ヘルメットを嫌がる子の気持ちと、そう感じる理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
自転車に乗る前、「ヘルメットをかぶろうね」と声をかけたとたん、ヘルメットを嫌がる子に、手こずっている方も多いのではないでしょうか。かぶせてもすぐに外してしまったり、「いやだ!」と泣いて自転車に乗るのをやめてしまったり。安全のために、かぶってほしいのに、うまくいかないと、焦ってしまいますよね。
この記事では、ヘルメットを嫌がる子の気持ちと、そう感じやすい理由、家庭でできる工夫を、順番にまとめました。「わがまま」と決めつけず、子どもの感じ方に目を向けるヒントとして、読んでいただければうれしいです。
ヘルメットを嫌がる子が、頭やあごの締めつけを不快に感じるとき

ヘルメットは、頭をすっぽりとおおい、あごの下でベルトを留めるものです。この「かぶっている」感覚が、子どもによっては、とても気になることがあります。
たとえば、あごのベルトが首に当たる感じや、頭の周りをぐるりと締めつけられる感じです。大人にとっては小さな違和感でも、感覚に敏感な子にとっては、「ずっと何かに押さえられている」ように感じられることもあります。
ヘルメットのサイズが合っていない場合も、不快さにつながりやすくなります。大きすぎるとぐらぐら動いて落ち着かず、小さすぎると頭を圧迫して、痛みを感じることもあります。まずは、お子さんの頭に合っているかどうかを見直してみるのが、ひとつの手がかりです。
「ヘルメットをいやがる」と一言でいっても、その中身は、お子さんによって大きく違います。まずは、どんな理由が考えられるのかを、いくつかの角度から見てみましょう。
「ぎゅっとされるのが苦手」「肌に何かが触れ続けるのがいや」という感覚は、ヘルメットだけでなく、帽子、マスク、長袖の服などでも、同じように出ることがあります。ふだんの様子を思い出してみて、「そういえば、あれもいやがっていたかも」と気づくと、ヘルメットだけの問題ではなく、お子さんの感じ方の特徴として見えてくることもあります。
もちろん、あくまで一つの見方です。ヘルメットがいやな理由は、その日の気分や、前に転んだときの記憶など、いろいろなことが重なっている場合もあります。「これが原因」と決めつけず、お子さんの様子を見ながら、そっと探ってみてください。
ヘルメットを嫌がる子が、見た目や周りの目を気にするとき

ヘルメットの見た目を気にする子もいます。かぶると髪型がくずれる、いつもと見た目が変わる、友だちが誰もかぶっていない。そうした理由で、「恥ずかしい」と感じてしまうことがあります。
小学生くらいになると、「みんなと同じがいい」という気持ちも強くなります。周りの友だちがかぶっていない場面だと、自分だけ目立つように感じて、いやがることもあります。
反対に、小さなお子さんは、「ヘルメット=自分の好きなキャラクター」のように、見た目が気に入れば、すんなりかぶれることもあります。デザインや色が、お子さんの気持ちに合っているかどうかも、ポイントになります。
その気持ちを、言葉にできる子もいれば、できない子もいます。年齢が小さいほど、「いや!」のひとことに、いろいろな気持ちがつまっていることがあります。

うちの子、ヘルメットを見せただけで逃げちゃうの…。そんなに、いやなものなのかなあ。

いやな理由は、子どもによっていろいろだわん。「頭が苦しい」「見た目がいや」「暑い」…と、まずは何が気になっているのかを聞いてみるといいわん。
ヘルメットを嫌がる子が、暑さや重さ、視界や音の変化にとまどうとき

夏は蒸れて暑く、冬は冷たく感じる。ヘルメットは、季節によって感じ方が変わりやすいものでもあります。かぶっていると汗でかゆくなる、という子もいます。
また、ヘルメットをかぶると、視界の上の部分がふさがれたり、周りの音がこもって聞こえたりすることがあります。耳や目の感覚に敏感な子だと、「いつもと違う」ことが、不安につながる場合もあります。
重さの感じ方も、子どもによってちがいます。首が疲れる、頭が後ろに引っぱられる感じがする。そんな小さな不快さが、積み重なって「かぶりたくない」という気持ちになることもあります。
音の聞こえ方は、特に見落とされやすいところです。ヘルメットをかぶると、風の音や、自分の呼吸の音が、いつもより大きく感じられることがあります。逆に、周りの車の音が聞こえにくくなる感じが、不安につながる子もいます。「聞こえ方が、いつもと違う?」と、そっと聞いてみるのもひとつです。

ヘルメットを嫌がる子が、特に困りやすい場面
毎日のことになりやすいからこそ、困りやすい場面を、先に知っておくと、気持ちの準備ができます。ここでは、ヘルメットを嫌がる子が、特につまずきやすい2つの場面を取り上げます。
出かける前の玄関で、ヘルメットを嫌がる子と時間が足りなくなるとき

出かける直前の玄関は、時間が限られているぶん、親子ともに気持ちが張りつめやすい場面です。ヘルメットをいやがって座りこんでしまうと、「遅れちゃう」と焦って、つい声が強くなることもあります。
こうしたときは、ヘルメットをかぶる時間を、出発の直前にしないのもひとつの方法です。たとえば、玄関に出る前にかぶっておく、車や自転車のそばでかぶる、といったように、順番を前もって決めておく方法もあります。
「いつもの流れ」になれば、見通しが持てて、お子さんも少し安心しやすくなります。うまくいかない日があっても、「今日は難しい日だったね」と受けとめて、次の日にまた試せばだいじょうぶです。
もうひとつ、よくある場面が、朝の保育園・幼稚園への送りです。自転車の後ろに乗せて送る家庭では、毎朝の「ヘルメットの時間」が、1日のはじまりを左右することもあります。そんなときは、前の晩のうちに、翌朝のヘルメットを玄関に置いておくだけでも、朝の流れがスムーズになることがあります。
「時間がないのにかぶってくれない」と悩む日は、保護者の方の気持ちも追いつめられやすいですよね。そんなときは、いったん深呼吸して、「かぶるのは、ほんの数秒」と、自分に言い聞かせてみるのもひとつです。
玄関で気持ちが切りかわりにくいお子さんには、ヘルメットに「かぶる前の合図」を作る方法もあります。たとえば、「この歌が終わったらかぶるよ」「3つ数えたらかぶろうね」のように、終わりの見える合図です。見通しが立つと、気持ちの準備がしやすくなる子もいます。
友だちや家族と過ごす場面で、ヘルメットを嫌がる子が気持ちを切りかえにくいとき

公園で友だちと遊ぶ約束があるときは、楽しみな気持ちと、ヘルメットがいやな気持ちが、ぶつかることがあります。「かぶらないなら乗らないよ」と伝えると、乗りたい気持ちと板ばさみになって、泣いてしまうお子さんもいます。
また、周りの友だちがかぶっていない場面では、「どうして自分だけ」と感じやすくなります。家族みんなでかぶる、というのも、お子さんの気持ちを支えるひとつの方法です。
いっしょに出かけるお父さん・お母さんが、自分もヘルメットをかぶっていると、「みんなでかぶるもの」という空気が生まれやすくなります。お子さんが一人だけ目立たないよう、大人が先にかぶってみせる工夫もあります。
出かける場所によっては、時間にゆとりを持たせてみる方法もあります。たとえば、出発の10分前から、ヘルメットの準備を始める。そうすると、お子さんが「いや」と言っても、気持ちを聞く時間が取れます。

毎回、家を出る前にヘルメットで戦ってるから、もうへとへと…。

毎日のことだから、疲れるのも当たり前だわん。「かぶれた日」だけでなく、「かぶれなかった日」も、お子さんなりにがんばっているわん。
ヘルメットを嫌がる子と一緒にできる、家庭での工夫
ヘルメットは、毎日のように使うものだからこそ、お子さんの気持ちに合ったものを選びたいところです。ここでは、家庭で試しやすい工夫を、2つに分けて紹介します。
ヘルメットを嫌がる子に合うヘルメットを、一緒に選んでみる

まずは、ヘルメットそのものを見直してみる方法があります。頭の大きさに合っているか、あごのベルトが首に当たっていないか、お店で試着してみて、お子さんの表情を見ながら選ぶと安心です。
サイズの目安として、頭まわりを測ってから選ぶ、という方法もあります。商品の説明に、頭囲の目安が書かれていることが多いので、メジャーでそっと測ってみてください。
そして、できれば、お子さん自身に選んでもらいましょう。色、模様、キャラクター。「これがいい!」と自分で選んだヘルメットなら、かぶる気持ちが少しだけ前向きになることがあります。
お店で試着するときは、お子さんの様子もよく見てみてください。かぶった瞬間に顔がこわばらないか、ベルトを留めると首をすくめないか。言葉にしなくても、表情や動きが、気持ちを教えてくれます。
また、ヘルメットの内側のパッドが、肌に合わない場合もあります。取りはずしてやわらかいものに替えられるタイプや、通気のよいタイプなど、いくつか種類があるので、お子さんの「いや」の理由に合わせて選んでみるのもひとつの方法です。
- 頭まわりのサイズが合っているかを見直す
- あごのベルトが首に当たっていないかを確認する
- 色やデザインを、お子さんと一緒に選ぶ
お店で買うときだけでなく、家にあるヘルメットを調整するだけでも、変化が出ることがあります。あごのベルトの長さや、内側のパッドの位置を整えるだけで、「ぜんぜん痛くない」と感じるお子さんもいます。
ヘルメットを嫌がる子が、少しずつ慣れていくための練習と声かけ

慣れるためには、「かぶる時間」を少しずつのばしていく方法があります。最初は、家の中で、ぬいぐるみにかぶせたり、数秒だけかぶってみたり。「かぶれたね」とひとこと伝えて、すぐに外してかまいません。
次に、家の中で好きな遊びをしながらかぶる、庭先で少し乗ってみる、というふうに、段階を踏んでみましょう。「かぶる」と「楽しい」が、少しずつ結びついていくのを待ちます。
声かけは、「かぶらなきゃダメ」と強く言うより、「ヘルメットをかぶったら、風がきもちいいね」「かぶったら安心して乗れるね」と、前向きな言葉で伝えるほうが、受け入れやすいお子さんもいます。
慣れる練習は、「ごっこ遊び」と組み合わせると、取り入れやすくなります。たとえば、お人形やぬいぐるみに、ヘルメットをかぶせてあげる遊びです。「くまさんもヘルメット、かぶったよ。かっこいいね」と、遊びの中で自然にふれていきます。
お子さんが、ほんの数秒でもかぶれたら、「かぶれたね」「ありがとう」と、短い言葉で伝えてみましょう。ほめすぎなくても、「ちゃんと見てもらえている」という安心感が、次の一歩につながります。

かぶる練習で大切なのは、「成功させること」より、「いやな記憶を増やさないこと」です。うまくいかなかった日は、そこで切り上げて、また別の日にゆっくり試せば大丈夫です。お子さんのペースに合わせて、のんびり進めていきましょう。

そっか! いきなりかぶせようとしてたから、びっくりしちゃったのかも。まずはぬいぐるみからやってみようかな。

いい作戦だわん! 小さな一歩を、ゆっくり積み重ねていけばいいわん。
まとめ:ヘルメットを嫌がる子と、ゆっくり進んでいく
ここまで読んで、「うちの子にも当てはまるかも」と思ったところが、いくつかあったのではないでしょうか。全部を一度に試す必要はありません。「これならできそう」と感じたものを、ひとつだけ選んで、今週のうちに試してみるくらいで十分です。
お子さんの気持ちを聞くときは、「なんでいやなの?」と理由をたずねるより、「ここがきつい?」「あつい?」のように、答えやすい聞き方にすると、話してくれやすくなります。うまく答えられなくても、「そっか」とうなずくだけで、気持ちは伝わります。
ヘルメットを嫌がる子の気持ちを、まるごと受けとめるという考え方

ヘルメットを嫌がる子には、嫌がるなりの理由があります。締めつけ、暑さ、見た目、音や視界の変化。どれも、お子さん自身が感じている、本当の気持ちです。「かぶりなさい」と押しつけるより、まず「いやなんだね」と受けとめるところから、始めてみませんか。
気持ちを受けとめてもらえた子は、少しずつ、次の一歩に進みやすくなることがあります。時間はかかるかもしれません。それでも、親子で一緒に考えた経験は、きっとこれからの支えになります。
ヘルメットを嫌がる姿は、「困りごと」に見えるかもしれません。でも、見方を変えると、お子さんが自分の感じ方を、全身で伝えてくれているとも言えます。「どうしたらかぶれるか」を一緒に探していく時間は、お子さんの感じ方を知る、よい機会にもなります。
一人で抱え込まず、ヘルメットを嫌がる子と一緒に進んでいく

毎日のことだからこそ、うまくいかない日が続くと、保護者の方も疲れてしまいます。「どうして、うちの子だけ」と思う日があっても、それはお子さんを大切に思っているからこそです。
同じように悩んでいる家庭は、少なくありません。園の先生や、周りの家族にも、「最近、ヘルメットがいやみたいで」と、さらりと話してみてもよいかもしれません。一人で抱え込まなくて大丈夫です。
ヘルメットを嫌がる子との毎日は、思いどおりにいかないことも多いですよね。でも、お子さんは、いまできる精一杯の力で、世界を感じとっています。ゆっくり、一緒に進んでいきましょう。

今日から、ぬいぐるみに、ヘルメットをかぶせるところから始めてみるね。えへへ…。

それはいいスタートだわん。焦らずゆっくり、お子さんのペースで進めばいいわん。

アイキャッチ画像:Photo by Bara Cross on Pexels



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