鉄棒が苦手な子。理由と練習の工夫を解説

鉄棒が苦手な子。理由と練習の工夫を解説 低学年
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【この記事の信ぴょう性】

当ページの記事は、児童発達支援の現場経験を持つ鈴木日奈子(小学校教諭免許保有)が監修しています。

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鉄棒が苦手な子の気持ちと、つまずきやすい理由

こんにちは!おやまどの鈴木です。

鉄棒が苦手な子が感じている、こわさと不安

公園の鉄棒の持ち手
Photo by Caleb Oquendo on Pexels

体育の授業で鉄棒が始まると、急に「お腹が痛い」と言いだす。公園で鉄棒を見かけると、そっと反対側に歩いていく。そんな様子に、「どうして?」と戸惑った経験はありませんか。鉄棒が苦手な子は、やる気がないわけでも、努力が足りないわけでもありません。

鉄棒は、地面から足が離れ、体が宙に浮き、頭が下になる場面もある運動です。大人には「ちょっとした運動」でも、子どもにとっては高さと逆さまの感覚がいっぺんにやってくる、こわい体験になることがあります。

ほのママ
ほのママ

うちの子、鉄棒の前に立つだけで固まっちゃうの。わたし、てっきり運動が嫌いなだけだと思ってたんだけど…。

ここわん
ここわん

それは違うわん! 「こわい」という気持ちは、体を守ろうとする大切な反応なんだわん。まずは「こわいんだね」と受けとめるところから始めるわん。

たとえば、ブランコや滑り台でも怖がる子は、鉄棒の高さや浮く感覚にも身構えやすいと言われています。落ちたらどうしよう、手が痛くなったらどうしよう、友だちに笑われたらどうしよう。頭の中でいろいろな心配がふくらむと、体もぎゅっと固くなってしまいます。

体が固くなると、さらに動きがぎこちなくなり、うまくいかない経験が増えていきます。すると「やっぱり苦手だ」という思いが強まり、また鉄棒を避けるようになる。この悪循環に気づくことが、最初の一歩になります。

まずは「鉄棒が苦手なのには、ちゃんと理由があるのかもしれない」と考えてみてください。それだけで、親子の気持ちが少し軽くなることがあります。

子どもは、こわい気持ちをうまくことばにできないこともよくあります。「鉄棒、きらい」「やりたくない」というひとことの奥に、「落ちるのがこわい」「手が痛くなるのがいや」「失敗したくない」といった、いくつもの気持ちが隠れていることがあります。ことばの奥の気持ちを、一緒に探してみるつもりで話を聞いてみてください。

聞くときは、「どうして?」と理由をたたみかけるより、「どんなところがいやかな?」とやさしく尋ねるほうが、答えやすくなります。答えられなくても、気持ちを受けとめてもらえたという経験が、子どもの安心につながります。

鉄棒が苦手な子に多い、からだの使い方の「ちがい」とは

ドアの取っ手を握る子どもの手
Photo by James Collington on Pexels

鉄棒には、実はいろいろな力と感覚が必要です。ぶら下がるための握る力、体を引き上げるための腕と背中の力、体がぐらぐらしないようにする体幹の力、そして逆さまになっても平気でいられるバランスの感覚などです。

この中のどれか一つが苦手でも、鉄棒はむずかしく感じられます。たとえば、握る力が弱いと手が滑ってしまいますし、体の位置の感覚がつかみにくいと、どこまで回れば足が着くのかが分からず、こわくなってしまいます。

鉄棒で使われる主な力と感覚:握る力/腕で体を支える力/お腹と背中の力/足を振り上げるタイミング/逆さまの感覚(頭が下になることへの慣れ)。どこが苦手かは、子どもによってちがいます。

専門的には、からだの動きを調整する力を「協調運動」と呼ぶことがあります。手と足、右と左をなめらかに合わせて動かす力のことで、これが得意な子もいれば、時間がかかる子もいます。得意不得意は、その子の持ち味のひとつと考えて大丈夫です。

たとえば、絵を描くのは得意でも、体全体を使う運動には時間がかかる子がいます。逆に、走るのは速いのに、ぶら下がる動きだけが苦手な子もいます。ひとつの種目の結果だけで、その子の運動能力すべてを決めつける必要はありません。

また、成長のスピードには個人差があります。今は苦手でも、体が大きくなり、力がついてくると、自然にできるようになる動きもあります。今できないことを、ずっとできないことだと思いこまないことも、大切な見かたのひとつです。

同じような「からだの使い方」のむずかしさは、ほかの場面でも見られます。気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

なわとびが苦手な子。理由と練習の工夫を解説
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「どの力がいちばん足りなさそうかな?」と、遊びの中でそっと観察してみるのがコツです。鉄棒にぶら下がれる時間、手を離さずにいられる時間など、小さな「できた」を見つけると、工夫の方向が決まりやすくなります。

観察するときは、鉄棒だけでなく、ふだんの遊びの様子も思い出してみてください。高いところに登るのを嫌がる、ぐるぐる回る遊びが苦手、手を使う作業で疲れやすい。そうした様子とのつながりが見えてくると、「あ、そういうことか」と腑に落ちることがあります。

鉄棒が苦手な子が、とくに困りやすい場面

逆上がりが近づくと、鉄棒が苦手な子が不安になるとき

自転車のハンドルを握る子どもの手
Photo by Kadir Polat on Pexels

小学校では、鉄棒の中でも逆上がりがひとつの目標になりがちです。「みんなができているのに、自分だけできない」という気持ちは、子どもにとってとても重いものです。授業で順番を待つあいだ、胸がどきどきする子もいます。

よくある例として、練習のたびに足が地面から離れず、お尻が落ちてしまう場面があります。回数を重ねても変わらないと、「どうせ無理」という気持ちが育ちやすくなります。保護者の方も、つい「もう一回やってみよう」と励ましたくなりますよね。

けれど、子どもにとっては、できないところを何度も見られること自体が、プレッシャーになることもあります。見守る側が少し距離をとって、「やりたくなったら言ってね」と待つ姿勢のほうが、うまくいく場合もあります。

ほのママ
ほのママ

わたし、つい「あとちょっとだよ、もう一回!」って言っちゃうのよね…。えへへ…。

ここわん
ここわん

気持ちはよく分かるわん。でも、何度もくり返すと疲れて、さらに嫌になる子もいるわん。回数を決めて、おしまいにするのも大事だわん。

逆上がりができなくても、日常生活で困ることはほとんどありません。「できる・できない」より「やってみた」を大切にすると、気持ちがぐっと楽になります。目標を逆上がりだけにせず、「ぶら下がる」「ぶたの丸焼き」など、小さな段階に分けて考えてみましょう。

逆上がりには、ぐるっと回るためのコツがいくつかあると言われています。地面を蹴る足の力、鉄棒に体を引き寄せる腕の力、お腹を鉄棒に近づけておく感覚。これらがそろって初めて回れるので、ひとつのコツだけを練習する日があってもいいのです。

友だちとの比較で、鉄棒が苦手な子が自信をなくすとき

緑に囲まれた黄色い滑り台
Photo by Abdullah Asad on Pexels

鉄棒は、できる子とできない子の差が見えやすい種目です。順番を待つ列の中で、友だちが軽々と回る姿を見ると、自分だけが取り残されたように感じてしまうことがあります。「笑われるかも」という不安が、挑戦する前から心を重くします。

そんなときは、保護者の方がまず「できなくても大丈夫」というメッセージを、日ごろから伝えておくことが助けになります。結果ではなく、挑戦したことや、こわいのに列に並んだことを認めてあげましょう。

たとえば、「ちょっとだけ手を離せた」「足が少し浮いた」といった小さな変化も、見逃さずに声に出して伝えましょう。子どもは、自分の小さな成長に自分では気づきにくいものです。保護者の方が気づいて伝えることで、「やればできるかも」という気持ちが少しずつ育っていきます。

比べて落ち込んでいる日の声かけの例

・「こわかったのに、並べたね」とがんばりを認める
・「今日はここまでにしようか」と、やめる選択肢を示す
・「前よりぶら下がっていられたね」と、過去の本人と比べる
・「友だちは友だち、あなたはあなた」と伝える

先生にも、子どもの気持ちを伝えておくと安心です。「鉄棒がこわくて、順番を待つのが苦しいようです」と共有しておくと、授業の中で配慮してもらえることもあります。

たとえば、順番を最後にしてもらう、低い鉄棒を使わせてもらう、先に先生と一緒に練習しておく、といった配慮が考えられます。事前に知らせておくだけで、当日の安心感がまったく変わることがあります。先生を味方につけるつもりで、気軽に話してみましょう。

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鉄棒が苦手な子に、家庭でできる工夫

ぶら下がりから始める、鉄棒が苦手な子への練習の進め方

雪の公園の遊具
Photo by Aibek Skakov on Pexels

苦手なことに向き合うときは、いきなり本番に挑戦せず、ごく小さな段階に分けるのが基本だと言われています。鉄棒なら、たとえば次のような順番が考えられます。

ステップ1:低い鉄棒を、手で触って握ってみる。
ステップ2:足を地面に着けたまま、ぶら下がる姿勢をとる。
ステップ3:足を浮かせて、数秒だけぶら下がる。
ステップ4:布団の上などで、前回りや、ぶたの丸焼きを試す。
ステップ5:補助してもらいながら、足を振り上げてみる。

どの段階でも、できたらそっと認めてあげてください。うまくいかなかった日は、前のステップに戻って大丈夫です。進むスピードは、子どもが決めていいと考えると、保護者の方も肩の力が抜けます。

家の中でできる準備運動もあります。たとえば、ジャングルジムや雲梯のある公園で遊ぶ、タオルの両端を持って引っぱりっこをする、雑巾がけをする、といった遊びは、腕と体幹をほどよく使います。「練習」ではなく「遊び」の形で力を育てると、嫌がらずに取り組みやすくなります。

公園に行ったときに、鉄棒には近づかなくても、まずは雲梯やのぼり棒、ジャングルジムで遊ぶことから始めるのもよい方法です。ぶら下がったり、登ったりする経験は、鉄棒にもそのままつながります。鉄棒にこだわらないことが、結果的に近道になることもあります。

かけっこやなわとびなど、ほかの運動にも苦手さがあるときは、こちらの記事も参考にしてください。

かけっこが苦手な子。理由と練習の工夫を解説
かけっこが苦手な子の理由と、家庭でできる練習の工夫をやさしく解説します。スタートの緊張、からだの使い方、順位への不安、見通しの伝え方まで整理。運動会に向けてお悩みの保護者の方へ、小さな一歩を大切にした無理のない進め方をまとめてお届けします。

靴や服にも気を配ってみてください。すべりにくい靴、動きやすい服、手がすべりにくい手袋や砂場のざらざらを活かした遊びなど、ちょっとした環境の調整が、こわさをやわらげてくれることがあります。

また、鉄棒の高さが合っていないと、こわさが増します。足が地面にしっかり着く高さの鉄棒を選び、「安全だ」と感じられる環境から始めましょう。下にマットやクッションを敷くだけで、安心感がぐっと増すお子さんもいます。

見通しと「選べる」安心で、鉄棒が苦手な子を支える

手をつなぐ大人と子ども
Photo by RAW(bin)Foto on Pexels

鉄棒のこわさのひとつは、「何が起こるか分からない」ことです。そこで、これから何をするのか、いつ終わるのかを先に伝えると、安心しやすくなることがあります。「今日は3回ぶら下がったらおしまい」「砂時計が落ちるまでね」のように、終わりを見えるようにしましょう。

ほのママ
ほのママ

そっか、「いつ終わるか」が分かれば、ちょっと頑張れるのかも! わたしも歯医者さんで「あと3分」って言われると安心するもん。

ここわん
ここわん

その調子だわん! それに、「どっちからやる?」と選ばせるのも効果的なんだわん。選べると「自分で決めた」という気持ちになるわん。

「低い鉄棒と高い鉄棒、どっちにする?」「ママが手を添える? 見ているだけにする?」のように、選択肢を二つ用意すると、受け身だった気持ちが少し動きだします。手を添えるときも、子どもの「いいよ」を確かめてからにしましょう。

補助をするときは、体を持ち上げすぎないように注意してください。大人が支えすぎると、子どもは自分で動いている感覚をつかみにくくなります。「ここまでは自分でできたね」と、自分の力で動いた部分を言葉にして返すと、達成感につながりやすくなります。

ポイントは「予告・見通し・選択」の三つです。「今から鉄棒をするよ」と予告し、「あと少しで終わるよ」と見通しを伝え、「どっちからにする?」と選んでもらう。この流れをくり返すと、少しずつ落ち着いていく子もいます。

同じような運動の苦手さは、かけっこやボール運動でも見られます。あわせて読んでみてください。

ボール運動が苦手な子。理由と家庭でできる練習を解説
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まとめ:鉄棒が苦手な子と、ゆっくり進めるために

鉄棒が苦手な子の親が、ひとりで抱え込まないために

床に置かれた運動靴
Photo by Eduardo Gorghetto on Pexels

毎日の生活の中で、運動の苦手さに向き合うのは、保護者の方にとっても気持ちが重いものです。うまくいかない日が続くと、「私の関わり方が悪いのかな」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。でも、鉄棒を嫌がるのは、子どもなりのこわさのサインです。保護者の方のせいではありません。

ほかの家庭がどうしているのかを知りたいときは、園や学校の先生、身近な子育て仲間に話してみるのもひとつです。「うちもそうだよ」のひとことで、肩の荷がふっと軽くなることがあります。一人で抱え込まなくて大丈夫です。

夜になって、「今日も鉄棒の話で泣かせてしまった」と気持ちが沈む日もあるかもしれません。そんなときは、「今日はこわい気持ちをちゃんと話してくれた」と、見かたを変えてみてください。気持ちを話せること自体が、子どもの大切な成長です。

ほのママ
ほのママ

ほっとした〜。うちの子だけじゃないんだ…! 明日から、まずぶら下がる遊びから始めてみるね。

ここわん
ここわん

いい心がけだわん。うまくいかない日があっても、チャレンジしたことそのものを、ちゃんとねぎらってあげるわん。

今日からできる、小さな一歩

キックスクーターを握る子どもの手
Photo by Antonius Ferret on Pexels

最後に、この記事のポイントをまとめます。鉄棒が苦手な理由は、高さへのこわさ、握る力や体幹、逆さまの感覚など、子どもによってちがいます。まずは「何がいちばん苦手なのか」を観察してみてください。

次に、いきなり鉄棒の技に挑戦するのではなく、触る・ぶら下がる・遊びで力を育てる、という小さな段階に分けて進めます。そして、予告・見通し・選択の声かけを添えることで、子どもが安心して取り組める環境をつくっていきます。

それでも毎日がうまくいくとは限りません。うまくいかない日は、うまくいかない日でいいのです。逆上がりができなくても、親子で笑って帰れたなら、それは立派な「いい一日」です。運動を通して、子どもが「わかってもらえた」と感じられるように、これからも寄り添っていきましょう。

今日からできる小さな一歩

・低い鉄棒を、一緒に触ってみる
・ぶら下がる遊びから、数秒だけ試す
・「予告・見通し・選択」の三つを声かけに入れる
・できなかった日も、挑戦したことを認める

毎日少しずつでも、子どものペースを大切にしていけば、鉄棒が「こわい場所」から「ちょっと楽しい場所」に変わっていく日がきっと来ます。今日のあなたの頑張りも、ちゃんと子どもに届いています。

アイキャッチ画像:Photo by Nikita Nikitin on Pexels

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