修学旅行に行きたくない子どもの気持ちとは
こんにちは!おやまどの鈴木です。
「修学旅行、行きたくないな」。ある日、お子さんがぽつりとそう言ったら、どう返したらいいのか迷いますよね。修学旅行に行きたくない子どもの様子を前に、楽しみにしてほしい気持ちと、無理をさせたくない気持ちの間で揺れている保護者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、修学旅行に行きたくない子どもの気持ちや背景、ご家庭でできる関わり方を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じたときの、ひと息つくきっかけになればうれしいです。
いつもと違う場所で眠ることへの不安

修学旅行は、ふだんと違う場所で何日か過ごす行事です。においも、布団の感じも、部屋の明るさも、家とはまったく違います。大人にとっては小さな違いでも、敏感な子にとっては大きな負担になることがあります。
たとえば、眠る前の決まった習慣がある子は、それができないだけで落ち着かなくなることもあります。いつもの枕やぬいぐるみがないこと、部屋に知らない友達がいること、先生の見回りの音がすること。そうした一つひとつが、不安の種になります。
「家に帰りたくなったらどうしよう」「夜に眠れなかったらどうしよう」という心配は、子ども自身がいちばんよく分かっています。だからこそ、行きたくないという言葉の裏に、眠れるかどうかの心配がかくれていることも少なくありません。
また、初めての宿泊が修学旅行という子もいます。家族以外の人と夜を過ごした経験が少ないと、見通しが持てず、不安が大きくなりやすいです。「わがまま」や「甘え」ではなく、初めてのことへの自然な緊張だと受け止めてあげたいですね。
夜の不安は、お友達に知られたくないと感じる子もいます。「夜になると家が恋しくなる」という気持ちを、はずかしいと思ってしまうからです。大人が「それは自然な気持ちだよ」と伝えておくと、当日、不安になったときにも、自分を責めずにすみます。
部屋のメンバーや寝る場所が心配という子もいます。事前に先生へ伝えておくと、配慮してもらえることもあります。ご家庭でできることを、少しずつ探してみましょう。

「行きたくない」って言われると、どうしていいか分からなくなっちゃう…夜のことが心配なのかな。

その可能性もあるわん。理由を決めつけずに、ゆっくり聞いてみるのが大事だわん。
集団行動や友達関係への心配

修学旅行は、朝から夜まで、ほとんどの時間を同じ学年のみんなと過ごします。班行動、バスの席、部屋割り、食事の席。決められた場面が多い一方で、自分の思い通りにならないことも増えます。
友達づきあいに気をつかう子にとって、ずっと誰かと一緒にいることは、思った以上にエネルギーを使います。「一人になれる時間がない」「誰と同じ班になるか分からない」という不安が、当日が近づくほど強くなることもあります。
たとえば、仲のよい友達と別の班になりそうな場合、「ひとりぼっちになったらどうしよう」と心配になる子もいます。班決めやバスの席、お風呂の順番など、小さな場面が心配のもとになっていることもあります。
こうした不安は、表には出にくいものです。元気そうに見えても、心の中ではずっと緊張している子もいます。言葉にできない心配があるかもしれないと、頭のすみに置いておくだけでも、関わり方が変わってきます。
よくある例として、友達と話すのは好きでも、大勢の中で長い時間すごすと疲れてしまう子がいます。楽しい行事でも、気を張り続けることで、帰ってきたあとにぐったりしてしまうこともあります。
お子さんの「行きたくない」が、友達が嫌いという意味ではなく、疲れやすさへの心配から来ている場合もあります。表面の言葉だけで判断せず、ふだんの様子とあわせて見ていくと、気持ちが見えてくることがあります。
班の決まり方や、自由時間の過ごし方など、具体的な場面を聞いてみるのも一つの方法です。「一番心配な場面はどこ?」と聞くと、答えやすくなる子もいます。
修学旅行に行きたくない理由をひもとく
修学旅行に行きたくない理由は、子どもによってさまざまです。ここでは、見落とされやすい二つの背景を取り上げて、見ていきましょう。
お風呂・食事・トイレなど生活面の心配

宿泊行事では、お風呂や食事、トイレといった毎日の生活が、家とは大きく変わります。大人数でいっせいに入るお風呂、決められた時間内に食べる食事、慣れないトイレ。どれも、子どもにとっては緊張する場面です。
たとえば、食べ物の好き嫌いが多い子は、「出されたものが食べられなかったらどうしよう」と心配になります。お風呂で肌を見られることが恥ずかしい子や、湯船のにおいや音が苦手な子もいます。
トイレについても、「ほかの人に音を聞かれたくない」「洋式か和式か分からない」など、家では気にならないことが気になってしまうことがあります。我慢してしまい、体調をくずす子もいます。
こうした心配は、恥ずかしくて親にも話せないことがあります。「お風呂のこと、何か心配?」と聞かれても、うまく答えられないかもしれません。話してくれたときは、笑わずに「話してくれてありがとう」と受け止めることが、安心につながります。
生活面の心配は、事前に学校へ伝えておくことで、配慮してもらえる場合もあります。お風呂の入り方や食事の量など、できる範囲での工夫を先生と一緒に考えてみるのも一つの方法です。
たとえば、入浴の時間をずらしてもらえないか、食事で量を調整してもらえないかなど、相談できる場面は意外とあります。全部をお願いするのではなく、いちばん心配なことを一つだけ伝えるところから始めてみると、先生も対応しやすくなります。
お子さんが恥ずかしがる場合は、先生への伝え方も、子どもと一緒に考えておくと安心です。「先生にこう伝えておくね」と、事前に知らせておくだけでも、気持ちが楽になります。
予定が見えない不安と切りかえの難しさ

修学旅行は、予定が細かく決まっていて、次々に場面が切りかわります。バスに乗り、見学をし、食事をして、宿に着く。ひとつひとつの切りかえが多く、頭も体も休む間がありません。
特に、見通しが立たないと不安になりやすい子は、しおりを見ても「実際にどうなるのか」がイメージできず、心配がふくらみます。初めて行く場所、初めて乗る乗り物、初めて会う人など、未知のことが重なるほど、緊張も高まります。
また、予定が急に変わることも、修学旅行ではよくあります。天気や交通の都合で、見学の順番が入れかわることもあります。変更があると気持ちの切りかえがうまくいかず、混乱してしまう子もいます。
「行きたくない」と言うとき、その子は「何が起こるか分からないのがこわい」と伝えたいのかもしれません。予定を知ることで安心できるタイプの子なら、事前の情報が大きな助けになります。
また、修学旅行では、自由時間やおみやげを買う時間など、自分で決めて動く場面もあります。お金の使い方や、時間の見方に自信がない子は、その場面が近づくほど、そわそわしてしまうこともあります。
「こうなったらどうしよう」が頭の中でいくつも浮かんでしまう子には、先回りして、いくつかの場面を一緒に想像してみる方法もあります。道に迷ったとき、時間に遅れそうなとき、先生を探すときなど、考えておくだけで気持ちが落ち着く場合もあります。
気持ちの切りかえについては、こちらの記事でもくわしく取り上げています。


予定が変わっただけで、こんなに心配になる子もいるんだね…わたしも旅行の予定が変わると焦っちゃうかも。えへへ。

そうだわん。大人でも同じ気持ちになることがあるから、子どもが戸惑うのは自然なことだわん。
修学旅行に行きたくない子への家庭での関わり方
修学旅行に行きたくない子には、「楽しいよ」と励ます前にできることがあります。ご家庭で取り入れやすい関わり方を見ていきましょう。
気持ちを受け止めて、心配ごとを一緒に言葉にする

「行きたくない」と聞くと、つい「みんな行くんだよ」「行ったら楽しいよ」と言いたくなります。けれど、最初にしてあげたいのは、励ますことよりも、気持ちを受け止めることです。
「そっか、行きたくない気持ちなんだね」と、まずはそのまま返してみましょう。否定されないと分かると、子どもは少しずつ、本当の気持ちを話しやすくなります。すぐに理由が出てこなくても、待つ時間も大切です。
言葉にしにくい子には、選べる形で聞いてみる方法もあります。たとえば、「夜のことが心配?」「班のことが心配?」「ごはんやお風呂のことが心配?」と、いくつか例を挙げて聞くと、うなずくだけで伝えられます。
心配ごとが分かったら、紙に書き出してみるのもおすすめです。頭の中でふくらんでいた不安が、目に見える形になると、少し落ち着く子もいます。そのうえで、「これは先生に伝えておこうか」「これは持ち物で工夫できそうだね」と、一緒に整理していきましょう。
参加するかどうかは、最初から決めなくても大丈夫です。「今は行きたくない気持ちなんだね」と受け止めながら、当日までの時間でゆっくり気持ちを見ていくこともできます。
心配ごとを聞くときは、夜ごはんのあとや、お風呂上がりなど、子どもがリラックスしているときが話しやすいと言われています。向かい合って座るより、並んで座る、歩きながら話すなど、視線が合いすぎない形のほうが、話しやすい子もいます。
話してくれた内容を、そのまま否定せずに繰り返すのもおすすめです。「ごはんのことが心配なんだね」と言葉を返すと、ちゃんと聞いてもらえたという安心感が生まれます。
見通しを持てる準備と持ち物の工夫

不安をやわらげるには、見通しを持てるようにすることが役立ちます。しおりを一緒に読んで、「1日目はここに行って、こんなふうに過ごすんだね」と確かめていくだけでも、イメージがしやすくなります。
宿の写真や、見学先の様子をインターネットで一緒に見るのも一つの方法です。行き先の雰囲気が分かると、未知のことが少なくなり、気持ちが落ち着くことがあります。
持ち物の準備も、安心につながります。ふだん使っている小さなタオルや、お気に入りの小物など、学校のルールで持っていけるものがあれば、お守りがわりにするのも一案です。持っていけるものは、先生に確認しておきましょう。
荷物づめは、子どもと一緒に進めると、気持ちの準備にもなります。持ち物リストを見ながら、一つずつ「あった」とチェックしていく時間は、親子でゆったり話せる機会にもなります。
当日の朝のことも、あらかじめ話しておくと安心です。集合時間、持っていくもの、家を出る時間など、流れをメモにして見えるところに置いておくと、ばたばたせずにすみます。
出発前の夜は、早めに休める環境を整えてあげましょう。いつもより少し早めにお風呂に入って、ゆったりした時間を過ごすだけでも、気持ちが落ち着きやすくなります。
事前にやってみたい準備
・しおりを親子で一緒に読む
・行き先や宿の写真を見て、様子をイメージする
・心配ごとを紙に書き出し、先生に伝えておく
・お守りがわりの小物を、持っていけるか確認する

しおりを一緒に読むだけでも、ずいぶん違いそうだね。これなら、わたしにもできそう!

その調子だわん。小さな準備の積み重ねが、当日の安心につながるわん!
遠足でも似たような気持ちになる子は多いので、あわせて読んでみてください。

学校の先生への伝え方に悩んだときは、こちらの記事も参考になります。

まとめ:修学旅行に行きたくない子と、ゆっくり歩む
ここまで、修学旅行に行きたくない子どもの気持ちや理由、ご家庭での関わり方についてご紹介してきました。最後に、大切なポイントを振り返っておきましょう。
修学旅行に行きたくないのは、よくあること

修学旅行に行きたくない背景には、いつもと違う場所で眠る不安、集団行動や友達関係の心配、生活面の心配、予定が見えないこわさなど、その子なりの理由があります。行きたくない気持ちは、わがままではなく、大切なサインです。
子どもの気持ちを決めつけず、「何が心配なのか」を一緒に探していくことで、道が開けることがあります。準備や先生との相談で、不安が小さくなることもあります。
一人で抱え込まなくて大丈夫です。ご家庭だけで答えを出そうとせず、学校の先生とも話しながら、お子さんに合った形を探していきましょう。
親としては、「楽しい思い出を作ってほしい」という願いがあるものです。その願いも大切ですが、お子さんの気持ちと願いがいつも同じとは限りません。お互いの気持ちを言葉にしながら、ちょうどよいところを探していけるといいですね。
今日からできる小さな一歩

今日からできることは、小さなことで十分です。「修学旅行、どんな気持ち?」と、ゆっくり聞いてみる。しおりを一緒に開いてみる。心配ごとを一つだけ書き出してみる。どれも、親子の距離をちぢめる時間になります。
行く、行かないの答えを急がなくても大丈夫です。気持ちに寄りそいながら、お子さんのペースで考えていく時間そのものが、子どもにとっての安心になります。
帰ってきたあとのことも、少しだけ考えておきましょう。疲れが出る子もいれば、「楽しかった」と笑顔で話してくれる子もいます。どんな感想でも、「話してくれてありがとう」と受け止められると、次の行事への安心にもつながっていきます。
修学旅行は、長い学校生活の中の、ほんの数日の出来事です。お子さんが自分の気持ちを言葉にできたこと、それ自体がすでに大きな一歩です。

なんだか、気持ちが軽くなってきたかも。まずは「どんな気持ち?」って聞くところから始めてみるね!

それで十分だわん。大丈夫、一緒に考えるわん!
修学旅行に行きたくない背景には、環境の変化への不安や、集団行動・生活面の心配など、子どもなりの理由があります。気持ちを受け止め、見通しを持てる準備を重ねながら、その子とご家庭のペースで進んでいきましょう。
アイキャッチ画像:Photo by Diana ✨ on Pexels



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