遠足に行きたくない子。理由と当日の乗り越え方を解説

遠足に行きたくない子。理由と当日の乗り越え方を解説 保育園・幼稚園
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【この記事の信ぴょう性】

当ページの記事は、児童発達支援の現場経験を持つ鈴木日奈子(小学校教諭免許保有)が監修しています。

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遠足に行きたくないと言われたときの気持ち

こんにちは!おやまどの鈴木です。

秋になると、幼稚園や保育園、小学校で遠足の予定が増えてきますよね。楽しみにしている子がいる一方で、「遠足に行きたくない」とぽつりと言う子もいます。前の日から表情が曇ったり、朝になって布団から出てこなかったり。そんな姿を見ると、親としてはどう声をかけたらいいのか、戸惑ってしまうものです。

遠足に行きたくないという言葉の裏には、その子なりの理由があります。わがままや甘えと決めつけず、まずは気持ちに寄り添うところから始めてみませんか。この記事では、遠足に行きたくないと感じる理由や、当日までにできる関わり方を、具体的にご紹介していきます。

遠足は、いつもと違う場所・違う流れで一日を過ごす行事です。楽しいはずのイベントでも、子どもによっては「いつもと違う」こと自体が大きな負担になる場合があります。

朝になって「行きたくない」と言われたら

手をつないで歩く二人の子どもを後ろから写した写真
Photo by Helena Jankovičová Kováčová on Pexels

前日は「明日は遠足だね」と話していたのに、当日の朝になって急に「行きたくない」と言い出す。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。前の晩は不安な気持ちにふたをしていて、朝になって現実味が増した瞬間に、気持ちがあふれ出してしまうこともあります。

こうした場面で、つい「せっかく準備したのに」「みんな行くんだから」と急かしたくなる気持ちも分かります。ただ、急かせば急かすほど、子どもの気持ちはかたくなになりやすいものです。まずは「行きたくないんだね」と、言葉をそのまま受け止めることから始めてみましょう。

たとえば、朝の支度の途中で動きが止まってしまう子には、「今日は遠足だから、いつもと違う準備があって大変だよね」と、状況を代わりに言葉にしてあげる方法もあります。子ども自身がうまく言葉にできない気持ちを、そばにいる大人が代弁することで、少し落ち着きを取り戻せることもあります。

下の子がいる家庭では、上の子の気持ちにゆっくり向き合う時間を取りづらいこともあるかもしれません。そんなときは、短い時間でも「今、あなたの話を聞いているよ」と伝わるように、目を見て相づちを打つだけでも十分です。時間の長さよりも、向き合う姿勢のほうが、子どもには伝わりやすいものです。

また、時間に余裕がない朝ほど、大人自身も焦りやすくなります。いつもより少しだけ早起きして、支度の時間にゆとりを持たせておくと、子どもの気持ちが揺れたときにも、慌てずに向き合いやすくなります。「今日はいつもより早く起きたから、少しゆっくり話せるね」と伝えるだけでも、子どもの緊張が和らぐことがあります。

親子が手を重ねて寄り添っている様子のクローズアップ写真
Photo by Barbara Olsen on Pexels

「なんで行きたくないの?」とストレートに理由を聞いても、子どもがうまく答えられないことはよくあります。理由がはっきり分かっていないことも多く、聞かれれば聞かれるほど、答えられない自分にとまどってしまう子もいます。

大切なのは、理由を急いで聞き出すことよりも、「行きたくない」という気持ちそのものを否定しないことです。「行きたくないなんて、そんなこと言わないの」と返してしまうと、子どもは次から気持ちを言えなくなってしまうかもしれません。

よくある例として、「行きたくない」の後ろに「お弁当は好きなおかずがいい」「◯◯ちゃんと一緒がいい」といった、具体的な希望が隠れている場合もあります。気持ちを聞くときは、はい・いいえで終わる質問より、「何が一番気になってる?」というような、開かれた聞き方のほうが、子どもの本音が出てきやすいこともあります。

話を聞いている途中で、子どもがうまく言葉にできずに黙ってしまうこともあるでしょう。そんなときは、無理に言葉を引き出そうとせず、隣に座って一緒に絵本を眺めたり、少し違う話題に切り替えたりしながら、気持ちが落ち着くのを待つという関わり方もあります。すぐに答えが出なくても、焦る必要はありません。

ほのママ
ほのママ

今朝も「遠足、行きたくない」って言われちゃって…。わたし、どう返したらいいのか分からなくて。

ここわん
ここわん

その気持ち、まずは受け止めてあげるだけでいいんだわん。無理に理由を聞き出さなくても大丈夫だわん。

遠足に行きたくない理由として考えられること

遠足に行きたくないと感じる理由は、子どもによってさまざまです。ここでは、よく見られるいくつかのタイプをご紹介します。「うちの子はどれに近いかな」と考えながら読んでみてください。もちろん、いくつかが重なっていることもありますし、ここに当てはまらない理由もあります。

理由が分かったからといって、すぐに「行きたくない」がなくなるとは限りません。それでも、理由の見当がつくだけで、親としての関わり方が見えやすくなり、子どもへの声かけも変わってきます。

集団行動や初めての場所が苦手なタイプ

ウッドデッキの遊具に一人で座っている子どもを後ろから写した写真
Photo by Jonathan Cooper on Pexels

普段の園生活とは違い、遠足では大人数で移動したり、初めて訪れる場所で過ごしたりする時間が長くなります。集団で同じ行動を求められることや、見慣れない環境で過ごすことに強い緊張を感じる子にとって、遠足は楽しみよりも不安のほうが大きいイベントになりがちです。

こうしたタイプの子は、教室の中では落ち着いて過ごせていても、場所が変わったとたんに表情がこわばってしまうことがあります。「集団行動が苦手」というのは、努力不足やわがままではなく、その子の感じ方の特性であることが多いと言われています。

普段は先生の指示にきちんと従えている子でも、場所が変わり、いつもの目印や決まりごとがなくなると、とたんに不安が強くなることがあります。「いつもできているから大丈夫」と考えず、環境が変わったときは別の対応が必要になる場合があると知っておくと、当日の様子にも慌てずに向き合いやすくなります。事前に会場の写真を見せてもらったり、先生から当日の流れを聞いておいたりするだけでも、初めての場所への不安が和らぐことがあります。

幼稚園や保育園での集団行動そのものに苦手さを感じている場合は、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。

幼稚園の集団行動が苦手なのにはワケがある。原因と対応方法を解説
幼稚園の参観日で集団行動が苦手な様子を見て不安になっていませんか。苦手さの背景、心配しすぎなくていい判断基準、家庭でできるサポートまでやさしく解説します。

音や人の多さなど感覚面の負担

耳を手で覆っている子どもの後ろ姿の写真
Photo by Towfiqu barbhuiya on Pexels

大勢の子どもたちが集まる遠足の日は、話し声や歓声、バスや電車の音など、いつもより多くの音や刺激にあふれています。感覚が敏感なタイプの子にとって、こうした刺激の多さは、想像以上に体力や気力を消耗させるものです。

「うるさい場所が苦手」「人が多いところですぐ疲れる」というのは、わがままなのでしょうか?

音や光、においなどの刺激を人より強く感じ取りやすい特性は、感覚過敏と言われています。本人にとっては「つらい」という素直な感覚であり、わがままとは違うものです。

感覚面の負担が大きい子には、耳栓やイヤーマフを持たせる、静かに過ごせる時間を事前に確認しておく、といった対応が助けになることもあります。すべての刺激をゼロにすることは難しくても、少しでも負担を減らす工夫を積み重ねることで、当日を乗り切りやすくなります。「疲れたら少し離れて休んでいい」というルールを先生と決めておくだけでも、子どもにとっては大きな安心材料になります。

感覚面の特性について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になります。

感覚過敏の子は発達障害の兆候がある?原因と対処法を徹底解説
感覚過敏の子は発達障害の兆候なの?と不安な方へ。音・光・服の感触・におい・食感を強く嫌がる理由、発達障害との関係、家庭や園でできる環境調整、避けたい対応、発達相談や受診の目安まで、具体例を交えて保護者向けに詳しくわかりやすく解説します。
ほのママ
ほのママ

音とか人混みが苦手…って、うちの子、そういうタイプなのかな?

ここわん
ここわん

わんっ、それは感覚が敏感なタイプかもしれないわん。決してわがままじゃないんだわん。

― 読みながら、ちょっと立ち止まって ―

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遠足に行きたくない気持ちへの向き合い方

理由が見えてきたら、次はどう向き合うかです。ここでは、遠足に行きたくないという気持ちに対して、家庭でできる関わり方を2つの視点からご紹介します。どちらも特別な準備は必要なく、今日から少しずつ取り入れられるものばかりです。

無理に連れて行こうとしない

かがんで子どもを迎える親と、駆け寄る子どもを後ろから写した写真
Photo by Gustavo Fring on Pexels

「行かないと後で困るから」「みんなと同じことをさせなきゃ」という思いから、つい無理に背中を押したくなることがあります。ただ、気持ちが整っていない状態で強引に連れて行くと、遠足そのものへの苦手意識がさらに強くなってしまうこともあります。

大切なのは、結論を急がないことです。子どもの目線までかがんで、ゆっくりと話しかけるだけでも、伝わり方は大きく変わります。「一緒に考えよう」という姿勢を見せることが、結果として子どもの気持ちをほぐすことにつながります。

どうしても気持ちが整わないときは、園や学校の先生に事前に相談しておくという選択肢もあります。当日の様子を少し気にかけてもらえるだけでも、子どもにとっては心強いものです。家庭だけで抱え込まず、周りの大人と情報を共有しておくことも、一つの向き合い方と言えます。担任の先生だけでなく、送迎バスの添乗員さんなど、当日関わる大人にひとこと伝えておくだけでも、何かあったときの安心につながります。「無理はさせない」という前提を周りと共有しておくと、大人側の気持ちにも余裕が生まれ、それが子どもにも伝わっていくものです。

「行きたくない」を否定しない聞き方

濡れた地面に映る二人の子どもの靴の白黒写真
Photo by Arturo EG on Pexels

「行きたくない」という言葉が出たとき、「そんなこと言わないの」と即座に否定してしまうと、子どもは気持ちのやり場を失ってしまいます。まずは「行きたくないんだね」と、そのまま繰り返して受け止めるだけで、子どもは「分かってもらえた」と感じやすくなります。

気持ちを聞くときのチェックポイント

・「行きたくない」をまず繰り返して受け止める
・理由を問いつめず、答えを急がせない
・「一緒に考えよう」という姿勢を見せる

よくある例として、話を最後まで聞いてもらえただけで、子ども自身が「じゃあ、お弁当だけ楽しみにする」というように、気持ちの折り合いをつけていくこともあります。結論を大人が決めるのではなく、子どもが自分のペースで気持ちを整理できるように、そばで待つ姿勢も大切です。

きょうだいや周りの子と比べて「〇〇ちゃんは平気なのに」と口にしてしまいそうになることもあるかもしれません。ただ、感じ方には一人ひとり違いがあります。比べる言葉は、子どもの気持ちをさらに閉ざしてしまうことにつながりやすいので、できるだけ避けたいところです。

ほのママ
ほのママ

無理に連れて行かなきゃ…って、わたし焦ってました。

ここわん
ここわん

焦らなくて大丈夫だわん。一緒に考えるわんよ。

当日「遠足に行きたくない」を和らげる工夫

気持ちを受け止めたうえで、実際に遠足へ向かう当日までにできる工夫もあります。ここでは、家庭で取り入れやすい2つの方法をご紹介します。どちらも、少しの準備で子どもの安心材料を増やせるものです。

事前にスケジュールを一緒に確認する

カレンダーの日付にペンで印をつけている手元の写真
Photo by Towfiqu barbhuiya on Pexels

見通しが立たないことに不安を感じやすい子にとって、「何時に何をするか分からない」という状態は、大きなストレスになります。前日までに、遠足の大まかな流れを一緒に確認しておくだけで、不安が和らぐことがあります。

たとえば、「バスに乗って、公園に着いたらお弁当を食べて、それから遊ぶ時間があるよ」というように、順番を言葉や簡単な絵で伝えてあげる方法があります。全部を細かく説明する必要はありません。「見通しが持てた」という安心感を与えることが目的です。

時計が読めない年齢の子であれば、「お日さまがこのくらいの高さになったら」「おやつの時間の前くらい」というように、生活の中の感覚に置きかえて伝えるのも一つの方法です。数字よりも、いつもの生活とのつながりで説明したほうが、実感を持ちやすい子もいます。前日の夜に、その日一日の流れをもう一度おさらいしておくと、「知っている一日」として当日を迎えられ、気持ちの負担が軽くなることもあります。当日の朝にも、もう一度「今日はこういう流れだったね」と短く振り返ると、記憶が新しいうちに安心感を上乗せできます。

持ち物や服装で安心材料を増やす

落ち葉のたまった水たまりに立つ子どもの長靴の写真
Photo by Atlantic Ambience on Pexels

お気に入りのハンカチやシールなど、小さな「安心できるもの」をリュックに一つ入れておくだけで、気持ちが落ち着く子もいます。また、靴や服が濡れたり汚れたりすることへの抵抗感が強い子には、着替えを多めに用意しておくと、当日の安心材料になります。

服のタグがチクチクする、靴下の縫い目が気になるなど、肌ざわりに敏感な子もいます。当日着る服は、前もって一度袖を通しておき、本人が「これなら平気」と感じられるものを選んでおくと、当日になって慌てずに済みます。

前日に持ち物を一緒に準備する、着慣れた服を選ぶ、お気に入りの小物を一つ持たせる、といった工夫は取り入れやすい方法です。

「頑張れば楽しいよ」と励まし続けることは、かえって子どものプレッシャーになる場合があります。無理な励ましより、安心できる準備を優先しましょう。

運動会など、遠足以外の行事でも似たような戸惑いが見られることがあります。あわせてこちらの記事も参考にしてみてください。

運動会の練習を嫌がる子。理由と家でできる関わり方を解説
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ハロウィンのような、いつもと違う雰囲気を伴う行事についても、関連する記事があります。

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ほのママ
ほのママ

準備を一緒にしたら、ちょっと安心したみたいです!

ここわん
ここわん

それは嬉しいわん!小さな一歩でも、ちゃんと前に進んでるわんよ。

まとめ:遠足に行きたくない気持ちとゆっくり付き合う

ここまで、遠足に行きたくないと感じる理由と、家庭でできる関わり方についてご紹介してきました。最後に、大切なポイントを振り返っておきましょう。

遠足に行きたくない気持ちは自然なこと

リュックを背負って道を歩く子どもを後ろから写した写真
Photo by Sergei Starostin on Pexels

遠足に行きたくないという言葉は、決してわがままから出ているとは限りません。集団行動や初めての場所への緊張、音や人混みへの感覚的な負担など、その子なりの理由が背景にあることが多いものです。まずは「行きたくない」という気持ちをそのまま受け止めることが、関わりの第一歩になります。理由を急いで探そうとせず、その子のペースに合わせて向き合うことで、少しずつ気持ちがほぐれていくこともあります。

今日からできる小さな一歩

秋の落ち葉が敷きつめられた道を走る子どもを後ろから写した写真
Photo by Atlantic Ambience on Pexels

無理に連れて行こうとせず、スケジュールを一緒に確認したり、安心できる持ち物を用意したりすることで、当日を少し楽な気持ちで迎えられることがあります。すべてがうまくいかなくても大丈夫です。一人で抱え込まなくて大丈夫ですし、できることから少しずつ取り入れてみてください。年齢が上がり、経験を重ねるうちに、少しずつ気持ちの持ちようが変わっていく子も少なくありません。今の「行きたくない」がずっと続くとは限らないという気持ちで、長い目で見守っていただければと思います。

遠足に行きたくない気持ちは、その子なりの理由から来ていることが多いものです。気持ちを受け止め、見通しと安心材料を用意しながら、その子のペースで向き合っていきましょう。

アイキャッチ画像:Photo by Bulat Khamitov on Pexels

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