「話しかけても噛み合わない。全然別の返事が返ってくる」
「質問しても無視か、的外れなことを言うだけ」
「言葉は出てきているのに、会話のやりとりが全然続かない」
3歳のお子さんを持つ親御さんから、こういった悩みをよく聞きます。
「言葉は出ているのに会話にならない」は、「言葉が出ない」とはまた別の不安です。
実は、3歳という時期の「会話が成り立たない」には、心配ないケースとそうでないケースがあります。
今日は、その見分け方と、やりとりを育てる具体的な関わり方をお伝えします。
この記事では、3歳児の「会話が成り立たない」の背景にあるもの、「様子を見ていいケース」と「気をつけて見てほしいケース」の違い、そして今日からできる具体的な関わり方まで解説します。
そもそも3歳児の「会話」ってどんなレベル?
こんにちは!親子の相談窓口、おやまどの鈴木です。

まず大前提として、3歳児の「会話」は大人と同じレベルのやりとりではありません。
3歳ごろの会話の特徴を知っておくと、「うちの子だけがおかしいわけじゃないかも」と気持ちが少し楽になることがあります。
つまり、3歳はまだ「会話の練習中」の時期です。
大人同士のような、話題がつながって続くキャッチボールができる子はまだ少数です。
「会話が成り立たない」と感じていても、それが3歳児としては自然な範囲のこともあります。
ただ、3歳という時期は個人差も大きく、「ちょっと気になる」状況が見え始めることもある時期です。
次に、「心配いらないケース」と「気をつけて見てほしいケース」を具体的に見ていきましょう。
会話の「やりとり」には2種類ある

言語聴覚士が子どものコミュニケーションを見るとき、会話のやりとりを大きく2種類に分けて考えることがあります。
会話のやりとりの2種類
①要求のやりとり:「お菓子ほしい」「抱っこして」「やだ!」など、自分の欲求や拒否を伝えるやりとり
②報告・共感のやりとり:「ねえねえ、あれ見て!」「今日楽しかったよ!」など、感じたことを誰かと共有するやりとり
①の要求のやりとりは比較的早い段階で出てきます。
②の報告・共感のやりとりはもう少し発達が必要で、「誰かに伝えることそのものが楽しい」という気持ちが育ってきたサインです。
「会話が成り立たない」と感じているとき、②の報告・共感のやりとりが少ないのか、①の要求のやりとりすら成立しにくいのか、によって状況が変わってきます。

「お菓子ほしい!」「いや!」はめちゃくちゃ言うんだけど、「今日楽しかった」みたいな話はしてこないわ…

要求のやりとりができてるなら、コミュニケーションの土台はあるわん!報告・共感のやりとりはもう少し先から出てくることが多いから、焦らなくて大丈夫だわん!
「様子を見ていいケース」と「気をつけて見てほしいケース」の違い

「会話が成り立たない」という状況にも、いろいろなパターンがあります。
以下を参考に、お子さんの様子と照らし合わせてみてください。
様子を見ていいことが多いパターン
このパターンの子どもは、会話の土台はしっかり育っていることが多いです。
「こちらの質問に答えることが苦手」「話題がすぐ飛ぶ」「オウム返しが多い」といった様子があっても、コミュニケーションへの意欲があれば、関わり方を工夫しながら見守っていけることがあります。
気をつけて見てほしいパターン

「気になるけど、相談するほどかどうかわからない」という段階でも、地域の保健センターや発達相談窓口に話を聞きに行くだけでも大丈夫です。
「早すぎる」相談はありません。気になったときが、相談のタイミングです。

好きな電車の話はめちゃくちゃしゃべるのに、こっちが質問すると全然返ってこないのよ…

電車の話でいっぱいしゃべれてるなら、コミュニケーション意欲はちゃんとあるわん!好きな話題に乗っかってあげると、会話のやりとりが生まれやすくなるわん!
「会話のやりとり」を育てる。今日からできる4つの関わり方

「様子を見ていいケース」であっても、「何もしないで待つだけ」は難しいものです。
会話のやりとりを自然に育てる関わり方を、今日から取り入れてみてください。
①子どもの好きな話題に「乗っかる」

会話のやりとりが生まれやすいのは、子どもが「これを話したい!」と感じているテーマです。
電車が好きな子には電車の話。恐竜が好きな子には恐竜の話。アニメキャラが好きな子にはそのキャラの話。
「今日、電車何色だった?」「あの電車なんて名前だっけ?」のように、子どもが詳しいことを質問すると、答えが返ってきやすくなります。
親主導で「これについて話して」と誘導するのではなく、子どもが話したいことに親が乗っかるイメージです。
「伝えたら反応してもらえた」という体験の積み重ねが、会話のやりとりへの意欲を育てていきます。
②「質問」より「共感」から始める

「今日保育園で何した?」「どっちがいい?」のような質問は、答えることへのハードルが高いことがあります。
3歳児は、質問に答えることより、「自分が言ったことに共感してもらう」やりとりの方が成立しやすいです。
「質問」から「共感」に変えてみる例
❌「今日、何して遊んだの?」
⭕「今日公園楽しかったね!砂、いっぱい触ったよね」
❌「これ何色?」
⭕「わあ、赤いね!きれいな色だね」
❌「どっちがいい?」
⭕(バナナを見せながら)「バナナだ!ほしい?」
子どもが反応してくれなくても気にしないで続けてみてください。
親が楽しそうに話しているのを聞き続けることも、言葉のインプットになっています。
③「ハーイ」「いえーい」で答えやすい形にする

言語聴覚士の現場から生まれた工夫として、「聞き方を変える」方法があります。
「ボールで遊ぶ?」と聞いても返事がない子でも、「ボールで遊ぶ人ー?」と聞くと「ハーイ」と元気よく手を挙げる、というケースがよくあるそうです。
「はい・いいえ」で答えるより、「ハーイ」「いえーい」のような体の動きを伴う返事の方が、子どもは答えやすいことがあります。
「〜食べたい人ー?」「〜やりたい人ー?」のようなノリで聞いてみると、やりとりが生まれやすくなることがあります。

「おやつ食べたい人ー?」ってやったら「ハーイ!」って返ってきた!!普通に「食べる?」って聞いたら無視だったのに!!

それがそれがそれが大事なやりとりだわん!!小さな「ハーイ」の積み重ねが会話の筋肉になっていくわん!!
④「成功体験」を意図的に積ませる

「言葉を使ったら伝わった」「話したら反応してもらえた」という体験の積み重ねが、会話への意欲を大きく育てます。
そのために、子どもが何か言おうとしたときに「先回りして解決しない」ことを意識してみてください。
たとえば、子どもがテーブルのジュースに手を伸ばして届かなそうにしているとき、すぐに渡してしまわずに「どうしたの?」「ジュースほしいの?」と一言聞いてみる。
子どもが「ジュース」「ちょうだい」などと言葉を出せたら、すぐに「はいどうぞ!言えたね!」と大げさなくらい喜んで渡す。
言葉が出なくても、指差しやジェスチャーで伝えようとしたら「あ、ジュースほしかったのね!」と言葉にして返してあげる。
この繰り返しが、「話せば伝わる」という体験になっていきます。
やってしまいがちだけど逆効果な関わり方

関わり方を工夫する一方で、「よかれと思ってやっていること」が逆効果になることもあります。
心当たりがあっても、自分を責めないでください。知らなかっただけです。今日から変えていければ十分です。
「早く言って」「もう1回言って」と急かす

3歳児は、言葉を選んで出すのに時間がかかることがあります。
「何が言いたいの?」「早く言って」「もう1回ちゃんと言って」と急かされると、子どもは「うまく言えない自分」を強く意識してしまいます。
言いたいことがあっても「どうせうまく言えないから」と話すことをやめてしまう子もいます。
言葉が出てくるまで、少し待ってみてください。返事がなくても、「〜ってこと?」と親が言葉にして返してあげるだけで十分です。
言い間違いをすぐ直す

「ちがうよ、ちゃんと言って」「そういう言い方じゃなくて〜でしょ」と言い間違いを正すことも、話すことへのやる気をくじくことがあります。
言い間違いは正さず、正しい言い方を自然に返してあげるだけで十分です。
子どもが「ちゅかれた」と言ったら「疲れたね、いっぱい走ったもんね」と返す。それだけで、正しい音を耳に届けることができます。
「テスト」するような話しかけ

「これ何色?」「あれは誰?」「これ何て言うの?」のように、答えを確かめる「テスト」のような質問が続くと、子どもは会話を「試験」のように感じてしまうことがあります。
知っているかどうかを確認するのではなく、「一緒に見ている」「一緒に楽しんでいる」姿勢で話しかける方が、やりとりは生まれやすくなります。
「あ、赤いね!」「あの電車かっこいいね!」のように、答えを求めない声かけを増やしてみてください。

「これ何色?」「あれ何?」って毎回聞いてたの…。子どもからしたら試験みたいだったのかしら

愛情からきてる行動だから責めなくていいわん!「あ、赤いね!かわいいね!」って一緒に楽しむだけに変えるだけで、子どもの反応が変わってくるわん!
まとめ。3歳児の会話が成り立たないときに大切なこと

今日お伝えしたことを最後にまとめます。
「会話が成り立たない」と感じているとき、親御さんはとても孤独な気持ちになることがあります。
でも、今日紹介した関わり方は、今すぐ始められることばかりです。
まず「好きな話題に乗っかる」から始めてみてください。それだけで、今日のやりとりが少し変わるかもしれません。
そして「やっぱり気になる」という気持ちが続くなら、一人で抱え込まずに話しかけてください。

「ハーイ!」で返ってきたとき、こんなに嬉しいとは思わなかったわ。今日から電車の話にもっと乗っかってみる!

それが一番大事だわん!子どもが「話したい!」と思えるやりとりを毎日少しずつ積み重ねていこうわん!応援してるわん!



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