「右の靴を履いてね」と言っても、子どもが毎回反対を選ぶ。
体育やダンスで「右に動いて」と言われると、周りを見てから遅れて動く。道案内をしても、右と左を何度も間違える。
小学生になってもこのような様子が続くと、「もう学校へ通っているのに大丈夫?」「発達に問題があるのでは?」と心配になりますよね。
結論からいうと、右と左がすぐにわからないという様子だけで、発達障害や学習障害と判断することはできません。
左右は、単に言葉を暗記するだけではなく、自分の体を基準に方向を判断し、その知識を別の場面でも使う必要があります。知っているつもりでも、急に指示されると混乱する子は少なくありません。
一方で、左右の混乱によって授業や日常生活に強い困りごとが出ている場合や、読み書き・運動・指示理解などにも気になる様子がある場合には、学校や専門家へ相談してよいでしょう。

「お箸を持つ方が右よ」って教えたのに、うちの子、給食ではスプーンを持ってるのよ〜。これじゃ右が行方不明だわ……。

基準がその日の持ち物で変わってるわん!いつでも確認できる目印を一つ決める方がわかりやすいわん。
この記事では、右と左がわからない小学生に考えられる理由、家庭でできる教え方、学校への相談方法について解説します。
右と左がわからない小学生の子供は珍しくない?

大人は「右」「左」という言葉をほとんど意識せず使っていますが、子どもにとって左右の判断は意外と複雑です。
自分の右手を答えるだけならわかっても、向かい合っている人の右手、紙の右側、進行方向の右側となると、基準が変わります。
そのため、小学生でも場面によって迷ったり、一度頭の中で確認してから答えたりすることがあります。
左右は自分の体を基準に覚える概念
右と左を理解するためには、まず自分の体の左右を安定して認識する必要があります。
そのうえで、「自分から見た右」「相手から見た右」「物の右側」へと考え方を広げていきます。
たとえば、親子が同じ方向を向いているときは、二人の右側は同じです。しかし、向かい合うと、親の右手は子どもから見ると左側にあります。
ここで混乱する子に「さっき教えたでしょ」と言っても、理解が進むとは限りません。左右の基準が変わる仕組みそのものが、まだ十分に整理されていない可能性があります。
急に聞かれるとわからなくなる子もいる
家で落ち着いて聞けば正解できるのに、体育やダンスでは間違える子もいます。
これは、左右をまったく知らないのではなく、指示を聞き、意味を理解し、左右を判断して、体を動かすという複数の処理を素早く行うことが難しい状態かもしれません。
特に集団活動では、先生の声、周囲の動き、音楽、次の動作など、同時に受け取る情報が多くなります。
考える時間があれば正しく動ける子には、理解不足ではなく、判断を自動化するまでに時間が必要な可能性があります。

家では正解できるのに、運動会のダンスになると左右逆なの。もしかして本番だけ左と右が入れ替わるの?

世界の左右は入れ替わってないわん!情報が多い場面では、わかっていても判断が追いつかないことがあるわん。
右と左がわからないだけで障害とは判断できない
インターネットで調べると、発達障害、ディスレクシア、発達性協調運動症などの言葉が出てきて、不安になるかもしれません。
しかし、右と左を間違えるという一つの様子だけで、特定の障害を判断することはできません。
ディスレクシアでは、文字を読むのが極端に遅い、似た文字を間違える、読書ですぐ疲れるなど、読み書きに関する困難が中心になります。左右の混乱だけを根拠に結びつけないことが大切です。
また、手先や全身の動き、左右の体を一緒に使う動作が苦手な子もいますが、これも左右の名称がわからないこととは分けて考える必要があります。
小学生の子供が右と左を覚えにくい主な理由

左右を覚えにくい背景には、単純な暗記不足だけでなく、さまざまな理由が考えられます。
子どもを叱って覚えさせる前に、どのような場面で間違えるのかを観察してみましょう。
覚えるための基準が毎回変わっている
「お箸を持つ方が右」「鉛筆を持つ方が右」と教える方法は、右利きで、いつも同じ手を使う子にはわかりやすい場合があります。
しかし、食事ではスプーンを使う、遊びによって持つ手が変わる、利き手がまだ安定していないといった場合、基準として使いにくくなります。
さらに、「こっち」「そっち」と指差しだけで教えると、立つ位置が変わったときに混乱しやすくなります。
左右を覚えるときは、右手首のバンド、右手のほくろ、右側のポケットなど、いつでも確認できる一つの目印に統一するとわかりやすくなります。
相手と向かい合うと左右が反対になる
親が子どもと向かい合って「右手を上げて」と見本を見せると、子どもから見た親の手は左側にあります。
子どもが見たまま真似すると、本人は左手を上げることになります。
この状態で「違う、反対!」と何度も言われると、左右の理解よりも失敗した印象が強く残ってしまいます。
最初は親子で同じ方向を向き、子どもの右側と大人の右側をそろえた状態で練習しましょう。自分の体の左右が安定してから、向かい合った人の左右へ進みます。

向かい合って私の右手を見せながら、「同じ手を上げて!」って言ってたわ。私が混乱を量産してたのね……えへへ。

気づけたなら大丈夫だわん。最初は同じ方向を向けば、見本と子どもの左右がそろうわん。
言葉だけの指示を頭の中でイメージしにくい
「右へ一歩」「左のページ」「右上に書く」と言葉だけで伝えられても、方向を頭の中でイメージすることが難しい子がいます。
このような子には、口頭で何度も説明するより、矢印、色、写真、実物の目印など、目で確認できる手がかりが役立ちます。
文部科学省の学校向け資料でも、言葉だけではイメージしにくい児童には、図・絵・写真などの視覚的な手がかりを提示する支援が紹介されています。
左右の練習でも、右を赤、左を青などと固定して示すと、言葉と方向を結びつけやすくなります。
右と左がわからない小学生の子供への教え方7選

左右は、机に座って何度も暗唱するより、体を動かしながら繰り返す方が覚えやすいことがあります。
一度にすべての場面で正解させようとせず、「自分の右手」から少しずつ範囲を広げましょう。
1.右側にいつも同じ目印を付ける
最初に試しやすいのは、右手首へリボンやバンド、シールなどの目印を付ける方法です。
「右は赤いバンドの方」と決めれば、わからなくなったときに子ども自身が目で確認できます。
文部科学省の通級指導の実践例でも、「右」「左」という指示より、片方の手首にリボンを付けて「リボンがある方」と伝えた方が理解しやすかった事例が紹介されています。
目印は毎回違う場所へ付けず、右側に固定しましょう。「今日は黄色、明日は青」でも構いませんが、付ける側は変えないことが重要です。
2.体を動かす遊びで繰り返す
左右は、実際に体を動かしながら言葉と結びつけると理解しやすくなります。
- 右へ一歩、左へ一歩進む
- 右手で赤いボールを投げる
- 左足で床の印を踏む
- 音楽に合わせて右手、左手を上げる
- 床の矢印に沿ってジャンプする
正解を競うゲームにすると失敗を怖がる子もいるため、最初は親子で同じ方向を向き、一緒に動く方法がおすすめです。
一回で長く練習するより、着替え、入浴、散歩などの日常生活に短く取り入れましょう。
3.言葉と色と動きをセットにする
「右」と聞くだけではわかりにくい子には、右は赤、左は青など、色を組み合わせます。
「赤い右手を上げよう」「青い左足で踏もう」のように、言葉・色・動きを同時に示すと、複数の手がかりから判断できます。
慣れてきたら、少しずつ色の手がかりを減らし、最終的に「右」「左」という言葉だけでも動けることを目指します。

よーし、右手に赤いバンドを付けて、親子で右ジャンプね!これなら私も間違えずに教えられそう!

楽しく短く続けるのがコツだわん!百回連続の左右特訓大会にはしないでほしいわん!
4つ目は、同じ方向を向いて見本を見せることです。向かい合わず、子どもの横や後ろに立って、一緒に右手を上げます。
5つ目は、選択肢を二つに絞ることです。「どっち?」と急かすのではなく、「バンドがある方が右だね」と確認する時間をつくります。
6つ目は、間違えてもすぐに責めないことです。「違う」とだけ言うのではなく、「バンドを見てみよう」と確認方法を伝えます。
7つ目は、できた瞬間を具体的に褒めることです。「右を覚えたね」だけでなく、「バンドを見て自分で右を選べたね」と、成功した行動を言葉にしましょう。
家庭での教え方7選
- 右側に固定した目印を付ける
- 体を動かす遊びにする
- 言葉・色・動きを組み合わせる
- 親子で同じ方向を向く
- 考える時間を与える
- 間違えたら確認方法を伝える
- できた行動を具体的に褒める
右と左がわからない小学生の子供を相談する目安

左右を間違えることがあっても、日常生活や学校生活で大きく困っていなければ、家庭で練習しながら様子を見てもよいでしょう。
ただし、左右以外にも複数の困りごとがあり、本人がつらさを感じている場合は、相談することで支援方法が見つかることがあります。
学校生活に支障が出ている場合
体育、ダンス、整列、教科書のページ、プリントへの記入など、学校では左右を使う場面が多くあります。
間違えるたびに叱られる、周囲から笑われる、本人が活動を嫌がるといった状態であれば、担任へ相談しましょう。
担任には、「左右がわかりません」とだけ伝えるより、いつ、どこで、どのような指示のときに困るかを具体的に伝えます。
「体育で急に右と言われると動けませんが、右手首に目印があると動けます」のように、効果のあった方法も共有すると支援につながりやすくなります。
左右以外にも困りごとが重なっている場合
左右の混乱に加えて、次のような様子が続く場合は、担任、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラー、小児科などへ相談してもよいでしょう。
- 文字を読むことが極端に遅く、強く疲れる
- 似た形の文字を頻繁に間違える
- 板書やプリントの位置を見失いやすい
- 左右の手足を一緒に使う運動が極端に苦手
- 着替え、靴ひも、はさみなど日常動作でも困る
- 口頭の指示を覚えて行動することが難しい
- 本人が強く落ち込み、自信を失っている
これらに当てはまるからといって、必ず障害があるという意味ではありません。
相談の目的は診断名を急いで付けることではなく、その子がどこで困り、どのような方法なら理解しやすいかを整理することです。
家庭と学校で目印を統一する
家庭では赤いバンドを右に付けているのに、学校では別の方法で説明されると、子どもが再び混乱することがあります。
家庭でわかりやすかった方法を担任へ伝え、可能であれば同じ目印や言葉を使ってもらいましょう。
学校全体で大がかりな対応を求める必要はありません。体育や行事の練習だけ右手首に目印を付ける、口頭指示と一緒に矢印を見せるなど、小さな工夫でも助けになります。

学校にも「赤いバンドがあるとわかりやすいです」って伝えていいのね。特別扱いをお願いするみたいで迷ってたわ。

わかるための手がかりを用意するのは、甘やかしじゃないわん。できる方法を共有する大切な支援だわん。
右と左がわからない小学生の子供への対応まとめ

小学生になっても右と左を間違えると、保護者は発達の遅れや学習障害ではないかと心配になるかもしれません。
しかし、左右の判断には、自分の体の認識、言葉の理解、位置関係の判断、体の動きなど、複数の力が関係します。
落ち着いて考えれば正解できる子や、目印があれば動ける子は、理解を自動化するまでに時間が必要なのかもしれません。
左右を間違えることだけで、発達障害や学習障害と決めつけないことが大切です。
大人には簡単に思える左右でも、子どもにとっては何度も経験しながら身につけていく概念です。
「どうしてまだわからないの?」と責めるより、「わからなくなったら右手の目印を見よう」と、子どもが自分で確認できる方法を渡してあげましょう。
一度に完璧を目指さなくても大丈夫です。家庭と学校で同じ手がかりを使いながら、少しずつ判断できる場面を増やしていきましょう。

何度もテストするんじゃなくて、わからないときの確認方法を教えればいいのね。これなら親子で楽しく続けられそう!

その調子だわん!できないことを責めず、できる手がかりを一緒に見つけていくわん!



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