靴下を嫌がる子の気持ちと、つまずきやすい理由
こんにちは!おやまどの鈴木です。
靴下を嫌がる子が感じている、ちくちくと締めつけの不快感

朝の支度の時間。靴下を出したとたん、「やだ」と脱ぎ捨ててしまう。はかせても、すぐに脱いで裸足で走りまわる。登園や登校の時間は迫っているのに、靴下だけで何分もかかってしまう。そんな毎日に、くたびれている保護者の方も多いのではないでしょうか。靴下を嫌がる子は、わがままを言っているわけではありません。
大人にとって靴下は、はいていることすら忘れる存在です。けれど子どもによっては、縫い目のごろごろ、生地のちくちく、足首の締めつけが、とても気になることがあります。まるで、足の裏に小石が入ったまま歩いているような感覚に近い、と言われることもあります。

うちの子、靴下を見ただけで「いたい!」って言うの。わたし、てっきり面倒くさいだけだと思ってたんだけど…。

それは違うわん! 子どもの足は、大人が思うよりずっと繊細なことがあるんだわん。まずは「いやなんだね」と受けとめるところから始めるわん。
たとえば、つま先の縫い目が当たる、ゴムがきつい、生地がちくちくする、足がむれる、ずれてくる。こうした小さな不快感が積み重なると、靴下そのものが「いやなもの」になっていきます。子どもにとっては、毎日の小さな我慢の連続なのかもしれません。
まずは「靴下が苦手なのには、ちゃんと理由があるのかもしれない」と考えてみてください。それだけで、朝のバトルが少しだけ静かになることもあります。
「靴下くらいで」と思われてしまうこともあるかもしれません。けれど、毎日の生活の中で繰り返される不快感は、大人が想像する以上に、子どもの気持ちを疲れさせます。小さなことに見えても、本人にとっては大きなことだと受けとめてあげることが、親子の信頼につながります。
また、子どもは自分の感覚をことばでうまく説明できないものです。「ちくちくする」「ぎゅってする」とは言えず、ただ「やだ」「きらい」とだけ言うこともあります。不快の理由を、一緒に探してみるつもりで関わると、子どもも少しずつ話してくれるようになります。
靴下を嫌がる子に多い、感覚の「ちがい」とは

人によって、肌ざわりや締めつけ、温度の感じ方には幅があります。同じ靴下でも、「やわらかくて気持ちいい」と感じる子もいれば、「ざらざらして落ち着かない」と感じる子もいます。感じ方のちがいは、性格や育て方とは別の話だと言われています。
専門用語で、音や感触に敏感なことを「感覚過敏」と呼ぶことがあります。これは「いつもより刺激を強く受けとりやすい状態」というくらいの意味で、一つのことばでかんたんに決めつけられるものではありません。ここでは「その子なりの感じ方がある」と考えるくらいで十分です。
成長とともに、感じ方が変わっていくことも少なくありません。幼いころは苦手だった感触が、小学生になるころには気にならなくなる子もいます。今の苦手さが、ずっと続くとは限らないと知っておくと、気持ちに余裕が持てます。
たとえば、同じきょうだいでも、靴下を平気ではく子と、まったくはけない子がいることがあります。それは、どちらかが「おりこう」でどちらかが「困った子」という話ではありません。もともとの感じ方のちがいが、そのまま表れているだけかもしれません。
感覚のことをくわしく知りたいときは、こちらの記事も参考になります。

「どの刺激がいちばん苦手なのかな?」と、少し離れたところから観察してみるのがコツです。縫い目なのか、ゴムなのか、生地なのかがわかると、工夫の方向が決まりやすくなります。靴下以外に、タグのちくちくを嫌がる、帽子やマフラーを嫌がる、といった様子とのつながりが見えてくることもあります。
観察のヒントとして、「はいた直後にすぐ脱ぐ」のか、「はく前から嫌がる」のかを見てみましょう。はいた直後に脱ぐなら、はき心地そのものが気になっている可能性があります。
はく前から嫌がるなら、「はく」という行動や、そのあとの予定に対するいやな気持ちが関係しているかもしれません。
靴下を嫌がる子が、とくに困りやすい場面
朝の支度で、靴下を嫌がる子と時間がかかってしまうとき

朝は、時間との戦いです。保育園や学校に間に合わせたいのに、靴下をはくところで止まってしまう。保護者の方も、つい「早くして!」と声が大きくなってしまいがちです。そうなると、子どもはいっそう体を固くして、動けなくなってしまうことがあります。
よくある例として、靴下を持ったまま床にぺたんと座りこんだり、はいては脱いでをくり返したりする場面があります。朝の忙しさと不快感が重なって、気持ちが追いつかなくなっているのかもしれません。
さらに、朝は眠さや空腹もあり、いつも以上に刺激に敏感になりやすい時間帯です。夜にはけた靴下は平気でも、朝には嫌がる、ということもあります。時間帯によっても、感じ方が変わることを知っておくと、焦る気持ちが少し落ち着きます。

朝はわたしもバタバタで、つい「もう! 早くはいて!」って言っちゃうのよね…。えへへ…。

そんな朝もあるわん。大丈夫、一緒に考えるわん。前の晩に準備しておくだけで、気持ちにゆとりが生まれるわん。
前の晩に、明日はく靴下を枕元に出しておく。朝は、玄関に着いてから靴を履くときにはく。「朝のバタバタを減らす」だけでも、子どもの負担はずいぶん軽くなります。着替え全体のことは、こちらでも取り上げています。
たとえば、5分早く起きる習慣をつくる、朝食の前に着替えを済ませる、靴下だけは玄関ではく、といった順番の工夫もあります。家庭ごとに、いちばん無理のない流れを探してみるのがコツです。

靴や園の決まりで、靴下を嫌がる子が困るとき

園や学校によっては、「靴下をはく」「上履きを履く」「冬は靴下を二枚重ねる」といった決まりがあります。家では裸足で過ごせても、外では靴下が必要になる場面は多いものです。そのたびに、子どもは嫌な気持ちを我慢しなければなりません。
靴との相性も影響します。靴の中で靴下がよれると、足の裏でごろごろして、歩くたびに不快になります。靴下だけでなく、靴とのセットで考えると、原因が見つかることもあります。
サイズが合っていないことも、意外と多い原因です。成長の早い時期は、気づかないうちに靴下が小さくなっていることがあります。つま先が窮屈そうだったり、かかとがずれていたりしないか、足を一度ていねいに見てあげてください。
靴下の悩みで見直したいところ
・縫い目が足の指に当たっていないか
・ゴムが足首にきつく食い込んでいないか
・生地がちくちく・ざらざらしていないか
・靴の中で靴下がよれていないか
・汗でむれて、不快になっていないか
園の先生にも、子どもの気持ちを伝えておくと安心です。「靴下の感触が苦手で、はくのに時間がかかるようです」と共有しておくと、配慮してもらえることもあります。たとえば、はき替えの時間を少し長めにとる、薄手のものを許可してもらう、といった対応が考えられます。
先生が理由を知っているだけで、「どうしてはかないの?」と責められる場面が減り、子どもも安心して過ごせます。家庭と園が同じ方向を向いていることは、子どもにとって大きな支えになります。
靴下を嫌がる子に、家庭でできる工夫
素材と形を見直す、靴下を嫌がる子への靴下えらび

まず試したいのが、靴下そのものの見直しです。苦手な理由によって、選ぶポイントが変わります。次のような視点で、いくつか試してみてください。
裏返してはく、という工夫もあります。縫い目が表側にくるので、足に当たらなくなります。ご家庭で今日すぐ試せる、いちばん手軽な方法です。また、一度洗濯して、やわらかくなったものから試すのもひとつの方法です。柔軟剤の香りやごわつきが気になる子もいるので、洗剤や洗い方を変えてみるのも一案です。新品より、少しはき込んだ靴下のほうが気持ちよく感じる子もいます。
季節によっても、選び方は変わります。夏は通気性のよい薄手のもの、冬は保温性があってもちくちくしにくいものなど、季節ごとに数種類を用意しておくと、その日の気分に合わせて選べます。選べる余裕があることが、子どもの安心につながります。
お店で選ぶときは、子ども自身に触ってもらい、「これならいいよ」というものを選ばせてあげましょう。自分で選んだ靴下だと、はこうという気持ちが少し高まります。「このくつしたは、ぼくが選んだんだ」と誇らしげに話す子もいます。いくつか違うタイプを少量ずつ試して、気に入ったものを買い足していくと失敗が減ります。
なお、靴下をどうしてもはけない日は、レッグウォーマーや足首までのやわらかい靴をはく、家の中では裸足で過ごすなど、別の方法で乗り切ることも一案です。「はくこと」だけが目的ではなく、足を守り、快適に過ごすことが目的と考えると、選択肢が広がります。
見通しと「選べる」安心で、靴下を嫌がる子を支える

靴下のこわさのひとつは、「はかされる」という受け身の感覚です。そこで、自分ではく・自分で選ぶという流れをつくると、気持ちが変わることがあります。ほんの少しでも、子どもが主役になれる場面を増やしてみましょう。

そっか、「自分で選ぶ」のがいいのかも! わたしもお洋服を自分で選ぶと、ちょっとワクワクするもん。

その調子だわん! 「どっちにする?」と選ばせるだけで、「自分で決めた」という気持ちになるわん。
「青い靴下と黄色い靴下、どっちにする?」「ママがはかせる? 自分ではく?」のように、選択肢を二つ用意すると、受け身だった気持ちが少し動きだします。はく前に、足をやさしくマッサージして、足のまわりの感覚に慣れてもらうのも、よく知られた工夫のひとつです。
マッサージをするときは、強く押さず、手のひらで包むようにやさしくなでる程度で十分です。「足がぽかぽかしてきたね」と声をかけながら行うと、リラックスの時間にもなります。嫌がるときは無理に続けず、また別の日に試してみましょう。
たとえば、お風呂上がりのあたたかい足は、マッサージの受け入れもよくなりやすい時間帯です。そのあとにそっと靴下をはかせる流れにすると、すんなり受け入れてくれることもあります。うまくいく時間帯を見つけるのも、大切な発見です。
ポイントは「予告・見通し・選択」の三つです。「今から靴下をはくよ」と予告し、「これで最後だよ」と見通しを伝え、「どっちにする?」と選んでもらう。この流れをくり返すと、少しずつ落ち着いていく子もいます。
爪や足まわりのお手入れが苦手な子も、同じように感覚が関係していることがあります。こちらもあわせて読んでみてください。

靴下の工夫は、「合うものが見つかるまで、いくつか試す」くらいの気持ちで進めると、うまくいきやすくなります。最初に選んだ一足が合わなくても、それは失敗ではなく、苦手の理由を知るための大切な手がかりです。
たとえば、縫い目なしを試して改善しなかったときは、次は生地を変えてみる、その次はゴムを変えてみる、というように、一度にひとつだけ変えて様子を見ると、何が合っているのかがはっきりします。
まとめ:靴下を嫌がる子と、ゆっくり進めるために
靴下を嫌がる子の親が、ひとりで抱え込まないために

毎日のことだからこそ、靴下の時間は親にとっても重い負担になりがちです。うまくいかない日が続くと、「私の関わり方が悪いのかな」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。でも、靴下を嫌がるのは、子どもなりの不快のサインです。保護者の方のせいではありません。
ほかの家庭がどうしているのかを知りたいときは、園や学校の先生、身近な子育て仲間に話してみるのもひとつです。「うちもそうだよ」のひとことで、肩の荷がふっと軽くなることがあります。一人で抱え込まなくて大丈夫です。

ほっとした〜。うちの子だけじゃないんだ…! 明日から、まず靴下を一緒に選びにいってみるね。

いい心がけだわん。うまくいかない日があっても、チャレンジしたことそのものを、ちゃんとねぎらってあげるわん。
それでも、朝になると気持ちが重くなる日はあると思います。そんなときは、「今日は靴下をはかなくても、まず園に行けたら十分」と、ハードルを下げてみてください。完ぺきな親を目指さなくても、子どもはちゃんと安心して育っていきます。
パートナーや祖父母と、靴下の担当を分けるのもひとつの方法です。朝の担当が日替わりになるだけで、「今日は私じゃない」と思えて、気持ちに余裕が生まれます。担当が代わったときに子どもの反応が変わることもあるので、ほかの人のやり方を見るヒントにもなります。
今日からできる、小さな一歩

最後に、この記事のポイントをまとめます。靴下を嫌がる理由は、縫い目・ゴム・生地・むれなど、子どもによってちがいます。まずは「何がいちばん苦手なのか」を観察してみてください。
次に、いきなり毎日はかせようとするのではなく、素材や形を変えて試す、前の晩に準備しておく、自分で選んでもらう、という小さな変化から進めます。そして、予告・見通し・選択の声かけを添えることで、子どもが安心して取り組める環境をつくっていきます。
今日からできる小さな一歩
・縫い目なし・ゴムゆるめの靴下を、一足だけ試す
・前の晩に、明日はく靴下を一緒に選んでおく
・「予告・見通し・選択」の三つを声かけに入れる
・はけなかった日も、自分を責めない
それでも毎日がうまくいくとは限りません。うまくいかない日は、うまくいかない日でいいのです。靴下をはけなくても、親子で笑って家を出られたなら、それは立派な「いい朝」です。靴下を通して、子どもが「わかってもらえた」と感じられるように、これからも寄り添っていきましょう。今日のあなたの頑張りも、ちゃんと子どもに届いています。
アイキャッチ画像:Photo by Licalze Socks on Pexels



コメント