レインコートを嫌がる子の気持ちと、そう感じる理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
雨の朝、保育園や学校へ向かう前に「レインコートを着ようね」と声をかけると、ぷいっと横を向いてしまう。無理に着せようとすると、泣いて座りこんでしまう。そんなふうに、レインコートを嫌がる子を前にして、時間だけが過ぎていく朝に悩んでいませんか。
傘をさせば済むのでは、と思うこともあるかもしれません。でも、小さな子は傘を持つのがむずかしく、風の強い日にはレインコートのほうが安心です。この記事では、レインコートを嫌がる子の気持ちや、嫌がりやすい場面、家庭でできる工夫を、やさしく整理していきます。
レインコートを嫌がる子が、頭にかぶさるフードや、せまくなる視界を苦手に感じるとき

レインコートを嫌がる理由として、よく言われるのがフードの感覚です。頭にすっぽりとかぶさるフードは、顔のまわりをふさぐように感じられます。視界がせまくなり、横を見るときも首ごと動かさなければならないため、窮屈に思う子もいます。
また、フードをかぶると、耳のまわりの音が変わります。雨粒がフードに当たる「ぱたぱた」「ざあざあ」という音が、ふだんより近くで大きく聞こえることがあります。音に敏感な子にとっては、それだけでも落ち着かない感覚につながります。
たとえば、フードをかぶせようとしたとたんに、両手でフードをはらいのけてしまう、という場面があります。親からは「なんで嫌がるの」と見えても、子どもにとっては、いつもと違う視界や音が急にやってきたことへの、戸惑いなのかもしれません。
帽子を嫌がる子の気持ちと、重なる部分もあります。こちらの記事でも、頭にかぶるものが苦手な理由を取り上げています。

フードの感じ方は、子どもによって違います。大丈夫な子もいれば、すぐ脱いでしまう子もいます。「この子はフードの感覚が苦手なんだな」と受けとめるところから、始めてみましょう。
フードの内側が顔にふれる感触や、あごの下でとめるひもの締めつけ感が気になる子もいます。フードを嫌がるときは、どの部分が苦手なのかを、いっしょにさわりながら確かめてみると、選ぶときのヒントが見つかります。
レインコートを嫌がる子が、ごわごわした素材や、むしむしする感じをいやがるとき

レインコートは、水をはじくために、ビニールや防水加工の生地で作られているものが多くあります。この素材が、ごわごわしたり、ぺたっと肌にはりついたりして、不快に感じる子もいます。
また、水を通さない分、中の熱や汗がこもりやすく、むしむしと蒸れる感じがします。大人にとってはがまんできる程度でも、感覚に敏感な子にとっては、「もう着ていられない」と思うほどの不快感になることがあります。
よくある例として、着たときには平気な顔をしていても、しばらくすると「あつい」「べたべたする」と言って脱ぎたがる、という場面があります。着ている間の不快感が積み重なっているのかもしれません。
さらに、レインコートのにおいが気になる子もいます。新品のビニール特有のにおいや、しまいこんでいたときのにおいが、苦手に感じられることがあります。気になるときは、着る前に風通しの良い場所で、少し空気にふれさせておく方法もあります。
においが苦手な子には、洗って陰干ししたものを使う方法もあります。ビニール特有のにおいは、時間がたつと和らぐこともあるため、買ってすぐではなく、少し置いてから着る練習を始めるのもひとつの方法です。
素材の好みも、子どもによってさまざまです。やわらかい生地や、裏地のついたものなら大丈夫という子もいます。どの感触が苦手なのかを、少しずつ探ってみると、選ぶときのヒントになります。
レインコートを嫌がる子が、腕や体が動かしにくい感じに、とまどうとき

レインコートは、ふつうの服の上から重ねて着るため、体が一回り大きくなったように感じられます。腕を上げにくかったり、足がからみやすかったりして、いつもの動きができないことが、嫌がる理由になることもあります。
特に、そでが長すぎたり、すそが長すぎたりすると、動きにくさが増します。ボタンやファスナーを自分で閉められない場合は、着るたびに大人の手が必要で、「自分でできない」ことが気持ちに影響する子もいます。
たとえば、レインコートを着たまま、お友だちと走ったり、遊具で遊んだりするとき、いつもより体が重く感じられて、思うように動けずにイライラする、ということもあります。
小さな子は、自分の体の大きさや、動きの感覚を確かめながら動いています。レインコートで体の輪郭が変わると、自分の体がどこまであるのかが分かりにくくなり、不安になる子もいると言われています。着たまま階段を下りるときや、トイレに行くときに、足を踏み出しにくそうにしていないか、様子を見てあげてください。

うちの子、レインコートを着せようとすると逃げるのよ。わたし、てっきり、雨がいやなだけかと思ってたの。

それは違うわん!フードや素材、動きにくさがいやなのかもしれないんだわん。何がいやなのかを一緒に探してみるのが大切なんだわん。
レインコートを嫌がる子が、特に困りやすい場面
レインコートを嫌がる子が、雨の朝の忙しい時間に固まってしまうとき

雨の朝は、ただでさえ支度に時間がかかります。傘や長ぐつを用意して、荷物がぬれないように気をつけて、いつもより早く家を出なければなりません。そこに、レインコートを嫌がる子がいると、親子ともに大変な朝になってしまいますよね。
「早く着て!」「遅れるよ!」と急かされると、子どもの気持ちの余裕はなくなり、かえって嫌がる気持ちが強まることがあります。親のあせりは、子どもにもそのまま伝わりやすいものです。
雨の朝は、気圧や空気の湿り気の影響で、体調や気分がすぐれない子もいるようです。眠そうだったり、機嫌が悪かったり、いつもより切り替えが難しかったりすることもあるでしょう。
そんなときは、前の晩のうちに、レインコートを玄関に出しておく方法があります。着る場所と、着る順番を決めておくと、朝のやりとりが少なくて済みます。
着るときの声かけも、「雨だからレインコートを着なさい」ではなく、「今日はどの色にする?」「ポンチョ型とセパレート型、どっちがいい?」と、選ぶ形にすると、自分で決めた気持ちになりやすくなります。選択肢は、2つまでに絞るのがコツです。
完璧にやろうとしなくても大丈夫です。着せるのがどうしてもむずかしい日は、車で送る、傘とカッパの代わりに着替えを持たせる、といった切りかえがあっても、いいのです。
レインコートを嫌がる子が、園や学校の行き帰りで、周りの目や状況にとまどうとき

園や学校の行き帰りでは、お友だちも傘やレインコートで歩いています。みんなと同じ格好ができないと感じて、気持ちが沈む子もいます。反対に、みんなと違う色や形のレインコートを着ることを、恥ずかしがる子もいます。
また、通園・通学の途中で、レインコートを脱ぎたくなっても、自分ではうまく脱げないことがあります。ぬれた状態で脱ぎ着するのは、大人でも手間がかかります。脱ぎ着の手順が複雑だと、それだけで気が重くなる子もいます。
園の先生には、「雨の日にレインコートを嫌がることがあって」と、さりげなく伝えておく方法があります。分かってくれる人が増えると、場面ごとの対応がやさしくなりやすくなります。
前もって、「雨の日は、このレインコートを着るよ」と、写真や絵で見せておくのも、ひとつの方法です。見通しを持てることは、安心につながります。
帰りの場面では、ぬれたレインコートの置き場所が決まっていないと、荷物が増えて困ることもあります。園や学校のロッカーに、ぬれたものを入れるビニール袋を一枚入れておくと、「脱いだらここに入れる」という流れが分かりやすくなります。

着るものの感触を嫌がる子については、長袖の記事でも取り上げています。重なるところがあるかもしれません。
レインコートを嫌がる子と一緒にできる、家庭での工夫
レインコートを嫌がる子の気持ちを受けとめて、少しずつ慣れていく工夫

まずは、「いやなんだね」と気持ちを受けとめることから始めます。「着なきゃだめでしょ」と言う前に、「フードがきゅうくつだよね」「ごわごわするね」と、いまの気持ちに寄りそってみてください。
そのうえで、雨の日以外に、レインコートで遊んでみる時間をつくります。晴れた日の家の中で、ごっこ遊びの衣装として着てみる、ぬいぐるみに着せてみる、などです。雨と関係ない場面で慣れておくと、雨の日のハードルが下がることがあります。
次の段階として、フードをかぶらずに、レインコートだけ着てみる練習があります。フードなしで着られれば、まずは十分と考えて、フードは傘や帽子で代用する方法もあります。
レインコートを着られた日は、「今日は最後まで着られたね」と、できたことを具体的に伝えてあげましょう。着られた時間が短くても、その一歩を認めてもらえる経験が、次の日への安心につながります。

ぬいぐるみにレインコートを着せたら、「かわいい」って笑ってたの!えへへ…ちょっとだけ慣れてきたのかも。

それはいい変化だわん!遊びの中で慣れていくのは、とてもいい方法だわん。大丈夫、一緒に考えるわん!
レインコートを嫌がる子が、着心地を選べるようにする道具と選び方

道具を変えると、嫌がり方が変わることがあります。たとえば、レインコートの形は、ポンチョ型、上下に分かれたセパレート型、ランドセル対応型など、いろいろあります。ポンチョ型は、頭からかぶるだけで着られ、体の動きがじゃまされにくい種類です。
素材も、やわらかく、軽く、通気性のあるものを選んでみる方法があります。裏地がメッシュ素材になっていたり、内側がさらっとしていたりするものは、肌ざわりがやさしく、むしむしも少なくなることがあります。
サイズは、ぴったりすぎず、少しゆとりのあるものが、動きやすくなります。ただし、大きすぎると、そでやすそが邪魔になるため、手が出る長さを確認して選んでみてください。
お子さん自身に、色やデザインを選んでもらうのも、ひとつの方法です。自分で選んだという気持ちがあると、着るときの抵抗が少なくなる子もいます。お気に入りのキャラクターや、好きな色なら、「着てみたい」と思えることがあります。
店頭で試着できるときは、実際に着て、腕を上げたり、しゃがんだり、フードをかぶったりして、動きやすさを確かめてみてください。通販で選ぶときは、返品や交換ができるかどうかも見ておくと、気持ちに余裕が生まれます。レインコートは、雨の日だけでなく、水遊びや砂遊びの上着として使える種類もあります。普段から着る機会が増えると、慣れるきっかけにもなります。
どうしても着られない場合は、傘と長ぐつと着替えで乗りきる方法もあります。毎日、完璧にやろうとしなくても大丈夫です。無理のないやり方を、親子で見つけていけば十分です。
まとめ:レインコートを嫌がる子と、ゆっくり進んでいく
レインコートを嫌がる子の気持ちを、まるごと受けとめるという考え方

レインコートを嫌がる気持ちは、フードの窮屈さ、素材のごわごわ、むしむしする感覚、動きにくさなど、いくつかの理由が重なって生まれます。嫌がることには、その子なりの理由があると言われています。
無理に着せようとするより、「いやなんだね」と気持ちを受けとめるほうが、結果的に、子どもは安心しやすくなります。親が焦らず、子どものペースに合わせていくことが、いちばんの近道になることもあります。
季節が変わるたびに、サイズが合わなくなったり、好みが変わったりもします。そのたびに、お子さんと一緒に選び直す時間をつくってみてください。雨の日は、これから先も何度もやってきます。だからこそ、親子ともに無理のない形を見つけたいものです。素材、形、着る場所、着るタイミングなど、ひとつずつ見直していくと、「これなら大丈夫」というポイントが見つかるかもしれません。

いやがるのは、わがままじゃないんだね。わたしも、まず「何がいやなの?」って聞いてみようかな。

そうだわん。理由が分かると、子どもも「分かってもらえた」と感じるんだわん。ゆっくりでいいんだわん。
たとえば、「自分でレインコートを選べた」「フードなしで着られた」「雨の日に笑顔でお散歩できた」など、小さな変化も、立派な成長です。気づいたら、ぜひ声に出して伝えてあげましょう。
一人で抱え込まず、レインコートを嫌がる子と一緒に進んでいく

レインコートを嫌がる子を見守るあなたも、雨の日のたびに、本当によくがんばっています。朝のあわただしい時間に、嫌がる子とやりとりをするのは、思っている以上にエネルギーを使うことです。
「ちゃんと着せられない自分はだめだ」と、自分を責める日があるかもしれません。でも、レインコートを嫌がることは、育て方の問題ではなく、感じ方の個性のひとつと考えることもできます。
ご家族で、「どんなときに嫌がるか」「どうすると少し楽か」を共有しておくと、親だけが抱え込まずに済みます。パパやおじいちゃん、おばあちゃんにも、やさしく伝えておくと、対応がそろいやすくなります。

足に身につけるものの感触が苦手な子については、靴下の記事でも取り上げています。あわせて読んでみてください。
ゆっくり、その子のペースで。いつか、雨の日の支度が親子の穏やかなひとときに変わっていくことを、願っています。
アイキャッチ画像:Photo by Valeriia Miller on Pexels



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