逆上がりができない子。理由と練習のコツを解説

逆上がりができない子。理由と練習のコツを解説 低学年
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【この記事の信ぴょう性】

当ページの記事は、児童発達支援の現場経験を持つ鈴木日奈子(小学校教諭免許保有)が監修しています。

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逆上がりができない子の気持ちと、つまずきやすい場面

こんにちは!おやまどの鈴木です。

「みんなは逆上がりができるのに、うちの子だけできない」「鉄棒の時間になると、顔が曇ってしまう」。お子さんの様子を見ながら、そんなふうに心配している保護者の方もいるのではないでしょうか。逆上がりができない子どもの気持ちは、大人が思う以上に複雑です。

この記事では、逆上がりができない子どもの気持ちや、つまずきやすい理由、ご家庭でできる関わり方を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じているときの、ひと息つくきっかけになればうれしいです。

逆上がりは、腕で体を引きつける、足を振り上げる、鉄棒のまわりで体を回す、といったいくつもの動きを、一瞬のうちに合わせる運動です。そのため、できるようになるまでに時間がかかる子がいるのは、めずらしいことではないと言われています。

周りの子と比べてしまう悔しさ

秋の校庭と校舎のようす
Photo by Lars Bugge Aarset on Pexels

逆上がりは、できる子とできない子の差が、周りの目にもはっきり見えやすい種目です。クラスの友達が次々と回っていく中で、自分だけが地面を蹴ってもくるりと回れないと、「どうして自分だけ」という気持ちがわいてきます。

休み時間に鉄棒の前で練習している子を見て、うらやましく思う子もいます。それでも、自分からは「やりたい」と言い出せない。そんな気持ちを抱えている子も少なくありません。

悔しさが積み重なると、「どうせ自分はできない」という思いが強くなり、体育そのものが気の重い時間になってしまうこともあります。できるようになりたいのに、うまくいかないという気持ちが、その裏にかくれていることが多いと言われています。

たとえば、友達に「まだできないの?」と軽い気持ちで聞かれただけで、深く傷ついてしまう場面を想像してみてください。言った側に悪気はなくても、言われた側には、ずっと心に残る一言になることがあります。

お子さんが鉄棒の話題を避けるようになったときは、わがままや怠けではなく、傷つくことを守ろうとしている姿かもしれません。まずは「悔しいよね」と、その気持ちに寄り添ってあげたいですね。

「できなくてもいいんだよ」と伝えるときは、あきらめさせるのではなく、安心させるつもりで声をかけてみましょう。安心できると、「やってみたい」という気持ちが、あとから自然にわいてくることがあります。

大人から見ると、鉄棒は体育の中の一つの種目にすぎません。でも、子どもにとっては、自分の得意・不得意がはっきり見えてしまう場面です。気持ちをくみ取ってもらえるだけで、子どもは少し安心できます。

ほのママ
ほのママ

逆上がりができないのは、練習が足りないからだと思ってたけど、悔しい気持ちもあったんだね…えへへ。

ここわん
ここわん

がんばっているからこそ、悔しいんだわん。その気持ちを分かってあげるのが第一歩だわん。

鉄棒の前で足がすくむこわさ

黄色い鉄棒が並ぶ公園の遊具
Photo by Nikita Nikitin on Pexels

逆上がりができない理由として、「こわい」という気持ちを抱えている子もいます。鉄棒は、地面から足が離れ、体がさかさまになる瞬間があります。ふだんの生活ではあまり経験しない動きなので、不安になるのは自然なことです。

「落ちたらどうしよう」「頭がくらくらしそう」という気持ちがあると、体に力が入り、足を思い切り振り上げられなくなります。こわさが動きをかたくして、そのせいでうまくいかず、さらにこわくなる。そんな悪循環になることもあります。

また、手のひらに鉄棒の感触が合わず、痛かったり、すべりそうに感じたりする子もいます。鉄棒が冷たかったり、手が汗ばんだりすると、「にぎっているだけで不安」と感じることもあるようです。

よくある例として、鉄棒の順番が近づくにつれて、お腹が痛いと言い出す子がいます。それは、わがままではなく、緊張や不安が体に出ているサインかもしれません。こわい気持ちがあることを、まず知っておいてあげましょう。

「鉄棒のどんなところがいやなのかな?」と、責めるのではなく、やさしく聞いてみてください。さかさまになるのがこわいのか、友達に見られるのがいやなのか、手が痛いのか。理由が少しずつ見えてくると、関わり方のヒントになります。

答えがすぐに出なくても大丈夫です。聞いてもらえたこと自体が、お子さんの安心につながります。

たとえば、「さかさまになるのがこわい」と話してくれたときは、「そう感じるんだね」とそのまま受け止めてみてください。「大丈夫だから」とすぐ打ち消すより、気持ちを認めてもらえたほうが、子どもは次の一歩を考えやすくなります。

こわさは、体を守ろうとする自然な反応でもあります。無理に乗り越えさせようとせず、安心できる環境で少しずつ慣れていくことを、一緒に目指していきましょう。

逆上がりができない理由をひもとく

逆上がりができない理由は、子どもによってさまざまです。ここでは、よくある背景を二つ取り上げて、見ていきましょう。

体を引きつける力と、足を振り上げる力のバランス

鉄棒を握る両手
Photo by Ron Lach on Pexels

逆上がりでは、鉄棒を握った腕で体を鉄棒に引きつけながら、足を勢いよく振り上げます。この二つの動きを、同じタイミングで行うことが大切です。どちらかが弱かったり、タイミングがずれたりすると、体がうまく持ち上がりません。

たとえば、腕の力で引きつけることに意識が向きすぎると、足の振り上げがおろそかになります。反対に、足を振り上げても、腕が伸びたままだと、体が鉄棒から離れてしまい、回れません。

こうした力やタイミングは、遊びや運動の経験を重ねる中で、少しずつ育っていくと言われています。ぶら下がったり、よじ登ったりする遊びの経験が少ない子は、まだその感覚が育っている途中なだけ、ということもあります。

「練習不足」と決めつけるのではなく、これから育っていく力だと捉えてみると、見え方が変わってきます。今できないことが、ずっと続くとは限りません。

また、体の大きさや成長のスピードも、子どもによって違います。身長が急に伸びた時期は、体のバランスが変わって、以前できていた動きがやりにくくなることもあります。

友達と同じ時期にできるようになる必要はありません。その子なりのペースで、体が準備を整えていくと考えると、気持ちが少し楽になります。

たとえば、ジャングルジムや雲梯、木登りのように、体を持ち上げたりぶら下がったりする遊びを、あまりしてこなかったお子さんもいます。そうした場合は、鉄棒の動きに必要な感覚が、これから育っていくところだと考えられます。

今の姿だけで、その子の運動の力を決めてしまわないことも大切です。得意な動きは、子どもによってそれぞれ違います。

「もっと足を上げて」「ちゃんと腕を曲げて」という声かけは、そうしたくてもうまくできない子には、つらく感じられることがあります。「どこがむずかしい?」と聞いてみましょう。

鉄棒のまわりで体が回る感覚をつかむむずかしさ

遊具のある公園のようす
Photo by Anastasiia 🐧 on Pexels

逆上がりは、自分の体が鉄棒のまわりをくるりと回る動きです。体が回転しているときの、上下や前後がわからなくなるような感覚が苦手な子もいます。自分の体が今どこにあるのかをイメージしにくいと、動きのコツをつかむのに時間がかかります。

たとえば、足を振り上げたあと、お腹を鉄棒に引きつけたまま回る必要があります。けれど、どのタイミングでお腹を近づければいいのかが、感覚としてわからないと、体が鉄棒から離れてしまいます。

言葉で説明されても、頭ではわかっているのに、体がついてこない。そんな子には、大人が一緒に動いて見せるほうが、イメージがつかみやすくなることがあります。

また、地面を蹴る足の位置や、鉄棒を握る手の幅など、細かい条件が合っていないことで、うまくいかないこともあります。鉄棒の高さが、お子さんの体に合っていないだけ、ということもあります。

よくある例として、鉄棒が高すぎて、足が地面から離れる前に腕がのびきってしまう場合があります。ご家庭や公園で練習するときは、お子さんの胸から腰のあたりの高さで、無理なく握れる鉄棒を選んでみましょう。

ほかにも、体操服や靴の影響で、動きにくさを感じている場合もあります。すべりやすい靴だと、地面を蹴る力が伝わりにくいこともあるので、練習のときは動きやすい服と靴を用意してあげましょう。

「どこがうまくいかないか」は、本人にもわからないことが多いです。「ここがだめ」と指摘するより、一緒に動きを試しながら、「こうするとどう?」と探っていくほうが、子どもは安心して取り組めます。

ほのママ
ほのママ

わたしも、逆上がりのとき、腕と足のどっちを頑張ればいいのか分からなかった気がする…!

ここわん
ここわん

それは、動きが一度にたくさん必要だからだわん。分けて考えれば、ちゃんと見えてくるんだわん。

― 読みながら、ちょっと立ち止まって ―

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逆上がりができない子への家庭での関わり方

逆上がりができない子には、「練習しなさい」と言う前にできることがあります。ご家庭で取り入れやすい関わり方を見ていきましょう。

鉄棒に慣れる遊びから始める

公園のブランコ
Photo by Doğan Alpaslan Demir on Pexels

逆上がりの練習というと、いきなり回ろうとするイメージがあるかもしれません。けれど、最初から回れなくても大丈夫です。まずは、鉄棒に「慣れる」ことを目標にしてみましょう。

鉄棒にぶら下がるだけでも、手のひらの感覚や、体の重さを感じる練習になります。ぶら下がったまま足をぶらぶらさせる、鉄棒の上に乗って遊ぶ、といった遊びも、鉄棒への不安をやわらげてくれます。

公園にある、ブランコや雲梯などの遊具で遊ぶのも一つの方法です。ぶら下がったり、体をゆらしたりする経験が、腕や体の感覚を育てると言われています。練習と意識させず、遊びの中で自然に触れるのがコツです。

時間は、1回5分ほどの短い時間で十分です。長くやりすぎると疲れてしまい、いやな気持ちが残ることがあります。「もう少しやりたいな」と思うところで終わるのも、長続きさせる工夫です。

鉄棒がこわい子には、地面にすぐ足がつく低い鉄棒から始めるのもおすすめです。「落ちても大丈夫」という安心感があると、体の力がぬけて、動きがやわらかくなることがあります。

たとえば、休日の公園で、親子で一緒にぶら下がり競争をしてみる方法もあります。「何秒ぶら下がれるかな」と数えながら遊ぶと、練習ではなくゲームの感覚で取り組めて、お子さんも楽しみやすくなります。

大人も一緒に体を動かすと、お子さんは「一人じゃない」と感じられます。うまくできなくても、笑い合える時間を大切にしてみてください。

「今日は鉄棒に5秒ぶら下がれたね」のように、小さな「できた」を見つけてほめてあげると、苦手な気持ちが少しずつ和らいでいきます。

鉄棒を使うときは、手が滑らないように、乾いた手で握ることが大切です。周りに人がいないか、地面が安全かどうかも確かめてから始めましょう。

小さなステップに分けて、できたを見つける

芝生の上に立つ白いスニーカー
Photo by RITESH SINGH on Pexels

逆上がりを、「回れるか、回れないか」だけで見ると、できていない部分ばかりが目に入ってしまいます。そこで、動きをいくつかの小さなステップに分けて、一つずつ「できた」を見つけていく方法があります。

たとえば、次のような順番で進める方法です。鉄棒を両手で握る。地面を蹴って足を少し浮かせる。足を前に振り上げて、お腹を鉄棒に近づける。足を鉄棒に乗せる。こうして、できたところまでを、そのつど認めてあげます。

地面を蹴る力が足りないときは、大人が軽く腰のあたりを支えて、動きの感覚を一緒に味わうのも一つの方法です。支えられている安心感があると、思い切って足を振り上げやすくなることもあります。

「今日は足が少し浮いたね」「昨日より高く上がったよ」と、前の自分と比べて、変化をほめてあげましょう。友達と比べるより、昨日の自分と比べるほうが、前向きな気持ちが育ちます。

また、学校での様子が気になるときは、担任の先生に、お子さんが困っている場面を伝えておくのも一つの方法です。先生が、練習の場面を工夫してくれることもあります。

練習の時間は、お子さんの気持ちが落ち着いているときを選びましょう。疲れているときや、気持ちが沈んでいるときは、無理に鉄棒に向かわなくても大丈夫です。

運動が苦手な子との関わり方については、こちらの記事でもくわしく取り上げています。

なわとびが苦手な子。理由と練習の工夫を解説
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体育の授業全般で、お子さんが気持ちの面でつらそうなときは、こちらの記事も参考になります。

ボール運動が苦手な子。理由と家庭でできる練習を解説
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家庭でできる、鉄棒に慣れる遊びのアイデア

・鉄棒に5秒ぶら下がってみる
・ぶら下がったまま、足をぶらぶらさせる
・低い鉄棒の上に乗って、バランスをとってみる
・親子で一緒に、公園の遊具で遊ぶ

ほのママ
ほのママ

これなら、わたしも一緒に楽しめそう。難しく考えなくていいんだね。えへへ。

ここわん
ここわん

その気楽さが大事だわん。楽しく続けることが、いちばんの近道だわん!

まとめ:逆上がりができない子と、あせらず進む

ここまで、逆上がりができない子どもの気持ちや理由、ご家庭での関わり方についてご紹介してきました。最後に、大切なポイントを振り返っておきましょう。

逆上がりができないのは、よくあること

夕日に照らされた公園
Photo by Arlind D on Pexels

逆上がりができない背景には、悔しい気持ち、こわさ、体を引きつける力と足を振り上げる力のバランス、体が回る感覚のむずかしさなど、その子なりの理由があります。できない気持ちは、がんばっているからこそ生まれる大切なサインです。

経験を重ねる中で、少しずつ動きがなじんでくる子も多く見られます。今、苦手意識が強くても、それがずっと続くとは限りません。長い目で、今の時期を一緒に見守っていきましょう。

逆上がりができなくても、お子さんの価値が変わるわけではありません。絵を描くのが得意、お話が上手、やさしい心を持っているなど、ほかの場面で輝く姿にも、ぜひ目を向けてあげてください。

一人で抱え込まなくて大丈夫です。ご家庭だけで答えを出そうとせず、学校の先生とも話しながら、お子さんに合った形を探していきましょう。

お子さんが逆上がりで悩んでいるとき、親の側も「どうにかしてあげたい」と、焦る気持ちになりやすいものです。そんなときこそ、お子さんの横にいて、同じ景色を見ながら「一緒にやってみよう」と声をかけるだけで、十分な支えになります。

結果を急がず、取り組んだ時間そのものを大切にしてあげてください。その積み重ねが、体育だけでなく、ほかのことに向き合うときの自信にもつながっていきます。

今日からできる小さな一歩

落ち葉の積もる公園の遊具
Photo by Tuğba on Pexels

今日からできることは、小さなことで十分です。「鉄棒、どうだった?」と聞いてみる。公園で一緒にぶら下がってみる。できたことを一つ見つけて、言葉にして伝える。どれも、親子の距離を近づける時間になります。

逆上がりができるようになることだけが、ゴールではありません。お子さんが、体を動かすことを楽しいと感じられるようになることが、何よりの力になります。

散歩や、公園の遊具、かけっこなど、お子さんが「楽しい」と感じられる動きを見つけて、一緒に楽しむのも素敵です。苦手なことに向き合う気持ちも、楽しい経験の中で少しずつ育っていきます。

秋は、外で体を動かすのに気持ちのよい季節です。落ち葉を拾いながら公園を歩いたり、遊具でゆっくり遊んだりする時間が、結果的に体の使い方を育てる経験になることもあります。

お子さんが「やってみようかな」と自分から思える瞬間を、ゆったり待ってあげてください。その気持ちが生まれたとき、逆上がりへの挑戦も、きっと前向きなものになっていきます。

ほのママ
ほのママ

なんだか、気持ちが軽くなってきたかも。まずは公園で、一緒にぶら下がってみるね!

ここわん
ここわん

それで十分だわん。大丈夫、一緒に考えるわん!

逆上がりができない背景には、悔しさやこわさ、体の使い方、回る感覚のむずかしさなど、子どもなりの理由があります。気持ちを受け止め、遊びの中で小さな「できた」を重ねながら、その子とご家庭のペースで進んでいきましょう。

アイキャッチ画像:Photo by Lana Kravchenko on Pexels

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