「毎回かかとを踏んで靴を履く。何度言っても直らない」
「上履きのかかとが毎週潰れた状態で戻ってくる」
「靴を履くとすぐ脱ごうとする。靴そのものが嫌なの?」
発達障害・グレーゾーンのあるお子さんの「靴のかかとを踏む」問題は、多くの家庭で悩まれています。
「怠け」や「いい加減」ではなく、その子の特性が関係していることがほとんどです。
今日は、原因と対応を具体的にお伝えします。
この記事では、かかとを踏む主な4つの理由、原因別の対応法、靴選びの工夫、上履き問題の対策をお伝えします。
なぜ発達障害の子はかかとを踏むのか。主な4つの理由
こんにちは!親子の相談窓口、おやまどの鈴木です。

「かかとを踏む」という行動には、一見わかりにくい理由が隠れていることがあります。
主に次の4つのパターンがあります。
かかとを踏む主な4つの理由
① 感覚過敏:かかとや足裏の締め付け感・圧迫感が不快で、かかとを踏んで圧力を回避している
② ボディイメージの曖昧さ:自分の足の大きさや動きを正確につかみにくく、うまくかかとに入れられない
③ 不注意・衝動性:他のことに意識が向いており、かかとを直す動作まで注意が続かない
④ 手順の難しさ:靴を正しく履くための複数のステップをこなすことが難しい
「何度言っても直らない」のは、意識の問題ではなく、その子の特性によるものである可能性が高いです。
理由①「感覚過敏」によるかかとの踏み

発達障害(特にASD)のある子どもは、足裏やかかとへの感覚が過敏なことがあります。
かかとまでしっかり入れると、靴の後ろ部分がかかとを包む圧迫感・締め付け感が生じます。
その圧迫感が「不快・痛い・気持ち悪い」と感じられるため、かかとを踏んで履くことでその感覚を回避しようとしているのです。
また、靴下の縫い目やゴムの締め付けが嫌で、靴下を脱ぎたい→靴を脱ぎやすくするためにかかとを踏む、という流れになっていることもあります。

かかとを踏むのって、圧迫感が嫌だからだったの?それだったら「ちゃんと履きなさい」って怒るの違うわね…

その子なりの「不快を避ける方法」がかかとを踏むことだったわん!原因がわかれば、叱るより工夫する方向に進めるわん!
理由②「ボディイメージの曖昧さ」によるかかとの踏み

発達障害のある子どもは、「固有覚(自分の体の動きや位置を感じる感覚)」が弱いことがあります。
この感覚が弱いと、「自分の足がどこにあるか・どのくらいの大きさか」を正確につかみにくく、靴のかかとにうまく足を入れられないことがあります。
見ていない状態でかかとまで足を入れる動作は、実は「自分の体を精密にコントロールする」高度なスキルです。
「うまく入らないからとりあえず踏んで履く」という結果になるのは、ボディイメージが曖昧なために起きていることがあります。
理由③「不注意・衝動性」によるかかとの踏み

ADHD傾向のある子どもは、靴を履く最中でも別のものが気になってキョロキョロしてしまうことがあります。
靴を正しく履くためには「靴を手で持つ→かかとを引っ張る→マジックテープを留める」という一連の手順を集中して行う必要があります。
注意が途中で逸れると、かかとを直す前に「できた」と思って立ち上がってしまうことがあります。
「急いでいる場面」「早く出かけたい場面」ではさらに衝動性が高まり、かかとを踏んだまま走り出してしまうことも多いです。
理由④「靴を履く手順の難しさ」によるかかとの踏み

靴を正しく履くためには、複数のステップを順番通りに行う必要があります。
発達障害のある子どもは、こういった複数ステップの動作を順序立てて実行することが難しいことがあります。
また、不器用さ(発達性協調運動障害)があると、かかとのタブを指でつまんで引っ張る動作自体が難しいことがあります。
今日からできる対応と工夫

原因がわかったら、次は対応です。
原因別に効果的な工夫が異なりますが、共通して使える方法もあります。
①かかとのタブに「引っ張りやすい輪っか」をつける

かかとのタブにゴム紐で輪っかをつけてあげましょう。
輪っかに指を引っかけてかかとを引き上げるだけでよくなるため、指先の力が弱い・不器用な子でもかかとをしっかり入れやすくなります。
幼稚園や保育園でも推奨されることが多い方法です。上履きにも同様に取り付けることができます。
②「かかとがしっかりした靴」に替える

かかと部分が柔らかい靴は踏んで履きやすくなります。
かかとのカップ(硬い素材でかかとをしっかり固定する部分)がある靴に替えるだけで、踏みにくくなることがあります。
また、スリッポンタイプ(かかとがない、すっと足を入れられる靴)に替えると、そもそも「かかとを踏む」問題が起きなくなることもあります。
感覚過敏が原因の場合は、かかとの当たりが柔らかい素材・締め付けが少ない設計の靴を探してみてください。試着してから購入することを強くおすすめします。
③「靴を履く手順」を視覚化・ルーティン化する

不注意や手順の難しさが原因の場合は、靴を履くステップを視覚的に示すことが有効です。
靴を履く手順の視覚化の例
① 玄関に「靴を履く手順」のイラストを貼る
② 「かかとをトントンする」という合言葉を決めてルーティンにする
③ 履けたら「かかとトントンできた!」と一緒に確認して褒める
「かかとをトントン(かかとを床にトントンと当てて、靴の奥まで入れる動作)」という合言葉は多くの療育現場でも使われており、習慣化しやすい方法です。
④「楽しい・褒められる」体験とセットにする
発達障害・グレーゾーンの子どもが靴をうまく履けるようになるためには、「楽しい!」「褒めてもらえた!」という感情とセットで覚えることが大切です。
できたときに大げさなくらい褒めて一緒に喜ぶ。
「かかとトントンできた!すごい!」と言葉と一緒に伝える。
子どもが「うまくできた」と感じる成功体験を積み重ねることが、習慣化への一番の近道です。
上履きのかかと踏み問題への対策

「運動靴は改善したのに上履きのかかとが毎週潰れて返ってくる」という声は非常に多いです。
上履きはかかとのカップが柔らかく、踏みやすい設計になっているものが多いのが原因です。
上履きへの実践的な対策
一度潰れたかかとの芯は元に戻らないため、足の変形や痛みにつながることもあります。
「また踏んでる」と叱るのではなく、踏みにくくなる環境を整えることを優先してください。

上履きに輪っかをつけたら先生に変って思われないかしら…

実は幼稚園や保育園でも推奨していることが多いわん!「かかとを踏まないように工夫しました」と先生に伝えれば、一緒に見てくれることも多いわん!
まとめ。かかとを踏む子どもへの関わり方で大切なこと

今日お伝えしたことを最後にまとめます。
「また踏んでる!」と毎朝声を荒げてしまっても、それはお子さんのことを真剣に考えているからです。
今日からは叱る前に「うちの子はどの理由かな」と一度立ち止まってみてください。
その視点が変わるだけで、対応がすっと変わっていきます。

今日帰ったら輪っかをつけてみる!それだけでかかとトントンできるなら、怒らなくてよくなるわ

「かかとトントンできた!」って一緒に喜ぶのを忘れずにだわん!その成功体験が習慣の扉を開いていくわん!



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