鬼ごっこが苦手な子の気持ちと、そう感じる理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
休み時間に「みんなで鬼ごっこをしよう!」と誘われたのに、輪の外で見ているだけだった。鬼になった途端、泣き出してしまった。そんなふうに、鬼ごっこが苦手な子の様子に、胸が痛んだことはありませんか。
秋は外遊びがしやすく、運動会のあとに休み時間の遊びが盛り上がる季節でもあります。「友達と遊べているのかな」と、親のほうも気になってしまいますよね。
この記事では、鬼ごっこが苦手な子が感じていることや、つまずきやすいポイント、家庭でできる工夫をやさしく整理します。「うちの子だけかな」と感じている方の気持ちが、少しでも軽くなればうれしいです。
鬼ごっこが苦手な子が感じている、追いかけられる緊張と捕まる不安

鬼ごっこは、楽しい遊びのように見えて、実は気持ちの動きが大きい遊びです。追いかけられるドキドキや、捕まるかもしれない不安が、一度にやってきます。
走って逃げているとき、後ろから足音が近づいてくると、体が固まってしまう子もいます。「捕まったらどうしよう」という気持ちが先に立って、楽しむ余裕がなくなってしまうのです。
また、鬼に捕まった瞬間に「負けた」「ダメだった」と感じる子もいます。気持ちの切りかえが苦手な子にとっては、その悔しさがなかなか消えないこともあります。
鬼ごっこは、集団で遊ぶ中でも「鬼」という立場が入れかわる遊びです。立場が変わるたびに、気持ちの切りかえも求められます。
たとえば、捕まったあとにその場から動けなくなったり、「もうやらない」と言って輪から抜けたりする場面があります。これは、わがままではなく、気持ちの整理に時間がかかっているのかもしれません。
まずは、「ドキドキしたよね」「悔しかったね」と、気持ちを言葉にしてあげましょう。気持ちを受けとめてもらえるだけで、子どもは落ち着きやすくなります。
鬼ごっこが苦手な子の「できない」を、うちの子だけと思わなくて大丈夫

「どうして、みんなみたいに楽しめないんだろう」と悩む気持ちは、とてもよくわかります。でも、鬼ごっこが苦手な子は、思っているよりも多いと言われています。
鬼ごっこは、足の速さだけで決まる遊びではありません。ルールを理解する力、まわりを見る力、すばやく動く力、気持ちを切りかえる力など、いくつもの力を同時に使う遊びです。
また、体の発達や経験の量、そのときの気分によっても、遊びの楽しさの感じ方は変わります。昨日は楽しくできたのに、今日は入りたくない、という日があっても不思議ではありません。
そのうちのどれかが「まだ育っている途中」だと、苦手さとして表れることがあります。「苦手」は「ずっとできない」という意味ではありません。

鬼ごっこって、ただ走ればいいだけだと思ってたわ…。そんなにいろんな力を使ってたのね。

そうなんだわん!鬼を決める、逃げる場所を考える、交代する…頭も体もフル回転なんだわん。苦手な子がいても、ぜんぜん不思議じゃないんだわん!
この先の章で、苦手さの中身をもう少し具体的に見ていきましょう。
鬼ごっこが苦手な子がつまずきやすい、遊びの中のポイント
鬼ごっこが苦手な子に多い、ルールの変化についていくむずかしさ

鬼ごっこには、「タッチされたら鬼が交代」「高いところにいたら捕まらない」「氷鬼で凍ったら動けない」など、ルールがたくさんあります。
しかも、遊ぶ人によってルールが変わることがあります。「今日は色鬼ね」「バリアありね」と、その場で新しいルールが決まることも珍しくありません。
口で説明されただけでは、「結局、どうすればいいの?」とわからなくなる子もいます。目で見て理解するほうが得意な子にとっては、言葉だけのルール説明は、むずかしいことがあります。
たとえば、「氷鬼」では、凍った子を助ける役割もあります。「鬼から逃げる」「友達を助ける」を同時に考えるのは、大人でも意外と大変です。
たとえば、「タッチされたら鬼」というルールを理解していても、「誰が今の鬼なのか」がわからなくなる場面があります。だれが鬼かを見失うと、逃げる方向も決められません。
ルールがわからないまま遊びに入ると、「間違えたらどうしよう」という不安が強くなります。それが、「やりたくない」という気持ちにつながることもあるのです。
鬼ごっこが苦手な子が戸惑う、すばやく方向を変えて走る動き

鬼ごっこでは、まっすぐ走るだけでなく、急に曲がる、止まる、また走るといった動きが次々に必要になります。
走りながら、後ろの鬼の位置を気にしたり、前にいる友達をよけたりもします。このように、まわりの様子を見ながら体を動かすことは、意外とむずかしいことです。
体の動かし方や、目と体を同時に使う感覚は、子どもによってちがいます。たとえば、急に止まるのが苦手で、友達とぶつかってしまう子もいます。ぶつかったり転んだりした経験が続くと、走ること自体が怖くなることもあります。
足が速くても、方向を変えるのは苦手、という子もいます。反対に、足はそれほど速くなくても、まわりをよく見て上手に逃げる子もいます。
急に動きを変える遊びは、「予想外の動き」が多いため、見通しを立てるのが好きな子には、緊張が続きやすい遊びでもあります。
鬼ごっこの得意・不得意は、「足の速さ」だけでは測れない、ということを、家庭でも伝えてあげたいですね。
鬼ごっこが苦手な子にとって負担になる、タッチの強さと体の接触

鬼ごっこでは、友達に体をさわられたり、さわったりします。この「タッチ」が苦手な子もいます。
背中をバシッとたたかれて、びっくりして泣いてしまう子や、人にさわられること自体が落ち着かない子もいます。タッチの強さの加減が難しくて、力が入りすぎてしまう子もいます。
また、たくさんの子が走り回っている場所は、人の声や足音、笑い声がまじり合って、とてもにぎやかです。にぎやかな場所が苦手な子には、それだけで疲れてしまうこともあります。
タッチの感覚は、とても個人差のあるところです。「ちょっとさわられただけで痛い」と感じる子もいれば、「強くたたかれても平気」な子もいます。苦手な理由を、「大げさだ」と受けとめず、まずは聞いてあげましょう。

うちの子、鬼ごっこより、ひとりでブランコに乗ってるほうが落ち着くみたいなの…。

それも立派な過ごし方わん。無理にみんなの輪に入れなくても、安心できる遊び方があることが大事なんだわん。
苦手な理由は一人ひとりちがいます。次の章では、家庭でできる工夫を見ていきましょう。
鬼ごっこが苦手な子と進める、家庭でできる遊びの工夫
鬼ごっこが苦手な子と始める、親子で楽しむ「二人鬼ごっこ」

いきなり大勢で遊ぶより、まずは親子の二人で始めてみましょう。人数が少なければ、ルールもシンプルで、気持ちも落ち着きます。
最初は、親が鬼になって、「ゆっくり追いかけるよ」と宣言します。わざと捕まらないふりをしたり、わざと捕まったりして、「追いかけられる楽しさ」を体験できるようにします。
慣れてきたら、子どもが鬼の役をやってみます。そのとき、親は「わー、にげろー!」と大げさに逃げると、子どもも笑顔になりやすくなります。
また、「追いかけっこ」だけを楽しむ、というところから始めてもかまいません。鬼や捕まる・捕まらないを気にしなくていいので、純粋に走る楽しさを味わえます。
鬼ごっこの前に、「ここまでがセーフの場所」「5数えたら交代」など、簡単なルールを事前に決めておくのもおすすめです。あらかじめ決めておくことで、安心して遊べます。
親子鬼ごっこのコツ
・最初は親がゆっくり追いかける
・「セーフの場所」を先に決めておく
・捕まったら、笑って「やられた〜!」と楽しい雰囲気に
・1回3〜5分くらいで切り上げる
短い時間で「楽しかった」と終われると、また遊びたい気持ちが育ちます。
鬼ごっこが苦手な子に合う、ルールをやさしくした遊び方

ふつうの鬼ごっこがむずかしいときは、ルールをやさしくした遊びから試してみる方法もあります。
| 遊び | やさしいポイント |
|---|---|
| 高鬼 | 高いところにいれば捕まらないので、安心して逃げられる |
| 色鬼 | 色をさわれば捕まらないので、走る速さより「見つける力」で楽しめる |
| 手つなぎ鬼 | 捕まったら手をつなぐので、仲間が増えて落ち込みにくい |
| だるまさんがころんだ | 動く・止まるを楽しめて、体のコントロールの練習にもなる |
とくに、「捕まっても仲間が増えるだけ」という遊びは、負けた気持ちになりにくいと言われています。
また、遊ぶ場所を、広い公園だけでなく、家の庭や小さな広場にすることで、走る範囲が限られて安心できる子もいます。
ルールは、紙に絵や矢印で書いて見せると、わかりやすくなります。「鬼は赤い帽子」「セーフの場所は木の下」など、目で見てわかる工夫があると、安心して参加できます。
「タッチ」が苦手な子には、「手ではなく、ボールを当てたら交代」といった工夫も考えられます。体に直接さわらないルールにすると、取り組みやすくなります。

鬼ごっこが苦手な子の気持ちを支える、事前の見通しとふり返りの声かけ

遊びに行く前に、「今日はどんな遊びをするのかな」「鬼になるのはどんなときかな」と、見通しを話しておくと、安心できる子もいます。
「鬼になったらどうしよう」と不安な子には、「鬼になったら、ゆっくり追いかけてもいいんだよ」「やりたくなかったら、『パス』って言ってもいいよ」と、逃げ道を伝えておきます。
遊んだあとは、結果ではなく、気持ちをふり返る時間をつくりましょう。「どんなところが楽しかった?」「ちょっと嫌だったことはあった?」と、やさしく聞いてみます。
遊びの前後に「見通し」と「ふり返り」があることで、子どもは「次も大丈夫そう」と感じやすくなります。こうした小さな安心の積み重ねが、いつか「やってみたい」につながっていきます。

「パスしてもいいよ」って伝えておけば、安心して行ってこれるかもしれないわね!

その通りわん!逃げ道があるだけで、気持ちがぐっと楽になるんだわん。
話したがらないときは、無理に聞き出さなくても大丈夫です。子どもが自分から話したくなるときを、待ってあげましょう。
鬼ごっこが苦手な子と向き合う、学校や園での友達関係への関わり方
鬼ごっこが苦手な子が悩みやすい、休み時間の過ごし方

学校や園の休み時間は、鬼ごっこなどの集団遊びが盛り上がる時間です。苦手な子にとっては、「どこにいればいいのかわからない」時間になることもあります。
無理に輪に入ろうとして疲れてしまう子もいれば、ひとりで過ごす時間を選ぶ子もいます。ひとりで過ごすことが、「友達がいない」こととは限りません。
「休み時間は何をしてるの?」と聞いてみると、「図書室に行ってる」「ブランコしてる」「友達と話してる」など、意外な答えが返ってくることもあります。
休み時間の過ごし方は、年齢や季節、クラスの雰囲気によっても変わっていきます。いまの過ごし方が、ずっと続くとは限りません。
もし、「鬼ごっこをしたいけど、入れてって言えない」という気持ちがありそうなときは、入れてもらうときの言葉を一緒に練習してみましょう。「入れて」「いいよ」のやりとりを、家でまねしてみるのです。

集団に入る場面での悩みは、ほかの記事でも取り上げています。気になる方は、あわせてご覧ください。
鬼ごっこが苦手な子のことを、先生や友達に伝えるときのヒント

園や学校の先生には、「鬼ごっこが苦手で、少し緊張しやすいようです」と、やわらかく伝えておく方法があります。先生が、遊びのルールを紙に書いて見せてくれたり、小さなグループから始めてくれたりすることもあります。
伝え方のコツは、「困っている」よりも、「こんな工夫があると安心できそうです」と、具体的に伝えることです。
友達に対しては、子ども自身が「今日は見てるね」「ゆっくり走るね」と、自分の気持ちを伝える言葉を持っていると安心です。家で練習しておくのもよい方法です。
「気持ちを伝える言葉」を持つことは、鬼ごっこだけでなく、これから友達と関わっていくときの力にもなります。小さな練習から始めてみましょう。
ただし、無理に「言わなければ」と思う必要はありません。本人が負担に感じるようなら、まずは先生とのやりとりから始めてみましょう。
まとめ:鬼ごっこが苦手な子と、ゆっくり進んでいくために
鬼ごっこが苦手な子の理由と工夫を、あらためて整理する

鬼ごっこが苦手な理由は、追いかけられる緊張、ルールの変化、すばやい動き、体の接触、にぎやかな環境など、いくつもあります。苦手さの理由は、子どもによってちがうのです。
鬼ごっこが苦手でも、それは「その子の個性のひとつ」です。苦手な理由を知り、安心できる遊び方を一緒に探すことが、いちばんの近道です。
家庭では、親子の二人鬼ごっこから始めたり、ルールをやさしくしたり、「パス」という逃げ道を伝えたりすることで、少しずつ楽しめるようになることがあります。
この記事でお伝えしたことを、もう一度かんたんにふり返ります。
そして、何より大切なのは、「楽しめなくてもいい」という安心感です。無理に参加させるより、子どもが自分から「やってみたい」と思えるタイミングを待つほうが、うまくいくこともあります。

今日の帰り道、公園でふたりで鬼ごっこしてみようかな。ゆっくり、笑いながらね。

いいわん!ほのママと一緒なら、きっと安心して楽しめるんだわん。
一人で抱え込まず、鬼ごっこが苦手な子と一緒に進んでいく

鬼ごっこが苦手でも、その子の良さは変わりません。ほかの場面で見せてくれる、やさしさや、集中力や、ユニークな発想を、ぜひ見つけてあげてください。
鬼ごっこが苦手な子を見守るあなたも、毎日、本当によくがんばっています。子どもの気持ちに寄りそおうとするその姿勢が、何よりの支えになっています。
「友達と遊べていないのかな」と心配になる日もあるかもしれません。そんなときも、一人で抱え込まなくて大丈夫です。
今日できた小さなことを一緒に喜びながら、ゆっくり、その子のペースで進んでいきましょう。
アイキャッチ画像:Photo by Antonius Ferret on Pexels



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