お箸の持ち方が苦手な子。理由と練習の工夫を解説

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【この記事の信ぴょう性】

当ページの記事は、児童発達支援の現場経験を持つ鈴木日奈子(小学校教諭免許保有)が監修しています。

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お箸の持ち方が苦手な子の気持ちと、つまずきやすいポイント

こんにちは!おやまどの鈴木です。

お箸の持ち方が苦手な子によく見られる、4つのつまずき

食事のたびに、お箸の持ち方が気になってしまう。注意するたびに食卓の空気が重くなって、ため息が出てしまう。お箸の持ち方が苦手な子を前に、そんな毎日を過ごしている保護者の方は少なくありません。

この記事では、お箸の持ち方が苦手な子がつまずきやすい理由と、家庭でできる練習の工夫を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じたときのヒントになればうれしいです。

お箸は、2本の棒を片手で、しかも指先だけで動かす道具です。大人には当たり前でも、子どもにとっては、手と指をとても細かく使う高度な動きだと言われています。

まず、お箸の持ち方が苦手な子に見られやすいつまずきを、4つに分けて見てみましょう。

ひとつ目は、お箸をにぎりこんでしまうことです。グーでにぎるように持つと、2本が一緒に動いてしまい、食べ物をつまめません。

ふたつ目は、2本のお箸が交差することです。指の力のかけ方が分かりにくいと、先がクロスして、うまく開閉できなくなります。

みっつ目は、お箸の先がそろわないことです。上下にずれたまま動かすので、小さなものほどつかみにくくなります。

よっつ目は、持つ位置が先のほうすぎる、または上すぎることです。バランスがとりにくく、手首に力が入ってしまいます。

4つのつまずきのうち、どれが当てはまるかを知っておくと、次の一歩を考えやすくなります。たとえば、にぎりこんでしまう子は、指を一本ずつ動かす練習から始めると進めやすいでしょう。交差してしまう子は、お箸を一本ずつ持って、役割を確認するところから始める方法もあります。

食事中にじっと観察するのはむずかしいので、食事の前後や遊びの中で、お子さんが物を持つ様子を眺めてみるのもおすすめです。鉛筆やスプーンの持ち方と、お箸の持ち方がつながっていることもあるからです。

ほのママ
ほのママ

どれか一つだけじゃなくて、いくつも当てはまることもあるのかな…?

ここわん
ここわん

もちろんあるわん。いくつか重なっていても大丈夫わん。ひとつずつ、できそうなところから順番に取り組むわん。

どれも「やる気がない」「ふざけている」わけではありません。指の動かし方が、まだ身についていないだけ、ということも多いと言われています。

お箸の持ち方が苦手な子の、手と指の発達のこと

木の知育玩具で遊ぶ手元
Photo by Mikhail Nilov on Pexels

お箸を上手に使うには、実はたくさんの力が関わっています。ここでは、お子さんの様子を見るときの目安として、いくつかのポイントを紹介しますね。

一つは、親指・人差し指・中指の3本を、バラバラに動かす力です。鉛筆を持つ動きと似ていて、この3本が役割分担できると、お箸も動かしやすくなります。

もう一つは、薬指と小指で、お箸を支える力です。ここが弱いと、お箸がぐらぐらして安定しません。

さらに、手首をやわらかく使う力や、目で見た位置に手を合わせる力も関わっています。つまり、お箸は「指先だけ」の問題ではないんですね。

ほのママ
ほのママ

お箸の持ち方って、手の指だけの問題だと思ってたの…。てっきり、練習が足りないだけだと…えへへ。

ここわん
ここわん

それは違うわん!手首や、体を安定させる力も関わっているわん。だから、まずは遊びで手を育てる方法もあるわん。

たとえば、よく動かす時期の子は、体を使った遊びが中心で、指先をじっくり使う経験が少なめということもあります。年齢や経験によっても、指の器用さには大きな個人差があると言われています。

手の発達のようすは、日常の中で見つけることもできます。たとえば、ボタンをはめる、ファスナーを上げる、ペットボトルのふたを開けるといった動きは、お箸と同じ「細かい指の動き」を使います。

こうした場面で、お子さんが苦戦しているようなら、お箸だけでなく、手先を使う経験をふやしていくとよいと言われています。無理なく、できる範囲で大丈夫です。

同じ年齢のお友だちと比べて、落ち込んでしまう日もあるかもしれません。でも、お箸の持ち方が苦手なのは、ゆっくり育っている途中の姿とも言えます。

鉛筆の持ち方が苦手な子。理由と家庭での工夫を解説
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こちらの鉛筆の持ち方の記事も、指先の使い方という点でつながっています。あわせて読んでみてくださいね。

お箸の持ち方が苦手な子と進める、遊びながらの練習

お箸の持ち方が苦手な子に始めたい、指先を育てる遊び

お箸の練習というと、すぐに食事の場面で始めたくなります。でも、お箸の持ち方が苦手な子の場合は、まず食事の外で指先を育てるほうが、気持ちも楽になりやすいと言われています。

おすすめの遊びを、いくつか紹介します。

おうちでできる、指先あそびの例

・洗濯ばさみを、紙の端につまんで留めていく
・粘土をちぎる・丸める・ひもの形にのばす
・ティッシュを丸めて、小さな玉をたくさん作る
・シールをはがして、台紙の線に沿って貼る
・ビー玉やブロックを、指先でつまんで箱に入れる

どれも、親指と人差し指でつまむ動きを自然に練習できます。「練習」というより「遊び」にするのがコツです。時間は1日5分くらいでも十分と言われています。

たとえば、洗濯ばさみで動物のたてがみを作る遊びなら、楽しみながら指の力がつきます。大人も一緒に遊んで、「できたね」と声をかけると、お子さんの自信につながります。

上手にできなくても、「あとでまたやろうね」と切り上げて大丈夫です。無理に続けると、お箸そのものが嫌いになってしまうこともあります。

遊びを選ぶときは、お子さんの「好き」を入り口にするのがコツです。たとえば、電車が好きなら、小さな電車のおもちゃをつまんで線路に並べる遊びもできます。お菓子づくりが好きなら、クッキーの生地をちぎって丸めるお手伝いも、立派な指先の練習になります。

お手伝いを遊びの代わりにするのも一つの方法です。野菜をちぎる、豆のさやをむく、ミニトマトのへたを取るなど、台所には指先を使う場面がたくさんあります。

ボタンがかけられない子。理由と家庭での練習の工夫
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ボタンの練習も、お箸と同じく指先の発達につながります。こちらの記事もあわせて見てみてください。

まずは、手を動かすことが楽しい、という気持ちを育てていきましょう。

豆つかみ・ビーズ移しなど、お箸を使う前の練習ステップ

お皿に入った豆
Photo by aditya bhatia on Pexels

指先の遊びに慣れてきたら、少しずつお箸に近い動きへ進んでいきます。ここでは、無理のない順番を紹介しますね。

ステップ内容ポイント
1手でつまんで、容器に移す親指と人差し指でつまむ感覚をつかむ
2トングやピンセットでつまむ2本をつなげた道具で、開く・閉じるを練習
3しつけ箸や、つなぎのお箸を使う持ち方の形をおぼえる
4ふつうのお箸で、大きめのものをつまむスポンジやこんにゃくなど、つかみやすいものから

ステップ2のトングやピンセットは、お箸の「開く・閉じる」の動きを練習するのに役立つと言われています。100円ショップのものでも十分です。

つかむものは、最初は大きくてすべりにくいものがおすすめです。スポンジ、毛糸のボール、ポンポンなどが使いやすいでしょう。

できるようになってきたら、豆や小さなビーズへ。お皿から別のお皿へ移す、という簡単な課題にすると、ゲーム感覚で取り組めます。

ほのママ
ほのママ

毎日やらなきゃと思うと、わたしのほうが疲れちゃって…。うちの子も、すぐ飽きちゃうの。

ここわん
ここわん

毎日じゃなくても大丈夫わん。機嫌のよい日に、短く遊ぶくらいがちょうどいいわん。

「今日は3個つかめたね」と、小さな前進を言葉にして伝えるのも大切です。数が増えなくても、挑戦した気持ちを認めてあげましょう。

食事の場面でも、いきなり全部お箸で食べなくて大丈夫です。たとえば1品だけお箸、あとはスプーンというように、お子さんが「できそう」と思える形から始めてみてください。

お子さんが飽きてしまったときは、「箸の日」を決めないのも一つの考え方です。気分がのらない日は、遊びだけにして、気分がよい日にお箸を出す、という進め方なら、親子ともに気持ちが楽になります。

また、きょうだいや家族と一緒にやると、「やってみたい」という気持ちが育ちやすくなります。大人が楽しそうにお箸で豆を移している姿を見せるだけでも、お子さんの興味につながることがあります。

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お箸の持ち方が苦手な子に合う道具と、食卓の整え方

お箸の持ち方が苦手な子に合う、お箸の選び方

道具が合っていないと、練習してもうまくいかないことがあります。お箸の持ち方が苦手な子のために、選ぶときの目安を整理しました。

まず長さです。目安として、「手のひらを広げたとき、親指から人差し指の先までの長さの1.5倍くらい」が合いやすいと言われています。長すぎるとコントロールしにくく、短すぎると指がつまってしまいます。

次に素材と形です。つるつるすべる素材より、先に溝がある、または少しざらつきのあるお箸のほうが、食べ物をつかみやすい場合があります。

また、しつけ箸には、指の位置が分かるリングや凹みが付いています。持ち方の形をおぼえる助けになる一方で、長く使い続けると指の力のかけ方が固まりやすいという意見もあります。

しつけ箸は、持ち方の形をつかむ「入り口」として使い、お子さんが慣れてきたら、ふつうのお箸へ少しずつ移っていく方法があります。

お箸が上手に持てないからと、食事中に何度も持ち方を直すと、食べること自体が嫌になることがあります。

道具を替えるときは、お子さんと一緒に選ぶのもおすすめです。好きな色やキャラクターのお箸だと、使う気持ちも高まりやすくなります。

買い替えのタイミングは、お子さんの手が大きくなったときや、持ちにくそうにしているときです。毎日使うものなので、店頭で実際に持たせてみて選ぶと、失敗が少なくなります。

ご家庭によっては、おじいちゃん・おばあちゃんから贈られたお箸があるかもしれません。長さが合っていないときは、気持ちを大切にしつつ、「こっちは特別な日のお箸にしようね」と使い分ける方法もあります。

お箸の持ち方が苦手な子が、食事を楽しめる食卓の工夫

ごはんとおかずが並ぶ食卓
Photo by Cats Coming on Pexels

食卓の環境によって、お箸の使いやすさは変わります。ちょっとした工夫を、いくつか紹介しますね。

まず、姿勢です。足がぶらぶらしていると体が安定せず、手元に力が入りにくくなります。足の裏が床や台につくように、足置きを用意するとよいと言われています。

次に、食器です。お皿のふちが立ち上がっているものや、すべり止めのマットを使うと、食べ物が追いかけやすく、つかみやすくなります。

つまみやすい料理を選ぶのも一つの方法です。たとえば、小さく切った唐揚げ、煮物のいも、ゆでたブロッコリーなどは、練習の入り口に向いています。

反対に、つるつるすべるもの、細かくてバラバラになるものは、むずかしく感じやすいです。はじめのうちは、スプーンやフォークと併用して大丈夫です。

なにより大切なのは、食事の時間を「楽しい時間」にすることです。注意が増えると、食べる量が減ってしまうこともあります。

ほのママ
ほのママ

食べる量が減ってほしくないんだけど、持ち方も気になっちゃって…どっちを優先したらいいの?

ここわん
ここわん

まずは「おいしく食べる」が先だわん!持ち方の練習は、遊びの時間にまわすと、ほのママも気が楽になるわん。

食べこぼしが多い子。理由と家庭での工夫を解説
食べこぼしが多い子の理由を、姿勢・道具・声かけの視点でやさしく整理しました。叱らずに続けられる家庭での工夫を知りたい、未就学児から小学生の保護者の方へ。毎日の食事が少し楽になるヒントと、食卓の整え方、声かけの例もまとめています。ぜひどうぞ。

外食や行事のときは、家と同じようにはいかないこともあります。そんなときは、あらかじめ「今日はスプーンも使っていいよ」と伝えておくと、お子さんの心の準備になります。

周りの目が気になって、つい注意してしまうこともあるかもしれません。でも、その場面で大切なのは、お子さんが安心して食べられることです。持ち方の練習は、おうちでゆっくり取り組めば大丈夫です。

食べこぼしが気になるときは、こちらの記事も参考にしてみてください。

まとめ:お箸の持ち方が苦手な子を、あせらず見守るために

お箸の持ち方が苦手な子への声かけと、「できた」の認め方

ここまで、お箸の持ち方が苦手な子の理由や練習の工夫を見てきました。最後に、日々の声かけについて考えてみましょう。

声かけで意識したいのは、「できていないこと」より「できていること」を言葉にすることです。

こんな場面声かけの例
お箸を持とうとしたとき「自分で持ってみたんだね、いいね」
食べ物がつかめたとき「つかめたね!今のつかみ方、上手だったよ」
うまくいかなかったとき「むずかしいよね。もう一回やってみる?それとも手伝おうか」
疲れてしまったとき「今日はスプーンで食べようか。またあしたね」

「ちがうでしょ」「何回言ったらわかるの」と、つい言ってしまう日もあると思います。でも、それはお子さんのことを心配しているからですよね。自分を責めなくて大丈夫です。

お箸の持ち方は、少しずつ変わっていくものと言われています。小学校の高学年になるまで、持ち方がゆれ動く子もいます。今の姿がずっと続くわけではありません。

お子さんが自分で「もうちょっとやってみたい」と思えるタイミングを、ゆっくり待ってあげるのも、大切な関わり方の一つです。

「できた」の認め方には、結果だけでなくがんばった過程をほめる方法もあります。「最後までやってみたんだね」「ずっと集中していたね」といった声かけは、結果が出なかった日にも使えます。

ごほうびシールなど、目に見える形にして残すのも、モチベーションを保つ工夫の一つです。ただし、ごほうびが目的にならないよう、「お箸が使えて嬉しいね」という気持ちに寄りそうことを意識してみてください。

一人で抱え込まず、お箸の持ち方が苦手な子のペースで進めよう

お箸の持ち方が気になると、周りの子と比べてしまったり、人前の食事がつらくなったりすることがあります。給食や外食の場面で、不安を感じる保護者の方もいるでしょう。

そんなときは、先生に「家で練習中です」と一言伝えておくと、安心できることがあります。園や学校でも、お箸の使い方はさまざまなお子さんがいて、無理に直さない配慮をしているところも多いと言われています。

給食を食べるのが遅い子。理由と家庭での工夫を解説
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給食の場面については、こちらの記事でくわしく取り上げています。

ほのママ
ほのママ

そっか…。うちの子だけじゃないんだ。気持ちが少し楽になったかも。

ここわん
ここわん

そうわん!お箸は、毎日の中で少しずつ上手になっていくわん。一緒に考えるわん。

この記事のポイント
お箸の持ち方が苦手な理由は、指の細かい動き、手首の使い方、体の安定など、さまざまです。遊びで指先を育て、道具や食卓を整えながら、「できた」を一緒に喜んでいきましょう。

一人で抱え込まなくて大丈夫です。今日の食卓で、お子さんがお箸に手をのばしたその瞬間を、ぜひ一緒に喜んであげてくださいね。

保護者の方自身が、疲れてしまう日もあるでしょう。毎日の食事づくりに加えて、お箸の練習まで頑張るのは、とても大変なことです。「今日はスプーンでいいか」と思える日があっても、いいんです。

同じ悩みを持つ保護者の方と話すだけでも、気持ちが軽くなることがあります。身近な人に「実はうちもそうなの」と話してみると、思いがけず共感してもらえるかもしれません。

お箸の使い方は、ゆっくり、その子のペースで育っていきます。あせらず、楽しい食卓を続けていきましょう。

アイキャッチ画像:Photo by Nano Erdozain on Pexels

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