「1歳半健診が近いのに、全然指差しをしない…」
「ネットで調べたら発達障害という言葉が出てきて、怖くなってしまった」
「指差しをしないのって、普通?それとも何かあるの?」
そんな不安を抱えながら、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

最初に結論からお伝えします。「1歳半で指差しをしない=発達障害が確定」ではありません。指差しの発達には大きな個人差があり、1歳半の時点で出ていなくても、その後数ヶ月で急に出てくる子はたくさんいます。
そしてもうひとつ、多くのサイトがあまり触れていない大切なポイントがあります。それは、指差しには「種類」があり、どの種類が出ていて、どの種類が出ていないかによって、意味がまったく変わるということです。
指差しは大きく分けると、「要求の指差し(〜がほしい)」「共感・叙述の指差し(見て!)」「応答の指差し(どれ?に答える)」の3種類。「指差しをしない」とひとくくりにせず、この3種類のどれが出ているかを見ることで、わが子の今の発達の様子がぐっと具体的に見えてきます。
この記事でわかること:指差しの発達段階・3種類の指差しそれぞれの意味・「出ている/出ていない」の組み合わせの読み方・1歳半健診で見られる理由・種類別の引き出し方・様子見と相談のラインまで、具体的にまとめました。
1歳半で指差しをしない…何ヶ月ごろに、どんな指差しが出てくる?

こんにちは!おやまどの鈴木です。
まずは「指差しはいつごろ、どんな順番で出てくるのか」という全体の流れを押さえておきましょう。ここが分かると、わが子が今どの段階にいるのかが見えやすくなります。
| 時期の目安 | 見られる発達の様子 |
|---|---|
| 生後9〜10ヶ月頃 | 大人が指差した方向を目で追えるようになる(指差し理解) |
| 生後11ヶ月頃 | 興味のあるものを「あー!」と声を出しながら指差そうとし始める |
| 1歳〜1歳半頃 | 要求の指差し・共感(叙述)の指差しが出てくる。「あれ見て」と大人に伝える指差し |
| 1歳半〜2歳頃 | 「ワンワンはどれ?」に指で答えられる(応答の指差し)。言葉と連動してくる |
「自分で差す」前に「指差しを見る」段階がある
表を見て気づいた方もいるかもしれませんが、指差しは「自分で差す」より先に「大人の指差しを目で追う」段階から始まります。ママが「ほら、ワンワンだよ」と指を差したとき、指先ではなくその先にある犬を見られるか——これが指差し発達の入り口です。
もしお子さんがまだ自分から指差しをしなくても、大人の指差しの先をちゃんと見ているなら、土台は育ち始めていると考えられます。逆に、指差しの先を見ずに指そのものを見ている・反応しない場合は、その手前の段階にいるということになります。
そして大切なのは、この表はあくまで「目安」だということ。指差しが出る時期の個人差はとても大きく、1歳半を過ぎてから一気に出てくる子も珍しくありません。「表より遅れている=異常」ではなく、全体の発達のバランスと合わせて見ていくことが基本です。
【種類別】指差し3タイプの意味。「どれが出ていないか」で見方が変わる

ここからがこの記事の本題です。「指差しをしない」と一口に言っても、実は中身は3種類に分かれます。そして、3種類はそれぞれ「育っている力」が違うため、どれが出ていてどれが出ていないかによって、意味の重さも変わってくるのです。
①要求の指差し「あれがほしい!」。一番最初に出やすい指差し

要求の指差しは、「お菓子がほしい」「おもちゃを取って」など、自分の欲しいものを大人に伝えるための指差しです。3種類の中では一番早く出やすく、「自分の要求を人に伝えれば叶えてもらえる」と分かってきた証拠でもあります。
【出ている場合】「人に伝えれば動いてくれる」という、コミュニケーションの基本の理解が育っています。まだ共感の指差しがなくても、まずこの土台があることは良いサインです。
【出ていない場合】欲しいものに自分で手を伸ばす・泣いて訴えるだけで、「人を介して手に入れる」という発想がまだ育っていない可能性があります。ただし、手を伸ばしながら親の顔を見る「視線での要求」ができていれば、指差しの形になる一歩手前まで来ています。
②共感・叙述の指差し「見て!」。健診で最も注目される指差し

共感・叙述の指差しは、散歩中に犬を見つけて「あ!」と指を差しながらママの顔を見る——「ねえ、見て!一緒に見て!」という気持ちを伝える指差しです。
要求の指差しとの大きな違いは、「何かをもらうため」ではなく「気持ちを共有するため」の指差しだということ。ここには「自分」「ママ」「犬」という三者の関係(三項関係)が成立しています。「自分と相手」の二者関係から、「自分と相手で、同じものを一緒に見る」三項関係へ——これは言葉の発達・社会性の発達の土台になる、とても大きなステップです。
【出ている場合】三項関係が成立しており、「人と気持ちを共有したい」という社会性の芽がしっかり育っているサインです。発達の専門家が最も重視するのがこの指差しで、これが出ていれば、ほかの種類がまだでも前向きに見守れる材料になります。
【出ていない場合】3種類の中で、最も注目されるのが「共感の指差しだけが出ていない」パターンです。要求の指差しはあるのに「見て!」の指差しがない場合、「人にやってもらう」ことはできても「人と気持ちを共有する」ことへの関心がまだ薄い状態かもしれません。ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは、他者と気持ちを共有しようとする意識が育ちにくいことがあり、共感の指差しが出にくい傾向が指摘されています。ただしこれ単独で何かが確定するわけではなく、目が合うか・模倣があるかなど、他のサインと合わせて見ることが前提です。
③応答の指差し「ワンワンはどれ?」。言葉の理解とつながる指差し

応答の指差しは、「ワンワンはどれ?」という大人の質問を理解して、絵本の犬を指で差して答える指差しです。1歳半健診の場で実際に行われるのは主にこのタイプで、出てくる時期も3種類の中で一番遅く、1歳半〜2歳頃が目安とされています。
【出ている場合】「ワンワン=犬」という言葉とものの対応が分かり、質問の意図を理解して応じる力が育っています。言葉の理解が順調に進んでいるサインです。
【出ていない場合】まず押さえてほしいのは、応答の指差しは1歳半の時点で「出ていなくてもおかしくない」ということ。出始めの目安自体が1歳半〜2歳頃なので、健診当日にできなくても、それだけで心配しすぎる必要はありません。一方で、共感の指差しもなく、言葉の理解も進んでいない場合は、「言葉が聞こえているか(聴力)」も含めて確認したいポイントになります。乳幼児期に多い滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)は、軽度の難聴を起こしながら外から気づきにくいため、「呼んでも振り向かないことがある」場合は聴力の確認も大切です。
「出ている/出ていない」の組み合わせ早見表
3種類の組み合わせごとに、どう考えればいいかを整理しました。
| 組み合わせ | 考えられる状態・見方 |
|---|---|
| 要求○ 共感○ 応答✕ | 応答は出る時期がもともと遅め。コミュニケーションの土台は育っており、様子見できる可能性が高い |
| 要求○ 共感✕ 応答✕ | 要求は伝えられるが「共有したい」気持ちの表現がまだ。目が合うか・模倣があるかなど他のサインと合わせて確認したい |
| 要求✕ 共感○ 応答✕ | 珍しいパターンだが、共感の指差しが出ていれば三項関係は成立。要求は視線や手伸ばしで代用していることも |
| すべて✕(指差しが全くない) | 視線での訴え・模倣・言葉の理解など、指差し以外のコミュニケーションが育っているかを丁寧に確認。複数のサインが重なるなら相談を検討 |
このように、同じ「指差しをしない」でも、どの種類が出ているかで見方は大きく変わります。まずはお子さんの日常を思い返して、「どの指差しなら出ているか」「指差しはなくても、それに代わる伝え方をしているか」を整理してみてください。

指差しに種類があるなんて知らなかった…!うちの子、お菓子の指差しはするけど「見て!」はまだかも。同じ「指差し」でも意味が違うんだね。

そこに気づけたのが大きいわん!「要求の指差しが出ている」のは大事な一歩だわん。あとで「共感の指差しを引き出す遊び」も紹介するから、焦らなくて大丈夫だわん!
1歳半健診で指差しをチェックする理由。「指差しする/しない」を見ているのではない

1歳半健診で指差しが確認されるのは、単に「指が動くか」を見るためではありません。指差しというひとつの行動の中に、発達のいろいろな力が詰まっているからです。
1歳半健診で指差しを通して確認していること
✓ 言葉の理解力(「ワンワンはどれ?」を理解して答えられるか)
✓ 人と「一緒に何かを見る・共有する」意識があるか(三項関係)
✓ 模倣力・学習する力(親の指差しを真似できるか)
✓ コミュニケーションへの意欲(伝えたい・知りたいという気持ち)
✓ 聞こえているか(質問への反応から聴力面も推測される)
つまり指差しは、言葉・社会性・理解力をまとめて見られる「窓口」として使われているのです。だからこそ、健診当日に指差しが出なくても、保健師さんは家庭での様子や他の項目(積み木・言葉・応答など)と合わせて総合的に判断します。
1歳半健診では指差しのほかに「積み木を積めるか」もよく見られます。何を確認しているのかは1歳半健診の積み木テストの意味と対策で詳しく解説しています。また、健診を前に発達全体が気になっている方は1歳半の発達障害サインの見分け方も参考にしてください。
1歳半の子が指差ししないときに指差し以外を見るポイント。言葉の理解・模倣・目が合うか

「指差しをしない」という一点だけで判断するのではなく、コミュニケーション全体の育ちを合わせて見ることが何より大切です。チェックしたいのは次の3つです。
①言葉の理解。「ちょうだい」「ポイして」が通じるか
自分から話す言葉(発語)よりも先に育つのが「言葉の理解」です。「ちょうだい」と言うと渡してくれる、「ポイして」と言うとゴミ箱に入れようとする——こうした簡単な指示が通じていれば、言葉を受け取る力は育っています。
指差しがなくても言葉の理解が進んでいれば、その後の伸びが期待しやすい状態です。逆に、指差しもなく言葉の理解もほとんど見られない場合は、聴力の確認も含めて早めの相談を検討したいところです。発語そのものが気になる方は1歳半で発語なしの子はどれくらい?割合と考え方も合わせてどうぞ。
②模倣。パチパチ・バイバイなど大人の真似をするか
指差しは「大人の指差しを見て真似する」ことでも学ばれていきます。つまり模倣の力は、指差しが出てくるための大事なエンジンです。パチパチ(拍手)、バイバイ、いただきます——日常の中で大人の動作を真似しようとする様子があるかを見てみてください。
模倣がよく出ている子は、指差しもあとから追いついてくることが多いものです。模倣がほとんど見られない場合は、気にかけたいサインのひとつになります。
③目が合うか・視線で気持ちを伝えるか
名前を呼ぶと振り向く、遊びの途中でふと親の顔を見る、欲しいものがあるとき手を伸ばしながら親の目を見る——視線を使ったコミュニケーションは、指差しと同じ「人とつながろうとする力」の表れです。
特に「何かを見つけたとき、指は差さないけれど親の顔を見る」行動は、共感の指差しの一歩手前まで来ている良いサイン。「一緒に見たい」気持ちはもう育っていて、あとは指差しという形が出てくるのを待つ段階と考えられます。
【種類別】指差しを引き出す関わり方。今日からできる遊びとコツ

指差しに種類があるということは、引き出し方も種類別に考えられるということです。「指差しの練習」と構えるのではなく、日常の遊びの中に少しだけ仕掛けを足すイメージで取り入れてみてください。
要求の指差しを引き出す。「ちょっと届かない」状況をつくる

要求の指差しは、「自分では取れない。でも欲しい。だから人に伝える」という状況の中で育ちます。何でも先回りして渡してしまうと、子どもが「伝える必要」を感じる機会が減ってしまうのです。
ポイントは、子どもが何らかの方法(声・手伸ばし・視線)で伝えてきたらすぐに応えてあげること。「伝えたら伝わった!」という成功体験の積み重ねが、指差しの動機になります。
共感の指差しを引き出す。「一緒に見る楽しさ」を増やす

共感の指差しの土台は三項関係、つまり「同じものを一緒に見て、気持ちを共有する」経験です。これは教え込むものではなく、親が先にお手本として「見て見て!」をたくさんやってみせることで育っていきます。
大切なのは、子どもが見ているものに大人のほうから合わせにいくこと。「こっちを見なさい」と引っ張るのではなく、子どもの興味に寄り添って「一緒に見るって楽しい」という経験を積み重ねるのが近道です。
応答の指差しを引き出す。絵本で「どれ?」遊びを楽しむ
応答の指差しは、言葉の理解と一緒に育ちます。一番取り入れやすいのは絵本の「どれ?」遊びです。
「正解させる」ことより「やりとり自体を楽しむ」ことを優先してください。言葉の理解を広げる遊びは一歳半の言葉のトレーニング方法でさらに詳しく紹介しています。
逆効果になりやすいNGな関わり方
指差しは「楽しいから自然に出てくる」ものです。親が楽しそうに指差しをしていると、子どもも真似したくなる——これが一番の原動力。「練習させる」より「一緒に楽しむ」が正解です。

「どれ?どれ?」って毎日テストみたいに聞いちゃってたかも…。種類別にやり方が違うって分かったら、何をすればいいか見えてきた!

そうだわん!散歩で「あ!ワンワン!」って一緒に盛り上がる——それがそのまま共感の指差しの種まきになってるんだわん。ほのママが楽しんでると、子どもも楽しくなるわん!
1歳半指差ししないときは様子見でいい?相談すべき?判断のライン

最後に、「うちはこのまま様子を見ていいの?それとも相談したほうがいいの?」という一番知りたいラインを整理します。
これらが見られる場合、「指差しという形式が出ていないだけで、コミュニケーションの土台は育っている」可能性が高く、数ヶ月以内に指差しが出てくることも多くあります。
「当てはまる項目が多い=発達障害が確定」ではありません。ただ、これらが複数重なる場合は、かかりつけの小児科や保健センターに早めに相談することで、必要なサポートにつながりやすくなります。相談は「診断を受けに行く」ことではなく、「専門家と一緒に見守る体制をつくる」こと。早めに動いて損をすることはありません。
1歳半で指差ししないときによくある質問(FAQ)

Q1. 指差しはしないけど、言葉は出ています。心配いりませんか?
意味のある言葉が出ていて、簡単な指示も通じているなら、言葉の発達の土台は育っていると考えられます。指差しを飛ばし気味に言葉へ進む子もいます。ただし、言葉は出ていても「人と共有したい」という視線のやりとりや模倣がほとんど見られない場合は、言葉以外のコミュニケーション面も合わせて健診や相談の場で伝えてみてください。
Q2. 指差しの代わりに、私の手を引っ張って取らせようとします。これがクレーン現象?
はい、親の手を道具のように使って目的を果たそうとする行動を「クレーン現象」と呼びます(親の手を持ってドアに押し付ける、など)。1〜3歳の時期には定型発達の子にも見られることがあり、クレーン現象だけで発達障害と判断されるわけではありません。ただ、クレーン現象のときに子どもが親の顔を見ているか(アイコンタクトがあるか)はひとつの目安になり、目も合わせず手だけを使う様子が頻繁で、他の気になるサインも重なる場合は相談のきっかけにしてください。
Q3. 1歳半健診で「指差しが出ていませんね」と指摘されたら、どうなるの?
多くの場合、すぐに何かが決まるわけではなく、「経過観察」として数ヶ月後のフォロー面談や電話確認を案内されたり、地域の親子教室をすすめられたりする流れが一般的です。健診の場は子どもが緊張してできないことも多いため、家庭での様子(どの種類の指差しならあるか、指示が通じるか)を具体的にメモして伝えると、より正確に見てもらえます。指摘されること自体は「気にかけて見守ってもらえる入り口」であって、悪いことではありません。
Q4. 何ヶ月くらいまで様子見でいいの?
一律の正解はありませんが、目安として「指差し以外のコミュニケーション(目が合う・指示が通じる・模倣がある)が育っているなら、2歳ごろまでに出てくるかを見守る」という考え方が一般的です。ただし、指差しがないことに加えて、目が合いにくい・模倣がない・言葉の理解が見られないなどのサインが重なっている場合は、月齢を待たずに早めの相談をおすすめします。「様子見」は何もしないことではなく、関わりを増やしながら変化を見ていく期間と考えてください。
Q5. 指差しの練習はさせるべき?
「練習」として教え込むのはおすすめしません。手を持って形を作らせたり、テストのように迫ったりすると、子どもにとって指差しが「楽しくないもの」になってしまいます。それよりも、この記事で紹介した種類別の遊び(届かない場所に置く・一緒に見て盛り上がる・絵本のどれ?遊び)を日常に混ぜるほうが、結果的に近道です。指差しは「伝えたい」「共有したい」気持ちから自然に出てくるものだからです。
まとめ。「1歳半で指差しをしない」ではなく「どの指差しが出ているか」で見る

「指差しをしない」と検索すると不安な情報ばかり目に入りますが、大切なのは「しない」というゼロイチではなく、「どの種類が、どこまで育っているか」というグラデーションで見ることです。お子さんの「伝えたい気持ち」は、指差し以外の形でもう表れているかもしれません。今日の散歩から、「あ!ワンワン!」と一緒に盛り上がるところから始めてみてください。

「指差しするかしないか」だけで一喜一憂してたけど、種類別に見たら、うちの子なりに育ってる部分がちゃんとあった。明日の散歩から「見て見て!」をいっぱいやってみる!

完璧だわん!「楽しく一緒に見る時間」が指差しの一番の栄養だわん。ほのママが元気でいることも、子どもの発達にとって大事なことだわん!



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