持久走を嫌がる子の気持ちと、つまずきやすい場面
こんにちは!おやまどの鈴木です。
秋になると、学校では持久走やマラソン大会の練習が始まります。「持久走の日になると、朝からおなかが痛いと言う」「持久走を嫌がって、体育の前に表情が曇る」。そんな様子を見て、どう声をかけたらいいのか迷っている保護者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、持久走を嫌がる子どもの気持ちや背景、ご家庭でできる関わり方を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じているときの、ひと息つくきっかけになればうれしいです。
持久走の練習が始まる時期は、運動会や行事の疲れが残っている子も多く、学校生活全体で気持ちの余裕が少なくなりやすい季節でもあります。持久走を嫌がる様子の裏には、走ること以外の疲れが重なっている場合もあります。
まずは、「いつから嫌がるようになったのか」「練習の前なのか、当日だけなのか」「走る場面以外ではどうか」を、日々のやりとりの中でさりげなく観察してみてください。原因を決めつけるのではなく、お子さんの様子をていねいに集めていくことが、あとの関わり方のヒントになります。
息が苦しい、足が重いという体の感覚のつらさ

持久走を嫌がる理由として、まず多いのが「走ると苦しい」という体の感覚です。走り始めてしばらくすると、息が上がる、わき腹が痛くなる、足が重く感じるといった変化が出てきます。大人でも苦しいと感じる場面ですから、子どもにとってはなおさらです。
特に、体の感覚がとても敏感な子は、同じ距離を走っても、ほかの子より「しんどさ」を強く感じていることがあります。心臓の音が耳の奥で響く感じや、のどがヒリヒリする感じを、うまく言葉にできないまま我慢している場合もあります。
また、運動のときに力の入れ具合や呼吸のタイミングをつかむのが苦手な子は、最初から全力で飛ばして、すぐに息切れしてしまうことがあります。本人は一生懸命なのに、結果的に苦しい思いだけが残ってしまい、「持久走はもういやだ」という気持ちにつながります。

ほのママ:持久走を嫌がるのって、「走るのが遅いから」だと思っていたわ…。えへへ…。

それだけとは限らないわん。苦しさの感じ方は子どもによってずいぶん違うと言われているわん。まずは「どこがどんなふうにつらいのか」を、一緒に聞いてみるのが近道わん。
「どこが苦しい?」と聞いても、うまく答えられない子もいます。そんなときは、「胸がぎゅっとなる?」「足が重たい?」「おなかが痛くなる?」と、選べる形で聞いてみる方法があります。体の感覚を言葉にする練習にもなります。
靴が合っていない、靴下がずれて気持ち悪い、体操服のこすれが気になる、といった細かな不快感が、走るときのつらさを大きくしていることもあります。特に感覚が敏感な子は、普段は気にならない程度のことでも、運動中は強く感じやすいと言われています。
気になる様子があれば、靴のサイズやひもの結び方、服の素材を一度見直してみるのも一つの方法です。こうした環境の調整だけで、「走るのがいや」という気持ちが少し和らぐ子もいます。
周りと比べられる不安と、順位への緊張

持久走は、走った順番がはっきり見える種目です。周りの子がどんどん先へ行く様子を見て、「自分だけ遅い」「最後になるかもしれない」と感じ、スタートの前から気持ちが重くなる子もいます。
よくある例として、練習のたびに順位を意識して、「どうせビリだから」と最初から走る気持ちをなくしてしまうケースがあります。気持ちが落ち込むと、体も動きにくくなり、さらに結果が出にくくなる、という悪循環になりやすいのです。
友達に「遅いね」と言われた、先生に「もっと頑張れ」と声をかけられた、という小さな出来事が、心に残っている場合もあります。大人にとっては軽い一言でも、本人には「見られている」「評価されている」という緊張につながることがあります。
学校によっては、持久走の記録が掲示されたり、順位が発表されたりすることもあります。そうした場面で、「自分の名前が後ろのほうにある」と感じることが、強い不安につながる子もいます。完璧にやりたい気持ちが強い子ほど、うまくいかない自分を見せたくない、と考えがちです。
家庭では、「結果がどうでも、あなたの価値は変わらないよ」というメッセージを、ふだんから言葉や態度で伝えておくと安心につながります。順位の話題が出たときは、「どんな気持ちだった?」と気持ちのほうに話を向けてみましょう。
持久走を嫌がる理由をひもとく
持久走を嫌がる様子の裏には、体の苦しさや緊張だけでなく、見通しのもちにくさや、これまでの経験が関わっていることもあります。理由をひもとくと、声かけのヒントが見えてきます。
いつまで続くのか分からない見通しのもちにくさ

持久走は、「あと何周で終わるのか」「どのくらいの速さで走ればいいのか」が分かりにくい種目です。先の見通しがもちにくい子にとっては、ゴールが見えないこと自体が大きな不安になります。
たとえば、「3周走ります」と言われても、1周がどのくらいの長さなのか、今どこまで走ったのかが分からなくなってしまう場面を想像してみてください。終わりが見えないまま走り続けるのは、とても心細いものです。
ペース配分も、同じです。「ゆっくり走っていいよ」と言われても、どのくらいがゆっくりなのかが分からないと、迷ってしまいます。そのため、最初に速く走りすぎたり、途中で立ち止まってしまったりすることがあります。
見通しを助けるチェックポイント
・何周、または何分走るのかを、事前にメモで見せる
・1周ごとに、指で数える、シールを貼るなどの目印をつくる
・「ゆっくり」は「おしゃべりできる速さ」のように、具体的に言いかえる
学校の練習では、先生が「あと1周」と声をかけてくれても、その声が耳に入りにくい子もいます。周りが騒がしいと、指示を聞きとるだけで精いっぱいになってしまうこともあります。
ご家庭で、コースの地図や周回数を図にして見せておくと、イメージがつかみやすくなります。「ここまで走ったらお水を飲もう」のように、区切りを小さく刻んで伝える方法も、見通しを助けてくれます。
過去のつらい経験や、自信をなくした記憶

去年の持久走で転んだ、最後まで走りきれなかった、笑われた。そんな記憶が残っていると、持久走という言葉を聞くだけで気持ちが沈んでしまうことがあります。体験そのものよりも、そのときに感じた悔しさや恥ずかしさが、嫌がる気持ちの中心になっている場合もあります。
また、運動全般に自信がもてない子は、「どうせ上手にできない」という思いから、挑戦する前に気持ちをあきらめてしまうことがあります。逆上がりやなわとびなど、ほかの運動でのつまずきが、持久走への苦手意識につながっていることもあります。
こうした背景があるとき、「やればできるよ」という励ましだけでは、気持ちが動きにくいことがあります。まずは、「そのとき、悔しかったよね」と過去の気持ちを受け止めるところから始めてみるのがよいと言われています。

ほのママ:励ましているつもりだったのに、「やればできる」が逆にプレッシャーだったのかも…。

気づけたのは大きな一歩わん。「頑張れ」より先に、「つらかったね」を伝えるだけで、子どもの表情がゆるむことがあるわん。
運動会の練習で気持ちが乗らない子の様子については、こちらの記事でも取り上げています。

自信をなくした記憶は、少しずつ書きかえていくことができると言われています。「去年はいやだったけれど、今年は2分だけ走れた」という新しい経験が増えるほど、持久走のイメージはやわらいでいきます。
焦って結果を求めず、「走る」ことより「体を動かすのは気持ちいい」と感じられる機会を、ふだんの遊びの中で増やしていくのも一案です。散歩、かけっこごっこ、公園でのおにごっこなど、持久走と関係のない形でかまいません。
持久走を嫌がる子への家庭での関わり方
持久走を嫌がる気持ちを無理に押さえつけず、できるところから少しずつ土台を整えていくことが大切です。ここでは、ご家庭で取り入れやすい工夫を紹介します。
走る前の声かけと、朝の体調の整え方

持久走の日の朝に、おなかが痛い、頭が痛いと訴える子は少なくありません。気持ちの緊張が、体の症状として表れているケースもあると言われています。「仮病でしょ」と決めつけず、まずは「心配なんだね」と受け止めてあげてください。
朝の過ごし方では、時間にゆとりをもたせることがポイントです。急かされると、緊張がさらに高まります。朝食は、おなかに負担のかかりにくいものを、少なめでも食べられる量で用意するとよいでしょう。
走る前の声かけは、短く、気持ちが軽くなる言葉を選びます。「自分のペースでね」「今日はここまでできたらOK」のように、ハードルを低くする言葉が助けになります。結果ではなく、取り組む気持ちに目を向けた声かけを心がけてみてください。
前日の夜も、持久走の話題を出しすぎないほうがよいことがあります。「明日は持久走だね、大丈夫?」と何度も確認すると、かえって不安をふくらませてしまうためです。お風呂や好きなテレビの時間を大切にして、早めに寝られるよう整えてあげましょう。
朝になっても体調の訴えが続くときは、無理に送り出すのではなく、今日はどう過ごすのがよいか、お子さんと一緒に考えます。学校の先生にも、体調やご家庭での様子を共有しておくと、無理のない対応をお願いしやすくなります。
無理のない練習と、小さな達成感の積み重ね

練習は、距離やタイムではなく、「できた」の経験を増やすことを目的にします。たとえば、公園で「今日は2分間だけ、歩いてもいいから動き続ける」といった小さな目標から始めてみてください。
ゲームのように楽しめる工夫も、取り入れやすい方法です。好きな音楽に合わせて動く、木の葉を拾いながら歩く、親子で「ゆっくりジョギング」を楽しむなど、競争の要素を外すと、気持ちが軽くなる子もいます。
記録はシールや表にして、前回の自分と比べられるようにすると、変化が見えやすくなります。少し伸びたら、「昨日より1分長く動けたね」と具体的に伝えます。他の子との比較ではなく、自分の中での成長を感じられることが大切です。
走った後の水分補給や、ストレッチなどの体のケアも、毎回の流れとして取り入れておくと、翌日のだるさが減り、次の練習への抵抗感も和らぎやすくなります。

ほのママ:ふむふむ、2分から始めるなら、わたしもできそうだわ!親子でやってみようかな。

それは名案わん!親が楽しそうにしていると、子どもも「やってみようかな」と思いやすいわん。無理のない範囲で続けてみるわん。
ペースをつかむ練習として、「おしゃべりしながら走れる速さ」を親子で試してみる方法もあります。息が上がらないペースを体で覚えると、本番でも飛ばしすぎずに走りやすくなります。
走る時間を短く区切るのも効果的です。たとえば、「30秒走って30秒歩く」をくり返す方法なら、苦しさが強くなる前に休めるので、続けやすくなります。慣れてきたら、少しずつ走る時間を延ばしていきます。
まとめ:持久走を嫌がる子と、あせらず向き合う
持久走を嫌がるのは、めずらしいことではありません

持久走を嫌がる背景には、体の苦しさ、周りと比べられる不安、見通しのもちにくさ、過去のつらい記憶など、さまざまな理由があると言われています。どれも、がんばりたい気持ちがあるからこそ生まれる悩みかもしれません。
お子さんが持久走を嫌がっているときは、まず「いやなんだね」と気持ちを受け止めてあげてください。そのうえで、体の感覚や不安の中身を一緒に整理していくと、少しずつ道が見えてきます。
学校の先生に、お子さんの様子や苦手に感じている点を伝えておくと、練習の進め方を工夫してもらえることもあります。学校とご家庭が同じ方向を向けると、お子さんの安心感も高まります。
同じように、マラソン大会が苦手な子への関わり方については、こちらの記事も参考になります。

持久走を嫌がる気持ちは、「苦手なことから逃げている」のではなく、「自分なりに守ろうとしている」サインと受け取れることもあります。叱るよりも、気持ちの奥にあるものを一緒に探していくほうが、結果的に前向きな変化につながりやすいと言われています。
もちろん、すぐに解決しない日もあります。それでも、「話を聞いてもらえた」「分かってもらえた」という経験は、お子さんの中にしっかり残ります。
今日からできる小さな一歩

今日からできる一歩として、まずは「走るのがいやな気持ち」を話せる時間をつくってみてください。夕食のあとや寝る前のほっとする時間に、「持久走、どんな感じ?」と軽く聞いてみるだけでも十分です。
話してくれたら、アドバイスをする前に、「そうなんだ」「しんどいよね」とうなずいて聞いてみます。気持ちを受け止めてもらえる経験は、子どもの安心につながります。
持久走が終われば、また別の行事が待っています。そのたびに悩むこともあるかもしれませんが、一人で抱え込まなくて大丈夫です。お子さんのペースで、少しずつ進んでいきましょう。
ひと息つくためのチェックポイント
・持久走を嫌がる気持ちを、まず受け止める
・「頑張れ」より「ゆっくりでいいよ」を選ぶ
・ほかの子ではなく、前回のお子さんと比べる
・小さな「できた」を一緒に喜ぶ

ほのママ:持久走を嫌がる気持ちにも、ちゃんと理由があるのね。えへへ、今日から「ゆっくりでいいよ」を合言葉にするわ。

その調子わん!大丈夫、一緒に考えるわん。お子さんの「いやだ」は、がんばりたい気持ちの裏返しかもしれないわん。
もし、学校で持久走の時間が近づくことがつらそうなら、先生と連絡帳や面談で情報を共有し、当日の配慮について相談してみるのも一つの方法です。たとえば、スタート位置を後ろにする、歩く時間を認めてもらうなどの工夫が考えられます。
お子さんが少しでも走れたときは、結果ではなく「行ってみようと思えたこと」を認めてあげてください。それが、次の挑戦への小さな力になります。
アイキャッチ画像:Photo by BOOM 💥 Photography on Pexels



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