上着を嫌がる子の気持ちと、そう感じる理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
朝晩が冷えこむ季節になりました。「寒いから上着を着ようね」と声をかけても、上着を嫌がる子に、手こずっている方も多いのではないでしょうか。玄関で固まってしまったり、着せた途端に脱いでしまったり。うちの子だけ?と悩んでしまいますよね。
この記事では、上着を嫌がる子の気持ちと、そう感じやすい理由、家庭でできる工夫を、順番にまとめました。「わがまま」と決めつけず、子どもの感じ方に目を向けるヒントとして、読んでいただければうれしいです。
上着を嫌がる子が、肌ざわりや締めつけを不快に感じるとき

上着を嫌がる子の理由として、まず考えられるのが肌ざわりや締めつけです。襟元のチクチク、袖口のゴムのきつさ、裏地のごわごわ。大人は気にならなくても、子どもにとっては、ずっと続く不快に感じられることがあります。
感覚の感じ方には、個人差があると言われています。同じ上着でも、ある子には平気で、別の子にはとても気になる、ということもあります。「みんな着ているのに」という比べ方は、あまり役に立ちません。
たとえば、上着を着た瞬間に顔をしかめたり、首元に手をやったりする姿が見られるなら、襟や首まわりが気になっているのかもしれません。袖を通すのは嫌がらないのに、ファスナーを上げると嫌がる場合は、締めつけが理由かもしれません。
肌ざわりの好みは、体調や気分によっても変わります。昨日は着られたのに今日はだめ、ということもあります。「前は着られたのに」と思うと、つい気持ちが焦りますが、日によって感じ方がゆれるのは、自然なことです。
もう一つのヒントは、タグや縫い目です。上着の内側にあるタグや、肩まわりの縫い目が当たって、気になることもあります。表からは見えにくい部分なので、一度、裏返して手でなぞってみると、気づけることがあります。
子どもは、「ここがいやなんだ」と言葉にするのが、まだ難しい年齢です。だからこそ、様子から手がかりを探してみることが大切になります。
上着を嫌がる姿を見て、「このまま着られないのでは」と不安になる方もいます。けれど、成長とともに感じ方や動きは変わっていくものです。今の姿が、ずっと続くとは限りません。
嫌がる理由が一つではなく、いくつか重なっていることもよくあります。「肌ざわりも少し苦手で、切り替えも苦手」というように、組み合わさっていることもあるので、決めつけずに観察してみてください。

上着の何がそんなにいやなのか、聞いても「いやなの!」としか言わなくて…。

言葉にするのは難しいわん。着たときの顔や手の動きを見ると、ヒントが見つかるかもしれないわん。
上着を嫌がる子が、重さや動きにくさにとまどうとき

厚手の上着は、体にかかる重さや、腕を動かしにくくなる感覚も変えてしまいます。いつもより動きにくい、というだけで、不安やいらだちを感じる子もいます。
特に、遊びが大好きで体を動かしたい子にとっては、上着がじゃまに感じられることもあります。「ブランコがこげない」「走りにくい」といった、動きの制限が、嫌がる理由になっている場合もあります。
着ぶくれするのが苦手な子もいます。リュックを背負うと窮屈になったり、ベルトが腕にからまったりするのも、気になるポイントです。「上着そのもの」ではなく、「上着を着たときの動きの変化」が理由になっていることもあります。
また、体の大きさに対して、上着が少し大きいと、袖が余って動きにくくなることもあります。「大きくなるから」と余裕のあるサイズを選んでいる場合は、袖をまくるなど、その場でできる工夫も一つの方法です。
逆に、小さくなった上着は、肩や腕がきつくて、動きを妨げます。成長が早い時期は、昨年の上着が合わなくなっていることもあるので、体に合っているかを確かめてみてください。
上着を嫌がる子が、着る手順や切り替えにとまどうとき

もう一つ、見落としがちなのが、着る手順や切り替えです。遊んでいる途中で「上着を着て」と言われると、気持ちの切り替えが難しい子もいます。
ファスナーやボタンの扱いが苦手で、自分でできないことにいらだっている場合もあります。うまく噛み合わないファスナーを何度もやり直すのは、大人でもストレスになりますよね。
また、「寒い」という感覚が、まだはっきりしない子もいます。大人が寒く感じる気温でも、子どもは走り回って体が温まっていることもあります。そのため、上着の必要性がピンとこない、ということも起こりえます。
見通しが持ちにくいことも関係します。「いつまで着るの?」「どこで脱ぐの?」がわからないと、不安になって拒否する子もいると言われています。
こうした「手順のしんどさ」は、大人から見ると小さなことに見えますが、子どもにとっては大きな負担になります。1つずつ手伝いながら、「ここまでは自分でできたね」と区切って伝えていくと、自信につながることがあります。
着替えそのものが得意でない子にとっては、厚手の上着は、特に難しい作業です。他の着替えの場面でも苦戦しているようなら、上着だけの問題ではなく、全体のペースを見直すきっかけになるかもしれません。

上着を嫌がる子が、特に困りやすい場面
次に、上着を嫌がる子と、日々の生活でぶつかりやすい場面を見ていきます。場面ごとに整理しておくと、事前に準備もしやすくなります。
どの場面にも共通するのは、「うまくいかない日があって当たり前」ということです。完璧を目指さず、うまくいった場面を一つでも見つけられれば、それで十分です。
朝の支度で、上着を嫌がる子と時間が足りなくなるとき

いちばん悩みやすいのが、朝の支度です。出発時間が決まっているなか、上着を嫌がる子に何度も声をかけていると、親も焦りますよね。
朝は特に、子どもも「もっと遊びたい」「まだ眠い」と、気持ちが切り替わりにくい時間帯です。そこに上着の着脱が重なると、衝突しやすくなります。
たとえば、前の晩に上着を置く場所を決めておく、出発の10分前に「あと10分で上着を着るよ」と予告するなど、時間に余裕を持たせると、気持ちが少し楽になることがあります。それでも着られない日もあります。そんな日は、「持っていく」だけでも、十分な日があります。
朝の準備を少し早めにするのも、一つの方法です。5分から10分の余裕があるだけで、親の気持ちにもゆとりが生まれ、声かけがやさしくなることがあります。完璧を目指さず、できる範囲の工夫で十分です。
玄関に、上着をかける低いフックを作るのもおすすめです。自分で取れる高さにあれば、「自分で選んで持ってくる」という行動が生まれ、受け身ではなく、自分から関われる感覚につながります。

朝は時間との戦いで、つい「早くして!」って言っちゃうの…。

それは多くの保護者が感じることわん。自分を責めなくて大丈夫わん。
園や学校、お出かけ先で、上着の脱ぎ着が必要になるとき

園や学校では、外遊びの前に上着を着て、教室に戻ったら脱ぐ、といった切り替えが何度もあります。上着を嫌がる子にとって、この繰り返しは大きな負担になりやすいです。
「園では着られるのに、家では嫌がる」「家では平気なのに、外では嫌がる」といった差が出る子もいます。場所や相手によって、気持ちの余裕が変わるためと言われています。差があることも、お子さんの大切な情報です。
お出かけ先でも、日なたと日かげ、屋外と屋内で、体感温度が変わります。「暑いから脱ぎたい」「寒いから着たい」を、そのつど自分で判断するのは、子どもにとって意外と難しいことです。
先生と連携できる場合は、「この子は上着の脱ぎ着が苦手なので、少し時間をください」「脱ぎやすい前開きのものを使っています」など、事前に伝えておくと、現場で配慮してもらえることもあります。
お出かけ先では、上着を持ち歩く小さなバッグや、たためる素材の上着も便利です。脱いだあとの置き場所に困らないだけで、気軽に脱ぎ着できるようになる子もいます。
登園時に着てくれなかった日は、「かばんに入れて持っていく」だけでも、十分な日があります。寒くなったら自分で着られるように、先生にそっと声をかけてもらうよう、お願いしておく方法もあります。
脱いだ上着の置き場所が決まっていない、ということも、意外と混乱のもとです。かごやフックなど、定位置があるかどうかも、確認してみてください。
上着を嫌がる子と一緒にできる、家庭での工夫
ここからは、家庭で試せる工夫を紹介します。どれも、「これをすれば解決」というものではありません。お子さんに合うものを、少しずつ探してみてください。
工夫を試すときは、一度に全部やろうとしなくて大丈夫です。今日は素材を見直す、来週は声かけを変える、というように、ひとつずつ進めてみてください。
上着を嫌がる子に合う素材・形を、一緒に選んでみる

まず試しやすいのが、上着の素材や形の見直しです。内側の肌ざわりがやわらかいもの、襟元が当たりにくいもの、軽くて動きやすいものなど、お子さんが嫌がるポイントを避けられる上着を探してみましょう。
袖口や裾が絞られていないタイプや、ファスナーやボタンが扱いやすいタイプも、選択肢になります。前開きでかぶらなくてよいものは、着脱が楽になることがあります。
可能であれば、お子さんと一緒に選ぶのもおすすめです。「どっちがいい?」と二択で聞くと、自分で選んだ満足感が生まれ、着る気持ちにつながる場合があります。
試着をするときは、お店でじっくり選ぶのが難しい子もいます。そんなときは、家で何着か試してみて、返品や交換ができるお店を使うなど、無理のない形で進めてみてください。
あたたかさを重視するなら、上着を厚手にするよりも、中に着る服で調整する方法もあります。薄手でもあたたかいインナーを足すことで、上着を軽めにできる場合があります。
たとえば、重ね着ではなく、薄手のものを1枚で済ませる、という方法もあります。厚着をしなくても、あたたかさを保てる素材のものを探す方法もあります。値段や好みもあるので、無理のない範囲でかまいません。
上着を嫌がる子が、少しずつ慣れていくための声かけ

声かけは、「着なさい」よりも「選べる」「見通しがわかる」形にしてみてください。「赤とグレー、どっちにする?」「5分たったら着ようか」など、小さな選択と予告があるだけで、受け入れやすくなる子もいます。
上着を着る前に、少し遊びの要素を入れる方法もあります。ぬいぐるみに上着を着せる「お着替えごっこ」をしたり、「上着のトンネルをくぐるよ」と声をかけたり。笑いながらだと、気持ちが和らぐことがあります。
慣れるまでは、家の中で短い時間だけ着てみる練習も、一つの方法です。「3分だけ着てみよう」とゲームのように始め、着られたらほめる。それを少しずつ延ばしていきます。うまくいかなくても、「今日はここまで」で十分です。
慣れていく過程では、後戻りする日もあります。昨日は着られたのに今日はだめ、というときも、「そういう日もあるよね」と受けとめて、次の機会に切り替えましょう。ゆっくり進むほど、後で安定することもあります。
上着を着たあとに、好きな遊びやおやつなど、小さな楽しみにつなげるのもおすすめです。「着たら楽しいことがある」という経験が、少しずつ積み重なっていきます。
きょうだいや親が一緒に着て、「あったかいね」と共感する方法もあります。大人がうれしそうに着ていると、興味を持つ子もいます。

まとめ:上着を嫌がる子と、ゆっくり進んでいく
ここまで、上着を嫌がる子の理由と、場面ごとの困りごと、家庭でできる工夫を見てきました。最後に、気持ちの持ち方を整理します。
上着を嫌がる子の気持ちを、まるごと受けとめるという考え方

上着を嫌がる子は、決してわがままなのではありません。肌ざわり、重さ、動きにくさ、切り替えのしづらさ。理由は一つとは限らず、お子さんなりの「いやだ」の理由があります。
大切なのは、嫌がる気持ちを否定せず、「そっか、いやなんだね」と一度受けとめることです。気持ちが受けとめられると、次の一歩を試す余裕が生まれることがあります。
寒さへの対策は、上着だけではありません。室温の調整、あたたかい飲み物、車での移動、重ね着の工夫など、ほかの方法も選べます。「上着を着せること」が目的ではなく、「あたたかく過ごせること」が目的だと考えると、気持ちが少し軽くなります。
また、保護者の方の気持ちも、同じくらい大切です。毎朝のやりとりで疲れてしまうのは当たり前のことで、あなたが悪いのではありません。完璧に着せることよりも、親子で笑顔でいられる時間のほうが、長い目で見て大切です。

上着を着せることばかり考えて、あたたかく過ごすことを忘れてたわ。えへへ…。

気づけたことが大きな一歩わん。大丈夫、一緒に考えるわん!
一人で抱え込まず、上着を嫌がる子と一緒に進んでいく

毎日のことだからこそ、疲れてしまう日もあると思います。「今日も着てくれなかった」と落ち込んだときは、できたことに目を向けてみてください。玄関まで一緒に行けた、上着を持っていけた。それも立派な一歩です。
園や学校の先生、家族、同じ悩みを持つ保護者の方に話してみるのも、気持ちが楽になる方法です。「うちもそうだよ」と言ってもらえるだけで、肩の力が抜けることがあります。
季節が進めば、体の感じ方や、できることも少しずつ変わっていきます。今は難しくても、お子さんなりのペースで、上着と仲よくなれる日が来るかもしれません。
心配なことが続くときは、園や学校の先生に、様子を共有してみてください。家庭だけで抱え込むより、周りの大人と一緒に見ていくほうが、気持ちに余裕が生まれやすくなります。
この冬が、お子さんにも保護者の方にも、あたたかく過ごせる季節になりますように。

アイキャッチ画像:Photo by Elif Sevim on Pexels



コメント