読書感想文が書けない子の気持ちと、つまずきやすい場面
こんにちは!おやまどの鈴木です。
「読書感想文が書けないと言って、机の前で固まっている」「本は読んだはずなのに、原稿用紙が真っ白のまま」。そんなお子さんの姿を見て、どう声をかけたらいいのか迷っている保護者の方もいるのではないでしょうか。読書感想文が書けない子どもの気持ちは、大人が思う以上に複雑です。
この記事では、読書感想文が書けない子どもの気持ちや背景、ご家庭でできる関わり方を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じているときの、ひと息つくきっかけになればうれしいです。
何を書けばいいのか分からなくて手が止まる

読書感想文が書けない子の多くは、「書きたくない」のではなく、「何を書けばいいのか分からない」状態にいます。本は読み終えたのに、いざ書こうとすると、頭の中が真っ白になってしまう。そんな経験をしている子は少なくありません。
「面白かった」「楽しかった」という気持ちはあるのに、それ以上の言葉が出てこない。「どこが面白かったの?」と聞かれても、うまく答えられない。そのたびに、「自分は文章が苦手なんだ」と感じてしまう子もいます。
原稿用紙の大きさや、決められた文字数に、おされてしまう子もいます。「たくさん書かなきゃいけない」と思うほど、最初の一文が出てこなくなり、鉛筆を持ったまま時間だけが過ぎていきます。
たとえば、夕方に机に向かって、1時間たっても1行も書けないままだったら、お子さんは相当つらい気持ちになっているはずです。書けないのは、やる気がないからではないということを、まず知っておいてあげましょう。
大人から見ると、「思ったことを書けばいいだけなのに」と感じるかもしれません。でも、思ったことを言葉にするという作業は、子どもにとってはとても難しいことです。気持ちはあっても、それを文章にするための言葉が、まだ手元にそろっていないこともあります。
そんなとき、「早くしなさい」と急かされると、焦りがさらに言葉を遠ざけてしまいます。まずは「書けなくてつらいよね」と、その気持ちを受け止めてあげたいですね。
机の前で固まっている時間が長いと、「どうしてできないの」と言いたくなる場面もあるかもしれません。それでも、一度深呼吸して、「どこが一番書きにくい?」と聞いてみてください。理由が少し見えるだけで、お子さんも大人も、気持ちが落ち着きます。

ただのやる気の問題だと思ってたけど、何を書けばいいか分からなくて困ってたんだね…えへへ。

困っているからこそ、手が止まるんだわん。その気持ちを分かってあげるのが第一歩だわん。
感じたことを言葉にするむずかしさ

読書感想文では、本のあらすじではなく、「自分がどう感じたか」を書くことが求められます。ところが、この「自分の気持ちを見つける」ことが、実はとても難しいのです。
たとえば、本を読んでいる最中は、物語の流れを追うので精いっぱいで、自分の気持ちにゆっくり目を向ける余裕がないこともあります。読み終えたあとに、「さて、どう思った?」と聞かれても、すぐには答えられなくて当然です。
また、気持ちはあっても、「うれしい」「かなしい」「こわい」といった、大まかな言葉しか浮かばない子もいます。感じたことと、使える言葉の間に、すき間があるのかもしれません。そのすき間を、大人が少し埋めてあげるだけで、書けるようになることがあります。
よくある例として、本の登場人物に自分を重ねて、胸がぎゅっとなったのに、それをどう書けばいいか分からず、「ふつうに面白かった」と書いてしまう場面があります。心が動いていても、言葉にするのが難しいだけ、ということもあります。
また、「感想は、ほめる内容でなければいけない」と思いこんでいる子もいます。つまらなかったところや、よく分からなかったところも、立派な感想の一つです。そう伝えるだけで、気持ちが軽くなることもあります。
本をきっかけに、自分のことを思い出した、という感想も大切です。「うちの犬に似ていた」「自分も同じことがあった」など、本と自分をつなげる気持ちは、感想文の大事な材料になります。
「どこが好きだった?」という質問も、答えにくい子がいます。そんなときは、「この本の中で、一番びっくりしたのはどこ?」「この人と友達になりたいと思う?」など、選びやすい聞き方に変えてみましょう。聞き方を変えるだけで、答えやすさが大きく変わります。
気持ちを言葉にする力は、日々の会話の中でも少しずつ育っていくと言われています。「今日は何がうれしかった?」といった、何気ない会話の積み重ねが、感想を書くときの土台になっていきます。
読書感想文が書けない理由をひもとく
読書感想文が書けない理由は、子どもによってさまざまです。ここでは、よくある背景を二つ取り上げて、見ていきましょう。
本選びと、読み終えるまでの負担

読書感想文の取りかかりは、まず「本を選ぶこと」です。ところが、この最初の段階でつまずく子もいます。本屋さんや図書館には、たくさんの本が並んでいて、選択肢が多すぎて、どれを読めばいいのか分からなくなることがあるのです。
また、学年や読む力に合わない本を選んでしまい、読むこと自体が大きな負担になってしまうこともあります。ページ数が多すぎたり、文字が小さすぎたり、物語の内容が難しすぎたりすると、読み終えるだけで疲れ切ってしまいます。
読み終えるまでに時間がかかると、内容を忘れてしまい、感想を書く段階で「何を読んだんだっけ」となることもあります。読むことに力を使い切ってしまうと、書く力が残らないという状態になりやすいのです。
たとえば、字を読むのに時間がかかる子や、長い文章を追うのが大変な子にとって、一冊を読み切ることは、大人が思う以上に大きな挑戦です。その時点で、すでにがんばっているということを、ぜひ認めてあげてください。
興味のない本を「課題だから」と読むのは、大人でもしんどいものです。お子さんが「面白そう」と思える本を、一緒に探す時間を持つだけでも、取り組みやすさは大きく変わってくると言われています。
図書館や書店で、表紙や題名を見ながら、「これはどう?」と声をかけてみましょう。短い本や、絵の多い本を選んでも、まったく問題ありません。本の長さと、感想の質は関係がないからです。
一度読み始めてみて、「合わないな」と感じたら、別の本に変えても大丈夫です。無理に読み続けるより、お子さんが読み切れる本を選び直したほうが、気持ちよく取り組めることもあります。
気持ちを文章に整えて、原稿用紙に書くむずかしさ

気持ちを見つけられたとしても、それを文章の形に整えるのは、また別の難しさがあります。どんな順番で書くか、どこから書き始めるか、どう締めくくるか。考えることがたくさんあって、頭の中がいっぱいになってしまうのです。
また、原稿用紙のマス目に、一字一字きれいに書くことが負担になる子もいます。字を書くことに集中すると、内容を考える余裕がなくなり、文章が進まなくなります。書くことそのものに時間がかかる子にとっては、数百字を書くだけでも大きな作業です。
こうした力は、経験を重ねる中で、少しずつ育っていくと言われています。作文の経験が少ない子は、まだ文章の組み立て方に慣れていないだけ、ということもあります。「練習不足」ではなく、これから育っていく力だと捉えると、見方が変わってきます。
言葉でなら上手に話せるのに、文章にするとなかなか書けない、という子もいます。話すときは、相手の反応を見ながら言葉を足せますが、書くときは、一人で最後まで考えなければなりません。その違いが、負担になっていることもあります。
よくある例として、書いては消し、書いては消しを繰り返して、紙が破れてしまう子がいます。完璧に書こうとする気持ちが強いほど、最初の一文を決められなくなってしまうことがあります。
「うまく書かなきゃ」という気持ちを少しゆるめて、「とりあえず思ったことを書いてみよう」と声をかけてあげると、動き出せることもあります。清書の前に、メモ用紙に下書きする方法も、気持ちを楽にしてくれます。

話すのは得意なのに、書くのは苦手なんて、うちの子みたい!そういうこともあるんだね。

話すのと書くのは、使う力が少し違うんだわん。得意なほうを入り口にすればいいんだわん。
読書感想文が書けない子への家庭での関わり方
読書感想文が書けない子には、「早く書きなさい」と言う前にできることがあります。ご家庭で取り入れやすい関わり方を見ていきましょう。
感想を、まず話すところから始める

読書感想文が書けないときは、いきなり書くのではなく、まず「話す」ことから始めてみましょう。読んだ本について、おしゃべりするように感想を聞くのです。「どのシーンが好きだった?」「この人、どうしてこんなことしたと思う?」といった、答えやすい質問がおすすめです。
話しているうちに、「あ、こう思ったかも」と、自分の気持ちに気づくことがあります。大人が聞き役になって、「へえ、そうなんだ」「それでどうなったの?」と相づちを打つだけでも、言葉が引き出されていきます。
お子さんが話したことを、大人がメモに書き出してあげる方法もあります。「今、こんなこと言ってたよ」と見せると、「自分、こんなに感じてたんだ」と、気づけることがあります。そのメモが、文章を書くときの材料になります。
たとえば、お風呂の時間や、寝る前のリラックスしているときに、「あの本、どうだった?」と軽く聞いてみてください。机に向かっているときより、ずっと自然に話してくれることがあります。書く前に、話して整理するのがコツです。
時間は、1回10分ほどの短い時間で十分です。長くやりすぎると、お子さんが疲れてしまい、読書自体がいやになってしまうこともあります。「また明日続きを話そうね」と、余韻を残して終わるのも一つの方法です。
お子さんが話しにくそうなときは、大人が先に「お母さんはこの場面が好きだったな」と、自分の感想を話してみるのもおすすめです。大人が見本を見せると、「そう思ってもいいんだ」と安心して、自分の気持ちを話しやすくなります。
書き出しを小さく分けて、できたを見つける

読書感想文を、「全部書き上げる」ことだけで見ると、大きな壁に感じてしまいます。そこで、作業をいくつかの小さなステップに分けて、一つずつ「できた」を見つけていく方法があります。
たとえば、次のような順番で進める方法です。本の題名と、選んだ理由を書く。好きな場面を一つ選ぶ。その場面で感じたことを一言で書く。自分の体験と結びつけてみる。最後に、読んで思ったことをまとめる。一つずつ、数行ずつ書いていくと、気持ちが楽になります。
書き出しに迷うときは、「ぼくは、この本を読んで〜と思いました」といった、型を使うのも一つの方法です。型があると、そこに気持ちを入れるだけで文章が進むので、白紙の状態よりも取り組みやすくなります。
また、パソコンやタブレットで下書きをするのも、選択肢の一つです。字を書く負担が減ると、内容を考えることに力を使えるようになる子もいます。学校の方針によっては、使い方に決まりがある場合もあるので、確認してみましょう。
「今日はここまで書けたね」と、前に進んだことを具体的にほめてあげましょう。完成までを一度に目指さず、1日1段落ずつ進めるくらいでも、十分です。
読書や勉強との向き合い方については、こちらの記事でもくわしく取り上げています。

人前での発表や、作品づくりがつらいと感じているお子さんには、こちらの記事も参考になります。

家庭でできる、読書感想文のすすめ方アイデア
・読んだ本について、おしゃべりするように感想を話す
・好きな場面や、気になった言葉を一つ選ぶ
・話した内容を、大人がメモに書き出す
・1日1段落ずつ、少しずつ書き進める

これなら、うちの子も気楽に始められそう。難しく考えなくていいんだね。えへへ。

その気楽さが大事だわん。楽しく続けることが、いちばんの近道だわん!
まとめ:読書感想文が書けない子と、あせらず進む
ここまで、読書感想文が書けない子どもの気持ちや理由、ご家庭での関わり方についてご紹介してきました。最後に、大切なポイントを振り返っておきましょう。
読書感想文が書けないのは、よくあること

読書感想文が書けない背景には、何を書けばいいか分からない戸惑い、気持ちを言葉にするむずかしさ、本選びや読む負担、文章に整える難しさなど、その子なりの理由があります。書けない気持ちは、がんばっているからこそ生まれる大切なサインです。
経験を重ねる中で、少しずつ言葉が出てくるようになる子も多く見られます。今、書くことに苦手意識があっても、それがずっと続くとは限りません。長い目で、今の時期を一緒に見守っていきましょう。
読書感想文が書けなくても、お子さんの価値が変わるわけではありません。絵を描くのが得意、体を動かすのが好き、やさしい心を持っているなど、ほかの場面で輝く姿にも、ぜひ目を向けてあげてください。
一人で抱え込まなくて大丈夫です。ご家庭だけで答えを出そうとせず、学校の先生とも話しながら、お子さんに合った形を探していきましょう。
お子さんが本と向き合っているとき、親の側も「どうにかしてあげたい」と、焦る気持ちになりやすいものです。そんなときこそ、お子さんの横にいて、「どんな本だったの?」と聞いてあげるだけで、十分な支えになります。
結果を急がず、取り組んだ時間そのものを大切にしてあげてください。その積み重ねが、読書感想文だけでなく、ほかのことに向き合うときの自信にもつながっていきます。
今日からできる小さな一歩

今日からできることは、小さなことで十分です。「あの本、どうだった?」と聞いてみる。好きな場面を一緒に探してみる。お子さんが話したことを、メモに書き出してみる。どれも、親子の距離を近づける時間になります。
読書感想文が書けるようになることだけが、ゴールではありません。お子さんが、本を読むことや、自分の気持ちを言葉にすることを、楽しいと感じられるようになることが、何よりの力になります。
秋は、夜が少しずつ長くなり、本を読むのにも向いた季節です。お気に入りの本を、親子で声に出して読み合ったり、寝る前に少しだけ読み聞かせをしたりする時間も、素敵な思い出になります。
たとえば、読んだ本の好きな場面を、絵にかいてみる方法もあります。言葉にしにくい気持ちも、絵や色なら表現しやすいという子もいます。その絵を見ながら話せば、文章に書くヒントも見つかります。
お子さんが「書いてみようかな」と自分から思える瞬間を、ゆったり待ってあげてください。その気持ちが生まれたとき、読書感想文への挑戦も、きっと前向きなものになっていきます。

なんだか、気持ちが軽くなってきたかも。まずは、あの本の話を聞いてみるね!

それで十分だわん。大丈夫、一緒に考えるわん!
読書感想文が書けない背景には、何を書けばいいか分からない戸惑いや、気持ちを言葉にするむずかしさ、本選びや文章を整える負担など、子どもなりの理由があります。気持ちを受け止め、話すところから小さな「できた」を重ねながら、その子とご家庭のペースで進んでいきましょう。
アイキャッチ画像:Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels



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