着替えを嫌がる子の気持ちと、そう感じる理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
朝、服を出しても「やだ!」と走って逃げてしまう。ズボンを持って追いかけても、パジャマのまま動かない。そんなふうに、着替えを嫌がる子の様子に、毎日ぐったりしてしまうことはありませんか。
朝晩の空気がひんやりして、着るものが変わる季節です。半袖から長袖へ、薄手から少し厚手へと、服の切り替えが増えるころは、「着替え」がいつも以上に大変に感じられるかもしれません。
この記事では、着替えを嫌がる子が感じていることや、つまずきやすい理由、家庭でできる工夫をやさしく整理します。「うちの子だけかな」と思っている方の気持ちが、少し軽くなればうれしいです。
着替えを嫌がる子が感じている、肌ざわりやタグ、首まわりのいやな感じ

大人は気にならなくても、子どもにとっては「服のさわり心地」が大きな問題になることがあります。肌ざわりは、感じ方に個人差が大きいと言われています。
たとえば、首まわりのタグがちくちくする、縫い目が足の指にあたる、ごわごわした生地が背中に当たる、といったことです。こうした小さな刺激が、「着たくない」という気持ちにつながることもあります。
服を頭からかぶるとき、首の穴を通る一瞬がいやだという子もいます。顔が布でふさがれる感覚や、髪の毛がひっぱられる感じが、苦手なのかもしれません。
また、新しい服は生地がかたく、洗いざらしの服よりも肌にあたる感じが強いことがあります。お気に入りの服しか着たがらない子は、そのやわらかさや慣れた感触を、安心の目印にしているのかもしれません。
「ただの服でしょ」と言われても、本人にとっては毎日のことで、気になる刺激がずっと続くのです。まずは、「ここがちくちくするのかな」と、感じていることをいっしょに探してみましょう。
タグについては、こちらの記事でも取り上げています。

ここで、感触が気になる子によく見られる様子を、いくつか並べてみます。
たとえば、帰ってくるとすぐに服をぬぎたがる、ある決まった服だけ着たがる、着替えるときに首のあたりを何度も引っぱる、といった様子が見られることがあります。どれも、服の感触を気にしているサインかもしれません。
もちろん、これだけで何かが分かるわけではありません。「そういうこともあるんだな」と、頭の片すみにおいておくくらいで十分です。
洗濯のときに、柔軟剤を変えるだけで着心地が変わった、と感じる方もいます。においが気になる子には、香りの少ないものを選ぶ方法もあります。
着替えを嫌がる子が、遊びをやめられず気持ちを切り替えにくいとき

「着替えよう」と声をかけたとき、子どもは何か別のことに夢中になっていることが多いものです。テレビ、おもちゃ、絵本など、楽しいことの途中で急に切り上げるのは、大人でもむずかしいですよね。
子どもは、「今していること」から「次のこと」へ気持ちを動かすのに、時間がかかることがあります。着替えがいやなのではなく、「今の楽しい時間が終わるのがいや」という場合もあるようです。
たとえば、積み木を高く積んでいる最中に「着替えるよ」と言われたら、「せっかくここまで積んだのに」と思うかもしれません。その気持ちが、「やだ!」という言葉になって出てくることもあります。
また、これから何が起こるのか見通しが立たないと、不安になる子もいます。「着替えたあとは何をするの?」「いつまでに終わるの?」が分からないと、動き出しにくくなるのです。

朝は時間がないから、つい「早くして!」って言っちゃうの…。えへへ…でも全然動いてくれなくて。

それは大変だわん。でも、子どもは遊びの途中を止められないだけかもしれないんだわん。切り替えの合図を作ってみるのがいいわん!
切り替えが苦手な子には、「次にすること」を、目で見て分かる形にしてあげる方法もあります。たとえば、着替えの順番を絵カードにして、冷蔵庫や壁にはっておくのです。
絵カードが難しければ、「パジャマをぬぐ→服を着る→おしまい」と、短い言葉で伝えるだけでも十分です。ゴールが見えると、動き出しやすくなる子もいます。
うまく切り替えられたときは、「自分でやめられたね」と、できたことを言葉にして伝えてあげてください。小さな成功が、次の日の気持ちを少し軽くしてくれることもあります。
着替えを嫌がる子の「自分でやりたい」「やりたくない」という気持ち

2〜3歳ごろは、「自分でやりたい」という気持ちが強くなる時期です。親が着せようとすると、「じぶんで!」と怒って、服をぬぎ捨ててしまうこともあります。
この時期の「いや」は、自分の意思を持ち始めたサインとも言われています。着替えそのものがいやなのではなく、「やらされる」ことがいやなのかもしれません。
ところが、自分でやりたくても、ボタンや袖、ズボンの足を通すところは、まだむずかしい動きです。うまくできず、イライラして、「もうやだ!」となってしまうこともあります。
反対に、「やってほしい」気持ちが強い日もあります。眠いとき、疲れているとき、お母さんやお父さんに甘えたいときは、着替えを手伝ってもらいたいのかもしれません。
たとえば、昨日は自分でズボンをはけたのに、今日はまったくやらない、ということもあります。気分や体調で、できること・やりたいことは、日によって変わるものです。
「できるはずなのに」と思うより、「今日はどんな気分かな」と見てあげると、親子ともに少し気がらくになります。日によって波があるのは、自然なことだと言われています。
「自分でやりたい」気持ちを育てるには、やりやすい服を選ぶのも一つの方法です。ゴムのズボンや、頭を通しやすいゆったりした服は、自分で着替える練習に向いていると言われています。
最初は、ズボンの足を通すところだけ手伝って、あとは自分で引き上げる、といった部分的なお手伝いでも大丈夫です。全部やらせようとしなくて構いません。
うまくいかなくても、「ここまでできたね」と、途中までを認めてあげると、次への意欲につながりやすくなります。
着替えを嫌がる理由は、「感触」「切り替え」「自分でやりたい気持ち」「朝の忙しさ」など、いくつかが重なっていることが多いと言われています。ひとつに決めつけなくて大丈夫です。
それから、着替えのたびに「自分でできたね」と言ってもらえる経験は、子どもの自信につながります。できない日があっても、取り上げずに見守る気持ちを大切にしてみてください。
おうちの人が手伝うときも、「手伝っていい?」とひとこと聞くだけで、子どもの受け取り方が変わることがあります。自分の体は自分のものという気持ちを、大切にしてあげたいですね。
着替えを嫌がる子が、朝や季節の変わり目に困りやすい場面
着替えを嫌がる子と、あわただしい朝の時間

朝は、ごはん、歯みがき、荷物の準備と、やることがたくさんあります。親も子も気持ちに余裕がなくなり、着替えのところでぶつかりやすい時間帯です。
「早く着替えて!」と声をかけるほど、子どもは反発して、よけいに動かなくなることがあります。急かされると、子どもは「何をすればいいのか」より、「責められている」という気持ちが先に立つのかもしれません。
また、朝はまだ眠くて、体がぼんやりしている子もいます。目が覚めていない状態で服を脱ぎ着するのは、思っているより大変なことです。
ここで、朝の着替えが大変なときの考え方を3つ、あげてみます。
朝の着替えを少しらくにする見直しポイント
・起きてから着替えるまでの時間に、少しゆとりがあるか
・着替える場所が、寒すぎたり暗すぎたりしないか
・「早く!」のかわりに、やることを短く伝えているか
朝の時間を10分前倒しにするのは、大人にとっても簡単ではありません。できるところから、ひとつだけ試してみる、くらいの気持ちで大丈夫です。
たとえば、朝のごはんの前に着替える流れにするか、あとに着替える流れにするかで、子どもの様子が変わることもあります。ごはんで目が覚めてから着替えたほうが、動きやすい子もいます。
逆に、起きてすぐに着替えてしまったほうが、そのあとの流れがスムーズな子もいるようです。その子に合った順番は、いろいろ試してみて見つけていくものだと言われています。
親がゆっくり構えられる日と、そうでない日があるのも、自然なことです。余裕がない朝は、「今日は上着だけ着替えよう」くらいにして、がんばりすぎないことも大切です。
着替えを嫌がる子が感じる、季節の変わり目の服の厚みや寒さ

秋は、朝と昼で気温の差が大きい季節です。着る服の厚みも変わるため、「この服はいや」「あの服がいい」と、こだわりが強く出る子もいます。
たとえば、半袖が好きな子は、長袖の袖口のしめつけ感がいやなのかもしれません。反対に、夏の服に慣れていると、厚手の服が重く感じられて、動きにくく感じることもあります。
着替えのときには、服をぬいで肌が空気にふれる瞬間があります。冷たい空気を感じると、それだけで着替えが苦痛になる子もいるようです。
靴下やズボンの感触も、季節で変わります。やわらかく温かい素材だと喜ぶ子もいれば、「もこもこしていやだ」と感じる子もいます。
靴下については、こちらの記事でも取り上げています。

「寒いから着なさい」と言うより、「この服はあったかいね」と、温かさや心地よさに目を向ける言葉をかけてあげると、受け入れやすくなる子もいます。

寒そうだから厚い服を出したのに、「ちくちくする」って言われちゃって。え、そうだったの〜?

それは嫌がってるんじゃなくて、困ってるのかもしれないわん。素材を変えてみるのも一つの方法なんだわん!
重ね着も、むずかしいポイントです。「肌着の上に、シャツ、その上にセーター」と重ねると、動きにくくなったり、袖がもたついたりして、いやな感じが増えることもあります。
重ねる枚数を減らして、かわりに1枚あたりの着心地にこだわるほうが、うまくいく子もいます。薄手の肌着をやめたら機嫌がよくなった、というケースもあるようです。
着替えの場所を、暖かい部屋にするのも工夫の一つです。ストーブの近くや、日の当たる場所に服を置いておくと、あたたかい服に着替える気持ちよさを感じやすくなります。
着替えを嫌がる子と一緒にできる、家庭での工夫
着替えを嫌がる子が選びやすい、前日の準備と服の選び方

着替えを嫌がる子には、前の日のうちに服を準備しておく方法があります。朝のバタバタを減らせるだけでなく、子どもが服を選ぶ時間も確保できます。
たとえば、2枚の服を出して、「どっちがいい?」と聞いてみる方法があります。自分で選んだという気持ちが、「やらされた」という気持ちをやわらげることがあります。
選ぶ服の数は、2つか3つくらいにしておくと、迷いすぎずにすみます。選択肢が多すぎると、決められなくて固まってしまう子もいるためです。
着心地のよい服をいくつか用意しておくのも、一つの方法です。タグを切ったり、縫い目の少ない服を選んだりして、いやな刺激を減らしてあげます。
服をたたむときに、子どもといっしょに「今日着る服」を並べてみるのも楽しい方法です。着替えが「やらされること」から、「自分で決めること」に変わっていきます。
たとえば、お気に入りのキャラクターの服しか着たがらない場合は、同じ服を数枚そろえておく方法もあります。毎日同じような服になっても、本人が安心して着られることが大切です。
服を選ぶ時間を、前の日の夜にとるのもおすすめです。夜は気持ちがおだやかなことが多く、落ち着いて選べる子もいます。
着替えを嫌がる子と楽しく進める、歌や遊びを取り入れた流れ

着替えを、遊びのような時間に変えてしまう方法もあります。たとえば、「トンネルをくぐるよ」と言いながら、首を通してあげると、笑って着てくれる子もいます。
ほかにも、「手はどこから出るかな?」とクイズにしたり、「この服、だれが先に着られるかな?」とゲームにしたりする方法があります。笑顔になる時間が増えると、着替えへの抵抗も少しずつ変わっていくようです。
着替えのときだけ流す歌を決めておくのも、一つの方法です。「この歌が聞こえたら着替えの時間」と分かると、気持ちの準備ができる子もいます。
うまくいかない日は、無理に進めなくても大丈夫です。「今日はパジャマのままでいいか」と、気持ちを切り替えてみることも、時には必要です。
そんな日があっても、毎日ではありません。「今日はそういう日なんだな」と受け止めて、次の日にまた試してみる。それくらいの気楽さが、親の心の余裕にもつながります。
おうちの人が、「パパもいっしょに着替えようかな」と、いっしょに着替えて見せる方法もあります。まねをするのが好きな子は、親の様子を見て動き出すことがあります。
ぬいぐるみやお人形にも服を着せる遊びをしておくと、着替えへの親しみが生まれる子もいます。遊びの中で、服を着る動きに慣れていくのです。
まとめ:着替えを嫌がる子と、あわてずゆっくり進んでいく
着替えを嫌がる子の理由を、いくつかの目でながめ直してみる

着替えを嫌がる理由は、子どもによって、また日によって、さまざまです。肌ざわり、気持ちの切り替え、自分でやりたい気持ち、朝の忙しさ、寒さ。ひとつではなく、いくつかが重なっていることもあります。
「どうして着替えてくれないの」と悩んだときは、理由をひとつに決めつけず、「今日はどれかな」と、やさしい目で見てみてください。
たとえば、タグを切る、服の素材を変える、時間に少しゆとりをもたせる。どれも小さな工夫ですが、積み重ねることで、変化が見えてくることもあります。
すぐに効果が出なくても、がっかりしなくて大丈夫です。子どもの感じ方は、少しずつ変わっていくものだと言われています。

着替えは毎日のことだから、ちょっとずつ工夫していけばいいんだね。なんだか肩の力がぬけたかも。

そうだわん。ママが笑顔でいることが、子どもにとっていちばんの安心なんだわん。大丈夫、一緒に考えるわん!
着替えの悩みは、ある時期をすぎると、自然と落ち着いていく場合もあります。今は大変でも、ずっと続くとは限らないということを、頭の片すみに置いておいてください。
そして、「今日の着替えはどうだったか」を、夜にひとことだけ振り返ってみるのもおすすめです。うまくいった日の工夫は、またやってみることができます。
一人で抱え込まず、着替えを嫌がる子と一緒に進んでいく

着替えを嫌がる子を見守るあなたも、毎日、本当によくがんばっています。朝のバタバタの中で、子どもの気持ちに寄りそおうとするその姿が、何よりの支えになっています。
「ほかの子はスムーズなのに」と、不安になる日があっても、一人で抱え込まなくて大丈夫です。着替えのことで悩んでいる親子は、たくさんいます。
着替えは、毎日くり返すからこそ、少しの工夫で気持ちがらくになる場面でもあります。今日できたことを、ひとつ見つけて、いっしょに喜んでみてください。
ゆっくり、その子のペースで。着替えの時間が、いつか親子で笑い合える時間になるよう、願っています。
ほかのご家庭の話を聞いてみると、「うちも同じ」と気づくことがあります。身近な人や、同じ年ごろの子を持つ友達と、ちょっと話してみるだけでも、気持ちがらくになるかもしれません。
着替えを嫌がる子との毎日は、大変な日もありますが、成長の途中のひとコマでもあります。いつか振り返ったときに、「あのころは大変だったね」と笑える日が来ますように。
アイキャッチ画像:Photo by Sarah Chai on Pexels



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