「赤ちゃんと目が合わない」
「名前を呼んでも、こちらを見てくれない」
「目が合わないのは自閉症のサインなの?」
子どもの視線がなかなか合わないと、自閉症ではないかと不安になりますよね。
インターネットで検索すると、目が合わないことが自閉症の特徴として紹介されているため、ますます心配になる方もいるでしょう。
先に結論をお伝えすると、目が合わないという一つの様子だけでは、自閉症とは判断できません。
実際には、人見知り、遊びへの集中、視力の発達、斜視や弱視、聞こえ方などが関係し、結果的に自閉症ではなかったケースもあります。
反対に、自閉症の子が必ず目を合わせないわけでもありません。目がよく合う自閉症の子もいます。
この記事では、目が合わないけれど自閉症ではなかったと考えられる理由、自閉症を考えるときに一緒に確認したい特徴、年齢別の見方、相談先まで解説します。
目が合わないけど自閉症じゃなかったケースはある

子どもと目が合いにくくても、あとから確認すると自閉症ではなかった、という場合はあります。
目が合うかどうかは、発達特性だけでなく、年齢、性格、体調、周囲の環境、視力など多くの要素に影響されるからです。
目が合わないだけでは自閉症と判断できない
目が合いにくいことは、自閉スペクトラム症で見られる特徴の一つです。
しかし、自閉症の診断では、目線だけを見るわけではありません。
相手とのやり取り、気持ちや興味の共有、身振りや表情の使い方、人との関係の作り方など、社会的コミュニケーション全体を確認します。
さらに、同じ行動の繰り返し、強いこだわり、予定変更への抵抗、感覚の過敏さなどがあるかも含めて、総合的に判断します。
たとえば、親の目はあまり見なくても、声をかけると笑う、抱っこを求める、楽しいことを共有しようとする子もいます。
このような場合は、「目を見る時間」だけでなく、ほかの方法で親とつながろうとしているかを見ることが大切です。

目が何秒合うか、毎日こっそり数えてたわ…。3秒なら大丈夫、1秒なら心配ってことじゃないのね?

視線タイマーは止めるわん!秒数ではなく、笑顔や指差し、声なども使って気持ちを共有しているかを見るわん。
人見知りや遊びへの集中で目が合わないこともある
目が合いにくくなる理由には、子どもの性格やそのときの状況も関係します。
人見知りが強い子は、知らない人に見られると恥ずかしくなり、顔をそらすことがあります。
親とは自然に目が合っていても、健診の医師や園の先生とは目を合わせないこともあるでしょう。
また、おもちゃ、動画、絵本などに集中していると、名前を呼ばれてもすぐに顔を上げない場合があります。
疲れているとき、眠いとき、初めての場所で緊張しているときにも、周囲を見る余裕が少なくなります。
自閉症以外でも目が合いにくくなる状況
・人見知りや恥ずかしさが強い
・遊びや動画に集中している
・眠い、疲れている、空腹である
・初めての場所で緊張している
・顔より口元や手元を見ている
・目を見られることに圧迫感がある
一度の健診や、短時間の観察だけで目が合わなかったとしても、それだけで発達障害が決まるわけではありません。
普段の家庭、園、公園、祖父母の家など、複数の場所でどのような反応をしているかを見ましょう。
視力・斜視・聞こえが関係する場合もある
子どもが人の目を見ないように見えるときは、発達だけでなく、目の見え方も確認する必要があります。
斜視は、片方の目が見ている方向とは別の方向を向く状態です。視線がずれて見えるため、「目が合わない」と感じることがあります。
遠視や乱視、弱視などがあると、顔がぼやけて見えたり、片目を中心に使ったりすることもあります。
また、名前を呼んでも反応しない場合は、聞こえ方が関係している可能性もあります。
テレビの音量が大きい、音の方向を見ない、言葉が聞き取りにくそうといった様子があれば、耳鼻科や聴力検査について相談しましょう。
自閉症かどうかだけを調べるのではなく、視力や聴力も含めて確認することで、子どもの困りごとを見落としにくくなります。
目が合わない子の自閉症を考えるときに見る特徴

自閉症の可能性を考えるときは、目が合う回数だけでなく、子どもが人とどのようにつながろうとしているかを見ます。
視線より「興味や気持ちを共有するか」を見る
子どもの発達を見るうえで重要なのが、共同注意です。
共同注意とは、子どもと大人が同じ物や出来事に注意を向け、気持ちや興味を共有することです。
たとえば、飛行機を見つけた子が指を差し、親の顔を見て「見て」と伝えようとする行動です。
目を長く見つめなくても、おもちゃを持ってくる、指を差す、親の反応を確認する、笑顔を向けるなどがあれば、別の方法で興味を共有しています。
目線だけを検査するように観察するのではなく、子どもがどんな方法で「一緒に見て」「分かって」と伝えているかを探しましょう。
呼びかけ・指差し・まね・会話も確認する
自閉症を考えるときは、次のような特徴が複数の場面で続いているかを確認します。
目が合わないことと一緒に確認したい様子
・名前を呼んでも反応が少ない
・欲しい物を指差すことが少ない
・楽しい物を人に見せようとしない
・大人の動作や表情をまねしにくい
・表情や身振りのやり取りが少ない
・会話が一方通行になりやすい
・同じ遊びや動きを繰り返す
・予定変更で強く混乱する
この中に当てはまる項目があっても、すぐに自閉症と決まるわけではありません。
年齢、頻度、家庭や園での様子、本人がどの程度困っているかを含めて判断する必要があります。
反応が少ない背景には、言葉の理解、聴力、緊張、注意の向けにくさなどが関係している場合もあります。
目が合う自閉症の子もいる
「目が合うから自閉症ではない」とも言い切れません。
自閉症の特性には大きな個人差があります。自然に目が合う子、短時間だけ合う子、親とは合うけれど知らない人とは合いにくい子もいます。
目を合わせる方法を覚えていても、相手の気持ちを読み取ったり、会話をやり取りしたりすることに難しさがある子もいます。

目が合わなければ心配、合ったら完全に安心だと思ってたわ。目だけで答え合わせはできないのね。

その通りだわん。大切なのは、目の向きより「この子はどうやって人とつながっているか」だわん!
赤ちゃんや1歳・2歳で目が合わないのは自閉症なの?見方を解説

目が合う頻度や人への関心は、年齢によって変化します。
年齢の目安は参考になりますが、発達には個人差があります。一つの時期だけを切り取って判断しないようにしましょう。
赤ちゃんは視力の発達途中で目が合いにくい
生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ視力が発達途中です。
顔を見ているように感じる日があっても、次の日には全く別の方向を見ていることがあります。
月齢が小さいうちは、目が合わないという一点だけで自閉症を強く疑う必要はありません。
赤ちゃんが顔や明るい物を目で追うか、声や抱っこに反応するか、あやすと表情が変わるかなども見てみましょう。
ただし、物を目で追わない、黒目の位置が大きくずれる、片目を隠すと極端に嫌がるなどがあれば、乳幼児健診や眼科で相談してください。
1歳では視線だけでなく共同注意を確認する
1歳ごろになると、視線だけでなく、指差しや身振りを使ったコミュニケーションが増えていきます。
親が指差した方向を見る、面白い物を親に見せる、名前を呼ばれると振り向くなど、興味を共有する行動が見られるかを確認しましょう。
親の目を長く見なくても、親の指差した物を見る、欲しい物を持ってくる、抱っこを求めるのであれば、視線以外の方法で関わっています。
1歳ごろに見ておきたい反応
・名前を呼ぶと振り向くことがある
・大人の指差した方向を見る
・欲しい物を指差す、手を伸ばす
・面白い物を見せようとする
・バイバイなどの身振りをまねする
・親の表情を見て行動を変える
反応が一度もない、以前できていた反応が減った、呼びかけへの反応がほとんどない場合は、健診や小児科で相談して構いません。
2歳以降は生活全体の困りごとを見る
2歳以降は、言葉や遊び、人とのやり取りが少しずつ複雑になります。
目が合わないことに加えて、言葉の遅れ、指差しの少なさ、まね遊びの少なさ、強いこだわりなどが重なっている場合は、発達相談を検討しましょう。
反対に、目は合いにくくても、会話が続く、一緒に遊ぶことを楽しむ、困ったときに助けを求めるなどがあれば、その様子も大切な情報です。
目が合わない子への関わり方と自閉症か気になるときの相談の目安

目が合わないと、親は何とか目を見てもらおうと頑張りたくなります。
しかし、目を合わせること自体をゴールにすると、子どもとのやり取りが苦しい練習になってしまうことがあります。
目を合わせることを無理に強制しない
「こっちを見なさい」と何度も言ったり、子どもの顔を手で正面へ向けたりする必要はありません。
目を見ることに緊張や刺激の強さを感じる子は、視線を外した方が相手の話を聞きやすい場合があります。
目を見ていないからといって、必ずしも話を聞いていないわけではありません。
代わりに、子どもの視界へ自然に入り、好きなおもちゃを一緒に見る、短い言葉で話しかける、反応を待つといった関わりを試しましょう。
子どもが顔を見る、笑う、声を出す、手を伸ばすなどの反応があったら、自然に応じます。

「ママの目を見て!」って、わたしの顔を近づけすぎてたかも…。圧が強いママになってたわ。

近すぎるとボクでもびっくりするわん…。目線を取るより、一緒に楽しめる遊びを増やすわん!
家庭で記録しておきたいポイント
相談へ行く前に、家庭での様子を1〜2週間ほど記録すると、子どものパターンが分かりやすくなります。
記録しておきたいこと
・誰とは目が合いやすいか
・どんな遊び中は反応しにくいか
・名前や音への反応があるか
・指差しや身振りを使うか
・好きな物を見せに来るか
・言葉や会話の発達
・園と家庭で様子が違うか
・視線以外に気になる行動があるか
「目が合わなかった回数」だけではなく、どのような状況なら人とのやり取りが生まれたかも記録しましょう。
動画を撮影する場合は、診察や相談で見せる目的に限り、子どものプライバシーに配慮して管理してください。
眼科・耳鼻科・小児科・発達相談の選び方
目が合わないときの相談先は、ほかにどのような様子があるかで選びます。
相談先の目安
・眼科:黒目の位置がずれる、片目を隠すと嫌がる、物へ顔を近づける
・耳鼻科:呼びかけや音への反応が少ない、テレビの音量が大きい
・小児科:どこへ相談すべきか分からない、発達全体が気になる
・発達相談:言葉、指差し、対人関係、こだわりなども気になる
・乳幼児健診:年齢に応じた発達をまとめて確認したい
一つの相談先ですべてが分からなくても問題ありません。必要に応じて、ほかの専門機関へつないでもらえます。
「まだ診断をつけたいわけではない」「少し気になっているだけ」という段階でも相談できます。
強い不安を抱えたまま家庭で判断し続けるより、子どもの見え方や聞こえ方、発達を一度整理してもらうと安心につながります。
まとめ。目が合わないけど自閉症じゃなかった場合もある

子どもと目が合わないからといって、必ず自閉症とは限りません。
人見知り、遊びへの集中、疲れ、視力の発達、斜視や弱視、聞こえ方など、さまざまな理由が考えられます。
自閉症かどうかは、目線だけでなく、興味の共有、指差し、会話、対人関係、こだわりなどを総合して判断します。
子どもの目を見ようと追いかけ続けると、親子とも疲れてしまいます。
目が何秒合ったかではなく、一緒に笑えた、好きな物を見せてくれた、助けを求めてくれたという小さなやり取りを見つけてください。
診断名を急いで決めるより、子どもがどのような方法なら人とつながりやすいかを知ることが、毎日の関わりをラクにします。

目が合うかばかり見ていたけど、この子なりの「ママ、見て」がちゃんとあったかもしれないわ。

それを見つけられたら大きな一歩だわん。視線だけでなく、その子らしい伝え方を一緒に育てるわん!
参考文献・出典
- Centers for Disease Control and Prevention「Signs and Symptoms of Autism Spectrum Disorder」
- Centers for Disease Control and Prevention「Clinical Testing and Diagnosis for Autism Spectrum Disorder」
- National Institute of Mental Health「Autism Spectrum Disorder」
- 日本眼科医会「子どもの弱視・斜視」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「見逃さないで!子どもの難聴」
- 国立精神・神経医療研究センター「自閉症小児が周囲の人を見ないことが社会脳の発達を障害する可能性」
https://www.cdc.gov/autism/signs-symptoms/index.html
https://www.cdc.gov/autism/hcp/diagnosis/index.html
https://www.nimh.nih.gov/health/publications/autism-spectrum-disorder
https://www.gankaikai.or.jp/health/betsu-003/index.html
https://www.jibika.or.jp/owned/hwel/news/014/
https://www.ncnp.go.jp/topics/2022/20220728p.html



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