忘れ物が多い子どもが増える理由を知ろう
こんにちは!おやまどの鈴木です。
「忘れ物が多い」。何度言っても、連絡帳やハンカチ、宿題を忘れてしまう子どもの姿に、思わずため息をついてしまうこと、ありますよね。
朝は何度も持ち物を確認したはずなのに、帰ってくると「体操着を忘れた」「プリントを出し忘れた」。毎日のことだと、親としても疲れてしまいます。「うちの子だけ、忘れ物が多いのかな」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
忘れ物が多い子どもには、その子なりの理由があります。「だらしない」「注意力が足りない」と決めつける前に、まずはよくある理由から一緒に見ていきましょう。理由がわかれば、その子に合った工夫も見えてきます。
忘れ物が多い子どもに共通する背景

忘れ物が多い子どもには、複数のことを同時に覚えておくのが苦手という共通点が見られることがあります。「宿題をやる」「連絡帳に書く」「持ち物をそろえる」といった作業を、一つひとつ順番にこなすのが難しい場合があるのです。
また、興味のあることに意識が向きやすい子ほど、目の前の作業に集中している間に、ほかにやるべきことが頭から抜け落ちてしまうことがあります。決してやる気がないわけではなく、意識の向け方に特徴があるだけ、というケースも多いのです。
忘れ物の多さは、年齢が上がるにつれて自然に落ち着いていく子も多くいます。今の状態がずっと続くとは限らない、という気持ちで見守っていただければと思います。
きょうだいの中でも、忘れ物の多さには差があることがあります。「上の子は平気だったのに、下の子は毎日忘れ物をする」というケースも珍しくありません。育て方の違いというより、もともとの特性の違いによるところが大きいと考えられています。
疲れているときや、行事の後など生活のリズムが崩れやすいタイミングは、いつもより忘れ物が増えることもあります。「最近多いな」と感じたら、まずは睡眠や生活リズムの様子も振り返ってみるとよいかもしれません。
忘れ物が多い子どもは、わざとではありません

忘れ物をしたとき、子ども自身も「またやってしまった」と感じていることがほとんどです。わざと忘れているわけでも、注意されるのが平気なわけでもありません。
よくある例として、前の晩にはきちんと準備をしていたのに、朝の慌ただしさの中で別の物を持ち出してしまう、といったことがあります。準備そのものはできていても、最後の確認が抜けてしまう、というパターンも少なくありません。
「またなの」「何度言ったらわかるの」という言葉が、つい口から出てしまう気持ちもよくわかります。それでも、わざとではないという前提に立つことが、次の関わり方を考えるうえでの土台になります。
気持ちの面だけでなく、行動のしくみとしても、忘れ物は「注意力の問題」というより「確認のタイミングの問題」であることが多いです。確認するタイミングを仕組みとして決めておくことで、本人の意識に頼らなくても、忘れ物を減らせる場合があります。がんばる気持ちだけに頼らない仕組みづくりが、結果的に子どもの負担を減らすことにつながります。

また体操着忘れてる…!毎朝あんなに確認したのに、なんでなの!?

それは違うわん!わざと忘れてるわけじゃないわん。準備はできていても、最後の確認が抜けちゃう子は多いわん。責める前に、しくみを一緒に考えるといいわん。
忘れ物が多い子どもの気持ちと特性を理解する
忘れ物が多い子どもの内側では、大人が思う以上にいろいろな気持ちが動いています。ここでは、その気持ちと特性をもう少し深く見ていきます。
「またやってしまった」という自己肯定感の低下

忘れ物が続くと、先生やまわりの友達に注意される機会も増えます。「自分はいつも忘れてしまうダメな子だ」と、子ども自身が感じ始めてしまうこともあります。
とくに、まわりと自分を比べやすい年齢になると、「みんなはできているのに、自分だけできない」という感覚が強くなりがちです。忘れ物という一つの出来事が、「自分はダメだ」という大きな自己評価につながってしまうこともあるのです。
叱られることが続くと、「どうせまた忘れるから」と、準備そのものへのやる気を失ってしまうこともあります。これは反抗しているのではなく、自信をなくしてしまった結果であることが少なくありません。
忘れ物そのものを減らす工夫と同時に、「忘れても大丈夫」「一緒に取り戻していこう」という空気を家庭の中でつくっておくことも、同じくらい大切です。自信を失ったままでは、新しい工夫を試す気力そのものが湧きにくくなってしまいます。
忘れ物を指摘するときの言い方も、自己肯定感に影響します。「また忘れたの」ではなく、「今日は何が入ってなかった?次はどうしたら気づけそう?」と、一緒に振り返る聞き方にするだけでも、受け止め方が変わることがあります。
忘れ物が多い子どもの、見えにくい特性

忘れ物の多さの背景には、頭の中で情報を一時的に覚えておく力の特性が関わっていると言われています。目に見えにくい特性なので、まわりからは「気をつければできるはず」と思われがちですが、本人の努力だけでは補いきれない部分もあります。
頭の中だけで管理しようとすると、どうしても抜け漏れが出やすくなります。だからこそ、紙に書き出す、目に見える場所に置くなど、頭の外に情報を出しておく工夫が効果的だと言われています。
気が散りやすい特性がある子の場合は、そもそも情報が入ってくる場面自体を減らす工夫も役立ちます。連絡事項を伝えるときはテレビを消す、持ち物の確認だけに集中できる時間を決めるなど、まわりの刺激を減らすだけでも、聞き逃しや確認漏れが少なくなることがあります。

頭の中で覚えておくのが苦手なんて、気にしたことなかったです…。わたし、てっきり気をつければ直ると思ってました。

気をつけるだけじゃ難しい子もいるわん。頭の外に書き出す工夫のほうが、ずっと効果的なこともあるわん。大丈夫、一緒に考えるわん!
忘れ物が多い子どもへ、家庭でできる工夫
ここからは、忘れ物が多い子どもに対して、家庭でできる具体的な工夫を紹介します。すべてを一度にやろうとせず、できそうなものから試してみてください。
持ち物リストとチェック習慣をつくる

持ち物を紙に書き出し、見える場所に貼っておくだけでも、忘れ物はぐっと減りやすくなります。玄関やランドセルの近くなど、身支度をする場所に貼るのがおすすめです。
文字だけでなく、持ち物のイラストや写真を添えると、低学年の子どもにもわかりやすくなります。「見て、確認して、しまう」という一連の流れを、毎日同じ手順でくり返すことが習慣化のコツです。
リストの内容は、学年やそのときの時間割によって変わっていきます。学期の初めや持ち物が変わるタイミングで、親子で一緒に見直す時間をつくっておくと、リストが実態に合わないまま放置されるのを防げます。
リストを作るときは、できるだけ子ども自身にも関わってもらいましょう。親が一方的に用意したものより、自分で書いたり選んだりしたリストのほうが、意識が向きやすく、続けやすい傾向があります。
持ち物リストをつくるときのチェックポイント
・毎日使う場所に貼る
・文字とイラストの両方を入れる
・チェックしたら丸をつけられるようにする
前日夜と朝の2回チェックする仕組み

準備を前日の夜だけ、あるいは朝だけにせず、夜と朝の2回チェックする仕組みにすると、抜け漏れがさらに減りやすくなります。夜は明日の時間割にそって準備し、朝は「昨日そろえた物が、今ちゃんとカバンに入っているか」を確認する、という役割分担です。
朝は時間に余裕がないことが多いので、朝のチェックは「持ち物リストを見ながら指差し確認するだけ」など、できるだけ短時間で終わる形にしておくと続けやすくなります。
玄関に鏡と一緒にチェックリストを置いておく、ランドセルを置く場所を決めておくなど、「そこに行けば自然と確認する」動線をつくっておくのも効果的です。仕組みが整えば、声かけの回数そのものを減らすこともできます。
2回チェックがうまくいかない日があっても、それで仕組みごとやめてしまう必要はありません。うまくいかなかった原因を親子で振り返り、チェックのタイミングや置き場所を少しずつ調整していくつもりで取り組んでみてください。
忘れても責めずに一緒に取りに戻る練習

忘れ物に気づいたとき、頭ごなしに叱るのではなく、「じゃあ、一緒に取りに戻ろうか」と、対応そのものを一緒に体験することも大切な学びになります。忘れたこと自体より、「忘れたときにどうするか」を身につけるほうが、長い目で見ると役立つことがあります。
よくある例として、忘れ物をしたときに慌てず「予備を学校に置かせてもらう」「先生に一言伝える」といった対応を、あらかじめ親子で決めておく方法もあります。失敗したときの対処法を知っているだけで、子ども自身の安心感にもつながります。
ハンカチや文房具など、忘れやすい小物は、学校用の予備を教室のロッカーに置かせてもらうという方法もあります。「忘れても取り戻せる手段がある」と思えるだけで、子どもの気持ちがぐっと楽になることがあります。予備を用意することは、甘やかしではなく、安心して過ごすための環境づくりのひとつです。

忘れ物したとき、つい怒っちゃうんです…。一緒に取りに戻るなんて、うちにできるかな。

いきなり完璧じゃなくていいわん。「一緒に取りに戻ろうか」の一言から始めてみるといいわん。それだけで、子どもの安心感がぜんぜん違うわん!
気持ちの切り替えがなかなかできない子については、こちらの記事でも詳しく取り上げています。あわせて読んでみてください。

忘れ物が多い子どもと、学校と協力して向き合う
最後に、忘れ物が多い子どもと、学校の先生とも協力しながら向き合っていくためのポイントを紹介します。
先生に相談して、環境を整えてもらう

家庭だけで抱え込まず、担任の先生に「忘れ物が多くて困っている」と相談してみるのもひとつの方法です。一人で抱え込まなくて大丈夫です。先生も一緒に考えてくれる味方です。
学校によっては、連絡帳をチェックするタイミングを増やしてもらう、持ち物を黒板に書き出してもらう、翌日の持ち物を早めに伝えてもらうなど、ちょっとした配慮をお願いできることもあります。
相談するときは、「困っていること」だけでなく、「家庭ではこんな工夫をしている」というプラスの情報もあわせて伝えると、先生側も対応のヒントを得やすくなります。
「相談してもいいのかな」と迷う保護者の方もいますが、忘れ物への対応は、家庭と学校が同じ方向を向いているほうがうまくいきやすいものです。ちょっとした立ち話や連絡帳の一言からで大丈夫です。
学年が上がって担任の先生が変わるときも、それまでの家庭での工夫や、うまくいった対応を改めて伝えておくと、新しい先生にもスムーズに理解してもらいやすくなります。
できたことに目を向けて自信を育てる

忘れ物がゼロになることを目指すより、「今週は忘れ物が減ったね」「自分でチェックできたね」と、できたことに目を向けるほうが、子どものやる気につながりやすいです。
カレンダーにシールを貼る、チェック表に丸をつけるなど、目に見える形で頑張りを記録していくのもおすすめです。積み重なっていく様子が見えると、子ども自身も達成感を感じやすくなります。
「忘れ物がなかった日」だけでなく、「忘れたけど、自分で気づけた日」「忘れたけど、落ち着いて対応できた日」も、認めてあげるポイントとして意識してみてください。結果だけでなく、途中のプロセスに目を向けることが、長い目で見た自信につながります。
季節の行事で気持ちが不安定になりやすい子については、こちらの記事も参考にしてみてください。

集団での活動が苦手な理由については、こちらの記事も参考になります。

まとめ:忘れ物が多い子どもと、根気よく向き合う
ここまで、忘れ物が多い理由と、家庭・学校でできる関わり方についてご紹介してきました。最後に、大切なポイントを振り返っておきましょう。
忘れ物が多い子どもへの理解が、変化の第一歩

忘れ物が多いのは、決して「だらしないから」ではありません。複数のことを同時に覚えておくのが苦手、頭の中で情報を保っておく力に特性がある、といった、その子なりの理由が背景にあることが多いものです。まずは「わざとではない」という前提で受け止めることが、関わりの第一歩になります。理由がわかれば、叱る回数よりも、工夫を試す回数を増やしていけるはずです。
今日からできる小さな工夫

持ち物リストを見える場所に貼る、夜と朝の2回チェックする、忘れても責めずに一緒に対応する。すべてを一度にやろうとせず、できるところから少しずつ試してみてください。先生と協力しながら、できたことに目を向けて自信を育てていくことも忘れずに。
今、忘れ物が多い子と向き合っているあなたは、すでに十分がんばっています。焦らず、その子のペースで、一歩ずつ工夫を積み重ねていきましょう。忘れ物が完全になくなる日を目指すのではなく、少しずつ減っていく変化を、一緒に喜んでいけたらと思います。
忘れ物が多いのには、その子なりの理由があります。持ち物リストや2回チェックの仕組みを取り入れながら、責めずに、その子のペースで向き合っていきましょう。
アイキャッチ画像:Photo by Atlantic Ambience on Pexels



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