ダンスが苦手な子の気持ちと、つまずきやすい理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
ダンスが苦手な子が感じている、体が思うように動かないもどかしさ

運動会や発表会が近づくと、ダンスの練習が始まります。みんなが楽しそうに踊るなか、うちの子だけ動きがワンテンポ遅れる。振りつけがなかなか覚えられず、「やりたくない」と言い出す。そんなダンスが苦手な子の様子に、心配している方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ダンスが苦手な子がつまずきやすい理由と、家庭でできる工夫を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じたときのヒントになればうれしいです。
ダンスは、一見すると「音楽に合わせて体を動かすだけ」に見えます。でも実際には、音を聞く、先生の動きを見る、体を動かす、まわりの友達とそろえることを、同時に進める難しい活動です。
たとえば、よくある例として、先生の動きを見ながらまねしようとしても、左右が逆になって混乱する場面があります。向かい合って見ている動きを、自分の体の向きに置きかえる作業は、大人が思うより頭を使います。
また、音楽のテンポが速いと、体を動かす準備が間に合いません。「次はこう動く」と考えている間に、曲が先へ進んでしまいます。考えながら動くことが多い子ほど、追いつきにくさを感じやすくなります。
さらに、ダンスは人前で見せる場面が多いので、「失敗したらはずかしい」という気持ちも重なります。苦手意識が強くなるほど、体がこわばって、動きがぎこちなくなることもあります。

わたし、てっきり「ちゃんと練習してないだけ」だと思ってたの…。

それは違うわん! 見る・聞く・動くを同時にこなすのは、とても大変なんだわん。理由を探してあげるわん。
ダンスが苦手な子が戸惑いやすい、左右の入れかえと振りつけの覚えにくさ

ダンスが苦手な子の中には、振りつけの覚え方につまずく子がいます。ここは、理由が見つかりやすい部分でもあります。
まず、動きの順番を覚えることです。ダンスは、数え切れないほどの動きが、順番にならんでいます。「右手を上げて、左足を一歩出して、くるっと回る」のように、一度に覚える量が多いと、頭が追いつかなくなることがあります。
次に、先生の動きを「見て」まねすることです。正面から見ている先生の右手は、自分の左手にあたります。この左右の入れかえが混乱のもとになる子もいます。
| つまずきやすいもの | 具体的な場面 |
|---|---|
| 動きの順番 | 長い振りつけを一度に覚えられない |
| 左右の入れかえ | 先生と向かい合うと、手足が逆になる |
| 拍の数え方 | 「1・2・3・4」のどこで動けばいいか分からない |
| 体の部位の使い分け | 手と足を別々に動かすと、ばらばらになる |
「ダンスが苦手」に見えて、じつは左右の入れかえだけが難しい、あるいは手と足を同時に動かすことが難しい、ということもあります。細かく分けて見てみると、つまずく場所が見えてくることがあります。
子ども自身も、どこが分からないのか、うまく言葉にできないことが多くあります。「ここは分かる?」「どこで迷う?」と、一緒に探していくつもりで聞いてみましょう。
たとえば、先生の動きを動画で見せながら、「ここまでは分かる?」と区切って確認する方法があります。どこまで分かっていて、どこから迷うのかが見えてくると、練習の的も絞りやすくなります。「全部分からない」と感じていた子が、実は一部だけつまずいていた、ということもあります。
ダンスが苦手な子が抱えやすい、リズムと人前でのはずかしさ

体の動きだけでなく、音や気持ちも、ダンスが苦手になる理由に関わります。ここでは、よくあるものを整理してみましょう。
まず、リズムのとらえ方です。音楽に合わせて動くには、拍の「間」を感じる必要があります。速い曲や、拍の取りにくい曲だと、動くタイミングが合わず、「どこで動けばいいか」が分からなくなります。
次に、音の聞こえ方です。大きな音や、ざわざわした場所が苦手な子は、音楽や周囲の声に気をとられて、先生の指示が聞こえにくくなることがあります。体育館のように音が響く場所では、より難しく感じることがあります。
また、人前で動くことの緊張も、大きな要素です。みんなに見られていると思うだけで、頭が真っ白になる子もいます。間違えたくない気持ちが強い子ほど、体が固まってしまうことがあります。
まわりと比べて落ち込むこともあります。「あの子はできるのに」という気持ちが積み重なると、ダンスそのものがいやになってしまうかもしれません。
ダンスが得意な友達の動きは、目に入りやすいものです。比べるつもりがなくても、自分との差を感じてしまう子もいます。そんなときは、「昨日の自分」との比べっこに切りかえてあげると、少し気持ちが軽くなることがあります。
まずは様子を見るときのヒント
・振りつけを覚えるのが難しいのか、動くタイミングが難しいのか
・先生と向かい合う練習と、同じ向きの練習で違いがあるか
・家で一人で踊るときと、みんなの前で踊るときの差があるか
・音楽が大きい、速いなど、苦手な条件があるか

いろんな理由があるんだね…。うちの子はどれなんだろう。

一つに決めなくて大丈夫だわん。「これかな?」と試しながら、少しずつ分かっていくわん。
ダンスが苦手な子が、とくに困りやすい場面
ダンスが苦手な子が戸惑う、運動会の練習と集団でそろえる場面

ダンスが苦手な子がいちばん困りやすいのは、運動会やお遊戯会の練習です。短い期間で、全員が同じ振りつけをそろえる必要があるため、焦りや緊張が重なりやすくなります。
練習のたびに「そろっていないよ」と指摘されたり、先生の説明が早くて追いつけなかったりすると、自信をなくしてしまいます。周りの動きを見て合わせることが苦手な子にとっては、集団練習そのものが負担です。
本番が近づくほど、練習は長くなり、子どもも疲れがたまります。家に帰ってきたあと、機嫌が悪くなったり、「行きたくない」と言い出したりすることもあるでしょう。
| 場面 | つまずきやすいポイント |
|---|---|
| 新しい振りつけの練習 | 説明が早く、一度で覚えきれない |
| 全員でそろえる練習 | まわりのスピードに合わせられない |
| リハーサル・本番 | 人前の緊張で、覚えていたはずの動きが出てこない |
| 隊形移動 | 立ち位置や動く方向が分からなくなる |
こうした場面でうまくいかなくても、一度の失敗で自信を失う必要はありません。ダンスの上手さだけが、成長のすべてではないからです。
練習の帰り道や家での様子も、大切なヒントです。「今日はどうだった?」と聞くより、「どこがむずかしかった?」「楽しかったところはあった?」と、具体的に聞いてみましょう。答えやすい聞き方にすると、本人の気持ちが見えてきます。先生に、家での様子を伝えておくのも一つの方法です。
運動会の練習については、こちらの記事でもくわしく取り上げています。

ダンスが苦手な子がつまずきやすい、音楽や衣装・小道具が変わるとき

ダンスが苦手な子の中には、練習から本番へ条件が変わるときに、さらに難しくなる子がいます。ふだんと違うことが重なると、不安が大きくなるためです。
本番では、練習より大きな音量で音楽が流れたり、観客の声やざわめきが加わったりします。音に敏感な子にとっては、それだけで動きが止まってしまうこともあります。
衣装や小道具も、思わぬつまずきの原因になります。ポンポンやリボン、帽子などを持つと、動きがいつもと変わります。衣装の素材や重さが気になって、ダンスに集中できない子もいます。
たとえば、本番前に衣装を着て一度通しで踊ってみる、本番と同じ音量で曲を聞いてみる、という工夫が考えられます。前もって体験しておくと、当日の戸惑いが少し減ることがあります。
本番直前の朝は、いつもより早起きになったり、緊張で食欲が落ちたりすることもあります。前の日にゆっくり過ごす時間をとり、「できなくても大丈夫」と声をかけておくだけでも、気持ちの余裕が変わります。当日までの過ごし方も、実は大切な準備です。
「練習ではできたのに」と思うと、親は不安になるかもしれません。でも、場面によって差が出るのは、とても自然なことです。少しずつ慣れていけば大丈夫です。

家ではできてたのに、本番になるとダメなの。やっぱり問題なのかな…。

大丈夫だわん。場所や音が変わると緊張するのは、子どもにはよくあることだわん。少しずつ慣れていけばいいわん。
ダンスが苦手な子に、家庭でできる工夫
ダンスが苦手な子と、動きを小さく分けて音楽なしで試してみる

ダンスが苦手な子への工夫として、まず試しやすいのが、動きを小さく分けることです。一度にたくさんの動きを覚えようとすると、頭がいっぱいになってしまいます。
振りつけを、4拍ずつなど短いまとまりに分けます。最初のまとまりだけをくり返して、できるようになったら次に進む、という進め方です。「ここだけ」と範囲を絞ると、取り組みやすくなります。
最初は音楽をかけず、ゆっくり動きだけを確かめる方法もあります。音のテンポに追われないので、動きに集中できます。慣れてきたら、ゆっくりめのテンポで音楽を合わせていきます。
動きの名前を、子ども自身の言葉で呼ぶのもおすすめです。「ぴょんぴょん」「ぐるぐる」のように、自分だけの呼び名をつけると、順番を思い出しやすくなる子もいます。
合うやり方が見つかるまでには、時間がかかるかもしれません。一度でうまくいかなくても、「次はこれを試してみよう」くらいの気持ちで進めていきましょう。
体をほぐす遊びから始めるのも、取り入れやすい方法です。ジャンケンをして負けたらポーズをとる、音楽が止まったら止まる、といった簡単な遊びは、拍や動きのコントロールを自然に練習できます。「練習」と身がまえず、遊びの延長で楽しめると続けやすくなります。
ダンスが苦手な子が安心しやすい、見通しと遊びを取り入れた進め方

次に、見通しを持たせる工夫です。「いつ、どこで、何をするのか」が分かるだけで、安心して取り組める子もいます。
振りつけの流れを、絵や写真、簡単なメモにして見せる方法があります。「ポーズ1→手を上げる→回る→ポーズ2」のように並べておくと、次の動きが分かり、気持ちの準備ができます。
遊びを取り入れるのも、続けやすい工夫です。たとえば、好きな曲に合わせて自由に体を動かす、ぬいぐるみと一緒に踊るなど、「ダンスの練習」ではない形で体を動かす時間を作ってみる方法があります。
動画で先生の動きを撮っておいて、家でくり返し見られるようにしている方もいます。自分のペースで、何度でも見直せるので、安心感があります。
少しでもできたところは、「ここ、いいね」と具体的に伝えてあげましょう。がんばりが目に見える形で認めてもらうと、ダンスへの前向きな気持ちが育ちます。
「全部覚えること」だけをゴールにしないのも、大事なポイントです。たとえば、「ポーズだけは決める」「サビの部分だけは楽しく踊る」というように、その子にとっての目標を小さく決めておくと、本番までの気持ちが安定しやすくなります。

動きを分けたり、絵にしたりなら、うちでもできそう!

その調子だわん! 子どもが好きなものを、練習にちょっと混ぜてみるわん。
まとめ:ダンスが苦手な子と、無理なく向き合うために
ダンスが苦手な子の理由と工夫を、あらためて整理する

ここまで、ダンスが苦手な子の理由と、家庭でできる工夫を見てきました。あらためて整理してみましょう。
ダンスが苦手な理由には、振りつけの覚えにくさ、左右の入れかえの難しさ、リズムのとらえにくさ、音への敏感さ、人前での緊張など、さまざまなものがあります。一つとは限らず、重なっていることも多いと言われています。
工夫としては、動きを小さく分ける、音楽なしで試す、同じ向きで一緒に動く、絵やメモで流れを見せる、遊びの形で体を動かす、などがありました。どれも、少しずつ試して、合うものを見つけていくものです。
子どもによって、つまずく部分はちがいます。たとえば、「左右が混乱する」子もいれば、「リズムが取りにくい」子もいます。うちの子の場合はどこなのかを、少しずつ探っていくことが、近道になります。
また、ダンスが苦手な時期は、ずっと続くとは限りません。体の成長や、経験の積み重ねによって、ある日ふっと動けるようになることもあります。いまの様子だけで判断せず、変化のきざしにも目を向けてみましょう。
気持ちを受けとめる、動きを分ける、無理をさせない。この3つを意識するだけでも、練習の時間が少しずつ楽になっていくことがあります。

そっか、「むずかしいね」って言いながら、一緒に探していけばいいんだね!

そのとおりだわん! 小さな「これならできた」を、いっしょに集めていくわん。
一人で抱え込まず、ダンスが苦手な子と一緒に進んでいく

練習がうまくいかないと、「このままで大丈夫かな」と不安になるかもしれません。でも、体の使い方や、リズムへの慣れ方は、年齢や経験によって変わっていくと言われています。
いまは動きがぎこちなくても、成長とともに、自然に踊れるようになる子もいます。「ずっとこのまま」と決めつけなくて大丈夫です。そのときどきの気持ちに合わせて、柔軟に付き合っていくくらいが、ちょうどよいかもしれません。
本番で、みんなと同じように踊れなくても、舞台に立てただけで、立派な一歩です。上手に踊ることより、その子なりに楽しめることを大切にしてあげましょう。
うまくいかなかった日も、「今日はお休みの日」と割りきってしまって大丈夫です。翌日にまた、ゆったりした気持ちでやり直せば、それで十分です。親が笑顔でいられる時間を守ることも、子どもにとっては大切な安心材料になります。
先生やまわりの保護者の方と、練習の工夫を分かち合うだけでも、気持ちが軽くなることがあります。一人で抱え込まず、まわりの力も借りながら進めていきましょう。
発表の場面での悩みは、こちらの記事でも取り上げています。

ダンスが苦手な子のペースを大切にしながら、ゆっくり、できるところから進めていきましょうね。
アイキャッチ画像:Photo by MART PRODUCTION on Pexels



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