学芸会のセリフが覚えられない子の気持ちと、つまずく場面
こんにちは!おやまどの鈴木です。
秋は、学芸会や学習発表会の練習が始まる季節です。役が決まり、台本が配られると、「学芸会のセリフが覚えられない」「何度読んでも頭に入らない」と、お子さんが落ち込んでいる様子に気づく保護者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、学芸会のセリフが覚えられない子どもの気持ちや背景、ご家庭でできる関わり方を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じているときの、ひと息つくきっかけになればうれしいです。
学芸会の練習が始まる時期は、運動会などの行事の疲れが残っていたり、普段の授業も進んだりして、気持ちの余裕が少なくなりやすい季節でもあります。覚えられないことが続くと、「どうせ自分はできない」と感じてしまう子もいます。
まずは、いつ、どんな場面でセリフが出てこなくなるのかを、日々のやりとりの中でさりげなく見てみてください。家で一人のときは言えるのに、人前だと言えなくなるのか、そもそも読むこと自体がむずかしいのかによって、関わり方のヒントが変わってきます。
原因を決めつけず、お子さんの様子をていねいに集めることが、あとの工夫につながります。「覚えられない」という言葉の裏には、いろいろな理由がかくれていることがあります。
特に、セリフの量が多い役や、長い文を言う役のときは、負担が大きくなりがちです。周りの子がすらすら言えているように見えると、「自分だけできない」と感じやすくなります。見えている部分だけで比べないように、保護者の方が一緒に気持ちを整理してあげてください。
文章を覚えること自体がむずかしい、という場面

学芸会のセリフが覚えられない理由の一つに、文章を「そのまま記憶する」ことの負担があります。人によって、耳で聞いて覚えるのが得意な子、目で見て覚えるのが得意な子、体を動かして覚えるのが得意な子など、覚えやすい方法はさまざまだと言われています。
台本を読んで覚える方法は、目で文字を追う力が必要です。文字を読むことに時間がかかる子や、行を見失いやすい子は、読むだけで精いっぱいになり、覚える余裕がなくなってしまうこともあります。覚え方が合っていないだけということもあるのです。
よくある例として、同じセリフを何度も練習しているのに、翌日には出てこなくなる、前半は言えるのに後半で止まってしまう、といった場面があります。これは、がんばりが足りないのではなく、その子に合った覚え方が見つかっていないだけかもしれません。

ほのママ:学芸会のセリフが覚えられないのは、やる気がないからだと思ってたわ…。わたし、てっきり…。

それは違うわん!がんばっているのに覚えられなくて、本人がいちばん困っていることも多いわん。まずは覚え方を一緒に探してみるわん。
声に出して読むと覚えやすい子には、録音したセリフを聞く方法もあります。絵やマークで覚える方が得意な子には、セリフの横に簡単なイラストを描く方法もあります。いくつか試して、お子さんに合う方法を見つけていきましょう。
うまくいかないときは、無理に続けず、一度休むことも大切です。疲れているときに詰め込むと、かえって覚えにくくなることもあります。
セリフを覚える練習は、「机に向かってする時間」だけとは限りません。歩きながら、おやつを食べながら、お風呂に入りながらなど、生活の中の短い時間にくり返し口にするほうが、覚えやすい子もいます。
人前になると頭が真っ白になる、という緊張

家では言えたのに、学校や本番では言葉が出てこない。これも、学芸会のセリフが覚えられないと感じる大きな理由の一つです。人前に立つと、心臓がドキドキして、頭の中が真っ白になってしまう子は少なくありません。
緊張すると、人の体は思うように動かなくなることがあります。大人でも、人前で話すと、言葉が出てこなくなることはあります。セリフを忘れたのではなく、緊張で思い出せなくなっているという場合もあるのです。
たとえば、練習では言えていたのに、先生や友だちが見ている前では声が小さくなる、途中で止まって下を向いてしまう、といった様子が見られることがあります。そんなときは、「ちゃんと言いなさい」と励ますよりも、安心できる声かけが役に立ちます。
本番を想定して、家族の前でセリフを言ってみる練習もおすすめです。最初は一人、次に二人、と観客を少しずつ増やしていくと、人前に慣れやすくなる子もいます。失敗しても笑って受け止めてあげてください。
セリフが出てこなくなったときの「助け舟」を決めておくのも一つの方法です。たとえば、先生や共演の友だちと、困ったときの合図を決めておく、といった工夫があります。
学校の先生には、「家でもセリフの練習をしていますが、人前では緊張しやすいようです」と伝えておくと、本番前の声かけや、立ち位置の配慮をしてもらえることもあります。一人で抱え込まずに、周りの力も借りてみてください。
学芸会のセリフが覚えられない理由をひもとく
学芸会のセリフが覚えられない背景には、セリフの量や役への気持ち、練習の環境など、いくつかの要素が重なっていることがあります。ここでは、保護者の方がよく気にされる2つの切り口から見ていきます。
役への気持ちと、「失敗したくない」という不安

役が決まったとき、うれしい気持ちの一方で、「うまくできるかな」「みんなの前で失敗したらどうしよう」と、不安に感じる子もいます。特に、まじめな子ほど、失敗したくないという気持ちが強く、それが緊張につながることもあります。
希望した役ではなかったり、セリフの量が思っていたより多かったりして、気持ちがついていかない子もいます。「どうして自分がこの役なの」と心の中で感じていても、それを言葉にするのはむずかしいものです。気持ちの整理がつかないまま練習が進むと、覚えることにも気持ちが向きにくくなります。
よくある例として、セリフの練習になると急に「おなかが痛い」と言い出す、練習の話題になると話をそらす、といった場面があります。これは、わがままではなく、不安の表れということもあります。
保護者の方は、「がんばってね」と励ましたくなりますが、お子さんの気持ちが整理できていないときは、まず「そうなんだね」と受け止めてみてください。不安を口に出せただけで、気持ちが軽くなることもあります。
「失敗しても、あなたの価値は変わらないよ」と伝えることも大切です。学芸会は、うまく言えることが目的ではなく、みんなで一つの舞台をつくる経験だと伝えると、肩の力が抜ける子もいます。
衣装や動き、いつもと違う環境に気持ちが向く

学芸会の練習は、セリフを覚えるだけではありません。動き、立ち位置、衣装、小道具、音楽など、同時に気にすることがたくさんあります。やることが多すぎて、セリフに集中できなくなる子もいます。
広い体育館や、いつもと違う雰囲気の会場に、気持ちがそわそわしてしまう子もいます。衣装のさわり心地が気になる、小道具の持ち方が分からない、といったことが、セリフが飛ぶ原因になることもあります。
たとえば、動きを覚えるのに精いっぱいで、セリフが頭からぬけてしまう、衣装をつけると急に落ち着かなくなる、といった場面があります。こうした場面では、「覚えられない」ではなく、「一度に気にすることが多い」と捉えてみてください。

ほのママ:セリフだけじゃなくて、動きや衣装も気になっちゃうのね…。ほんとに大変なことを一度にやっているのね。

そうわん!だから、ひとつずつ分けて練習するのがコツわん。まずセリフ、次に動き、最後に合わせる、という順番でも大丈夫わん。
学校の先生に、「家では言えるのですが、動きが入ると難しいようです」と伝えておくと、練習の進め方を工夫してもらえることもあります。保護者の方からの一言が、学校でのサポートにつながることもあります。
動きの練習では、まず立ち位置だけ、次に歩く動きだけ、と段階を分けるのも一つの方法です。いっぺんに完成させようとせず、小さな部分から積み上げていくと、気持ちの負担も軽くなります。

発表の練習で気持ちが重くなる子については、こちらの記事でもくわしく取り上げています。
学芸会のセリフが覚えられないときの、家庭での工夫
学芸会のセリフが覚えられないときは、「練習量を増やす」よりも、「覚えやすい形に変える」ことが役立つと言われています。ご家庭で取り入れやすい工夫を見ていきましょう。
覚えやすい形に変えて、少しずつ練習する

長いセリフを一気に覚えるのは、大人でもむずかしいものです。まずは、セリフを短く区切って、一つずつ覚えていく方法があります。一度に覚えるのは、一つの文だけにして、言えたら次へ進みます。
セリフを書き写して、キーワードに色をつけるのも一つの方法です。大事な言葉を目立たせると、思い出す手がかりになります。付せん紙にセリフを書いて、家の中のよく目にする場所に貼っておくと、日常の中で自然と目に入ります。
耳で覚えるのが得意な子には、保護者の方がセリフを読み、お子さんがそれを聞いてまねる方法もあります。録音して、お風呂やおやつの時間に聞くだけでも、少しずつ頭に残っていくことがあります。
相手のセリフを覚えておくと、自分の出番が分かりやすくなります。「このセリフのあとに言う」という手がかりが増えるからです。保護者の方が相手役を読んで、会話の流れで練習するのもおすすめです。
うまくいったときは、「言えたね」と一言伝えてください。小さな「できた」の積み重ねが、自信につながります。
練習の時間は、長くても10分程度で区切るのがおすすめです。「今日はここまで」と終えられると、また明日もやってみようという気持ちが残ります。疲れている日は、思いきってお休みにしてもかまいません。
お子さんが「自分で覚えた」と感じられることも大切です。覚え方を決めるときは、「どれがやりやすい?」と選んでもらうと、自分で工夫する気持ちが育ちます。保護者の方は、そのお手伝いをするつもりで関わってみてください。
本番までの声かけと、気持ちの整え方

本番が近づくと、保護者の方も「ちゃんと言えるかな」と気がかりになります。その気持ちは、お子さんにも伝わりやすいものです。保護者の方が落ち着いていることが、お子さんの安心につながる面があります。
当日の朝は、いつもの生活リズムを大切にして、早めに起きて朝ごはんを食べるなど、体調を整えておくと安心です。「楽しんでおいで」「間違えても大丈夫だよ」と、短い言葉で送り出してあげてください。
もし本番でセリフが飛んでしまったとしても、それで終わりではありません。多くの学校では、先生や共演の友だちが助けてくれる場面もあります。あとで「最後までやりきったね」と、行動そのものをたたえてあげてください。
本番が終わったあとは、結果にかかわらず、「見に行けてうれしかった」「舞台に立てたね」と、気持ちを伝えてあげてください。うまく言えなかったと落ち込んでいるときは、無理に励まさず、そっとそばにいるだけでも十分です。

ほのママ:「楽しんでおいで」って言うだけなら、わたしにもできそうだわ!えへへ。

それが一番の応援わん!保護者の方の笑顔が、お子さんの安心のもとになるわん。大丈夫、一緒に考えるわん!

人前での発表に向けた練習については、こちらの記事も参考になります。
まとめ:学芸会のセリフが覚えられない子と、あせらず向き合う
学芸会のセリフが覚えられないのは、めずらしいことではありません

学芸会のセリフが覚えられない背景には、「覚え方が合わない」「人前で緊張する」「失敗が不安」「やることが多い」など、さまざまな理由があると言われています。どれも、お子さんなりにがんばっているからこそ生まれる気持ちです。
学芸会は、うまく言えるかどうかだけでなく、みんなで一つの舞台をつくる経験でもあります。セリフが少しつまずいても、その子が舞台に立とうとした気持ちは、とても大きな一歩です。
保護者の方も、「うまく言えなかったらどうしよう」と心配になることがあるかもしれません。そんなときは、ひとりで抱え込まず、担任の先生や、同じ年ごろのお子さんをもつ保護者の方と話してみてください。「うちもそうだよ」と聞くだけで、気持ちが軽くなることもあります。
セリフが覚えられない時期は、お子さんも保護者の方も、気持ちが揺れやすいものです。進まない日があっても、それは自然なことです。昨日より少しでも言えたこと、練習する気持ちになれたことを、ぜひ見つけてあげてください。
学芸会のセリフが覚えられなくても、それでお子さんの価値が変わるわけではありません。今の姿だけで、これからのことが決まるわけでもありません。
今日からできる、小さな一歩

今日からできる一歩として、お子さんに「セリフの中で、いちばん言いやすいところはどこ?」と聞いてみてはいかがでしょうか。苦手なところより、得意なところから始めると、練習への気持ちが変わることがあります。
お子さんが練習しているときは、そばで聞いて、「いいね」と一言返してあげてください。聞いてくれる人がいるだけで、安心して声を出せる子もいます。うまくいかなくても、「がんばっているね」と、行動そのものを認めてあげましょう。
ひと息つくためのチェックポイント
・学芸会のセリフが覚えられない理由は、一人ひとりちがうと受け止める
・セリフを短く区切って、少しずつ練習する
・「間違えても大丈夫」と、安心できる声をかける
・気になることは、先生や周りの人に話してみる

ほのママ:学芸会のセリフが覚えられなくても、ちゃんと理由があるのね。わたしも、ゆっくり見守ってみるわ。

その調子わん!お子さんも保護者の方も、少しずつ本番を楽しみにできるようになるわん。
舞台に立つ経験は、うまくいってもいかなくても、お子さんの中に何かを残します。結果よりも、そこまでのがんばりを、ぜひ一緒に味わってあげてください。
アイキャッチ画像:Photo by Heber Vazquez on Pexels



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