避難訓練を怖がる子どもの気持ちとは
こんにちは!おやまどの鈴木です。
「今日は避難訓練があるんだって」と伝えた途端、顔がこわばったり、前の日から「学校に行きたくない」と言い出したり。避難訓練を怖がる子どもの様子に、どう声をかけたらいいのか迷っている保護者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、避難訓練を怖がる子どもの気持ちや背景、ご家庭でできる関わり方を、やさしい言葉で整理していきます。「うちの子だけかな」と感じているときの、ひと息つくきっかけになればうれしいです。
突然の大きな音に体がこわばってしまう

避難訓練では、非常ベルやサイレン、緊急放送など、ふだんの学校生活では聞かない大きな音が使われます。大人は「訓練だから」と分かっていても、子どもにとっては、予告なく鳴る音が「何か本当に悪いことが起きた」というサインに聞こえることがあります。
音の感じ方には、一人ひとり違いがあります。たとえば、大きな音を耳に受けたときに、心臓がどきどきしたり、体が固まったり、その場から動けなくなったりする子もいます。これは気持ちが弱いからではなく、音の刺激を強く受け取りやすい子がいるということなんです。
学校によっては、放送で「これは訓練です」と最初に伝えてから音を鳴らすところもあります。ただ、その言葉が耳に入らないほど驚いてしまう子もいるため、音そのものへの準備が助けになることがあります。耳をふさいでもよい、目を閉じてもよいと前もって決めておくだけで、心の余裕が生まれる子もいます。
音が鳴る前に「あと少しで鳴るよ」と分かっていれば、身構えて落ち着いていられる子も少なくありません。反対に、いつ鳴るか分からない状態が続くと、それだけで前の日から緊張してしまう、というケースもあります。

サイレンって、大人でもびっくりするもんね。うちの子が固まっちゃうのも、ちょっと分かる気がする…

その気持ちに気づけたのは大きな一歩だわん。「怖がりだね」で終わらせず、「大きな音がつらかったんだね」と受け止めてあげてほしいわん。
いつもと違う雰囲気への戸惑い

避難訓練の日は、いつもの授業とは流れがまったく違います。先生の声のトーンが変わったり、急に「静かに」「走らない」と指示が増えたり、教室ではなく校庭や別の場所へ移動したりと、子どもにとっては予想外のことが続きます。
見通しが持てないことに不安を感じやすい子は、この「いつもと違う」だけで気持ちが大きく揺れることがあります。何をするのか、どこへ行くのか、いつ終わるのかが分からないと、頭の中で最悪の場面を想像してしまう子もいるようです。
たとえば、楽しみにしていた授業が訓練でなくなったり、給食の時間がずれたりすると、それだけで気持ちが落ち着かなくなる子もいます。予定の変更に敏感なタイプの子にとっては、避難訓練は「予定が変わる日」でもあるんですね。そう考えると、怖がる様子も理解しやすくなります。
また、真剣な空気の中で、先生やまわりの友達が少しピリッとした表情になっていると、その雰囲気を敏感に感じ取ってしまう子もいます。言葉で説明されていなくても、「怖いことが起きるのかもしれない」と受け取ってしまうことがあるんですね。
大人にとっては小さな変化でも、子どもにとっては大きな出来事です。「いつもと違うことが続くと疲れやすい」という特徴は、決して珍しいものではありません。まずはその感じ方を、そのまま認めてあげたいところです。
避難訓練を怖がる理由をひもとく
避難訓練を怖がる背景には、子どもによってさまざまな理由が重なっていることが多いです。ここでは、よくある理由をいくつか見ていきましょう。
「本当に起きたらどうしよう」と想像してしまう

想像力が豊かな子や、心配ごとを頭の中でふくらませやすい子は、避難訓練をきっかけに「もし本当に火事になったらどうしよう」「地震が来たらみんなとはぐれてしまうかも」と考え込んでしまうことがあります。
これは、災害の怖さを理解し始めているからこそ、とも言えます。小さいうちは実感がなくても、成長とともにニュースや先生の話から「怖いことが世の中にはある」と知るようになります。その気づきが、訓練の日に不安として表れることもあるんです。
大人が思うより、子どもは「もしも」の話を真剣に受け止めています。訓練の日に先生から聞いた「地震のときはこうしましょう」という話が、そのまま夜の不安につながってしまい、寝る前に何度も確認したくなる子もいます。夜になってから急に不安が出てくることもあるので、その日の夜は少し早めにそばにいてあげるとよいでしょう。
たとえば、訓練の前後に「火事になったらどうなるの?」「地震のとき、ママはどこにいるの?」と何度も聞いてくる場面があるかもしれません。それは、安心できる答えがほしいというサインと受け止めてみてください。

あ、うちの子も「ママは迎えに来てくれる?」って何回も聞いてきたことあるかも…えへへ、毎回ちゃんと答えられてたかなぁ。

何度聞いても、そのたびに答えてあげるだけで十分だわん。同じ質問をくり返すのは、安心を確かめたいからなんだわん。
過去の怖かった経験とつながってしまう

以前に体験した怖い出来事と、避難訓練の音や雰囲気が結びついてしまう子もいます。地震の揺れを経験した、近くで火災や救急車のサイレンを聞いた、大きな音で驚いた、といった記憶が、訓練のたびによみがえることがあります。
本人がそのことをはっきり覚えていなくても、体だけが「あのときと似ている」と反応する場合もあると言われています。そのため、大人から見ると理由がはっきりせず、「なんでそんなに怖がるの?」と感じることもあるかもしれません。
思い出したくない記憶は、無理に掘り起こさなくて大丈夫です。安心できる場所やお気に入りの物、好きな遊びの時間など、心がほっとする時間を毎日の中に増やしていくことが、遠回りのようでいて支えになっていきます。「ここは安全だよ」と伝わる暮らしのリズムを、大切にしてあげてください。
このとき大切なのは、理由を無理に聞き出そうとしないことです。話したくなさそうなときは、そっとしておく選択も大切です。言葉にできないだけで、気持ちの中ではしっかり不安を抱えていることがあります。
テレビやスマートフォンで流れる災害のニュースの映像を見て、不安が強くなることもあります。映像や音が刺激になっている場合は、しばらく見せ方を調整してあげるのも一つの方法です。
避難訓練を怖がるときの家庭での向き合い方
避難訓練を怖がる子には、「怖くないよ」と励ますより先にできることがあります。ご家庭で無理なく取り入れやすい向き合い方を見ていきましょう。
怖い気持ちをそのまま受け止める

「怖い」と伝えてくれたときは、まず「怖かったんだね」「不安だったんだね」と、気持ちを言葉にして返してあげましょう。「大丈夫」「気にしすぎ」とすぐに打ち消してしまうと、子どもは「分かってもらえなかった」と感じて、気持ちを話さなくなることがあります。
気持ちを受け止めるといっても、特別なことをする必要はありません。うなずきながら聞いたり、そばに座って背中をさすったり、ぎゅっと抱きしめたり。それだけで、子どもの体の緊張がゆるむことも多いです。
気持ちを受け止めるときは、大人の側が焦らないことも大切です。「早く慣れてほしい」という気持ちが強いと、つい急かす言葉が出てしまいます。けれども、子どもの心は、安心できた分だけ少しずつ動き出すものです。今日の様子を責めず、明日の小さな変化を待つ姿勢で向き合ってみてください。
「怖いと思うのは、ちゃんと危ないことを分かっているからだね」と、怖がる気持ちを大切な力として言い換えるのも、一つの声かけです。怖がることを恥ずかしいと感じている子にとって、安心につながりやすい言葉と言われています。
避難訓練で何をするのか見通しを伝える

見通しが持てないことが不安のもとになっている子には、訓練の流れを事前に知っておくことが助けになります。学校からのお知らせに日時や内容が書かれていれば、それを一緒に見ながら、「こんなふうに進むよ」と話してあげましょう。
伝えるときは、たとえば次のように、順番を短い言葉で並べると分かりやすいです。
絵や図にして見せるのも、分かりやすい方法です。簡単な流れを紙に書いて冷蔵庫に貼っておくと、何度でも見返せます。文字より絵のほうが伝わりやすい子には、順番に矢印をつけた簡単な絵を描いてあげるとよいでしょう。訓練が終わったら、一緒に「できたね」と丸をつけるのも励みになります。
避難訓練の流れの伝え方の例
・放送やベルが鳴る
・先生の話をよく聞く
・ハンカチで口をおさえて、静かに移動する
・校庭に並んで、先生の話を聞く
・終わったら教室に戻る
あわせて、「音が鳴るけれど、これは練習の音だよ」「ほんとうの火事ではないよ」と、練習であることをはっきり伝えるのもポイントです。担任の先生に、音が鳴るタイミングを前もって知らせてもらえないか、相談してみるのも一つの方法です。

先生に「うちの子、音が苦手みたいで」って伝えてもいいのかな…迷惑にならないかなぁ。

先生も子どもの様子を知りたいと思っているはずだわん。伝えることで、当日の配慮につながることもあるわん。
避難訓練を怖がる子への事前の準備と当日の工夫
避難訓練の前後のちょっとした工夫で、怖がる気持ちが軽くなることがあります。無理のない範囲で、できそうなものから試してみてください。
家で練習して「知っている」を増やす

初めてのことより、一度経験したことのほうが安心しやすい、という子は多いです。避難訓練でも、家で軽く練習しておくことで、「知っている」という感覚が増えて気持ちが落ち着きやすくなります。
練習といっても、ゲームのように楽しく進めるくらいがちょうどいいです。たとえば、「ピピピと音が鳴ったら、先生のところに集まる遊び」などにして、笑いながら動き方を確かめていくやり方があります。
練習をするときは、大人が先にやってみせると、子どもも安心して真似しやすくなります。うまくできなくても、笑い合える雰囲気であれば、それで十分です。「失敗しても大丈夫」という感覚が育つと、本番でも少しだけ肩の力が抜けやすいと言われています。
音が苦手な子には、家で小さな音から少しずつ慣らしていく方法もあります。ただし、本人が嫌がるときは無理をしないことが大切です。「できた」で終わる練習を意識して、続きは別の日にしましょう。
当日が近づいたら、「訓練の日は、ここまでできたらすごいね」と、ごく小さな目標を一緒に決めておくのもおすすめです。「最後まで教室にいられたらOK」「校庭までいけたら十分」といった目標なら、気持ちの負担が軽くなります。
当日の朝と帰ってきてからの過ごし方

当日の朝は、いつも通りの流れを大切にしましょう。朝ごはん、身支度、いってきますの声かけなど、変わらない習慣が心の安定につながります。
「今日は訓練の日だけど、練習だからね」と軽く声をかけ、送り出すくらいで十分です。あまり心配そうな表情をすると、子どもにも不安が伝わってしまうことがあるので、笑顔で見送れるとよいですね。
訓練の日の夜は、いつもより早めにお風呂に入って、ゆったり過ごすのもおすすめです。緊張が続いた一日のあとは、体も心も疲れています。好きな絵本を読んだり、お気に入りのぬいぐるみと過ごしたり、安心できる習慣で一日を締めくくれるとよいですね。
帰ってきてからは、まず「おかえり」と迎えて、ほっとできる時間をつくってあげましょう。訓練の感想を無理に聞き出す必要はありません。話したいときに話せるよう、おやつを食べながらのんびり過ごす時間をとってみてください。


まとめ:避難訓練を怖がる子と、あせらず歩む
ここまで、避難訓練を怖がる子どもの気持ちや理由、ご家庭での向き合い方についてご紹介してきました。最後に、大切なポイントを振り返っておきましょう。
避難訓練を怖がるのは、よくあること

避難訓練を怖がる背景には、大きな音への反応、いつもと違う雰囲気への戸惑い、想像がふくらむことなど、その子なりの理由があります。怖がる気持ちは、危険に気づける力の表れでもあります。気持ちをそのまま受け止めてもらえる経験が、子どもの安心の土台になります。
学年が上がり、経験を重ねる中で、少しずつ慣れていく子も多く見られます。今、強く怖がっているとしても、それがずっと続くとは限りません。長い目で見て、今の時期を一緒に見守っていきましょう。
怖がる気持ちがなかなか落ち着かないときは、担任の先生や学校の相談窓口に、ご家庭での様子を話してみるのも一つの方法です。学校でできる配慮を一緒に考えてもらえることがあります。ご家庭だけで背負わず、まわりの力も借りていきましょう。
今日からできる小さな一歩

気持ちを受け止める、流れを伝える、家で楽しく練習してみる。できることは、いくつもあります。すべてを一度に試そうとしなくても大丈夫です。一人で抱え込まなくて大丈夫ですし、できそうなことを一つ選ぶだけでも十分です。

なんだか、ちょっと肩の力が抜けたかも。まずは「怖かったね」から始めてみようかな。えへへ。
小さな一歩は、本当に小さくて大丈夫です。今日は「怖かったね」と言えた、それだけでも立派な一歩といえます。うまくいかない日があっても、責める必要はありません。子どものペースを信じて、また明日から一緒に歩いていきましょう。

その調子だわん。大丈夫、一緒に考えるわん!
避難訓練を怖がる背景には、大きな音や、いつもと違う雰囲気への戸惑いなど、子どもなりの理由があります。気持ちを受け止め、見通しを伝えながら、その子とご家庭のペースで進んでいきましょう。
アイキャッチ画像:Photo by Jakub Zerdzicki on Pexels



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