ハンドドライヤーを怖がる子は珍しくない?まず理由を知ろう
こんにちは!おやまどの鈴木です。
公共のトイレで手を洗ったあと、「ブォーン」という大きな音が鳴りだした途端、泣いて固まってしまう。耳をふさいで逃げ出してしまう。そんなハンドドライヤーを怖がる子の姿に、戸惑っている保護者の方は多いと思います。
「みんな平気なのに、うちの子だけ?」と感じてしまうこともありますよね。でも、ハンドドライヤーの音や風を苦手に感じるお子さんは、決して少なくないと言われています。この記事では、怖がる理由の考え方と、家庭でできる工夫を、やさしく整理しました。
音・風・突然さ。ハンドドライヤーが怖く感じる理由

ハンドドライヤーを怖がる理由は、お子さんによって少しずつ違うと言われています。よく挙げられるのは、次のような点です。
怖く感じやすいポイント
・大きな音:ふだんの生活であまり聞かない種類の音で、耳に響く
・強い風:手や顔に当たる風の感覚が、びっくりする刺激になる
・予告のなさ:手をかざした途端に音が出て、気持ちの準備ができない
・響く空間:トイレは音が反響しやすく、音がさらに大きく感じられる
とくに「いつ音が鳴るかわからない」という点は、大きいかもしれません。たとえば、センサーが反応して突然動くタイプは、お子さんにとっては不意打ちのように感じられます。見通しが持ちにくいことが、不安を強めると言われています。
大人にとっては小さな音でも、お子さんにはとても大きく感じられている場合があります。「たかがドライヤーの音」と思わずに、まずは「怖かったね」と気持ちを受け止めてあげたいですね。
よくある例として、こんな場面があります。ショッピングモールのトイレで、手を洗い終えた子が、隣の人のハンドドライヤーの音に驚いて、トイレそのものに入れなくなってしまった。次の日から「トイレに行きたくない」と言い出した。このように、一度の怖い経験が、場所への不安につながることもあります。
だからこそ、最初の「怖かった」を受け止めてもらえた経験が、お子さんの安心を支える土台になると言われています。

ハンドドライヤーって、ただの機械なのに、どうしてそんなに怖いのかな?わたし、てっきりわがままなのかと…

それは違うわん。音や風の感じ方は、人によってかなり違うと言われているわん。大きな音が苦手なのは、わがままじゃなくて、感じ方の個性のひとつだわん。
「慣れさせなきゃ」と焦らなくて大丈夫な理由

怖がる様子を見ると、「早く慣れさせないと困る」と焦ってしまう方もいます。外出先でトイレを使うたびに泣かれると、保護者の方もぐったりしてしまいますよね。
ただ、無理に近づけたり、「大丈夫だから」と手を持ってかざしたりすると、怖い記憶が強く残ってしまうことがあると言われています。怖い気持ちが強いうちは、少し距離をとって、安心を積み上げていく方法のほうが、結果的に早く落ち着くケースもあります。
成長とともに音への敏感さが和らいでいくお子さんもいれば、長く苦手さが続くお子さんもいます。どちらも、その子のペースです。いまできることから、一緒に探していきましょう。
周りのお子さんと比べて、「うちの子だけ遅れているのでは」と考えてしまう夜もあるかもしれません。でも、怖さを感じるポイントは、お子さんによって本当にさまざまです。ハンドドライヤーは平気でも、花火の音がだめな子もいれば、その逆の子もいます。
比べる相手は、周りのお子さんではなく、少し前のわが子です。以前は近づけなかった場所に、今日は少しだけ近づけた。そんな小さな変化に気づけると、保護者の方の気持ちも軽くなります。
同じように「音」が苦手なお子さんの様子は、こちらの記事でも取り上げています。

ハンドドライヤーを怖がる子に、家庭でできる関わり方
気持ちを受け止めてから、見通しを伝える

いちばん最初にやってみたいのは、「怖かったね」と気持ちに寄り添うことです。「大丈夫でしょ」「泣かないの」と言ってしまいそうになりますが、お子さんの怖さは本物です。まずはことばで受け止めてもらえると、安心できるお子さんが多いと言われています。
そのうえで、見通しを短く伝えるのも助けになります。たとえば、「手を洗ったら、ハンカチでふくよ」「あの機械は音が鳴るけど、近づかなくていいよ」と、前もって伝えておく方法があります。
逆に、「男の子なんだから」「お姉ちゃんでしょ」といった言い方は、お子さんの怖さを否定しているように聞こえることがあります。避けたい対応と言えます。
怖がっているお子さんに、笑いながら近づける、という場面も見かけますよね。大人にとっては遊びのつもりでも、お子さんにとっては「怖いものを無理にさせられた」という記憶になることがあります。気持ちが落ち着いている日に、お子さんのほうから「やってみたい」と言い出すのを待つ方法もあります。
家で、小さな音から少しずつ慣れる遊び

家の中で、安心できる時間に、音に少しずつふれる遊びを取り入れている方もいます。たとえば、次のような方法があります。
ひとつめは、お子さんが音を出す側になることです。自分で出す音は、予測できるので怖さが少ないと言われています。ヘアドライヤーのスイッチを、お子さん自身に押してもらい、遠くからそっと風を感じてもらう、といった遊びです。
ふたつめは、音の大きさを段階的にすることです。最初は小さな音から、慣れてきたら少しずつ大きな音へ。お子さんが「いやだ」と感じたら、すぐにやめて大丈夫です。
たとえば、スマートフォンで録音した小さな音から再生して、少しずつ音量を上げていく方法があります。お子さんと一緒に音量ボタンを押して、「ここまでなら平気」という線を見つけていくと、遊びのように進められます。
みっつめは、耳をふさいでよいという許可を出しておくことです。「耳をぎゅっとしていいよ」と伝えておくと、逃げ場があることで安心するお子さんもいます。
遊びを取り入れるときは、お子さんの表情や体のこわばりを見ながら進めるのがコツです。笑顔が出ている、自分から近づく、「もう1回」と言う。そんなサインがあれば、少しだけ難しいステップに進んでもよいかもしれません。逆に、体が固まる、泣きそうになる、といったサインが出たら、すぐに休憩です。
1日に何度も試す必要はありません。数日おきに1回、数分だけでも十分です。続けるうちに、「やっぱり苦手」で終わる子もいれば、「ちょっと平気かも」と変わる子もいます。どちらの場合でも、そのお子さんの自然な姿です。

家でドライヤーの練習…。うまくいかなかったら、どうしよう。えへへ…

失敗してもいいわん。嫌がったらその日はおしまいにして、また別の日に試すわん。大丈夫、一緒に考えるわん。
手洗いのあとの流れを、安心できる形に変えてみる

ハンドドライヤーを怖がる子には、手洗いそのものが嫌になってしまうケースもあります。「手を洗うと、あの音が待っている」と、先回りして不安になるためです。
そんなときは、家でも外でも、手洗いのあとの流れを変えてみる方法があります。たとえば、お気に入りのハンカチやタオルを持ち歩いて、手をふく役目をお子さんにお願いするのもひとつです。自分でふけると、少し誇らしい気持ちにもなります。
おうちでは、手をふいたあとに「ぎゅっ」とハグをしたり、ごほうびのシールを貼ったりして、手洗いの終わりを楽しい時間にしている方もいます。「洗う→ふく→うれしい」という流れがお子さんの中でつながると、手洗いへの抵抗感が減っていくこともあると言われています。
手洗いの苦手さについては、こちらの記事にもヒントがあります。

家庭での工夫のおさらい
・怖い気持ちを、まずことばで受け止める
・見通しを、短いことばで先に伝える
・自分で操作できる音から、少しずつ試す
・嫌がったらすぐやめて、翌日以降に回す
・ハンカチなど、代わりの方法を用意する
ハンドドライヤーを怖がる子と、外出先や園・学校で困ったとき
外出先のトイレでの、やさしい対応の工夫

外出先では、ハンドドライヤーを避けられないこともあります。そんなときのために、前もって準備しておくと安心です。
まず、ハンカチを持ち歩くこと。手洗いのあとにふけるだけで、ハンドドライヤーのそばに行かなくてすみます。ペーパータオルが置いてあるお店や施設を選ぶ、という方法もあります。
次に、音が出る位置を確認しておくことです。トイレに入ったら、「あの機械が音を出すけど、ここから見ているだけでいいよ」と、距離を保つ約束をしておくと落ち着くお子さんもいます。
さらに、トイレに入る前に「ここは音がするかもしれないよ」と一言伝えておくのも、役立つことがあります。予告があるだけで、心の準備ができるお子さんもいます。もし音が鳴ってしまったときも、「びっくりしたね。もう大丈夫だよ」と、すぐに声をかけてあげてくださいね。
また、耳せん(イヤーマフ)などで音をやわらげる方法を試している方もいます。お子さんが「これなら平気」と感じられるかどうかは個人差があるため、家で試してみてから使うと安心です。
イヤーマフは、周りの音をやわらげる道具です。最初から装着するのではなく、家でおもちゃのように触れて慣れてもらう、好きなキャラクターのシールで飾る、といった工夫をしている方もいます。お子さん自身が「自分で選んだ」と思えると、受け入れやすくなることもあります。
学校のトイレが苦手なお子さんについては、こちらの記事もご覧ください。

園や学校の先生に、伝えておきたいこと

園や学校のトイレにも、ハンドドライヤーがあることがあります。お子さんが怖がっていると、トイレそのものを避けてしまい、我慢してしまうこともあります。
そんなときは、先生に「音が苦手で、手をふく方法を別にしてもらえると助かります」と伝えてみる方法があります。ハンカチを持たせてもらう、使わなくてよいことにしてもらうなど、配慮の方法は園や学校によって違いますが、先に相談しておくとお子さんが過ごしやすくなります。
伝えるときは、「怖がる」の一言だけでなく、「どんな音が」「どんな場面で」苦手なのかを具体的に話すと、先生も対応しやすくなります。たとえば、「大きな音が突然鳴ると固まってしまう」「家では小さな音なら大丈夫」といった具合です。
お願いのしかたとして、連絡帳や面談で、短い文章にまとめて渡す方法もあります。「大きな音が苦手です。ハンドドライヤーは使わず、ハンカチでふかせてください」。このように要点を書いておくと、担任の先生が変わったときにも引き継ぎやすくなります。
園や学校での様子は、家庭では見えない部分もあります。先生から見たお子さんの様子を教えてもらい、家での様子と照らし合わせると、その子に合う工夫が見つけやすくなります。

え、そうだったの〜?先生に、そんな細かいことまで伝えていいんだ!わたし、てっきり言いにくいなって思ってた…

伝えて大丈夫だわん。子どもが安心して過ごせるように、先生と一緒に考えるのがいちばんだわん。
雷など、ほかの大きな音への苦手さについては、こちらの記事も参考になります。

まとめ:ハンドドライヤーを怖がる子の気持ちに寄り添って、ゆっくり進もう
今日からできる、3つのこと

ハンドドライヤーを怖がる子との毎日は、ときに大変に感じるかもしれません。でも、ここまで見てきたように、できる工夫はいくつもあります。最後に、今日からできる3つのことをまとめます。
3つのうち、できそうなものを1つだけ選んでも大丈夫です。無理をしないことが、長く続けるコツだと言われています。
焦って結果を求めなくても大丈夫です。「今日はトイレに入れた」「ハンカチでふけた」。そんなことも、立派な前進です。保護者の方も、「今日もよくがんばったな」と、ご自身をねぎらう時間を持ってくださいね。
怖がることも、その子らしさのひとつ

怖がることは、お子さんが周りの世界を丁寧に感じ取っていることのあらわれ、と考えることもできます。感覚が繊細だからこそ、気づける小さな変化や、感じ取れる美しさもあるはずです。
成長とともに、苦手だったものが気にならなくなることもあります。いつの間にか平気になっていて、驚いたという話もよく聞かれます。焦らず、お子さんのペースで進んでいきましょう。
ほかにも、掃除機やドライヤー、雷など、大きな音が苦手になる場面は日常にたくさんあります。ひとつの工夫が、別の場面にも使えることがあります。たとえば「予告する」「距離をとる」「耳をふさいでよいと伝える」といった関わりは、どの音にも応用しやすいと言われています。
お子さんが安心できる合図を、家族で決めておくのもよい方法です。たとえば、手をぎゅっとにぎる、ポンポンと肩をたたくなど、「大丈夫」を伝える合図があると、外出先でもお子さんの表情がやわらぐことがあります。
保護者の方が一人で抱え込まなくても大丈夫です。園の先生や家族など、身近な人と気持ちを共有しながら、できる範囲で工夫を重ねてみてくださいね。
毎日の生活のなかで、お子さんの「できたこと」「楽しめたこと」にも目を向けてみてください。怖がることだけがその子のすべてではありません。好きな遊びや得意なことを一緒に楽しむ時間が、お子さんの安心感を大きく育てていきます。

なんだか、気持ちが軽くなったかも。えへへ、まずはハンカチを一枚多く持っていくところから始めてみるね!

その調子だわん。大丈夫、一緒に考えるわん。
アイキャッチ画像:Photo by Heber Vazquez on Pexels



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