「3年生になってから漢字が急に覚えられない」
「何回書いても、次の日には忘れている」
「漢字が苦手すぎるのは発達障害なのかな?」
小学生の漢字学習で、3年生は大きな壁になりやすい時期です。
1年生・2年生のころは何とか覚えられていたのに、3年生になってから急に漢字テストで点が取れない。宿題の漢字練習に時間がかかる。形がぐちゃぐちゃになる。読みは分かるのに書けない。
そんな姿を見ると、「努力不足なの?」「練習量が足りないの?」「もしかして発達障害や学習障害?」と不安になりますよね。
先に結論をお伝えすると、漢字が覚えられないだけで、すぐに発達障害とは判断できません。
ただし、3年生になって漢字の量や難しさが増えたことで、読み書きの苦手さが目立ち始める子はいます。
特に、何度練習しても形を思い出せない、似た漢字をよく間違える、読むことや書くことに強い疲れがある、漢字練習のたびに泣く・固まる場合は、学習障害や発達性読み書き障害などの可能性も含めて見てよいサインです。
大切なのは、「覚えられない子」と決めつけることではありません。
どの学年で、どの種類の漢字に、どんなつまずきが出ているのかを分けて見ることです。
この記事では、漢字が覚えられない3年生と発達障害の関係、学年別につまずきやすいポイント、3年生で急に漢字が難しくなる理由、家庭でできる覚え方、学校や発達相談につなげる目安まで解説します。
漢字が覚えられない3年生は発達障害?まず知りたいこと

3年生で漢字が覚えられないと、親はとても焦ります。
漢字テストの点数が下がる、宿題に時間がかかる、書き取りを嫌がる、ノートの字が読みにくい。
こうした姿が続くと、「発達障害かもしれない」と考えるのは自然です。
でも、漢字の苦手さにはいくつかの種類があります。
まずは、発達障害かどうかを急いで決める前に、何が苦手なのかを整理しましょう。
漢字が覚えられないだけで発達障害とは限らない
漢字が覚えられないからといって、それだけで発達障害とは言えません。
小学生にとって漢字は、そもそも負担が大きい学習です。
形を覚える、読み方を覚える、意味を覚える、書き順を覚える、熟語で使う、文章の中で使う。
一つの漢字を覚えるだけでも、たくさんの力が必要です。
特に3年生になると、漢字の数が増え、形も複雑になります。
そのため、発達障害がない子でも、漢字でつまずくことはあります。
「漢字が苦手」と一言で言っても、読むことが苦手な子、書くことが苦手な子、覚えることが苦手な子、思い出すことが苦手な子では、必要な支援が違います。
まずは、どこで止まっているのかを見ることが大切です。

漢字ができないってだけで焦ってたけど、読むのが苦手なのか、書くのが苦手なのかで違うのね…。

その通りだわん。「漢字が覚えられない」を細かく分けると、合う練習方法が見つかりやすいわん。
3年生は漢字が急に難しくなる時期
3年生で漢字が覚えられない子が増える理由の一つは、学習する漢字の量と質が変わるからです。
1年生では80字、2年生では160字、3年生では200字の漢字が配当されています。
3年生になると、画数が多い漢字、部首やつくりが複雑な漢字、抽象的な意味をもつ漢字、理科や社会でも使う漢字が増えていきます。
たとえば、「感」「漢」「練」「題」「調」「整」「薬」「農」「福」などは、形も意味も1・2年生の漢字より難しく感じやすいです。
3年生で漢字が難しくなる理由
・習う漢字が200字に増える
・画数が多い漢字が増える
・へん、つくり、かんむりなどの構成が複雑になる
・「感」「想」「調」など抽象的な漢字が増える
・熟語で覚える必要が増える
・理科や社会でも漢字を使う場面が増える
・テストで正確に書く力が求められやすい
つまり、3年生で漢字につまずくのは珍しいことではありません。
ただし、何度練習してもほとんど残らない、1・2年生の漢字もかなり抜けている、読み書き全体に強い負担がある場合は、学習の苦手さを丁寧に見た方がよいです。
学習障害やディスレクシアで漢字が覚えられないこともある
漢字が覚えられない背景に、学習障害や発達性読み書き障害が関係することもあります。
発達性読み書き障害は、全体的な知的発達に大きな遅れがないのに、文字を読むことや書くことに限定した困難がある状態です。
この場合、「勉強していない」「努力していない」ように見えても、本人の中では文字の形や音、意味を結びつけることに大きな負担がかかっています。
漢字では、形が思い出せない、似た漢字を混同する、細かい点や線が抜ける、読みは分かるのに書けない、何度書いても定着しないなどの姿が見られることがあります。
もちろん、これらがあるからといって、必ず発達障害と決まるわけではありません。
でも、本人がかなり困っているなら、家庭だけで努力量を増やすより、学校や専門機関に相談した方がよいことがあります。
「3年生のうちの子は漢字が覚えられないけど発達障害?」学年別つまずくポイントを解説

漢字のつまずきは、学年によって見え方が変わります。
3年生の漢字が覚えられない場合でも、実は1年生・2年生の段階から読み書きの苦手さが出ていたこともあります。
ここでは、学年別に見ていきましょう。
1年生。ひらがな・カタカナ・簡単な漢字でつまずく
1年生は、文字学習の土台を作る時期です。
ひらがな、カタカナ、簡単な漢字を学びます。
この時期のつまずきは、漢字そのものより、文字を見分ける、音と文字を結びつける、鉛筆で形を書くことに出やすいです。
1年生では、まだ発達の個人差も大きいです。
ただ、ひらがなやカタカナの段階から強い苦手さがある場合は、漢字学習に入ったときにつまずきが大きくなることがあります。
この時期は、たくさん書かせるより、文字の形を見分ける、音と結びつける、楽しく触れることを大切にしましょう。
2年生。漢字の量が増えて定着しにくくなる
2年生になると、1年生より漢字の量が増えます。
読み方が複数ある漢字、熟語として使う漢字も増えていきます。
1年生では何とか覚えられていた子も、2年生で「覚えたはずなのに忘れる」「テストでは書けない」という姿が出ることがあります。
2年生で気になるサイン
・前に習った漢字をすぐ忘れる
・読みはできるが書けない
・同じ漢字を何度も間違える
・「晴」「曜」「親」など画数の多い漢字で崩れる
・漢字練習に時間がかかりすぎる
・書き取りテストで極端に点が低い
2年生の段階では、「書く量を増やせば覚える」と思われやすいです。
でも、形をとらえるのが苦手な子に、ただ何十回も書かせても定着しにくいことがあります。
部品に分ける、意味とセットで覚える、声に出す、短い回数で思い出す練習を入れるなど、覚え方を変えることが大切です。
3年生。漢字が覚えられない悩みが目立ちやすい
3年生は、漢字の苦手さが一気に目立ちやすい学年です。
習う漢字が200字になり、画数も増え、漢字の意味も抽象的になります。
さらに、国語だけでなく、理科や社会でも漢字を使う場面が増えます。
そのため、3年生で「漢字が覚えられない」と悩む家庭は少なくありません。
3年生で大事なのは、「何回も書く」だけに頼らないことです。
漢字を部品に分ける、意味で覚える、似た漢字を比べる、少ない回数で思い出す練習をするなど、覚え方を工夫しましょう。
また、1・2年生の漢字が抜けている場合は、3年生の漢字だけを責めず、少し戻って土台を確認することも大切です。
4年生以降。漢字が覚えられないと他教科にも影響しやすい
4年生以降になると、漢字の苦手さは国語だけでなく、他教科にも影響しやすくなります。
理科、社会、算数の文章題、調べ学習、作文、ノートまとめなどで、漢字を読む・書く場面が増えるからです。
漢字が苦手な子は、問題の内容を理解する前に、文字を読むことや書くことで疲れてしまうことがあります。
この段階では、「漢字だけ」の問題に見えて、学習全体の負担につながっていることがあります。
家庭だけで何とかしようとせず、学校での様子を確認し、必要に応じて支援を相談しましょう。
漢字が覚えられない発達障害?3年生に多いつまずき方

3年生で漢字が覚えられない場合、よく見るとつまずき方が違います。
ここでは、家庭で見分けやすいパターンを紹介します。
読みはできるのに漢字で書けない
よくあるのが、読みは分かるのに書けないタイプです。
文章の中では読める。選択肢なら分かる。でも、書き取りになると形が出てこない。
この場合、漢字の意味や読みはある程度分かっていても、形を思い出して手で再現することが苦手な可能性があります。
ただ書き写す練習だけでは、「見ながら書けるけれど、隠すと書けない」状態になりやすいです。
このタイプには、「10回書く」より「1回見て、隠して思い出す」練習が合うことがあります。
書く回数を増やすだけでなく、記憶から取り出す練習を入れてみましょう。
似た漢字を何度も間違える
「待」と「持」、「晴」と「清」、「投」と「役」、「様」と「洋」など、似た漢字をよく間違える子もいます。
3年生になると、へんやつくりが似ている漢字が増えます。
形を全体の雰囲気で覚えている子は、細かい部品の違いを見落としやすくなります。
この場合は、似た漢字を並べて違いを見る練習が役立ちます。
似た漢字を間違えるときの見方
・どの部分が同じかを見る
・どの部分が違うかを見る
・へんの意味を確認する
・熟語で使い方を比べる
・間違えた漢字だけのミニ表を作る
・赤ペンで細かく直しすぎず、違いを一つに絞る
「また間違えた」と叱るより、「ここだけ違うね」と一か所に絞って見る方が、子どもも覚えやすくなります。
細かいミスが多い子ほど、全部を一度に直そうとしないことが大切です。
漢字練習をしてもテストで思い出せない
家では練習したのに、テストになると思い出せない子もいます。
この場合、書き写しはできていても、記憶から取り出す練習が足りていないことがあります。
漢字練習帳に何回も書くと、親から見ると「練習した」に見えます。
でも、見本を見ながら書いているだけだと、テストのように何も見ずに思い出す力は育ちにくいことがあります。
大切なのは、たくさん書くことだけではありません。
少ない回数でも、「思い出して書く」練習を入れることです。

うちの子、見ながらなら書けるのにテストで出ないの。書く回数より、思い出す練習が足りなかったのかも。

そうだわん。漢字は「見て書く」だけじゃなく、「隠して思い出す」練習が大事だわん。
漢字が覚えられない3年生への家庭での対応

3年生で漢字が覚えられないとき、家庭でできることはあります。
ただし、ただ量を増やすより、覚え方を変えることが大切です。
ここでは、取り入れやすい方法を紹介します。
漢字を部品に分けて覚える
漢字を丸ごと形で覚えるのが苦手な子には、部品に分ける方法が役立ちます。
たとえば、「晴」は「日」と「青」、「泳」は「さんずい」と「永」、「感」は「咸」と「心」のように分けて見ます。
部品に分けると、ただの複雑な形ではなく、意味のあるかたまりとして覚えやすくなります。
部品に分ける練習は、3年生以降の漢字で特に大切になります。
形を丸暗記するより、へんやつくりの意味を使った方が、覚える負担を減らしやすくなります。
何回も書くより少なく思い出す練習にする
漢字が覚えられない子に、何十回も書かせると、かえって漢字嫌いになることがあります。
特に、書くことに強い負担がある子は、回数を増やすほど疲れてしまい、記憶に残る前に嫌な経験だけが残ることがあります。
おすすめは、少ない回数で、思い出す練習を入れることです。
家庭でできるミニ練習
・1日5個だけにする
・見本を見て1回書く
・見本を隠して1回書く
・間違えた漢字だけ翌日に復習する
・全部直すのではなく1か所だけ見る
・書けた漢字をチェックして増やす
・週末は苦手漢字だけ確認する
「100点を取るための練習」ではなく、「昨日より1個覚える練習」と考えると、親子ともに続けやすくなります。
苦手な子ほど、毎日の練習量を増やしすぎないことが大切です。
読める漢字を増やしてから書く練習をする
漢字が書けない子の中には、読むことも不安定な子がいます。
読めない漢字をいきなり書いて覚えるのは、とても大変です。
まずは、読める漢字を増やし、意味や使い方を理解してから書く練習をする方が合うことがあります。
たとえば、「薬」を覚えるなら、ただ書くだけでなく、「薬を飲む」「薬局」「目薬」など、言葉の中で使ってみます。
漢字学習では、「書けること」ばかりに注目しがちです。
でも、読める漢字が増えることも大切な成長です。
書けないから全部ダメと見ず、読める・意味が分かる・文で使えるという段階も認めていきましょう。
漢字が覚えられない3年生の子の発達障害が心配なとき

漢字が覚えられない状態が続くと、発達障害や学習障害が心配になります。
ここでは、相談を考えたい目安と、学校に伝えるポイントを整理します。
学校でも読み書きに困っているか確認する
家庭で漢字が覚えられないと感じたら、まず学校での様子を確認しましょう。
家では宿題を嫌がるけれど、学校ではある程度できている子もいます。
反対に、学校でも板書が遅い、漢字テストが極端に苦手、音読を嫌がる、作文で止まるなどの困りごとが出ている場合もあります。
担任に聞きたいこと
・漢字テストの点数はどのくらいか
・読みはできているか
・板書を写す速さはどうか
・ノートの字は読めるか
・音読や作文でも困っているか
・他教科の用語でもつまずくか
・学校で効果があった声かけはあるか
・支援や配慮を相談できるか
相談するときは、「発達障害ですか?」と聞くより、「漢字のどこでつまずいていますか?」と具体的に確認すると話が進みやすいです。
学校での様子と家庭での様子を合わせることで、必要な支援が見えやすくなります。
努力不足ではなく学習のつまずきとして見る
漢字が覚えられない子に対して、「練習が足りない」「もっと書きなさい」と言いたくなることがあります。
でも、本人がすでにかなり頑張っている場合、努力不足と言われるほど自信を失います。
特に、読み書きの困難がある子は、同じ宿題でも他の子より多くのエネルギーを使っています。
そのため、まずは「なぜ覚えられないのか」を見て、練習方法を変えることが大切です。
漢字が苦手な子に必要なのは、根性論ではありません。
その子に合う覚え方を見つけることです。
漢字の困りごとを記録すると相談しやすい
漢字が覚えられない状態が続く場合は、家庭で簡単に記録を残しておくと役立ちます。
どの漢字で間違えるのか、読みはできるのか、書くときにどこが崩れるのか、何分くらいかかるのかを残しておくと、担任や相談先に伝えやすくなります。
記録は、子どもを責めるためのものではありません。
「どこが苦手なのか」「どんな方法なら覚えやすいのか」を見つけるための材料です。
まとめ。漢字が覚えられない3年生は発達障害と決めつけず学年別に見る

漢字が覚えられない3年生を見て、「発達障害なのかな」と不安になることはあります。
でも、漢字が苦手というだけで、すぐに発達障害とは判断できません。
3年生は、習う漢字が200字に増え、画数や意味も難しくなる時期です。
そのため、これまで何とか覚えられていた子でも、急につまずきが目立つことがあります。
一方で、何度練習しても形を思い出せない、読み書き全体に強い負担がある、漢字練習のたびに泣く・固まる、学校でも板書や音読に困っている場合は、学習障害や発達性読み書き障害なども含めて相談してよいサインです。
大切なのは、「努力不足」と決めつけることではなく、学年ごとの負担と、その子のつまずき方を分けて見ることです。
漢字が覚えられない子は、さぼっているのではなく、覚え方が合っていないのかもしれません。
たくさん書くほど覚える子もいれば、部品に分けた方が覚えやすい子、読む力から支えた方がよい子、少ない回数で思い出す練習が合う子もいます。
3年生で漢字が苦しくなったときは、まず一度立ち止まって、どこでつまずいているのかを見てあげてください。
子どもに合う方法が見つかれば、漢字への苦手意識は少しずつ軽くできます。

3年生で漢字が増えて、急に苦しくなったのかも。まずは部品に分けて、少ない数からやってみるわ。

その通りだわん。漢字は「もっと書く」だけじゃなく、「どう覚えるか」が大事だわん!
参考文献・出典
- 文部科学省「小学校学習指導要領 第2章 第1節 国語」
- 文部科学省「学年別漢字配当表」
- 発達障害教育推進センター「文字を正確に書く能力を高めるための指導・支援」
- 発達障害教育推進センター「学習障害(LD)のある子ども」
- 国立成育医療研究センター「ディスレクシア」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/cs/1319951.htm
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/cs/1320115.htm
https://cpedd.nise.go.jp/support/individual/57eb863534feae3d8c8eb0632ea84a62/
https://cpedd.nise.go.jp/individual_cat/ld/
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/007.html



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