図工が苦手な子の気持ちと、つまずきやすい場面
こんにちは!おやまどの鈴木です。
秋は、作品展や学習発表会に向けて、図工の時間に絵や工作にじっくり取り組む学校が多い季節です。「図工が苦手で、絵を描く時間になるとため息をつく」「図工の宿題になると、固まって手が動かない」。そんな様子を見て、どう声をかければよいのか迷っている保護者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、図工が苦手な子どもの気持ちや背景、ご家庭でできる関わり方を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じているときの、ひと息つくきっかけになればうれしいです。
図工が苦手な子の中には、絵や工作そのものが嫌いなわけではなく、「うまくできない自分」を見られることがつらい子もいます。周りの作品と見比べて、気持ちが小さくなってしまうこともあります。
まずは、いつから図工を避けるようになったのか、どんな場面で手が止まるのかを、日々のやりとりの中でさりげなく見てみてください。原因を決めつけず、お子さんの様子をていねいに集めることが、関わり方のヒントになります。
低学年のうちは楽しく取り組んでいた子が、学年が上がるにつれて「へたと思われたくない」と感じ始めることもあります。周りの目が気になる年ごろだからこそ、図工が苦手という気持ちが強まる時期があるのだと考えると、見方が少し変わるかもしれません。
思い通りに描けない、という気持ちのつらさ

図工が苦手な子の多くが抱えているのが、「頭に浮かんだ絵と、実際に描けた絵がちがう」というもどかしさです。イメージがはっきりしている子ほど、できあがった作品との差が気になって、途中で手を止めてしまうことがあります。
大人から見ると上手に見える絵でも、本人は「へたくそ」と感じていることもあります。そんなとき、「上手だよ」と言っても、気持ちが届かないことがあります。本人のものさしで見ているという点を、頭の片すみに置いておくとよいでしょう。
よくある例として、消しゴムで何度も消して紙がやぶれてしまう、一本の線を引くのに時間がかかる、描き始めてすぐに「もうやめる」と言い出す、といった場面があります。これらは、手を抜いているのではなく、がんばりすぎているサインということもあります。

ほのママ:図工が苦手な子って、やる気がないのかしら…。うちの子、すぐ「やめる」って言うのよね。

それは違うわん!「やめる」の裏には、「うまくできなくて悔しい」気持ちがかくれていることもあるわん。まずは気持ちを聞いてみるわん。
お子さんが手を止めたときは、「どこがむずかしかった?」と、責めない口調で聞いてみてください。「目が描けなかった」「色がきれいにぬれなかった」など、具体的な言葉が出てくることもあります。
言葉にするのがむずかしい子には、「ここ?それともここ?」と選べる形で聞くのも一つの方法です。気持ちを分かってもらえた経験が、次に取り組むときの安心につながります。
また、描いている途中の絵を急にのぞきこまれたり、「何を描いているの?」と聞かれたりすることがいやな子もいます。見守るときは、少し離れた場所から様子を見て、お子さんが話しかけてきたときに応えるくらいの距離感が、ちょうどよい場合もあります。
はさみやのりなど、手先を使う作業が負担に感じる

図工が苦手な理由は、絵のイメージだけではありません。はさみで線の通りに切る、のりを適量つける、紙を折る、といった手先の作業そのものが負担になっている子もいます。手先の動かし方には、一人ひとり得意・不得意があると言われています。
たとえば、はさみを持つ手と紙を持つ手を同時に動かすのがむずかしい子、のりがべたべたするのが気になる子、細かい部分に力が入りすぎて紙をやぶってしまう子などがいます。「できない」のではなく、「やりにくい」場面があるのだと考えてみてください。
図工の時間は、先生の説明を聞きながら、道具を準備して、手順を追って進める必要があります。作業の速さに差が出やすく、「みんなより遅い」と感じることで、気持ちが焦ってしまう子もいます。
手先の作業が苦手そうなときは、家庭でも、無理のない範囲で道具に慣れる機会をつくってみてください。折り紙を折る、シールをはる、ひもを通すといった遊びを、楽しい時間の延長で取り入れる方法があります。
上手にできることが目的ではありません。「やってみたら楽しかった」「自分でできた」という小さな経験が、図工への気持ちをやわらげる土台になります。
お子さんが「やってみようかな」と自分から言い出したときは、そのタイミングを逃さず、一緒に取り組んでみてください。時間は5分でも十分です。短い時間でも、自分の力で最後まで終えられたという経験が、少しずつ積み重なっていきます。
図工が苦手になる理由をひもとく
図工が苦手に感じる背景には、いくつかの要素が重なっていることがあります。ここでは、保護者の方がよく気にされる2つの切り口から見ていきます。
何を作ればいいのか分からない、という戸惑い

「自由に描いていいよ」「好きなものを作ってね」。この言葉が、実はいちばん苦手という子もいます。答えが決まっていない課題は、何から始めればよいのか分からず、手が止まりやすいと言われています。
頭の中に描きたいものが浮かばない、浮かんでもどう形にすればよいか分からない、周りの子の手が動いているのを見て焦る、といった状態です。これは、センスの問題ではなく、「始め方」が見つかっていないだけということもあります。
よくある例として、真っ白な画用紙の前でずっと座っている、「何でもいい」と言われて「何でもって何?」と戸惑う、といった場面があります。ご家庭では、「まず丸を描いてみようか」「好きな色はどれ?」と、小さな一歩から声をかけてみてください。
テーマが決まらない子には、見本になる写真や絵本を一緒に見るのも一つの方法です。まねから入ってもかまいません。まねをするうちに、「ここはこう変えてみたい」という自分らしさが、自然と出てくることもあります。
お子さんの好きなものを入り口にするのもおすすめです。電車、動物、お菓子、ゲームのキャラクターなど、好きなものから始めると、手が動きやすくなることがあります。
「なにを描いたの?」と聞かれるのがいやな子もいるため、できあがったものについて評価せず、「この色、すてきだね」「ここがおもしろいね」と、感じたことを伝えるとよいでしょう。
絵の具やねんどなど、感触や道具が苦手

図工では、絵の具、ねんど、のり、木工用ボンドなど、手がよごれる素材をよく使います。手にべたべたするものがつくのが苦手な子や、においや音が気になる子にとっては、図工の時間そのものが負担になることがあります。
感覚の感じ方には個人差があり、ほかの子が気にならないことでも、強く気になる子がいると言われています。「ちょっとよごれるくらい平気でしょ」と思わずに、その子の感じ方を受け止めるところから始めてみてください。
感触が苦手な子は、「ふれない」という選択肢が用意されているだけで、気持ちが楽になることがあります。ふれるかどうかを自分で決められると、安心して取り組みやすくなると言われています。
たとえば、絵の具がついた手を何度も洗いに行く、ねんどに触るのをいやがる、はさみで紙を切る音が苦手で耳をふさぐ、といった様子が見られることがあります。無理に慣れさせようとすると、図工そのものが嫌いになってしまうこともあります。

ほのママ:絵の具がいやで図工が苦手だなんて、考えたこともなかったわ…。わたし、てっきり絵が下手だからだと思ってた。

気づけたのは大きな一歩わん!苦手の理由が分かると、手伝い方も変わってくるわん。一緒に考えるわん!
学校の先生に相談できる場合は、「絵の具が苦手で手が止まることがあります」と、具体的に伝えておくのも一つの方法です。手袋を使う、絵の具以外の道具で代用する、といった配慮をしてもらえることもあります。

手先や体の動かし方については、こちらの記事でも取り上げています。苦手な理由を一緒に整理するヒントになるかもしれません。
図工が苦手な子への、家庭での関わり方
図工が苦手な子には、「上手に作らせる」ことよりも、「安心して取り組める環境をつくる」ことが大切だと言われています。ご家庭で取り入れやすい工夫を見ていきましょう。
上手・下手ではなく、取り組んだ過程を認める

図工が苦手な子にとって、いちばんうれしいのは、結果ではなく「やってみたこと」を見てもらえることです。「ここまで描けたね」「色を選ぶのに迷っていたね」と、取り組んだ過程に目を向けて声をかけてみてください。
「上手だね」だけでは、うまくいかなかったときに、本人が「上手じゃないんだ」と受け取ってしまうこともあります。「この線、力強いね」「この色の組み合わせ、あなたらしいね」と、具体的に伝えると、ほめ言葉が届きやすくなります。
よくある例として、完成した作品を他の子と比べて落ち込んでいるとき、「人と比べなくていいよ。あなたの作品は、あなたにしか作れないよ」と声をかけると、気持ちが落ち着くことがあります。ただし、すぐに切りかえられないこともあるため、気持ちが落ち着くまで待つのも大切です。
作品のできばえをほめるよりも、「最後までやりきったね」「むずかしいところ、よくがんばったね」と、気持ちや行動にふれる言葉のほうが、図工が苦手な子には届きやすいことがあります。
作品を家の中の見える場所に飾るのも、自信につながる方法です。完成度にかかわらず、「飾りたいと思った作品」をお子さんに選んでもらうと、自分の作品を大切にする気持ちが育ちます。
飾る場所は、冷蔵庫のドアや、玄関の壁など、家族の目に入りやすいところがおすすめです。家族が足を止めて見てくれる経験が、「見てもらえてうれしい」という気持ちを育てます。
うまくいかなかった作品は、無理に残さなくてもかまいません。「今日はここまでにしよう」と区切ることも、安心につながります。
家で気軽に試せる遊びと、道具のそろえ方

図工への苦手意識をやわらげるには、失敗しても大丈夫な場所で、気軽に試せる時間をつくることが役立ちます。学校の作品とはちがい、評価されない遊びの時間だと分かると、肩の力が抜ける子もいます。
たとえば、広告のチラシを自由にちぎって貼る、お風呂で水彩絵の具のようなもので遊ぶ、段ボールで秘密基地を作る、といった遊びがあります。「作品を作る」ではなく「遊ぶ」という入り口にすると、手が動きやすくなる子もいます。
道具も、お子さんが使いやすいものを選ぶと、取り組みやすくなります。力を入れなくても切れるはさみ、くっつきやすいスティックのり、にじみにくい色えんぴつなどです。道具が合うだけで、「できた」という気持ちが増えることもあります。
また、完成を目的にせず、「今日は色だけ選ぶ」「今日は線だけ引く」と、小さく区切って取り組む方法もあります。短い時間で終わりにできると、「また今度やってみよう」という気持ちが残りやすくなります。

ほのママ:チラシをちぎって貼るだけなら、うちの子もやってくれるかも!わたしも一緒にやってみようかな、えへへ。

それは名案わん!親子で楽しむことが一番の近道わん。上手に作るより、笑って過ごす時間を大切にするわん。
道具を出しっぱなしにできる場所があると、気が向いたときにすぐ始められます。机の上のすみに、小さな「図工コーナー」をつくっておくのもおすすめです。

道具の置き場所や片づけが気になるときは、こちらの記事も参考になります。
まとめ:図工が苦手な子と、あせらず向き合う
図工が苦手な子の気持ちは、その子なりの理由から生まれます

図工が苦手に感じる背景には、「思い通りに描けない」「何をすればよいか分からない」「手先の作業や感触がつらい」など、さまざまな理由があると言われています。どれも、その子なりにがんばっているからこそ生まれる気持ちです。
図工は、人と比べやすい教科でもあります。作品が教室に並ぶ場面も多く、気持ちが小さくなってしまう子もいます。「苦手」と感じていても、それがお子さんの価値を決めるものではありません。
保護者の方も、「このまま苦手意識がついたらどうしよう」と不安になることがあるかもしれません。そんなときは、ひとりで抱え込まず、先生や、同じ年ごろのお子さんをもつ保護者の方と話してみてください。「うちもそうだよ」と聞くだけで、気持ちが軽くなることもあります。
図工は、成長とともに好きなことが見つかったり、道具の扱いに慣れたりして、取り組み方が変わっていく子も多い教科です。今の姿だけで、これからのことが決まるわけではありません。
図工が苦手でも、そのぶん、完成させたときの喜びが大きい子もいます。一つひとつの作品を、お子さんと一緒に味わう時間を、これからも大切にしてください。
今日からできる、小さな一歩

今日からできる一歩として、お子さんの描いた絵や作ったものを、評価せずに、ただ「見せてくれてありがとう」と受け取ることから始めてみてはいかがでしょうか。「上手か下手か」ではなく、「作った気持ち」を大切にするだけで、お子さんの表情が変わることがあります。
学校の様子が気になるときは、個人面談や連絡帳で、先生に「図工の時間はどんな様子ですか」と聞いてみる方法もあります。家での様子と学校での様子を共有すると、お互いに関わり方のヒントを得やすくなります。
ひと息つくためのチェックポイント
・図工が苦手な理由は、一人ひとりちがうと受け止める
・上手・下手ではなく、取り組んだ過程に声をかける
・失敗してもよい、遊びの時間をつくる
・気になることは、先生や周りの人に話してみる

ほのママ:図工が苦手でも、ちゃんと理由があるのね。うちの子の「やめる」も、ちょっとやさしく聞いてみるわ。

その調子わん!大丈夫、一緒に考えるわん。お子さんも保護者の方も、少しずつ図工との距離が近づいていくわん。
お子さんの「好き」や「得意」は、図工の外にもたくさんあるはずです。図工が苦手でも、料理、音楽、虫とり、おしゃべりなど、お子さんの得意な場面を、ぜひたくさん見つけてあげてください。
アイキャッチ画像:Photo by Eren Li on Pexels



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