計算が苦手な子の気持ちと、つまずきやすい場面
こんにちは!おやまどの鈴木です。
宿題のプリントを前に、鉛筆が止まってしまう。指を使って数えたり、答えをすぐに忘れてしまったり。計算が苦手な子を見ていると、「このままで大丈夫かな」と心配になりますよね。
この記事では、計算が苦手な子がつまずきやすい理由や、ご家庭でできる関わり方を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけ?」と不安なときの、小さな手がかりになればうれしいです。
計算が苦手だからといって、やる気がないわけでも、努力が足りないわけでもありません。つまずきの理由は、お子さんによってさまざまです。まずは「どこで止まっているのかな」と、様子を眺めてみましょう。
計算が苦手な子が感じている、むずかしさと不安

計算が苦手な子は、実際にどんなところで困っているのでしょうか。大きく分けると、いくつかのパターンがあります。
ひとつ目は、数の意味がつかみにくいことです。「5」という数字は読めても、「りんごが5個」という量のイメージと結びつきにくい子がいます。数字を記号として覚えているだけだと、足し算や引き算で「なぜそうなるのか」が見えにくくなります。
ふたつ目は、繰り上がり・繰り下がりなど、手順が増えるところです。一桁の計算はできても、位が増えて手順が長くなると、途中で何をしていたか分からなくなることがあります。頭の中で覚えておく量が増えるからです。
みっつ目は、覚えることへの負担です。九九や計算の答えを丸ごと暗記するのが苦手な子もいます。覚えたはずなのに、次の日には思い出せない、ということも珍しくありません。
よくある例として、計算の途中で数字を書き間違える、位をそろえて書けない、といった書き方のむずかしさが原因の場合もあります。考え方は分かっているのに、ノートの上で混乱してしまうのです。
年齢によっても、つまずく場面は変わります。幼児期や小学1年生なら数の理解、2年生なら九九、3年生以降なら筆算や文章題など、学年が進むにつれて新しい壁が出てきます。
また、文章題になると、計算そのものよりも「問題文を読み取る」ところで止まる子もいます。何を求める問題なのか、どの数字を使うのかが整理できないと、式を立てる前に手が止まってしまいます。こうした場合は、計算力だけでなく読み取りの負担も一緒に考えてみると、つまずきの正体が見えやすくなります。
できない理由が分からないまま「なんでできないの」と言われると、子どもは「自分はだめなんだ」と感じてしまうことがあります。どこでつまずいているのかを一緒に探す姿勢が、最初の一歩になります。

計算って、できるのが当たり前だと思ってたけど…ひとつずつ見ると、いろんな力が必要なのね。

そうなんだわん。計算は、実は「数の理解・手順・記憶・書く力」の組み合わせなんだわん。どこが引っかかっているかを見ることが大事だわん。
計算が苦手な子が、とくにつまずきやすいタイミング

同じ子でも、計算が得意な日と苦手な日があります。つまずきやすいタイミングを知っておくと、先回りして関わりやすくなります。
よくあるのは、新しい単元に入ったときです。繰り上がりのある足し算、九九、わり算、小数や分数など、新しい考え方が出てくる時期は、一気に苦手意識が強まることがあります。
つぎに、時間を意識する場面です。「早く終わらせなさい」「あと何分」と言われると、焦って頭が真っ白になってしまう子もいます。テストや計算ドリルの時間制限がある場面では、とくに緊張しやすいようです。
また、疲れているときも要注意です。学校でたくさん頑張ったあとの宿題は、頭がうまく働かないことがあります。同じ問題でも、朝なら解けるのに夜は解けない、ということもあります。
ほかにも、友だちと比べてしまう場面があります。周りの子が早く終わらせている様子を見て、「自分だけできない」と落ち込んでしまうことがあります。こうした気持ちが積み重なると、算数そのものが嫌いになってしまうこともあります。
「毎回できない」と感じていても、よく見ると、スムーズに進む問題もあるはずです。できている部分にも目を向けてみてください。得意な部分が分かると、苦手な部分を支える手がかりにもなります。
たとえば、「足し算は速いけれど、繰り下がりのある引き算で止まる」「式は書けるのに、答えを書くときに数字を間違える」など、つまずきの場所がはっきりしていることも多いものです。場所が分かれば、そこだけを丁寧に練習すればよくなります。
保護者の方が「ぜんぶ苦手」と感じていても、細かく見ていくと、苦手なのはほんの一部ということもあります。そう考えると、少し気持ちが軽くなるかもしれません。
計算が苦手な子と進める、楽しい工夫と小さなステップ
計算が苦手な子におすすめの、具体物を使った数の理解

計算が苦手な子には、まず数を目で見て、手で触れて理解することから始めるのがおすすめです。数字だけを見るよりも、実際のものを動かしたほうが、数のイメージがつかみやすくなります。
たとえば、おはじきやブロック、おやつのビスケットなどを使います。「3個あるところに2個足すと、いくつになるかな」と、実際に並べて数えてみる方法です。数が増える、減る様子が目に見えるので、足し算や引き算の意味が分かりやすくなります。
そろばんや、10個のまとまりがわかる教材も役立ちます。10のまとまりを作る考え方は、繰り上がりや繰り下がりの土台になります。「7と3で10」「10と4で14」のように、10を基準にして考える練習をしてみましょう。
小さなステップの例
・ステップ1:ものを数えて、数の量を感じる
・ステップ2:ものを動かして、足し算・引き算をやってみる
・ステップ3:絵や図を描いて考える
・ステップ4:数字だけで式を書いてみる
・ステップ5:暗算にもチャレンジしてみる
大切なのは、ひとつ前の段階に戻ってもよいということです。数字だけの計算でつまずいたら、またブロックに戻って確かめる。行ったり来たりしながら、少しずつ進んでいけば十分です。
「ここまでできたね」と、できたところをしっかり認めることも忘れずにしてあげてください。小さな「分かった」の積み重ねが、自信につながります。
ほかにも、声に出して数える、指を使って数えることを、無理にやめさせなくても大丈夫です。指で数えるのは、数の感覚を確かめている大切なステップです。慣れてくると、自然に頭の中で考えられるようになる子も多いと言われています。
ゲームや日常の場面で、計算が苦手な子の気持ちをほぐす工夫

ドリルや問題集を前にすると身構えてしまう子も、遊びや日常の中なら自然に取り組めることがあります。計算が苦手な子の気持ちをほぐす、取り入れやすい工夫を紹介します。
ひとつは、トランプやすごろくなどのゲームです。サイコロの目を足して進む、カードの数を比べる、といった遊びの中で、自然に数の感覚が身につきます。勝ち負けにこだわりすぎる子には、協力して進めるルールにするとよいかもしれません。
ふたつ目は、買い物ごっこやお手伝いです。「100円でおかしを買うなら、いくつ買えるかな」「おやつを家族で分けるなら、ひとり何個かな」といった会話は、生活の中の計算のよい練習になります。
みっつ目は、料理やおやつ作りです。計量スプーンで量を測る、材料を半分にする、といった体験は、分数や割合の土台にもなります。「役に立つ」と感じられることで、計算への見方が変わる子もいます。
たとえば、「今日の夕ごはんで使うたまごは何個かな」と聞いて、一緒に冷蔵庫を確認する、というやりとりでも十分です。数を使うことが楽しいと感じられるよう、肩の力を抜いて取り入れてみてください。

お買い物でお釣りを計算させたら、わたしのほうが間違えちゃいそう…えへへ…

それも学びのチャンスだわん。親が間違えて、一緒に確かめる姿を見せるのは、とても良いお手本になるわん!
道具と環境を整えて、計算が苦手な子が続けやすくする
ノートやプリントを、計算が苦手な子に合わせて工夫する

計算が苦手な理由が、書くときの混乱にあるときは、ノートやプリントの使い方を見直してみましょう。ほんの少しの工夫で、見やすさや書きやすさが大きく変わります。
まず、マス目の大きなノートを使ってみてください。小さなマスだと、数字が窮屈になり、位をそろえにくくなります。1マスに1つの数字を書き、位をそろえる練習ができます。
筆算のときは、縦の線を引いて位を分ける方法もあります。一の位、十の位、百の位がはっきり分かれるので、間違いが減ることがあります。
プリントは、問題数を少なめにする、行間をあけるなどの工夫があります。ぎっしり並んだ問題を見ただけで、やる気がなくなってしまう子もいます。1枚に3〜5問に絞るだけで、取り組みやすくなります。
消しゴムで消すのが苦手な子もいます。何度も消して紙が破れたり、イライラしたりすることもあるので、間違えた式に線を引いて、横に書き直すやり方を試してみるのも一案です。間違いが消えないぶん、あとで「どこで間違えたか」を振り返りやすくなります。
また、色鉛筆やマーカーを使うのも一案です。繰り上がりの数字を赤で書く、問題文の大事な数字に線を引く、といった工夫で、頭の中を整理しやすくなります。
時間や声かけを整えて、計算が苦手な子が落ち着いて取り組める環境に

計算が苦手な子にとって、取り組む環境はとても大切です。机の上に余計なものがあると、気が散って集中しにくくなります。必要なものだけを置いて、すっきり整えてみましょう。
時間帯も見直してみてください。疲れていない時間に取り組むと、頭が働きやすくなります。帰宅後すぐは疲れていることが多いので、おやつを食べて一息ついてからにする、という工夫もあります。
1回に取り組む時間は、短めに区切るのがおすすめです。10〜15分ほど集中して、休憩を挟む。タイマーを使って、終わりが見えるようにすると、「ここまでなら頑張れる」と思いやすくなります。
保護者の方の声かけも、環境の一部です。「早くしなさい」「なんでできないの」ではなく、「ここまでできたね」「どこが分かりにくかった?」といった言葉を意識してみてください。
たとえば、間違えたときに「違うよ」と言う代わりに、「もう一回、一緒にやってみようか」と声をかける方法があります。間違いは、次に進むヒントだと伝えられると、お子さんも安心して挑戦できます。
お子さんが「分からない」と言えたときは、まず、その勇気をほめてあげてください。分からないことを伝えられるのは、大切な力です。「分からないと言えてえらいね」と受け止めてもらえる経験が、次の挑戦につながります。
算数でのつまずきについては、こちらの記事でも取り上げています。


時間を決めて、短くやるのはいいかも!集中力が続かないのは、わたしも同じだし…!

いい考えだわん。ただ、時間を守らせることが目的にならないよう、「今日はここまでできたね」と、お子さんの頑張りを認めることも忘れずにだわん。
まとめ:計算が苦手な子を、責めずに見守るために
計算が苦手な子への声かけと、できたことの認め方

計算が苦手な子に声をかけるとき、つい「前にもやったでしょ」と言いたくなる日もあると思います。それでも、責める言葉より、できたことを伝える言葉のほうが、お子さんの心に届きやすいと言われています。
たとえば、「最後まで考えたね」「数え直して答えを見つけたね」など、結果ではなく取り組んだ過程に目を向けてみましょう。間違えても、考えたことそのものが大切な経験です。
テストの点数や、計算の速さで、お子さんを評価しないようにしたいところです。その子なりの進み方を認めることが、算数への前向きな気持ちを守ることにつながります。
もし周りと比べて不安になったときは、昨日のお子さんと比べることを思い出してみてください。1か月前にはできなかった問題が、今日はできている。そんな小さな変化が、お子さんの成長のしるしです。
家庭学習が負担になっているときは、思い切ってお休みする日をつくっても大丈夫です。「今日は計算はお休み」と決めて、ゲームやお手伝いで数に触れるだけの日があってもよいと思います。
ゲームを取り入れるときは、負けても楽しい雰囲気づくりが大切です。点数を競うより、「今日は何回できたかな」と、お子さん自身の記録を一緒に見るほうが、気持ちが前向きになりやすいようです。
手順を整えて取り組む工夫については、整理整頓の記事でも触れています。


叱るより、できたことを見つけるほうが、わたしもラクかも…!うちの子だけじゃないんだ…!

その気持ちが大事だわん。お子さんのペースを信じて、ゆっくり進めばいいわん。
ひとりで抱え込まず、計算が苦手な子のペースで進めよう

毎日の宿題で、計算が苦手な子と向き合う時間は、保護者の方にとって大変な日もありますよね。でも、ひとりで頑張りすぎなくて大丈夫です。
苦手なことは、ある日突然分かるようになる子もいます。今はつまずいていても、成長とともに状況が変わることは珍しくありません。焦らず、見守る気持ちを大切にしてください。
学校の先生に、家での様子を伝えておくのもひとつの方法です。授業中の様子や、ノートの取り方など、学校でしか分からないことを教えてもらえると、家庭での関わり方のヒントになります。
お子さんが計算に自信をなくしているときは、算数以外の得意なことに目を向ける時間も大切です。絵が好き、体を動かすのが好き、虫に詳しいなど、得意なことを認めてもらえると、気持ちに余裕が生まれ、苦手なことにも向き合いやすくなります。
保護者の方自身が疲れているときは、計算の練習をお休みしても大丈夫です。親の気持ちに余裕があることが、子どもの安心にもつながります。同じ悩みを持つ方と話すだけでも、気持ちが軽くなることがあります。
この記事のポイント
計算が苦手な理由は、数の意味、手順の多さ、覚えることの負担、書き方のむずかしさなど、さまざまです。具体物やゲームなど楽しい工夫から始めて、ノートや環境を整え、できたことを認めながら、お子さんのペースで進めていきましょう。
今日の小さな「分かった!」を、ぜひ一緒に喜んであげてくださいね。
アイキャッチ画像:Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels



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