マスクを嫌がる子。理由と家庭での工夫を解説

マスクを嫌がる子。理由と家庭での工夫を解説 保育園・幼稚園
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【この記事の信ぴょう性】

当ページの記事は、児童発達支援の現場経験を持つ鈴木日奈子(小学校教諭免許保有)が監修しています。

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マスクを嫌がる子の気持ちと、つまずきやすい理由

こんにちは!おやまどの鈴木です。

マスクを嫌がる子が感じている、息苦しさと肌ざわり

壁のフックにかけられた、使い捨てマスク
Photo by Pavel Danilyuk on Pexels

朝の玄関で、マスクを手にしたとたんに顔をそむける。ひもを耳にかけようとすると、頭をふって外してしまう。マスクを嫌がる子を前に、「どうして着けてくれないの?」と困った経験がある保護者の方は、少なくないかもしれません。

この記事では、マスクを嫌がる子がつまずきやすい理由と、家庭で試せる工夫を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と感じたときの、ヒントになればうれしいです。

まず知っておきたいのは、マスクが顔の大事な部分をふさぐものだということです。口と鼻は、息をする場所であり、においや空気の流れを感じ取る場所でもあります。そこを布や不織布(ふしょくふ)でおおわれると、大人が思うより「ふさがれた感じ」が強く出ることがあります。

不織布とは、繊維を織らずに重ねて固めた素材のことです。使い捨てマスクの多くに使われています。この素材は、やわらかく見えても、肌にふれる細かなざらつきを感じる子もいます。

息を吐くと、マスクの内側に湿った空気がこもります。じんわり温かく、少ししめった感じが続くことが、気持ち悪さにつながる子もいます。大人なら「そのうち慣れる」と感じる程度でも、感覚が繊細な子には、ずっと続くストレスになることがあります。

マスクの感じ方には、個人差があります。息苦しさ、湿った感じ、肌ざわり、においのどれが気になるかは、子どもによってちがいます。「わがまま」と決めつけず、まず「どこがイヤなのかな」という目で見てあげたいですね。

ほのママ
ほのママ

わたし、てっきり「マスクがイヤ=つけたくないだけ」だと思ってたの…。

ここわん
ここわん

それは違うわん! 息苦しさや肌ざわりが理由のこともあるわん。まずは「どこがイヤなのか」を一緒に探してみるわん。

マスクを嫌がる子に多い、顔まわりの感覚とひもの当たり方

型紙のそばに並んだ、布でできたマスク
Photo by Pavel Danilyuk on Pexels

マスクを嫌がる子の中には、「顔や耳のまわりを触られること自体が苦手」という子もいます。マスクは、鼻筋・ほほ・あご・耳と、顔のいろいろな場所に同時にふれます。そのどこかが気になると、全体がイヤになってしまうこともあります。

とくに多いのが、耳にかけるひもです。ゴムが耳のうしろにくいこむ感じ、耳が前に折れ曲がる感じを、強く気にする子がいます。髪の毛がひもにからまって、ひっぱられるのがイヤという場合もあります。

鼻まわりも、気になりやすい場所です。ワイヤー入りのマスクは、鼻の上でかたい線が当たります。鼻の呼吸がしにくくなる感じもあるため、「息がうまくできない」と受け取る子もいるようです。

こうした感覚のちがいは、感覚の受け取り方の個人差と言われています。同じ布でも、ふれたときの感じ方は人によってちがいます。くわしくは、感覚の過敏さについて書いた記事も参考になります。

感覚過敏の子は発達障害の兆候がある?原因と対処法を徹底解説
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ここで大切なのは、「この子は感覚がちがう」と決めつけることではありません。「ひもが気になるのかな」「鼻のワイヤーがイヤなのかな」と、小さな原因を一つずつ探してみることです。原因が見つかれば、マスクの形を変えるだけで、あっさり解決することもあります。

たとえば、よくある例として、こんな場面を想像してみてください。マスクを着けると、すぐに手で引っぱって、ずらしてしまう。その様子だけを見ると「ふざけているのかな」と感じるかもしれません。けれど、よく見ると、ひもがかかる耳のうしろをこすっている。この場合、気になっているのは「マスク」ではなく「ひもの当たり」だったのかもしれません。

また、洗濯をくり返した布マスクは、ごわごわしてくることがあります。新品のときは平気だったのに、あるときから急に嫌がるようになった、というケースでは、マスクの状態が変わったことが関係している場合もあります。

マスクを嫌がる子の「なぜ着けるのか分からない」気持ち

テーブルの上に置かれた、ぐしゃっとしたマスク
Photo by Pavel Danilyuk on Pexels

もう一つ、見落とされやすいのが、理由が分からないから着けたくないという気持ちです。大人は「ほかの人にうつさないため」「かぜの予防のため」と考えます。けれど、小さな子にとっては、目に見えないものを防ぐ、という考え方がむずかしいことがあります。

「ばい菌が入るから」と言われても、ばい菌は見えません。見えないものを防ぐために、いま目の前の気持ち悪さをがまんする。これは、大人が思う以上に、むずかしい頼みごとです。

そこで、「なぜ着けるのか」を、子どもの目で見える形で伝えてみる方法があります。たとえば、絵本や図鑑で「くしゃみで、ちいさなしぶきが飛ぶ」ようすを見せる。「マスクは、そのしぶきをブロックする壁みたいなものだよ」と、短い言葉で伝える。長い説明は逆効果なので、一言で十分です。

また、マスクを着けると、表情が見えにくくなることも関係します。友だちや先生の顔の半分がかくれて、声もこもって聞こえます。人の表情から気持ちを読み取るのが得意でない子にとっては、まわりの様子が分かりにくくなって、不安につながることがあります。

自分でマスクを着けるときも、顔の半分がかくれるので、「ちゃんと見えてるかな」「変な顔になってないかな」と気になる子もいます。たとえば、鏡を見て「いつもの自分とちがう」と感じ、落ち着かなくなる場面も考えられます。

マスクを嫌がる理由は、一つとは限りません。息苦しさ・ひもの当たり・肌ざわり・表情が見えにくい不安・理由が分からないなど、いくつかが重なっていることもあります。

マスクを嫌がる子が、とくに困りやすい場面

登園・登校の前に、マスクを嫌がる子と向き合うとき

秋の林の道を、ランドセルで歩いていく子の後ろ姿
Photo by Bulat Khamitov on Pexels

マスクをめぐるやりとりは、朝の忙しい時間に起こりがちです。出発まで時間がないのに、マスクを着けてくれない。そんなとき、保護者の方もつい声が大きくなってしまいますよね。

たとえば、よくある例として、次のような流れがあります。玄関でマスクを出す。子どもが「いや」と言う。「着けないと行けないよ」と言うと、泣き出してしまう。結局、時間だけが過ぎていく。こうなると、親も子もぐったり疲れてしまいます。

朝のこの場面で大切なのは、「着ける・着けない」を、玄関で決めないことです。前の日の夜や、休日の落ち着いた時間に、「マスクはどうしようか」と話しておくと、朝の勝負にならずにすみます。

また、園や学校でのマスクの決まりは、時期や場所によって変わってきています。「着けなければならない」と思いこまず、通っている園や学校の最新の方針を、確かめておくと安心です。先生に「家ではこんな様子です」と伝えておくと、無理のない形を一緒に考えてもらいやすくなります。

前の日の夜に、あしたのマスクを一緒に用意しておくのもおすすめです。カバンの横に置く、玄関の見えるところにかけておく、という程度でも、朝の「あ、マスク!」というバタバタを減らせます。子どもにとっても、「朝になったら着ける」という流れが見えやすくなります。

ほのママ
ほのママ

朝からマスクで言い合いになると、わたしもぐったりしちゃうの…。

ここわん
ここわん

朝は時間がないから、親も子もいっぱいいっぱいになるわん。前の日の夜に「あしたはどうする?」と話しておくと、少し楽になるわん。

マスクを嫌がる子が、お店や電車など人の多い場所で困るとき

蛇口の下で、手を洗っているところ
Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels

電車や人の多いお店など、マスクを求められやすい場所では、さらに悩みが大きくなります。「ここだけは着けてほしい」と思う場面では、どうしても気持ちが焦ってしまいますよね。

そんなときは、マスク以外の方法を、いくつか持っておくという考え方もあります。たとえば、人の少ない時間帯を選ぶ、短い時間で済ませる、手洗いやうがいのように、マスク以外の習慣を整える、といったことです。

手洗いについては、手洗いを嫌がる子向けの記事もあります。マスクだけに頼らず、ほかの習慣も組み合わせていくと、保護者の方の気持ちも少し軽くなるかもしれません。

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お出かけの前に、「着けるのはここまで」と時間を区切って伝えるのも一つの方法です。「お店の中だけ」「電車に乗っている間だけ」と、終わりが見えると、がまんしやすくなる子もいます。

それでも、どうしてもつらそうなときは、その場で無理に続けず、いったんマスクを外して休むことも大切です。人の少ない場所に移動して、深呼吸をする。水を一口飲む。こうした小さな休憩を入れるだけで、「また着けてみようかな」と思える子もいます。

お店や公共の場所では、受付の方に「マスクがむずかしい子なので、少し離れた席でもいいですか」と一言伝えるだけで、気持ちが楽になることもあります。事情を伝えることは、わがままではなく、子どもを守るための工夫です。

お出かけの前に、どの場面で着けて、どの場面は外してよいかを、子どもと一緒に確認しておくのも一つの方法です。「お店に入るときだけ着けて、外に出たら取っていいよ」と見通しを伝えておくと、「いつまで続くの?」という不安がやわらぎます。

マスクを無理に着けさせようとして、子どもの顔に手をのばして押さえつけるような関わりは、避けたいところです。「マスク=イヤなこと」という印象が強くなり、かえってハードルが上がることがあります。

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マスクを嫌がる子に、家庭でできる工夫

マスクを嫌がる子と、まず「持ってみる」ところから

黄色い背景に、洗濯ばさみで並んだマスク
Photo by MART PRODUCTION on Pexels

マスクに慣れていく工夫は、顔に着ける前の段階から始められます。いきなり着けるのではなく、「マスクを見る→さわる→持つ→顔に近づける」と、小さなステップに分けるイメージです。

たとえば、ぬいぐるみやお人形にマスクを着けて遊ぶ、という方法があります。「くまさんもマスクしてるね」と、遊びの中で自然に見せていくと、マスクが身近なものになっていきます。

次に、家の中で短い時間だけ試します。着けるのは、テレビを見ている間の1分だけ、のようなイメージです。外すときは、ほめるのではなく「できたね」と静かに伝えるくらいが、プレッシャーになりにくいようです。

ステップの例

・マスクを見る・さわる(遊びの中で)
・ぬいぐるみやお人形に着けてみる
・自分の顔の前に、持って近づけてみる
・家の中で、数十秒だけ着けてみる
・少しずつ、時間をのばしていく

途中で嫌がったら、前のステップに戻って大丈夫です。戻ることは、失敗ではありません。その子のペースに合わせて、行ったり来たりしながら進めていけば十分です。

また、親が楽しそうにマスクをつけたり外したりする姿を見せるのも、一つの方法です。「ほら、ママもつけてみるね。あ、ちょっと息がこもるね」と、気持ちを言葉にしてみせると、子どもは「大人もそう感じるんだ」と安心することがあります。

ごほうびシールのような仕組みを使うご家庭もありますが、無理に「がんばらせる」道具にならないよう、気をつけたいところです。シールをもらうことが目的になって、マスク自体の気持ち悪さがたまっていく、ということもあります。

ほのママ
ほのママ

ぬいぐるみにマスクを着けてあげるの、うちでもやってみようかな。

ここわん
ここわん

いいわん! 遊びの中なら、子どもも構えずにマスクに触れられるわん。

マスクの種類・サイズ・ひもを、いっしょに選んでみる

型紙と一緒に置かれた、布で作ったマスク
Photo by Pavel Danilyuk on Pexels

マスクを嫌がる子には、マスクそのものを変えてみるという工夫も、効果がある場合があります。マスクには、形も素材もサイズも、たくさんの種類があるからです。

チェックしたいのは、次のような点です。

気になりやすい点試してみたい工夫
肌ざわりがイヤやわらかい布のマスク、内側がガーゼやコットンのもの
耳のひもが痛い・気になるひもがやわらかい・長さを調節できるもの、頭の後ろでとめるタイプ
鼻のワイヤーが当たるワイヤーなしのもの、ワイヤーを抜いたもの
大きさが合わない子ども用のサイズを、顔の幅に合わせて選ぶ
息苦しい布が口にはりつかない、立体的な形のもの

このとき、子ども自身に選んでもらうのがポイントです。好きなキャラクターや色の柄を選べるだけで、「自分で選んだもの」という気持ちが生まれます。選ぶ時間そのものを、楽しい時間にできたらいいですね。

サイズは、大きすぎても小さすぎても、気持ち悪さにつながります。顔の幅やあごの長さに合わないと、ずれたり、浮いたりして、直したくなってしまいます。お店で試せるときは、実際に当ててみると安心です。

ひもの当たりがつらいときは、ひもを耳にかけず、頭の後ろでとめる形にする方法もあります。マスク用のひもバンドなど、市販の補助用品もあります。ただし、使うときは、ひもが首にからまったりしないよう、そばで見ていてあげてください。

「これならいいよ」と言ってくれたものは、同じ種類を複数用意しておくと、朝あわてずにすみます。洗い替えがあると、においや汚れが気になる子にも対応しやすくなります。

まとめ:マスクを嫌がる子と、無理なく進めるために

マスクを嫌がる子の気持ちと工夫を、あらためて整理する

秋の落ち葉の道を歩いていく、青い上着の子
Photo by Atlantic Ambience on Pexels

ここまで、マスクを嫌がる子の理由と、家庭でできる工夫を見てきました。あらためて、大切なポイントを整理します。

マスクを嫌がる理由は、息苦しさ・肌ざわり・ひもの当たり方・表情が見えない不安・理由が分からないなど、さまざまです。「わがまま」ではなく、その子なりの感じ方があるのだと、受けとめてあげたいですね。

工夫としては、顔に着ける前の段階から慣らす、マスクの種類やひもを変える、子どもが自分で選ぶ、場面ごとに時間を区切るなどがありました。どれも、すべてを一度にやる必要はありません。

おすすめは、一つだけ選んで、一週間ほど試してみることです。たとえば「ひものタイプを変える」だけ、「ぬいぐるみで遊ぶ」だけ、というように。変えるところが一つなら、うまくいったかどうかも分かりやすくなります。うまくいかなくても、「これはちがったんだな」と分かるだけで、前に進んでいます。

また、マスクの話をする時間を、叱る場面から切り離すことも大切です。マスクの話が出るたびに怒られる、という流れができてしまうと、マスクそのものが「イヤな記憶」と結びついてしまいます。お風呂のあとや、寝る前のおしゃべりの時間など、気持ちが落ち着いているときに、軽く話すくらいがちょうどいいようです。

要点:マスクを嫌がる子には、「どこがイヤなのか」を探して、小さなステップで進める。マスク自体を変えてみる。朝の玄関で決めず、前もって話しておく。

ほのママ
ほのママ

うちの子の「イヤ」の理由が、ちょっと見えてきた気がするの!

ここわん
ここわん

その気づきが大きな一歩だわん。ゆっくり一緒に進めていくわん。

一人で抱え込まず、マスクを嫌がる子と一緒に進んでいく

ティッシュの箱と観葉植物が置かれた、家の中の一角
Photo by Dmitry Zvolskiy on Pexels

マスクのことで悩んでいると、「ほかの子はできているのに」と、つい比べてしまうことがあります。でも、感じ方も慣れるスピードも、子どもによってちがいます。比べなくて大丈夫です。

季節や流行によって、マスクが求められる場面は変わります。そのたびに、保護者の方が気をもむこともあるかもしれません。それでも、毎日の暮らしの中で、「今日はここまでできた」と小さな変化を見つけていけば、少しずつ道は開けていきます。

たとえば、「今日はマスクを手に持てた」「ひもを耳にかけるところまで触れた」「5秒だけ着けていられた」。そんな小さな変化は、ほめられるほど目立たないかもしれません。けれど、そのひとつひとつが、子どもにとっては大きなチャレンジです。保護者の方が気づいてあげるだけで、「見てもらえている」という安心感につながります。

園や学校の先生とも、家での様子や、試した工夫を共有しておくと、無理のない形を一緒に考えやすくなります。一人で抱え込まず、まわりの力も借りながら進めていきましょう。

今日の朝の「イヤ」が、少しでもやわらぐきっかけになればうれしいです。マスクを嫌がる子と一緒に、ゆっくり、できるところから進めていきましょうね。

アイキャッチ画像:Photo by Justyna Grochowska on Pexels

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