘土が苦手な理由には、手にくっつく感触、思い通りの形にならないもどかしさ、手の力加減のむずかしさなど、いくつかの要素があります。どれか一つではなく、重なっていることも多いと言われています。
粘土の苦手は、成長のなかで、いつのまにか変わることもよくあります。今は苦手でも、来年には夢中になっている子もいますし、反対に、ずっと別の遊びが好きな子もいます。どちらの道も、その子らしさのひとつです。
場面としては、図工の時間や、手のよごれ・あとかたづけのときに、とくに困りやすくなります。事前に先生へ伝えておく、ぬれタオルを用意しておくなど、小さな準備で気持ちが楽になることもあります。
家庭では、ビニール手袋や道具を使って感触に慣らす、軽い粘土や小麦粉粘土から始める、簡単な形から「できた」を積み重ねる、といった工夫が取り入れやすいでしょう。
粘土が苦手でも、ほかの活動で力を発揮する子はたくさんいます。粘土だけで、その子の力を決めてしまわず、得意なことや好きなことも一緒に見てあげることが大切です。
手を使う活動が苦手な子の悩みについては、こちらの記事でも取り上げています。

一人で抱え込まず、粘土が苦手な子と一緒に進んでいく

粘土が苦手な様子を見ていると、「このままで大丈夫かな」と不安になることもあるかもしれません。でも、手先の使い方や、感触への慣れ方は、成長とともに変わっていくと言われています。
去年はさわれなかった粘土を、今年は自分から手に取ることもあります。「ずっとこのまま」と決めつけなくて大丈夫です。そのときどきの気持ちに合わせて、柔軟に付き合っていくくらいが、ちょうどよいかもしれません。
粘土が苦手でも、絵を描くのが好き、ブロックが得意、体を動かすのが大好きなど、ほかの場面でいきいきしている姿があるはずです。得意な場面での姿も、思い出しながら見てあげると、心配が少し軽くなるかもしれません。
粘土の時間にうまくいかなかった日があっても、大丈夫です。子どもが粘土を苦手に感じる姿を見て心配になるのは、お子さんのことを、とても大切に思っているからです。
先生やまわりの保護者の方と、「うちではこんな遊び方が合っていました」と情報を分かち合うだけでも、気持ちが軽くなることがあります。一人で抱え込まず、まわりの力も借りながら進めていきましょう。

粘土のことで、こんなに工夫できることがあるなんて、びっくりだったな〜。

知ることで、気持ちが少し楽になるわん。大丈夫、一緒に考えるわん!
粘土が苦手な子のペースを大切にしながら、ゆっくり、できるところから進めていきましょうね。
アイキャッチ画像:Photo by Ksenia Chernaya on Pexels



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