学校のトイレに行けない子の気持ちと、つまずきやすい理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
学校のトイレに行けない子が感じている、不安やいやな気持ち

「学校のトイレに行けないみたいで、帰ってくるとすぐトイレに駆けこむの」。お子さんのそんな姿を見て、心配になった保護者の方もいるのではないでしょうか。学校のトイレに行けない子は、実は決して珍しくないと言われています。
この記事では、学校のトイレに行けない子が感じやすい気持ちと、家庭でできる工夫を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じたときのヒントになればうれしいです。
学校のトイレに行けない子の気持ちは、一つではありません。よくあるものを見てみましょう。
ひとつ目は、人に知られたくない恥ずかしさです。「トイレに行く」と言うこと自体が恥ずかしい、友だちにからかわれたくない、という気持ちを持つ子もいます。
ふたつ目は、音やにおいへの苦手さです。水を流す大きな音や、手洗い場の反響、独特のにおいが、強い刺激になる子もいます。
みっつ目は、ふだんと場所がちがう不安です。使い慣れていない和式や個室、暗い、寒い、という環境が、緊張につながることもあります。
よっつ目は、休み時間にまにあわない、または先生に言い出せないという状況です。遊びに夢中で気づくのが遅れたり、授業中は手をあげにくかったりする場合です。
「わがまま」や「甘え」ではなく、その子なりの理由があることが多いのです。まずは、責めずに理由を探る気持ちで、お子さんの話を聞いてみましょう。

うちの子、学校でトイレに行かないで我慢してるみたいで…。聞いても「だいじょうぶ」って言うの。
そのうえで、お子さんが安心できる関わり方を探していきます。一つの原因を決めつけず、いくつか当てはまるかも、という気持ちで観察してみましょう。わからないことが多くても、それが自然なことです。

「だいじょうぶ」の裏に、言えない気持ちがあるのかもしれないわん。責めずに、聞く姿勢を見せるのが大切わん。
学校のトイレに行けない子に多い、場面別のつまずき

学校のトイレに行けない子のつまずきは、場面によってもちがいます。お子さんの様子と照らしてみてください。
| 場面 | よくあるつまずき |
|---|---|
| 授業中 | 手をあげるのが恥ずかしい。先生に言い出しにくい。みんなに注目されたくない。 |
| 休み時間 | 遊びを中断したくない。トイレが混んでいる。順番を待つのが苦手。 |
| 給食の前後 | 時間が短く、あわてて行けない。手洗いの列が気になる。 |
| 登下校 | 移動中に急にトイレに行きたくなっても、場所がわからない。 |
たとえば、授業中に手をあげるのがむずかしい子には、先生とあらかじめ合図を決めておく方法があります。たとえば、机の上にカードを置くだけで「トイレに行きたい」と伝えられる仕組みです。
休み時間に行けない子には、授業が終わる前の時間帯に行く習慣をつけると、混雑を避けられることがあります。
低学年のうちは、トイレの時間を自分で調整する経験が少ないため、「行きたい」と感じるタイミングを逃しやすいと言われています。体の感覚が育っている途中、ということもあるでしょう。
感覚が敏感な子は、トイレの音やにおいが苦手になりやすい傾向があると言われています。大きな音が気になるお子さんには、こちらの記事も参考になるかもしれません。

音への苦手さについて、くわしく取り上げています。
男の子と女の子でも、つまずきやすい点が少しちがうことがあります。たとえば、立って使うか個室を使うかで、人目の気になり方が変わる場合があります。「個室に入るところを見られたくない」「並んでいる列が気になる」という声もよく聞かれます。
学年が上がると、周りの目がいっそう気になる時期でもあります。お子さんが急に「行きたくない」と言い出したときは、何か気になる出来事があったのかもと、そっと様子を見てあげてください。
場面によって理由がちがうと、対応のしかたも変わってきます。次の章では、家庭でできる準備を紹介しますね。
学校のトイレに行けない子と整える、家庭での声かけと準備
学校のトイレに行けない子が安心できる、おうちでの話の聞き方

学校のトイレに行けない子には、まず安心して話せる雰囲気が必要です。ところが、「どうして行かないの?」と聞くと、責められたように感じる子もいます。
話の聞き方には、いくつかのコツがあります。
話を聞くときのポイント
・夜、布団に入ってからなど、リラックスしたときに聞く
・「どうして?」より「どんな感じ?」と聞く
・「はい・いいえ」で答えられる質問から始める
・答えがなくても、あせらず待つ
・話してくれたら、「教えてくれてありがとう」と伝える
「どうして」と理由を聞かれると、子どもはうまく説明できず、黙りこんでしまうことがあります。「音が大きいのが苦手?」「だれかに見られるのが心配?」と選択肢を出すと、答えやすくなります。
たとえば、お子さんがぽつりと「においがいやだった」と言ったとします。そのときは、「そうなんだね、においが気になったんだね」と気持ちをそのまま受け止めることが大切です。すぐに解決策を出さなくても大丈夫です。
また、お子さんが話さないときは、絵や○×カードで気持ちを伝えてもらう方法もあります。言葉にするのがむずかしい子には、別の伝え方を用意すると、気持ちが出てきやすくなります。
話してくれた内容は、先生と共有するときの大切な材料にもなります。メモをとっておくと、あとで役に立ちます。
話を聞くときは、保護者の方の気持ちが落ち着いているときを選べると理想的です。忙しい朝や、疲れているときに聞くと、つい強い口調になってしまうことがあります。自分の心の余裕も大切にしてくださいね。
お子さんが話したがらない日は、無理に聞き出さなくても大丈夫です。「話したくなったら、いつでも聞くよ」と伝えておくだけで、安心につながります。
学校のトイレに行けない子と、使い方を事前に練習するコツ

学校のトイレの様子が分からないことが不安につながっている場合は、事前にイメージを作っておくと安心しやすくなります。
一つの方法は、学校のトイレの写真や図を見ながら話すことです。入学前の説明会や、学校公開の日に、お子さんと一緒にトイレの場所を確認しておくのも役立ちます。
もう一つは、おうちで流れを練習することです。たとえば次のような順番で、ごっこ遊びのように確認します。
| ステップ | おうちでの練習の例 |
|---|---|
| 1 | 「トイレに行きたい」と、先生に伝える言葉を決める |
| 2 | ドアを閉める、鍵をかける練習をする |
| 3 | 水を流す音を、先に聞いておく |
| 4 | 手を洗って、ハンカチでふくまでの流れを確認する |
特に、水を流す音が苦手な子には、音の出る前に耳をふさぐ、流すタイミングを自分で決めるなど、小さな工夫が役立つことがあります。
練習は、お子さんが楽しめる雰囲気で行うことがポイントです。ぬいぐるみに先生役をやってもらうなど、遊びを取り入れてもよいでしょう。

ごっこ遊びでトイレの練習なんて、うまくいくのかな…?うちの子、ちょっと照れ屋さんなの。

照れ屋さんなら、ぬいぐるみ相手のほうが気楽にできるわん!笑いながらやると、緊張もほぐれるわん。
練習をしても、すぐに学校で行けるようになるとは限りません。「できなくても大丈夫」という気持ちで見守ることが、いちばんの安心につながります。
学校公開や参観日などでトイレの場所を確認できるときは、「ここが1階のトイレだね」と一緒に見て回るだけでも、イメージがつかみやすくなります。写真に撮って見せる方法もありますが、学校の決まりを確認したうえで行いましょう。
こうした事前の準備は、小さなことの積み重ねです。一度に全部やろうとせず、できることから一つずつ進めていきましょう。
学校のトイレに行けない子のために、先生と共有したいこと
学校のトイレに行けない子の様子を、先生に伝えるときのコツ

学校のトイレに行けない子について、先生と共有しておくと、学校での対応を一緒に考えやすくなります。ただ、どう切り出せばいいか迷うこともありますよね。
伝えるときは、事実と気持ちを分けて伝えるとわかりやすくなります。たとえば、次のような伝え方があります。
「困っている」と一方的に伝えるより、「こうしてもらえると助かります」と具体的に伝えると、先生も動きやすくなります。
先生と共有したい内容の例
・お子さんが話してくれた、トイレで困っていること
・授業中に使えそうな合図やカードの提案
・休み時間の前に、声をかけてもらえるかどうか
・失敗してしまったときの、こっそりした対応のしかた
・着替えを入れておく置き場所
電話や連絡帳、個人面談など、伝える手段は、無理のない方法で大丈夫です。個人面談で伝えるときのコツは、こちらの記事でも整理しています。

一度で全部を伝える必要はありません。少しずつ、様子を伝え合いながら進めていきましょう。
先生に伝えたあとは、様子を教えてもらえるように、お願いしておくとよいでしょう。「学校ではどうでしたか」と聞く機会があると、家庭と学校の情報がつながりやすくなります。
もし、先生との話し合いがうまくいかないと感じるときも、一度で結論を出さなくて大丈夫です。時間をおいて、もう一度話してみる方法もあります。
学校のトイレに行けない子が過ごしやすい、学校での工夫

学校のトイレに行けない子のために、学校でできる工夫には、さまざまなものがあります。先生との話し合いの参考にしてください。
まず、トイレに行くタイミングの工夫です。授業の前後や、休み時間のはじめに「行っておこうか」と声をかけてもらうと、あわてずに行けることがあります。
次に、行きやすい場所の工夫です。人が少ない時間帯や、職員室に近いトイレ、保健室に近いトイレなどを使えるようにしてもらえる場合もあります。学校によって対応はちがうので、確認してみましょう。
音が苦手な子には、水を流す音を減らす工夫や、イヤーマフの使用を相談してみる方法もあります。
失敗してしまったときのために、着替えをランドセルや学校に置いておく方法もあります。「何かあっても大丈夫」という気持ちが、安心につながります。

そっか、学校にも工夫してもらえることがあるんだね。わたし、全部家でがんばらなきゃって思ってた。

ひとりで抱え込まなくていいわん。家と学校がつながると、お子さんの安心もふえるわん。
失敗を責めない雰囲気づくりも、大切です。「ほかの子に知られないように、そっと対応してもらえる」とわかっているだけで、お子さんは落ち着いて過ごしやすくなります。
学年や学校によって、トイレの環境も、対応のしやすさもさまざまです。「うちの学校ではむずかしい」と最初から決めつけず、まずは聞いてみることが大切です。
職員の方に事情を共有しておくと、「トイレに行っていいですか」と言えない子にも、さりげなく声をかけてもらえることがあります。
まとめ:学校のトイレに行けない子を、責めずに見守るために
学校のトイレに行けない子への声かけと、体調への気配り

ここまで、学校のトイレに行けない子の理由や、家庭・学校での工夫を見てきました。最後に、日々の声かけについて考えてみましょう。
大切なのは、トイレを我慢することが続いていないか、気にかけることです。我慢が続くと、お腹が痛くなったり、水分をとるのを控えたりする子もいます。
声かけの例としては、帰宅してすぐに「おかえり。トイレ、行ってきていいよ」と伝える方法があります。行けなかった日には「行けなかったんだね。でも話してくれてありがとう」、行けた日には「行けたんだね、ほっとしたね」と、結果よりも気持ちに寄りそう言葉を選んでみてください。
水分をとらない日が続いていないか、お腹の調子はどうかなど、体調への気配りも忘れずに。ただし、あまり神経質になりすぎないよう、「いつもどおり」を心がけるとよいでしょう。
「行けない」ことをなくすより、「困ったときに、伝えられる」ことを目標にすると、お子さんも保護者の方も気持ちが楽になります。
家庭では、お子さんが安心して過ごせる時間を大切にしてください。学校で緊張して過ごしている分、帰宅後にほっとできる時間を持つことが、心の安定につながると言われています。
おやつを食べながらおしゃべりする、お風呂でゆっくり過ごすなど、何気ない時間の中で、お子さんが自分から話し出すこともあります。
一人で抱え込まず、学校のトイレに行けない子のペースで進めよう

学校のトイレに行けないことが長く続くと、保護者の方も不安になりますよね。「このままで大丈夫かな」と、夜に考えこんでしまう日もあるかもしれません。
そんなときは、ほかの保護者の方や先生に話してみるだけでも、気持ちが軽くなることがあります。同じ悩みを抱えている方は、意外と多いものです。

新学期のあとの疲れが、トイレの悩みにつながることもあります。こちらの記事も、あわせて読んでみてくださいね。

ちょっとずつだけど、できることが見えてきた気がする!やってみるね。

その調子わん!小さな一歩を、一緒に喜ぶわん。
この記事のポイント
学校のトイレに行けない理由は、恥ずかしさ、音やにおい、場所への不安など、子どもによってさまざまです。気持ちを受け止め、家庭と学校が情報を共有しながら、お子さんのペースで進めていきましょう。
一人で抱え込まなくて大丈夫です。今日の「おかえり」の声かけが、お子さんの安心につながりますように。
保護者の方が、自分を責めてしまう必要はありません。「育て方のせいかな」と考えてしまう方もいますが、学校のトイレに行けない理由は、さまざまな要素が重なっていることがほとんどだと言われています。
毎日の関わりの中で、お子さんの小さな「できた」を見つけていきましょう。今日、トイレの話をしてくれたことも、立派な一歩です。
学校のトイレの悩みは、ゆっくり、その子のペースで少しずつ軽くなっていきます。あせらず、できることから始めていきましょう。
アイキャッチ画像:Photo by Fahmi Garna on Pexels



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