傘を嫌がる子の気持ちと、そう感じる理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
雨の朝、玄関で「傘をさそうね」と声をかけても、傘を嫌がる子に、手こずっている方も多いのではないでしょうか。傘を投げてしまったり、さしてもすぐ閉じてしまったり。「レインコートならいいのかな?」と迷うこともありますよね。
この記事では、傘を嫌がる子の気持ちと、そう感じやすい理由、家庭でできる工夫を、順番にまとめました。「わがまま」と決めつけず、子どもの感じ方に目を向けるヒントとして、読んでいただければうれしいです。
傘を嫌がる子が、視界のせまさや見えにくさに不安を感じるとき

傘を嫌がる子の理由として、まず考えられるのが視界の変化です。傘をさすと、頭の上に大きな屋根ができて、まわりが見えにくくなります。前や横の様子がわかりにくく、不安になる子もいます。
大人は、傘のふちから外を見たり、少し傾けて前を確かめたりと、自然に調整しています。けれど子どもにとっては、「見えないまま歩く」ことそのものが怖く感じられる場合があります。
たとえば、傘をさした途端に足が止まったり、傘を後ろに倒して歩いたりする姿が見られるなら、前が見えにくいことが気になっているのかもしれません。背の低い子は、傘の骨組みが目線に近く、いっそう視界が気になりやすいとも言われています。
「ちゃんと前を見て歩こうね」と声をかけたくなりますが、その言葉が、かえって緊張を強めることもあります。まずは「見えにくいんだね」と気持ちを言葉にしてあげると、少し安心しやすくなります。
よくある例として、傘を開いたとたんに「見えない!」と声をあげる子もいます。そんなときは、傘のふちを少し上げてあげたり、親が先に歩いて「ここまでおいで」と目印になったりすると、視界の不安が和らぐことがあります。
また、傘をさす前に、親子で「傘の中から見える景色」を確かめてみるのもおすすめです。「屋根の下に入ったみたいだね」「小さな窓から外が見えるね」など、見え方を楽しい言葉に置きかえると、傘のイメージが変わっていきます。

傘って、ただ雨をよける道具だと思ってたけど、子どもには見え方が変わるのね。

大人には当たり前でも、子どもには大きな変化のことがあるわん。まずは気持ちを受けとめるところからわん。
傘を嫌がる子が、雨が傘に当たる音や、ぬれる感触を不快に感じるとき

二つめの理由は、音や感触です。雨が傘に当たると、バラバラ、ポツポツと、思ったより大きな音が頭の上で響きます。音に敏感な子にとっては、これが落ち着かない原因になることがあります。
感覚の感じ方には、個人差があると言われています。同じ雨音でも、「心地いい」と感じる子もいれば、「うるさくて嫌だ」と感じる子もいます。どちらが正しいということはありません。
また、傘をさしていても、足元や袖口がぬれたり、風で雨がふきこんだりします。ぬれたときの感触が苦手な子は、「傘をさしても結局ぬれる」ことが、傘への嫌な気持ちにつながっている場合もあります。
そんなときは、傘を無理にさすより、雨の音を少しやわらげる工夫をしてみる方法があります。たとえば、帽子のつばつきのレインハットを併用する、音が小さめの生地の傘を選ぶ、といったやり方です。
雨音が苦手な子には、耳をふさぐように傘を持つ姿が見られることもあります。そんなときは、「うるさいね」と気持ちに寄りそってから、「どうしたら少し楽になるかな」と、いっしょに考えてみてください。
帰宅したら、タオルでふいて、温かい飲み物をいっしょに飲む。そんな小さな時間が、雨の日への嫌な気持ちをやわらげてくれることもあります。

傘を嫌がる子が、持つ重さや手がふさがることにとまどうとき

三つめの理由は、持つことそのものです。傘は、思ったより重く感じられます。小さな手で、長い柄を持って、風にあおられながら歩くのは、大人が思う以上に力がいる動作です。
さらに、傘を持つと片手がふさがります。手をつなぎたいのにつなげない、ランドセルや荷物を持ちにくい、転びそうになったときに手が出ない。こうした不安が重なって、傘を避けたくなる子もいます。
傘の先端が人や物に当たりそうで怖い、という気持ちを持つ子もいます。傘の使い方のルールを、絵や図で見せながら話すと、安心して扱いやすくなります。
よくある例として、傘を開いたり閉じたりする動作が難しくて、いらいらしてしまう場面があります。ボタンを押す力の加減や、骨組みを開く感覚が、まだうまくつかめていないのかもしれません。
「どうして持てないの」と責めるより、「重いよね」「持ちにくいよね」と共感することから始めてみてください。お子さんの気持ちが落ち着くと、そこから次の工夫を試しやすくなります。
傘の持ち手の形によっても、持ちやすさは大きく変わります。まっすぐな柄より、握りやすい曲がった柄のほうが、小さな手には合う場合もあります。傘売り場で実際に握ってみると、違いがよくわかります。
また、傘の開閉に時間がかかって友だちを待たせてしまうことが、気持ちの負担になっている子もいます。雨の日の朝の前に、家で何度か開閉の練習をしておくと、自信につながります。
傘を嫌がる子が、特に困りやすい場面
登園・登校の朝に、傘を嫌がる子と時間が足りなくなるとき

いちばん困りやすいのが、雨の朝です。出発の時間が決まっているので、傘をめぐるやりとりが長引くと、親も子も焦りやすくなります。
玄関で傘を持ったまま動かない、外に出た途端に傘を閉じてしまう、といった場面があります。「遅れちゃう」と言いたくなりますが、急かされるほど、子どもはかえって動けなくなることがあります。
雨の日の朝は、いつもより10分早く支度を始めるだけで、気持ちにゆとりが生まれます。傘を前の晩に玄関に出しておく、レインコートや長靴といっしょに並べておくなど、準備を見える形にするのも一つの方法です。
たとえば、前の日の夜に「あしたは雨だね。どの傘にする?」と、天気予報を見ながらいっしょに話してみるのも一つの方法です。心の準備ができるだけで、当日の動きが変わることがあります。
それでも間に合わない日もあります。そんなときは、「今日はここまでできたね」と、できたことに目を向けてみてください。朝の数分のやりとりで、親子の一日の気持ちが決まってしまうこともあるからです。
たとえば、「傘をさして玄関を出たら、ごほうびシールを1枚」のような小さな約束を、親子で決めておく方法もあります。ごほうびは、ほめ言葉でも、ハイタッチでも大丈夫です。無理のない範囲で、楽しい工夫を取り入れてみてください。
雨の日の通園・通学に、お父さんやお母さんが付き添える時間があるなら、その日だけは少し余裕をもって、いっしょに歩いてあげるのも一つの方法です。

朝はただでさえバタバタなのに、傘で止まられるとほんとに焦っちゃうの…。

その気持ち、わかるわん。だからこそ、前の日に準備しておくだけでも、ずいぶん楽になるわん。
横断歩道や人混みで、傘を嫌がる子の安全が気になるとき

雨の日の通りは、傘がたくさん並んで、いつもより歩きにくくなります。傘と傘がぶつかったり、前が見えにくかったりして、親の心配も増えますよね。
傘を嫌がる子が、傘をささずに歩こうとすると、ぬれて風邪をひかないかと心配になります。一方、傘をさして歩かせると、前を見ずに道路へ出ないか、という不安も出てきます。
通りでは、お子さんの傘が前の人に当たらないよう、「傘は少し上に」と声をかけてあげると、衝突を防げます。
そんなときは、手をしっかりつなぐのが基本です。親が傘を持ち、子どもは親の傘に入る「相合い傘」の形にして、手をつなぐ方法もあります。子ども用の傘は、親の傘より小さいことが多く、いっしょに入るほうが歩きやすい場合もあります。
また、ふだんの通園路で、傘がぶつかりやすい場所や、見通しの悪い場所を、晴れた日に親子で確かめておくのも安心につながります。「ここは止まるよ」と、ゲームのように伝えると、楽しみながら覚えられます。
小学生になると、通学班で集団登校することもあります。傘をうまくさせないと、班の友だちに迷惑をかけてしまうのでは、と気にするお子さんもいます。前もって先生に伝えておくと、見守ってもらいやすくなります。
傘を持つ手のぐらつきが心配なときは、レインポンチョや、背中まで覆えるレインコートを併用する方法もあります。傘にこだわらなくても大丈夫です。

傘を嫌がる子と一緒にできる、家庭での工夫
傘を嫌がる子に合う傘を、一緒に選んでみる

まず試したいのが、お子さんといっしょに傘を選ぶことです。自分で選んだ傘は、愛着がわきやすく、「さしてみようかな」という気持ちが生まれることがあります。
選ぶときのポイントは、いくつかあります。
傘を選ぶときのチェックポイント
・軽いもの(持ってみて、手が疲れにくいか)
・ビニール製など、前が透けて見えるもの(視界が気になる子に)
・開閉がかんたんな、子ども用の安全設計のもの
・好きな色や柄(「これなら持ちたい」と思えるか)
・お子さんの背の高さに合った大きさ
とくに、前が透けて見えるビニール傘は、視界が気になる子に人気です。傘のふち越しにまわりの様子がわかるので、安心しやすいと言われています。ただし、合う・合わないは個人差があります。
店で実際に開いてみて、持ち心地を試せるなら、お子さんの反応を見ながら選べます。ネットで買う場合は、重さの表示も確認しておくと失敗しにくいです。
買ったあとは、すぐに雨の日に使わず、晴れた日に家の中でいっしょに開閉の練習をしてみてください。「どんなふうに開くのかな」と、傘の仕組みをいっしょに眺めるだけでも、親しみがわきます。
お店で選べないときは、「どれが好き?」と画像を見せて、お子さんに選んでもらう方法もあります。選ぶ過程そのものが、傘への前向きな気持ちにつながることがあります。
傘を嫌がる子が、少しずつ慣れていくための練習と声かけ

傘に慣れるには、雨の日にいきなり使うより、晴れた日や室内で遊びながら練習するのが近道です。まずは、家の中で傘を開いて、屋根ごっこをしてみてください。
「傘の下は、ひみつ基地だよ」と声をかけて、中に入ってみる。くるくる回して、色や柄を楽しんでみる。こうして、傘に「楽しい」気持ちを結びつけておくと、雨の日の抵抗感が少し和らぎます。
次の段階として、ベランダや庭で、傘を持って数歩だけ歩いてみる方法もあります。シャワーのじょうろを使って、傘に水をかけて雨の音を体験する、というやり方もあります。
声かけは、「持ちなさい」より「持ってみる?」のほうが、受け入れやすい場合があります。できたときは、「持てたね」「さしていられたね」と、小さな成功を具体的に伝えてあげてください。
雨の日の練習は、親も気持ちに余裕のあるときに始めるのがコツです。疲れている日や、時間に追われているときは、無理をしないでください。お休みの日の午後など、ゆったりした時間に取り入れてみましょう。
傘に関する絵本を読んだり、傘をテーマにした歌を歌ったりするのも、気持ちをやわらげる一つの方法です。遊びの中で「傘=楽しい」というイメージが少しずつ育っていきます。

傘の下を秘密基地にするなんて、わたしも入りたいくらい!

遊びの中で慣れていくと、雨の日が少し楽しみになるかもしれないわん!
練習は、1回で終わらせようとせず、数日かけて少しずつ進めてみてください。うまくいかない日があっても、大丈夫です。次の日にまた、傘の下で遊んでみればいいのです。
お子さんの好きなキャラクターの傘や、お気に入りの色の傘は、気持ちを前向きにしてくれる味方になります。雨の日が「傘をさせる特別な日」になるよう、少しずつ演出してみてください。
まとめ:傘を嫌がる子と、ゆっくり進んでいく
傘を嫌がる子の気持ちを、まるごと受けとめるという考え方

ここまで、傘を嫌がる子の理由と、家庭での工夫を見てきました。視界、音、感触、重さ、手がふさがる不安。理由はさまざまですが、共通しているのは、子どもなりの「嫌だな」にちゃんと理由があるということです。
傘をさせるようになることが、ゴールではありません。「雨の日を、親子で乗り切れた」という経験の積み重ねが、いちばんの力になります。レインコートや相合い傘など、ほかの方法を選ぶのも、立派な工夫です。
今日うまくいかなくても、大丈夫です。季節が変わり、体が大きくなると、傘の感じ方が変わることもあります。焦らず、お子さんのペースに合わせていきましょう。
傘を嫌がる気持ちは、成長とともに、少しずつ変わっていくこともあります。「今は苦手でも、いつか大丈夫になるかもしれない」と、長い目で見守ってあげてください。
周りと比べてしまいそうになったら、「昨日のわが子」と比べてみましょう。ほんの少しの違いでも、確かな前進です。そのことに気づけるのは、毎日そばにいる保護者の方だけです。
一人で抱え込まず、傘を嫌がる子と一緒に進んでいく

雨の朝は、親にとっても大変な時間です。思うようにいかない日が続くと、「どうしてうちの子だけ」と落ち込むこともあるでしょう。けれど、傘を嫌がる子は、決して少なくありません。
周りの人や、園・学校の先生に、困っていることを話してみるのも一つの方法です。「雨の日は、傘の代わりにレインコートで来ています」と伝えておくだけでも、気持ちが軽くなります。
保護者の方の心の元気も、同じくらい大切です。疲れたときは、無理をせず、信頼できる人に話を聞いてもらったり、好きなことで一息ついたりしてくださいね。雨の日も、親子で少しずつ穏やかに過ごせますように。
お子さんがいちばん安心できるのは、「自分の気持ちをわかってくれる人がそばにいる」と感じられるときです。傘をさせるかどうかより、その安心感を大切にしてください。

今日は傘の気持ちがちょっとわかった気がするわ。えへへ…。

ひとりで抱え込まなくて大丈夫わん。一歩ずつ、一緒に考えるわん!

アイキャッチ画像:Photo by Tien Nguyen on Pexels



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