リレーが苦手な子の気持ちと、つまずきやすい理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
リレーが苦手な子が感じている、チームで走るプレッシャー

運動会の季節が近づくと、「リレーの選手に選ばれた」「リレーの練習がいやだ」という話題が増えてきます。リレーが苦手な子にとって、この種目は、ふだんのかけっことは少し違う怖さがあるようです。
この記事では、リレーが苦手な子がつまずきやすい理由と、家庭や学校でできる工夫を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じたときのヒントになればうれしいです。
かけっこは、自分一人の走りが結果になります。ところがリレーは、自分の走りがチームの結果につながる種目です。「自分が遅かったら、みんなに迷惑をかけてしまう」という気持ちが、体をかたくさせてしまうことがあります。
走ること自体は嫌いではないのに、リレーになると急に表情が曇る。そんな子もいます。足の速さよりも、まわりから見られる緊張や、順位がはっきり出る不安のほうが大きい場合も少なくありません。
たとえば、よくある例として、こんな場面を想像してみてください。練習のたびに、前の走者との差が開いたり縮まったりする。クラスの子が「がんばれ!」と声をかけてくれる。ありがたいはずの声援が、その子には「失敗できない」というプレッシャーに聞こえてしまう。気持ちの面では、応援さえ重く感じることもあります。
リレーが怖いと感じるのは、責任感の強さの表れでもあります。みんなのために頑張りたいからこそ、うまくいかない自分を想像して、足がすくんでしまうのです。

うちの子、走るのは好きなのに、リレーだけいやがるの。どうしてなんだろう…。

それは、走る力の問題だけではないかもしれないわん。「みんなに見られる」「チームのために」という気持ちが、重くなっているのかもしれないんだわん。
リレーが苦手な子に多い、バトンを受け取るタイミングのつかみにくさ

リレーならではの難しさといえば、やはりバトンパスです。前の走者が走ってくる。自分は少し前から走り出す。走りながら、後ろ手でバトンを受け取る。この一連の動きには、実はたくさんの「同時に考えること」が詰まっています。
まず、「いつ走り出すか」。相手が近づいてくるスピードを目で見ながら、自分のスタートを合わせなければなりません。相手との距離感や、走るスピードの見積もりが、むずかしいと感じる子もいます。
そのうえ、バトンは走りながら持つ道具です。ふだんの走りと違って、片手がふさがります。腕の振り方が変わり、バランスがとりにくいと感じる子もいます。小さな手には、バトンの太さや長さが意外と扱いにくいこともあります。
つぎに、「後ろを見ないまま手を出す」こと。ふだんの生活で、後ろを見ずに物を受け取る機会は多くありません。手の位置や高さが分からず、バトンがうまくつかめなかったり、落としてしまったりすることもあります。
バトンを落とした経験があると、次からは「また落としたらどうしよう」と、受け取る前から緊張してしまうこともあります。失敗の記憶が、次の怖さにつながるのです。
さらに、リレーでは自分のスピードだけでなく、相手のスピードも計算に入れなければなりません。走ってくる相手が速いのか、疲れてゆっくりなのか。その場で判断して、自分の出だしを調整する。大人でも難しいことを、子どもは短い時間で行っています。
音や声も、判断に影響します。「はい!」と合図をする声が聞こえないと、手を出すタイミングがずれてしまうこともあります。まわりの声援が大きい本番では、なおさら聞き取りにくくなります。
こうしたタイミングの合わせ方は、練習を重ねるうちに少しずつつかめてくるとも言われています。うまくいかないのは、才能ではなく、まだ慣れる途中だからと考えてみるのも一つです。
リレーが苦手な子が抱えやすい、「迷惑をかけたくない」という思い

リレーが苦手な子の話を聞いていくと、「速さ」よりも「みんなに迷惑をかけたくない」という言葉が出てくることがよくあります。真面目で、周りのことを大切に思う子ほど、この気持ちが強い場合があります。
練習で順位が下がったとき、友だちの表情が気になる。チームのだれかが「もう少し速く」と言ったのが、頭から離れない。大人にとってはささいな一言でも、子どもにとっては大きな重みになります。
また、リレーでは、走る順番やチーム編成が先生によって決められることが多くあります。「自分で選んだわけではない」役割を担う場合、気持ちの整理がつかないまま本番を迎えることもあります。
反対に、「自分が速ければチームが勝てる」と考えすぎて、頑張りすぎてしまう子もいます。走る前から肩に力が入り、フォームがかたくなってしまうこともあります。どちらの場合も、気持ちの重さが体に表れている状態と考えられます。
「楽しく走ろうね」「結果は気にしないでいいよ」と伝えても、子どもの気持ちが急に軽くなるとは限りません。まずは、「迷惑をかけたくない」と思っていることそのものを、やさしく受けとめてあげましょう。
家で様子を見るときのヒント
・リレーの話になると、話題を変えたり、黙ったりするか
・バトンの受け渡しを怖がっているか、順位や視線を気にしているか
・練習の前日や当日の朝に、おなかが痛い・頭が痛いなどと言い出すか
・走ること自体は好きか、それともリレーの場面だけがつらいか
リレーが苦手な子が、とくに困りやすい場面
リレーが苦手な子がつまずく、練習中のバトンパスと順番待ち

リレーの練習では、同じ動きを何度もくり返します。バトンパスの練習は、チームごとに順番に行うことが多く、待ち時間が長いのも特徴です。
待っている間、前の子の失敗やバトンを落とす様子が目に入ることがあります。それを見て「自分もああなったらどうしよう」と、不安がふくらんでいく子もいます。待つ時間が、そのまま緊張の時間になってしまうのです。
| 場面 | つまずきやすいポイント |
|---|---|
| 走り出しのタイミング | 前の走者との距離を見ながら、いつ走り出すか決める難しさ |
| バトンを受け取る | 後ろを見ずに手を出す、手の位置や高さがつかみにくい |
| バトンを渡す | 走りながら、相手の手に正確に渡す感覚が分かりにくい |
| 順番待ち | 待つ間に、緊張や不安が高まる、まわりの様子が気になる |
練習が続くと、疲れもたまってきます。放課後や体育の時間のたびに走り、バトンの練習をして、家に帰ってからもぐったり。そんな様子があれば、体だけでなく、気持ちの疲れも出ているのかもしれません。
苦手な場面は子どもによって違います。「走るのが苦手」とひとまとめにせず、どの場面がいちばんつらいのかを分けて見てみると、サポートの方法も見えてきます。
たとえば、走り出しが不安な子には、目印をつけて「ここにきたら走り出す」と決める方法があります。受け取りが不安な子には、バトンを受ける手の形を、親子で一緒に確かめてみるのもよいかもしれません。
リレーが苦手な子が緊張しやすい、運動会本番と順位が見える場面

本番の運動会は、練習とはまったく違う雰囲気です。保護者や地域の人の視線、観客席からの声援、音楽や放送。ふだんの学校とはちがう刺激がいっぱいで、それだけで疲れてしまう子もいます。
リレーでは、走っている間に、順位や差がはっきり見えます。「自分のところで抜かれた」「差が開いてしまった」といった場面は、結果として目に見える形で残ります。それが、プレッシャーを大きくする一因とも言われています。
また、リレーは、運動会の中でも終盤に行われることが多い種目です。朝から続く緊張と疲れで、本番前にすでに気持ちがいっぱいになっている場合もあります。
さらに、走る場所にも特徴があります。コーナーを曲がる、バトンゾーンの中で受け渡す、といった動きは、ふだんの直線のかけっことは違います。初めての動きが多い分、練習のたびに戸惑う子もいます。
ほかにも、リレーでは、転んだら周りに迷惑がかかるという思いから、思いきり走れなくなる子もいます。ゆっくり走る自分に気づいて、さらに自信をなくしてしまう場合もあります。
本番前に「ちゃんとできるかな」と何度も口にしたり、急に黙りこんだりすることがあるかもしれません。そんなときは、「不安なんだね」と気持ちを言葉にして、まず受けとめてあげましょう。


え〜っ、本番だけじゃなくて、待ってる時間もこわいんだね…。

そうなんだわん。「走る前」の時間がつらい子もいるんだわん。そこに気づいてあげられると、声かけの方向が見えてくるわん。
リレーが苦手な子に、家庭でできる練習の工夫
リレーが苦手な子と、遊びの中でバトンの感覚を体験してみる

リレーの練習というと、広い校庭が必要だと思われるかもしれません。けれど、バトンパスの感覚は、おうちや公園での遊びの中でも、ゆっくり慣らしていくことができます。
たとえば、タオルやラップの芯をバトンの代わりにして、親子で受け渡しをしてみる方法があります。立ったままでよいので、「後ろ手でそっと受け取る」動きだけを、ゆっくり、何度かくり返してみます。
最初は歩きながらで十分です。慣れてきたら、少し早足に、それから小走りに。段階を細かく刻むことで、「怖い」より「できた」の経験が積み重なっていきます。
ほかにも、鬼ごっこやしっぽ取りのように、相手の動きを見ながら走る遊びは、リレーで必要なタイミングの感覚につながると言われています。「練習」と思わせず、楽しい時間にすることがいちばんです。
走り出しの感覚をつかみたいときは、床にテープや紐で「スタートの目印」をつける方法もあります。「親が目印を通ったら、スタート」と決めて、タイミングを合わせる練習です。「合図を見てから動く」ことを、遊びのように体験できます。
ただし、疲れているときや気が進まないときには、無理に誘わなくても大丈夫です。「やってみる?」と聞いて、子どもが首をふったら、その気持ちを尊重してあげましょう。
リレーが苦手な子に、安心につながる声かけと準備の工夫

声かけでいちばん大切なのは、結果ではなく、気持ちや行動に目を向けることです。「勝ってね」「速く走ってね」よりも、「楽しんでおいで」「いつもどおりでいいよ」のような言葉のほうが、プレッシャーを小さくしてくれることがあります。
練習の後には、できたことを一つだけ言葉にして伝えてみましょう。「バトン、ちゃんと握れたね」「前を向いて走れたね」のように、小さな進歩でも十分です。たった一言でも、子どもは「見てもらえている」と感じます。
当日の朝にできる準備もあります。靴ひもをしっかり結ぶ、水分をとる、使い慣れた服装で過ごす。いつもと同じ流れを大切にすると、気持ちが落ち着きやすくなります。
「走る前のルーティン」をつくるのも、一つの工夫です。深呼吸を3回する、手のひらをぎゅっと握って開く、「だいじょうぶ」と心の中でつぶやく。自分だけの落ち着くやり方があると、緊張の場面で心強い味方になります。
また、学校の先生に、本人の不安を伝えておく方法もあります。「バトンを落とすのを心配しているようです」「順番を待つ時間が不安なようです」と伝えることで、練習の進め方を考えてもらえるかもしれません。
リレーに出ること自体が難しいときは、出場の形を相談するという考え方もあります。走る順番を変える、応援の役割を担うなど、学校の状況に合わせて、いくつかの選択肢があるようです。

まとめ:リレーが苦手な子と、無理なく進めるために
リレーが苦手な子の理由と工夫を、あらためて整理する

リレーが苦手な子は、走るのがいやなのではなく、チームへの責任感、バトンのタイミング、順番待ちの緊張、順位が見える不安など、いくつもの気持ちを一度に抱えていることがあります。
おうちでは、遊びの中でバトンの感覚を体験したり、気持ちや行動に目を向けた声かけをしたりしながら、安心して走れる状態を少しずつ整えていくことが助けになります。
たとえば、「バトンの受け取りは不安だけれど、走ること自体は楽しめる」「走り出しはよいのに、順番待ちがつらい」など、つまずく場所は一人ひとり違います。うちの子の場合はどこかを知ることが、はじめの一歩になります。
苦手な場面を分けて考える、小さなステップにする、結果ではなく気持ちを受けとめる。この3つを意識するだけでも、子どもの表情が少しずつ変わっていくことがあります。

そっか、「速く走る」より、「安心して走れる」ほうが大事なんだね!

そのとおりだわん! 小さな「できた」を、いっしょに見つけていくわん。

一人で抱え込まず、リレーが苦手な子と一緒に進んでいく

リレーが苦手な子を見ていると、「本番でうまくいかなかったらどうしよう」と、親のほうも不安になるかもしれません。でも、気持ちの整え方も、体の使い方も、少しずつ育っていくものと言われています。
運動会が終わったあとも、気持ちの整理には時間がかかることがあります。「頑張ったね」「走ってくれてありがとう」と、結果にかかわらず労う言葉をかけてあげてください。その積み重ねが、次の挑戦への安心につながります。
学校の先生や、まわりの保護者の方と、気持ちや様子を分かち合うだけでも、心が軽くなることがあります。一人で抱え込まず、まわりの力も借りながら進めていきましょう。
リレーが苦手な子のペースを大切にしながら、ゆっくり、できるところから進めていきましょうね。
アイキャッチ画像:Photo by Jah Nomad on Pexels



コメント